スタメンを見た限りではどちらもシステムが読めない状況でしたが、ジェフは3-1-4-2、讃岐は5-4-1でした。
ジェフは以前話した横浜FC戦後半のように、相手が5-4-1だとサイドの裏が取れずにサイド攻略に苦戦。
また、ラリベイと指宿の2トップにしたことで変化も感じましたが、それによる課題も感じた試合だったように思います。
■讃岐の守備に苦戦
ジェフは連戦ということもあったのか、大幅にメンバーを入れ替えてきました。
近藤、多々良、キムの3バックで、左WBに比嘉を、右WBに真希、前線は指宿とラリベイの2トップ。
北爪、清武、羽生、岡野と勇人がベンチ入りを果たしました。
市船出身の原一樹、ジェフU-18出身の砂森が離脱中の讃岐は、李栄直とエブソンが出場停止となった上に、これまで全試合フル出場を果たしてきた市村も不在。
全試合出場のGK清水も控えに回ってGKは瀬口、CBは中島と岡村、武田で、右WBに西、左WBに高木。
右シャドーに仲間、左シャドーに馬場、ボランチに渡邉と永田、1トップに木島徹也で5-4-1となりました。
序盤、讃岐の攻撃。
ロングボールを木島徹がせって、こぼれ玉を渡邉がミドルシュート。
しかし、バーの上を超えます。
8分、ジェフの攻撃。
高い位置でこぼれ球を拾ったラリベイが縦パス。
ボールを受けた指宿が3人、4人と囲まれながらも持ち込み、右サイドからシュートを放ちますが、角度がなくGKの正面に終わります。
試合はジェフがボールを持ち、讃岐がカウンターを狙う展開。
ジェフは基本的にはインサイドが斜め外に出ていく展開で、攻撃をうかがっていたと思います。
しかし、相手が5-4-1で守るとサイドで数的優位を作れず、苦労していた印象です。
また、この日はCFタイプが前線に並んだことで、1人が下がって縦パスを受ける動きも多かった印象です。
しかし、それに対しても讃岐はしっかりと対応。
CFにボールが入りトラップした瞬間に、ボールを奪いに行く守備を実施し、ジェフの攻撃を遮断していきます。
14分には讃岐の決定的なチャンス。
左サイドでのスローインから高木が木島徹に縦パス。
木島徹が落として高木がふわっとしたボールを前方に出し、こぼれ球を競り勝ち仲間がシュートを放ちますが、ポスト直撃でゴールならず。
讃岐はこの形を狙っていた印象でした。
左サイドに木島徹が流れてポイントを作りジェフの守備網を引き付けておいて、中央に2列目から選手が飛び出す。
この場面では町田が仲間に競り負けましたが、1ボランチシステムなだけに2列目からの飛び出しに弱いと分析されたのかもしれません。
また、ボールスピードのある裏へのボールだとGK優也がでてきてしまうので、ふわっとしたボールをあえて裏に出していたところがあったようにも思います。
20分にはジェフのミスパスから木島が左サイド裏を抜け出し、GK優也を抜きかけますが何とか戻ってブロック。
その直後には真希の斜めの縦パスを、指宿が受けてミドルシュート。
しかし、ゴール左をそれます。
その後はジェフが攻めあぐねる展開。
ボールを支配するものの讃岐のマークを外せず、チャンスが作れない。
外からのアーリークロスも狙いますが、しっかりと讃岐が対応していました。
36分、ジェフの攻撃。
真希が熊谷と1-2で抜け出して、中央に折り返します。
指宿がニアに飛び込んでヒールでゴールを狙おうとするも、あわせきれず。
■お互いに点を取り合い1-1
前半攻めあぐねたジェフは、後半開始と同時に比嘉に代えてサリーナスを投入。
47分には讃岐の攻撃。
左サイドで仲間とパス交換した木島がクロスを上げ、仲間がタイミング良く飛び出しますがGK優也がパンチング。
その直後にジェフが先制。
左サイドからキムがあげたクロスは相手に跳ね返されますが、真希が拾うとそのままミドルシュート。
これがゴール左隅に決まって1-0に。
真希はこぼれ球を拾ってのミドルシュートがうまい印象がありますね。
追加点を取りたいジェフですが、逆に勢いを増したのは讃岐の方で、51分には讃岐のチャンス。
左サイドからのCKを渡邉が蹴ると、GK優也が触りきれず木島徹がヘディングシュート。
しかし、ゴール左をそれました。
その直後、GK優也からのロングキックを相手に跳ね返され、多々良が処理しようとしたところを2人囲まれて奪われます。
木島徹が完全に抜け出したところを、近藤がスライディングで倒したとしてPK。
これを木島が決めて、同点にされます。
近藤の足がかかったかは微妙なところではありましたが、フリーで走っている相手にあれだけ離れた距離から遅れてスライディングすれば、PKを取られても仕方ないのではないでしょうか。
その前の多々良の処理もミスだったと思いますし、GK優也からのキックにFWがせれなかったことも失敗。
ハイラインを保つ以上はああいったボールがDF方向に出ただけでも危ないわけですから、ゴールキックからの形もアバウトにしてはいけないのだと思います。
61分、ジェフの攻撃。
右サイドから町田がアーリークロス。
ラリベイがシュートを放ちますが、GK瀬口が正面でキャッチ。
64分にはジェフのビックチャンス。
ラリベイがうまく落とし、町田がダイレクトでつないで指宿へ。
指宿の落としをうけた真希がシュートを放ちますが、岡村がゴール目の前でクリア。
得点後もジェフが攻め込む時間が長かったですが、讃岐も集中して守っていました。
74分、讃岐は木島徹を下げて木島良を投入。
76分、ジェフは真希に代えて船山を起用し、そのまま右WBでのプレーとなりました。
しかし、その後もジェフは攻めあぐねる展開が続きます。
讃岐もカウンターから攻撃を狙いますが、チャンスまでは作りきれず。
ラスト15分はジェフがボールを持つものの攻撃の形を作れず、讃岐がうまくクローズして1-1の引き分けに終わったといった印象でした。
■ツインタワーを追及するのか
讃岐としてはホームゲームとはいえ、怪我人多数の状況。
出場停止も2人いたわけですから、引き分けで御の字だったのではないでしょうか。
逆にジェフとしては、この日も攻撃のクオリティに課題が出た印象です。
讃岐はさすがのジェフ対策を見せていたと思います。
久々の5バックにして、ジェフの横幅を狙った攻撃に対応。
中央でもポストプレーに対して、入った瞬間に潰しに行くことでうまくやらせなかった。
ジェフが今までにはないツインタワーにしたことで戸惑うかと思ったのですが、まったくそんなことはなかった。
ここ2試合のジェフがポストプレーからの形に可能性を見せていたこともあってか、しっかりとそこへの準備をしていた印象です。
むしろ2トップにしてポストプレーが増えたことにより、逆に対策しやすくなっていたのではないかとすら感じました。
ここ2試合のラリベイのポストプレーはシンプルに落とすというよりは、ラリベイがキープして個人技で展開するパターンが多かった。
その分CFが持つ時間は長くなるわけだから、そのタイミングでがつっと潰しにいくと。
そこが讃岐のボール奪取ポイントになっていたようにすら見えました。
ジェフはCFにくさびのパスを出すものの、そこへのサポートが薄い。
また、中盤に落としたとしても、3人目、4人目が飛び出すような形はほとんど見られなったと思います。
そのため、縦パスが増えたこの試合ですが、相手としては怖さの無い状況だったのではないでしょうか。
単純に中央に重量感が出た分、スピード面では物足りなさも残った。
プレスに関してもやはり船山や清武などを起用したときに比べると、もう1つだったように思います。
その分、前半から相手に攻撃機会を作られていたのではないでしょうか。
馬力のある指宿の縦への打開力は魅力がありますが、ラリベイほどポストプレーなどが正確なわけではない。
そのため1トップは厳しいから2トップとし、3-1-4-2になったのかなとも思います。
パートナーに関しては、船山とラリベイならうまくオトリになって指宿の強さを生かせるのは、ラリベイの方という判断でしょうか。
確かに立ち上がりのシュートまで持ち込むプレーなどは可能性も感じました。
ただ、その分、失うものもあるわけで、それをどう補うのか。
あるいは上回るだけのメリットを出せるのか。
特にツインタワーでポストプレーから形を作るというのであれば、もっと中央からの連携をこだわらなければいけないでしょう。
あるいはサイドの奥から、もっとクロスを出せればよかったのかもしれません。
しかし、4バックの方がサイド攻撃はできていたところがあるわけで、前線に人数を増やした分外が薄くなったとも言えるのでしょう。
最終的には、チームとしてどういった攻撃の形を作り、どういったサッカーをしたいのか。
そこを明確にしていかないと、チーム作りもふらふらしがちだと思います。
これからツインタワーを追及していくのか、それとも元の形に戻すのか。
どちらもメリット、デメリットはあるはずで、最終的に求められるのはチームとしてのぶれない信念となるのではないでしょうか。