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棒日記VII -Life without art is stupid- このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-08-01 必死でなく、決死だったのだ。止められるはずもない。

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 西尾維新 B+ 

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

皆様ご存知「DEATH NOTE」の西尾維新によるノベライズ。死のノートも死神キラも出てこないが(そもそも月が新世界の創造を開始する前の話)、世界観を借りた話として見事な仕上がり。キャラクターの小説での活躍を見守るという意味での楽しさは少なめだが、「DEATH NOTE」のファンならば必ず楽しめる仕掛けが施されている。ミステリとして見ても上々。

やはり「DEATH NOTE」が一番面白かったのは夜神月とLが真っ向から戦っていた時期だろうと思う。メロ・ニア登場後も面白くないとは言わないが、二人の勝負には劣っているのは仕方が無い。だから「DEATH NOTE」好きだったら、自分が「月派」であるか、「L派」であるか、という問題は自覚的に持っているのではないだろうか。二人のどちらかに肩入れして、毎週楽しみに漫画を読んでいた人が多いだろうと思う。

西尾維新はL派だそうだ(ジャンプのインタビューによる)。だから本書はLの扱った事件を描いたものになっている。そして自分は月派であった。であったのだが、本書を読み終わった今は、むしろL派と名乗りたいぐらいに彼の魅力を味わわされた。さすが西尾維新はL派なだけはあり、Lというキャラクターを十二分に掴んでいるのだ。ただLを描くことでLの魅力を見せるだけではなく、稀代の名探偵であるLという存在をも事件を通して描くことに成功している。

自分も小さい頃、いくつか漫画やアニメのノベライズというものを読んだが、基本的にノベライズはキャラクターが全面に押し出されるものであった。しかし本書はあくまで連続殺人事件の捜査がメインとなっており、「DEATH NOTE」のキャラクターが小説内で動くさまを楽しむ事だけに主眼が置かれていない。Lの魅力を味わえる、と上述したがそれは探偵小説として名探偵Lを描いているからなのだ。人によっては物足りないとする向きもあるかもしれないが、名探偵=Lである以上は最もLの魅力を伝えることができるのは、このアプローチだと自分は思う。

さて、ミステリーとして見ても本書はなかなかのものだ。本書は登場人物紹介でいきなり犯人被害者の名前が分かってしまう。つまり事件がいつ起きるか、とか、犯人が誰なのか、という楽しみはない。予め月とLという二人が全面対決する「DEATH NOTE」と同じように、純粋な知恵比べの楽しみが本書の中核である。パズルを解くような展開が連続するのは若干単調であるとはいえ、クライマックスどんでん返しは掛け値なしのミステリーとしての面白さ。ありとあらゆるものをミスディレクションとして利用する騙しのテクニックは西尾維新が得意とすることろであるのだが、本書ではそれが純粋に研ぎ澄まされメタレベルな所まで利用されている。

特徴的な西尾維新の文章は、ノベライズということもあってか、若干マイルドに調整されている。とはいえ、根はそのままなので好きな人には堪らなく(自分のことですが)、苦手な人には受け付けないものであることは変わらない。「DEATH NOTE」のファンで、西尾維新の文章が苦手でなければ読んで損はしない作品と言えるだろう。

(以下の一文はネタバレを示唆し得るので注意)




ノベライズだからこその騙し、そしてその騙しがノベライズの使命としてのキャラクターの補強になっていること、この相互関係が本書の真骨頂ではないだろうか。


久々の西尾維新の新刊だったので評価が甘めだったのを修正。

kindaiti343kindaiti343 2006/08/02 23:00 デスノート読んでなくても西尾維新とこちらでミステリとしての面白さという文につられて買いました。
原作読んでないと厳しいのかなあ??というほかの人の感想見て少しどきどき・・・。さきに原作なんでしょうか?

architectarchitect 2006/08/03 00:00 やっぱり先に原作ですね。原作読めば楽しめる仕掛けが多いので。
ミステリだけとしてみればちょっと弱いです。ミステリの根幹部分にもノベライズならではのトリックありますし。

kindaiti343kindaiti343 2006/08/03 10:56 さきに原作読んでみます。

kindaiti343kindaiti343 2007/03/05 14:06 といっていましたが結局原作読まずに読んでしまいました。ただ、それでも楽しめました。
ただ、原作は読んでみようかと思っています。あと、西尾維新には本格ミステリも書いてほしいですね。
バトルものもいいですが、キャラ萌え本格とかもたまに書いてほしい気がします。

architectarchitect 2007/03/06 00:30 「きみとぼくの壊れた世界」は軽くキャラ萌え本格でしたね。ただあれは西尾流アンチ本格という印象もあるので、
もっと真っ当(?)なキャラ萌え本格は確かに読んでみたいかもしれません。

kindaiti343kindaiti343 2007/03/06 14:53 そうですね。もっとそういうロジカルでキャラ萌えでトリックどかーんというのを読んでみたいですね。というか戯言初期はそんな感じでしたが・・・。もっと萌え本格何作でちゃんと伏線張ってシリーズに何か仕込んだ作品読みたいなあとおもいますね。