ようやく勝利をあげられて、一安心ですね。
昨シーズン途中までのハイプレス・ハイラインの勝ちパターンと言えるのではないでしょうか。
この日はシステムを変更してきましたが、そこはそこまで大きく関係ないのかなとも思います。
それよりも走力で相手を圧倒的に上回り、相手より一歩早くボールに反応し、相手のミスを誘発する。
そこからゴールを決めて、追加点も挙げて、相手の戦意を失わせる。
それでもさらに前への姿勢を止めないことで、大量得点を挙げる。
開幕からここまでの数試合は、ハイプレス・ハイラインの裏を突かれる形が多く、「ハイプレスがハマらない時にどう戦うのか」が課題として浮き彫りになった印象でした。
それならば「ハイプレスをハメ続けて勝つ」というのが今回の試合で、讃岐の動きの悪さもあって、それが成立した試合だったと思います。
それだけに「ハイプレスがハマらない時にどう戦うのか」の課題が解決したわけではないですが、ともかく欲しかった1勝をあげたことになります。
■立ち上りからジェフが優勢に
開幕から勝利のないジェフは、大幅にメンバー変更し3-4-3に。
ロドリゲスは変わらず、3バックに鳥海、近藤、エベルト、左WBに真希、右WBに高木、ボランチに熊谷と勇人、2シャドーに清武と船山で1トップにラリベイ。
前節のスタメンは4人しか残っておらず、増嶋、小島はメンバー外となり、岡野がベンチに入りました。
讃岐は木島徹也に代わって、高木和正がスタメン。
武田にかわって佐々木渉が入り、そのまま右SBに。
高木が右SH、佐々木巧がトップ下気味に入る4-5-1となりました。
立ち上がりから、ジェフが攻め込む展開。
6分にはジェフの高木が中盤左寄りの位置から、思い切ってミドルシュート。
これが決まってゴールかと思いきや、ラリベイがGKのシュートコースを遮ったという判定でオフサイド。
13分、ジェフの攻撃。
相手のクリアミスを高い位置で高木が拾って、そのままセンタリング。
船山が頭で合わせますが、枠の外。
そして、19分にジェフが先制。
左サイドからCKでショートコーナーを使って、清武が中央へ供給。
フリーになった高木が合わせて1-0に。
讃岐は立ち上がりから明らかに動きが重く、反応が一歩ずつ遅れていました。
ジェフの先制点の場面もショートコーナーへの反応が遅れた結果、清武がフリーになりました。
その清武に釣られてアレックスが少し前に出たところ、高木がゴール正面でフリーになってゴールが生まれたことになります。
ただ、讃岐もスコアが動いてからは、少しずつ前へプレスに行けるようになっていきました。
ジェフも1点取ってからは落ち着いてしまい、シュートまで行けない展開に。
しかし、讃岐はイージーなパスミスが目立ち、なかなか良い流れが作れていませんでした。
それでも38分には讃岐の攻撃。
左サイドのアレックスからスローインを出し、重松が鋭いクロスを中央へ供給。
しかし、高木の足元には合わず。
前半ATには、真希からの斜めのパスをラリベイがポストプレー。
勇人がミドルシュートを放ちますが、バーの上。
前半途中からは讃岐も盛り返しましたが、1-0で折り返します。
■得点を量産し6-1の大勝
後半開始と同時に、再び勢いを増していったジェフ。
49分にはジェフの決定機。
左サイド奥でラリベイがボールを拾ったところから、パスを繋いで、最後は清武が巻いたシュートを放ちますが、ポストの右を逸れます。
51分には讃岐のチャンス。
麻田から裏への縦パスに反応した佐々木匠が縦に抜け出して、センタリング。
原が頭で合わせますが、GKロドリゲスの正面。
讃岐は55分、高木に代えて荒堀を投入し、そのまま右SHに入りました。
61分にも讃岐の決定機。
左サイドで讃岐がボールを奪ったところ中央の永田がフリーになって、右サイド裏の荒堀へスルーパス。
荒堀が抜け出してシュートまで持ち込みますが、GKロドリゲスがセーブ。
讃岐の決定機が続いていましたが63分。
ジェフ右サイドからのスローインを受けた船山が、ドリブルで仕掛けて相手をかわし中央へパス。
これをCBパクが受けたもののクリアが遅れて、勇人がチェックに行き、最後は清武がゴール。
その直後、ジェフは勇人に代えて茶島を投入。
67分、ジェフが追加点。
右サイドで得たCKを清武が蹴ると、近藤のシュートは相手DFに当たりましたが、船山がシュートを放ち3-0に。
68分、ジェフは清武に代えて為田を投入、71分には讃岐が原に代えて木島を投入。
74分には讃岐のチャンス。
讃岐が中盤でボールを奪ったところから重松が素早くスルーパスを出し、木島がシュートまで持ち込みますが、ポストの右。
76分、ジェフは熊谷を下げて矢田を投入。
81分、ジェフがカウンターから追加点。
茶島が中央で持ち上がり、右サイドの真希に繋いで再び受けると、1人いなしてシュートを放ち4-0に。
この直後にも、ラリベイが船山と1-2の形でシュートまで持ち込みます。
しかし、ここは相手GKがファインセーブ。
一度は盛り返していた印象の讃岐ですが、この時間は集中力を欠き寄せが甘くなっていました。
83分、讃岐は岡村に代えて我那覇を投入。
その直後、左サイドから中央に仕掛けていった高木が倒されてPK。
これをラリベイが決めて5-0に。
87分にもジェフの追加点。
矢田が完全にフリーな状態で中央を持ち上がり、高木が裏を取ってセンタリング。
真希があわせて6-0に。
後半AT、高木が負傷して退場し、1人少ない状況に。
すると92分、近藤が佐々木匠にボールを奪われて中央へ。
我那覇がシュートを決めて6-1に。
最後はもったいない失点をしてしまいましたが、ジェフの大勝となりました。
■ハイプレスをハメての大勝
ハイプレスがハマる条件というのは、当然ジェフ側がしっかりと動けることが大事だと思います。
運動量豊富に走って素早くボールに反応して、アプローチを仕掛けていく。
しかし、もう1つの要素として、相手が走れるかどうかも非常に重要となってくるはずです。
こちらが走れても、相手が同じだけ走れては優位にはなれず、プレスをハメて押し込む展開はできないはずです。
讃岐戦では運動量と反応スピードで相手を上回ったことが、勝利の主因でしょう。
この日の讃岐は気温が低すぎて動けなかったのか、連戦でほぼ同じメンバーだったからか、立ち上がりから動きが重かった印象です。
対するジェフはホームだったこともあったのか、メンバーを大幅に変えたためか、選手たちの動きが良かったですね。
また勝星から離れていたということもあって、立ち上がりから飛ばしていこうという思いがあったのではないでしょうか。
今年は立ち上りから飛ばしてもゴールが奪えず、前半途中から失速して苦戦する展開が目立っています。
この日も20分頃からはジェフの勢いが若干止まっていましたから、その前に先制したというのは大きかったのではないでしょうか。
一方の讃岐は試合の入り大きく失敗していた印象で、ジェフは相手が落ち着く前に得点を奪えたと言えると思います。
さらに後半に入ってから讃岐がいくつかチャンスを作っていただけに、64分に上げた2点目もタイミングがすごくよかったと思います。
ここまで後半に失速する試合が多かったですから、2点目をあげた時間帯も重要だったと思います。
逆に後半序盤にゴールが決まっていれば、まだわからなかったかもしれません。
さらに80分以降は3点ビハインドだったこともあり、相手が戦意を失って相手の集中力も切れていったように思います。
ジェフはリードしていても基本的には手を緩めないことが多いので、それが大量得点に繋がったと言えるのではないでしょうか。
昨年にもよく見たパターンだったと思います。
3-4-3の新システムに関しては、システムを変更したことによって、相手が立ち上りに戸惑っていた印象がありましたので、その効果が一番大きかったのかもしれません。
またスタートのポジションとして3バックとダブルボランチが後方に構えるというのも、守備時にはプラスに働いたように思います。
特に今年は中盤が守備に戻らずにやられてしまうことが多いですから、後方に人数が増えた分スペースは埋めやすくなったのかもしれません。
ただ、その分、前からのプレスはハメにくくなる可能性もあります。
讃岐戦でも何度か相手の中盤後方から左右に振られていたように、今後そういったパターンが増える恐れはあるのでしょう。
相手にボールを持たれた時にどう守るのかに対する課題を、克服できたわけではないと思います。
また、攻撃においてもシャドーが中に入ったり、WBが前後したりと流動的に動けていたと思います。
ただ、このあたりも良い時には4バックでも似た動きは見られたでしょうから、新システムによる効果かどうかはまだわからないのではないかと思います。
ダブルボランチになって熊谷や勇人が後方から前に出ていく動きも効果的だとは思いますが、それも武器になるかどうか今後見ていきたいところですね。
この試合は大勝しましたが、冒頭でも話したようにハイプレスがハマって試合を先行できれば強いことは昨年からわかっていたこと。
問題はハイプレスをハメることができる展開を毎試合は作れず、ハマらないと一気に脆さが出てしまうことでしょう。
今日は讃岐の出来も悪かったと思いますし、そこを付けたことは良かったですが、毎回こうなるとは期待しづらい。
大事なのはこの大きな波を落ち着かせて、安定して勝てることになることだと思います。
こういった大勝をあげるためにリスクを冒して、その分不安定なチームになってしまうのではいけないはずです。
昨年も言ったように、いかに勝っているうちに、課題を克服する方法を考えられるかではないでしょうか。
新システムもまだ実施して1試合ですし、昨年終盤のように引いて守ったわけでもないですから、やっているサッカーは大きく変わっていないと思います。
良くも悪くも冷静に見ていくことが大事だというのは、昨年からの経緯でも感じるところではないでしょうか。
しかし、とりあえずは1勝できて良かったですね。