酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

ダメな議論

沢山の情報と意見が飛び交う現代では、一つ一つの議論を詳細に検討してその内容を個々人が判断して行くことは難しくなっています。限られた時間を有効に使って、怪しげな議論を素早く見抜くにはどうしたらよいでしょうか。
本書は簡単なチェックリストを使う事によって、「怪しい議論」度を素早く判断するための方法を示したきわめて「実用的」な本です。
示されるチェックリストは5つの項目で構成されています。

  1. 定義の誤解・失敗はないか
  2. 無内容または反証不可能な言説
  3. 難解な理論の不安定な結論
  4. 単純なデータ観察で否定されないか
  5. 比喩と例話に支えられた主張

特に「単純なデータ観察」「比喩と例話」「定義の誤解・失敗」は比較的すぐに検証しやすく、大幅な時間短縮をはかることが可能になりますね。
まあ本書の面白さは、このようなチェックリストを示しただけではなく、それを使って実際に現代日本で大手をふるって主張されている様々な議論の怪しさを実際にチェックして、チュートリアル的に使えるようにしているというところです。

日々の仕事上の議論が混迷に陥ったときにも、本書のチェックリストを簡単に適用するだけでも随分軌道修正の役に立つ事でしょう。
情緒に流されす事実(データ)を押さえて議論しようというのは「ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する」でも示されていた態度ですね。