農林水産研究情報センター、検索システム農林一号を閉鎖

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農林水産研究情報センターが検索システム農林一号を閉鎖した(2007-11-30)。先駆的な取り組みを多数打ち出している農林水産研究情報センターの決断だけに、閉鎖には諸般の事情があったのだろう。まずは関係者の方々のこれまでの取り組みに感謝したい。

なお、閉鎖にあたってはサイト自体を完全に削除してしまうのではなく、トップページを残し、検索システム農林一号に関する発表文献を記していることに感心する。システム自体はなくなっても、そこで培われた知識と経験を幅広く共有しようという意識が感じられる。この姿勢こそが数々の先駆的なアイデアを生み出す源泉の一つなのだろう。

なお、トップページに挙げられた文献は以下の通りだが、

  1. 佐藤勉、林賢紀「農林水産研究情報サービスへの取り組み−検索システムの開発とWebアーカイブ構築」(「情報管理」47-5、2004)
  2. 佐藤勉「農林水産関係Webページ検索サービス(検索システム農林第一号)について」(「農林水産研究情報センターニュース」62、2002年)
  3. 林賢紀「図書館におけるサーチエンジンの構築と提供、そしてアーカイブへ」(「情報の科学と技術」49-10、1999年)
  4. 林賢紀「ユーザの利用にあわせて成長するサーチエンジンの構築」(「ディジタル図書館」13、1998)

本誌に掲載した

・林賢紀「図書館におけるインターネットアーカイブの構築」(本誌第068号、2000-06-25)
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/068.html

でもごく短くではあるが、検索システム農林一号にふれられている。いまあらためてこれらの文献を読むと、いまのような検索エンジン全盛の時代の前に

という概念を提示していた林賢紀さんの先見性に驚かされる。また、検索エンジンの構築とWebアーカイブ構築が一体的に語られていることも特筆に価するだろう。農林水産研究情報センターが10年前にこれらの考え方を実際のサービスとセットで打ち出した際に、その意義を熟慮する個人や組織がもっとあれば、日本の検索エンジン開発史もいまとは違ったものになっていたかもしれない。この点では私自身、自分の不明を恥じるほかない。

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なお、同時に農林水産関係の対象を絞ったリソース集である農林水産研究関係インターネット資源への道も閉鎖されている。

・検索システム農林一号
http://seeker.affrc.go.jp/seek.html
・検索システム農林一号の過去のサイト
http://web.archive.org/web/*/http://seeker.affrc.go.jp/seek.html
・農林水産研究関係インターネット資源への道
http://www2.affrc.go.jp/miti/
・農林水産研究関係インターネット資源への道の過去のサイト
http://web.archive.org/web/*/http://www2.affrc.go.jp/miti/
・農林水産研究情報センター
http://ss.cc.affrc.go.jp/ric/home.html
・「サービスを終了させる、ということ。」(図書館退屈男、2007-12-05)
http://toshokan.weblogs.jp/blog/2007/12/post_170b.html