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矢田「退場が出てからのほうがうまくかみ合っていた」

 今年はちばぎんカップでも無理にハイプレスにはいかなかったと町田が話しており、立ち上がりは同じような状況だったのであえて様子を見ていたのかと思ったのですが、監督や選手は立ち上りが悪かったと話していますし、単純にうまくいっていなかったようですね。
 ただ、開幕戦だったためか東京Vも動き出しは重かったように思いますし、「立ち上がりが悪かった」というよりはそこから流れを掴めたかどうかの違いだったのかもしれません。

矢田旭「むしろ退場が出てからのほうがうまくかみ合っていたとも感じている。10人になったが、監督も前からプレスに行けということだったし、みんな開き直ってやり方も明確になり、人一倍走らないといけないと理解した。」(Jリーグ公式サイト

 矢田も話しているようにそこから1人少ない状況になって、開き直って走り回りプレスに行くようになって改善できたということですね。
 これが20分過ぎからのことではないかと思います。


 11人の時のジェフはウイングが高めに張る、4-2-1-3で守る形になっていたと思います。
 プレスには行ききれないけれど、ボックスも作りきれてない中途半端な状況だったと思います。
 しかし、1人少なくなってからは4-4-1で守り、少し低い位置から前へプレスに行くようになってバランスが改善された印象です。

 両SHが中盤からプレスに出て行くようになり、ラリベイはアンカーの位置からCBを追いかけていく。
 そして、ダブルボランチが相手のインサイド2人を見る。
 これによって相手中盤3人へのパスを消しながら、DFへプレスに行ける形が作れていました。



 前半の東京Vは左サイド後方で、あえて町田と茶島を引き付けて縦にパスを出し、町田と真希の間のスペースを狙っていた印象です。
 それでやられたのが6分の裏を取られた展開で、梶川が真希の前でパスを受けドウグラスへラストパスを出しています。
 この時、町田と茶島のプレスをかわされて、サイドへ守備に行ったのが熊谷でしたが、熊谷の梶川への寄せが甘かった。


 しかし、熊谷としては中央も含めて守らなければならず負担が大きかったのかもしれませんし、4-4-1になってからはSHが上下することによって、サイドの守備も改善できたように思います。
 さらに増嶋が退場した8分の場面でも、CB前でボランチがパスコースを消してほしかったと思うのですが、熊谷のポジショニングが悪かった印象です。
 ただ、このシーンを見返すとDFラインがハーフウェイラインより前に出ている状況ですので、これではオフサイドも取れません。


 さすがにラインが高すぎたように思いますし、ラインコントロールのミスでもあったと思います。
 とはいえ、ダブルボランチならCB前で壁が作れたかもしれませんし、前掛かりになりすぎていた問題もあった。
 中盤の守り方にも課題を感じたシーンだったと思います。



 それでも前半途中からはジェフの時間帯となり、攻撃面でも改善できていたと思います。
 ちばぎんカップと同様に、熊谷が後方まで引いて3バックのような形になる。
 そして、そこから大きくサイドへ展開する。

 これに対して東京Vは同サイドのインサイドが前に出て行き、4-4-2に近い形で守ろうとしていたのではないかと思います。
 ただ、1トップのドウグラスはまだ体が重かったのかプレスに行ききれず、ジェフはそこからパスを展開できていました。


 また、東京Vの高卒ルーキー藤本は身体がまだ出来ていな印象で、スピードやフィジカルなどで不安があり、対面の高木が楽に前を取れる状況でした。
 そのため、高木を狙ったロングボールで良い形を作れていましたね。
 これが20分過ぎからジェフが攻守に流れを掴めていた要因だと思います。



 しかし、サイドを取っても中央での高さには物足りなさがあり、チャンスはあまり作れていなかった印象もあります。
 後半からは東京Vが運動量を増して先制ゴールをあげ、それ以降も幾度となくチャンスを作っていきました。
 攻撃の形も変化を加えてきた印象です。

 東京Vは前半からジェフのプレスをショートパスで掻い潜る展開だけでなく、大きな展開で逆サイドの奥を狙ってきました。
 この展開は昨年序盤にもハイライン対策として、松本などに狙われたことがあります。
 ハイラインを敷いているだけに、逆サイド奥へのパスで一気に裏を取られる可能性があるということになります。


 ただ、ジェフも前半途中から慣れていき、特に右サイドで張る藤本に前を向かせる前に高木が潰しに行くことで、対応していった印象です。
 そこで東京Vは藤本が引き気味に受けるようになり、高木を食いつかせておいて、その裏に右インサイドの渡辺が斜めに走る展開を作ってきました。
 さらに左サイドでは真希や鳥海のフィジカルが弱いと見たのか、アランが中央寄りになって競り合い、その外のスペースを奈良輪が走る動きを見せてきています。



 実際にその形で53分には渡辺が完全に右サイド裏を取り、ゴール前に侵入したアランに釣られて逆サイドがポッカリと空き、奈良輪がシュートまで持ち込む展開がありました。
 このあたりを見ても、東京Vは細かな攻撃の意図が明確に作れていたと思います。
 結局、得点シーンはドウグラスの一発とCKからではありましたが、流れの中からも決定機を何度も作っていたいた印象です。


 ジェフとしては決定機の数や試合内容などを考えれば、1点差で良く凌げたとも言えるのかもしれません。
 ただ、それよりも気になるのは、1人少ない状況の方がバランスよく戦えたことなのではないかと思います。
 立ち上がりは単純に動きが悪かったというだけでなく、システムや守り方も含めて中途半端だったと思いますし、1人少なくなってバランスが良くなったことをどう捉えていくのか気になるところですね。