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佐藤寿人のジェフ復帰が決定的との報道

 先日、報知が名古屋FW佐藤寿人のジェフ復帰が決定的と、報じています
 驚きよりも、やっぱりなという印象です。


 今オフに入ってから、寿人が名古屋を退団する報道は複数出ており、その可能性が高いと思われていました。
 それに加えて、日刊にはこのようなコメントも出ています。

名古屋グランパスの主将FW佐藤寿人(36)が今季限りで退団する可能性が1日、出てきた。
(中略)
この日もベンチ外で「来季についてはいろんな選択肢を持ってゆっくり考えたい」

 「いろんな選択肢」というニュアンスから、古巣のジェフに帰ってプレーしたいという思いもあるのかなと感じる部分がありました。



 さらに以前から寿人は、いつか双子の兄である勇人と一緒にプレーしたいということをお互いに語っています。
 加えて、一緒にプレーするならジェフという発言も、これまでに出ていました。
 それだけに、いつかはジェフに復帰したいという気持ちがあるのだろうと思っていました。


 また、勇人はカンテーラという事務所に所属していたのですが、ここは茶野、村井、林、山岸、水本などジェフから移籍した選手の御用達で、ジェフに復帰した選手も多いことになります。
 現在カンテーラがどうなっているのかは不明ですが、少なくとも以前は寿人もこの事務所に所属していました。
 そして、寿人のHPは昔から変わっておらず、HPはカンテーラが担当していたはずですので、そのルートでの復帰という可能性もあるのかもしれません。



 ただ、寿人は来年3月には37歳になる大ベテランでもありますし、ジェフとしてはベテランのOBが復帰したいと言えば「いつでもOK」と応えていてはまずいはずです。
 ジェフにはジェフのチーム事情があるわけで、実績があれば誰でも戻れるとなると"年金クラブ"のようになってしまいます。
 いくらお金があるクラブと言っても無限にあるわけではない上、契約枠や交渉への労力、若手出場機会などが失われる可能性があるわけで、補強によるマイナス面もあるはずです。


 実際、J2に降格してからのジェフは多くのベテラン選手を補強していますが、藤田俊哉鈴木隆行は戦力にならず、村井や林、羽生や工藤、水野なども確固たる主力とはなりませんでした。
 また、先日も話した通り、ベテラン選手は例え主力になったとしても2,3年目に衰えがきてしまうことが多い状況です。
 しかし、影響力は大きい場合が多いため、一度主軸になるとスタメンからは外しにくく、逆に扱いに悩んでしまうケースもあります。



 例えば2年前に広島から寿人を獲得した名古屋のような状況なら、寿人のようなベテランを獲得した意図もわかります。
 あの時の名古屋はJ2降格初年度で1年目の昇格にかけていたのでしょうし、短期間で結果を出すことにすべてを集中するのであれば、ベテラン補強も分からなくありません。
 それに加えて当時の名古屋は降格によって主力選手の流出が目立っていましたから、確実に計算できるベテラン選手の補強がどうしても必要だったのではないでしょうか。


 FC東京がJ2に降格した際に「これでもか」と補強して、圧倒的な戦力で昇格した年にも似ていたように思います。
 しかし、現在のジェフにはそこまでの極端な補強は出来ないでしょうし、実際問題として短期間で結果を出すのも難しいと思います。
 そう考えればベテランに頼るばかりではなく、将来性もしっかりと考えた選手構成にしていかなければいけないのではないでしょうか。



 高橋GMは「チームの引き締め役」が必要と考えているようで、その候補ということになるのかもしれません。
 しかし、ベテランが少ないチームならばそういった補強も必要かとは思いますが、勇人や増嶋などを残して寿人も取るとなれば、どうしてもバランスは悪くなります。
 何よりも今までも同じようにベテラン選手を補強してうまく行っていなかったわけですから、その考え自体を変えていかなければいけないのではないでしょうか。


 もちろんベテラン選手でも選手層が薄いポジションなどであれば欲しい戦力となるかもしれませんが、ジェフはアタッカー陣が豊富な状況。
 確かに前線のセカンドトップと言えば、船山や清武、古川などしかいないとも言えるかもしれませんが、そもそもエスナイデル監督は4-1-2-3が好みで1トップが基本となるのではないかと思います。
 CFにはラリベイに代わる外国人選手を補強するのではないかと思いますし、他の退団者も出てくるかもしれませんが、今のところそこまで補強の必要性を感じるポジションではないと思います。



 あるいは水本や阿部勇樹などJ1でも十分に戦えるレベルの選手であれば、選手層の薄さなど関係なく大きなプラスになるかもしれません。
 ただ、寿人は今年9試合出場、スタメン出場は1試合のみでノーゴール。
 昨年も28試合に出場したとはいえ、フル出場出来たのは1試合のみ。


 昨年のプレーオフのジェフ戦でも前半でスタミナ切れを起こし、54分と早い段階で交代となっています。
 もちろん裏抜けのセンスなどは今でも期待できるでしょうが、今のジェフに裏へのスルーパスを出す攻撃を作れるサッカーが出来るのかというと大きな疑問が残ります。
 基本的にはサイドを仕掛けてクロスといった攻撃なだけに、寿人にそのサッカーに合うのかどうか。



 寿人に限らず元ジェフの選手の多くが、「いつかジェフに戻りたい」と言ってくれているのは嬉しい話でもあります。
 しかし、あくまでも「いつか戻りたい」のであって「今すぐ戻りたい」ではないわけで、優先順位としては2番目、3番目であることを忘れてはいけないと思います。
 全盛期に戻ってきてくれるのであれば嬉しい話ですが、選手人生の最後が近づいたころに復帰するという選手が増えてしまっては、当然ジェフとしては弊害が増えてしまいます。


 報道を信じると、今回はジェフからのオファーがあったようです。
 しかし、寿人に限らずですが、監督も変えず選手も大きな変化がなくベテラン補強に頼る…という方向になるのであれば、非常にコンサバティブな印象を受けます。
 現状のままではまずいチームなわけで、果たしてどこで大きくチームを変えるのか、どうやって強くしていくつもりなのかが、なかなか見えにくいオフとなっている印象です。



 もちろんこれから動きが増える可能性は十分にあるでしょうが、すでに主力の多くは契約更新が決まっています。
 外国人選手でプラス面を見出せればいいのでしょうが、2018年も主軸になれた外国人選手はほとんどいなかっただけに、どこまで期待していいのか。
 当然、外国人選手だけを当てにするのも、厳しいものがあると思います。


 今年の成績を考えても、基本的にはまずJ2残留が目標となっていくのでしょうか。
 そのために、計算しやすいベテラン選手を集めるということなのか。
 しかし、残留という目標を掲げたとして、その先に何があるのかが大事だと思います。


 ただ残留をするという目標だけではクラブとしても夢を感じられないし、年々目標が下がっていっては最終的にクラブの規模が縮小されてしまう懸念もあるでしょう。
 たとえ来年は我慢の年だとしてもその後のビジョンが明確でなければ、クラブとしての存在意義すらも薄まってしまうように思います。
 寿人を獲得するにしても、それがクラブの将来にどういった意味をもたらすのか。
 毎年のように有名なベテラン選手を獲得しては失敗しているだけに、話題性確保のためではないかとすら思ってしまいますが、それ以外の明確な意図が見えてくるのかが気になるところです。