340号(2008-09-15、4723部)
羅針盤「図書館から公開された「キク科の染色体数データベース」−その意義と大学研究成果の継承をめぐって」(中山貴弘)
http://archive.mag2.com/0000005669/20080915002755000.html
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2008-09-15(Mon): 昨日の「全国図書館大会に向けて−参加者の方々に望むこと」への補遺
昨日の日誌で、
一つ参考になる事例がある。反面教師としてだが……。
・「津田さんが絶望した文化審議会での里中委員・三田委員らの発言」(Copy & Copyright Diary、2008-09-11)
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20080911/p1・「全国図書館大会に向けて−参加者の方々に望むこと」(編集日誌、2008-09-14)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080914/1221397659
と書いたが、読み返してみると我ながら文意が通らないと思う。このままではリンク先の末廣恒夫さんの記事が「反面教師」のように読めるし、そもそも文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の話題がここに出てくる理由もよくわからない。また、一部、当日の参加者に失礼だったと思うところもある。
あらためて補足しておきたい。
末廣さんが、
・「津田さんが絶望した文化審議会での里中委員・三田委員らの発言」(Copy & Copyright Diary、2008-09-11)
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20080911/p1
で、まとめているように、
・文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会第4回
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/04/
での議論は「経済学者の立場から著作権保護期間の延長が社会全体にとってプラスかマイナスかについての発表」に対して、「権利者側の委員からなされた質疑は、その発表の内容踏まえた上での建設的なものはほとんどなく、これまでの自身の主張を繰り返すだけ」というものだった。私自身も
・文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会の第4回議事録
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/hogo/04/gijiroku.html
を読んだが、発表を受けての委員である里中満智子さん(漫画家)、瀬尾太一さん(日本写真著作権協会常務理事)、三田誠広さん(作家・日本文藝家協会副理事長)の発言は目まいがするような内容だ。その箇所は末廣さんが的確に引いているが、わざわざ招いた経済学者の発表の趣旨をまったく無視し、個人的な感情に基づく自説の披露に終始している。
この3人の委員の姿勢は、議論によって物事を決めていく上で最も避けるべきものであって、まさに反面教師と思う。これまで何度か図書館関係の方々に、特にいわゆる図書館系のブログで交わされている議論を踏まえないまま、あるいは利用情報の活用方法について正確に理解しないまま、強い反対論を示されたことがある。私はそれは反対ではなく、感情的な固執だと思う。そう思うと、上記の文化審議会小委員会での3委員のふるまいは、他山の石としてほしいと思った次第。
しかし、他方でこの書き方は当日の参加者の方々への配慮に欠くものであったとも思う。参加する方々を一律に里中さん、瀬尾さん、三田さんと同一視しているつもりはないが、あらためて読み返してみるとそう受け取れるところがあるだろう。ここは慎んでお詫びしたい。
ところで、上記のような反論は、たいがい私的なメールでいただくか、講演後の雑談の場で言われるので公の討論にならないことを常々残念に思っていた。今回は図書館業界にとってもかなり公の場であるので、当日参加できない方々にとっても役立つ記録が残せればと思う。
なお、明日以降、今回の準備にあたって、あらためて読み返したウェブ上の記事や書籍、論文を紹介していくつもりだ。参加する方々の参考になれば幸い。
国立情報学研究所(NII)、CiNiiから機関リポジトリ収録論文へのリンクを開始(2008-09-03)
国立情報学研究所(NII)が、CiNiiから機関リポジトリ収録論文へのリンクを試験導入し(2008-08-07)、1ヶ月の試験運用後、正式に開始した(2008-09-03)。
・CiNii(NII論文情報ナビゲータ)
http://ci.nii.ac.jp/
・「CiNiiから機関リポジトリの論文にリンクする実験を行っています」(学術機関リポジトリ構築連携支援事業、2008-08-07)
http://www.nii.ac.jp/irp/2008/08/cinii.html
・「CiNiiと機関リポジトリの連携について」(学術機関リポジトリ構築連携支援事業、2008-09-03)
http://www.nii.ac.jp/irp/2008/09/cinii_1.html
・「CiNiiから機関リポジトリの論文にリンクする実験を行っています」(国立情報学研究所(NII)、2008-08-07)
http://ci.nii.ac.jp/cinii/pages/index.html#20080807
・国立情報学研究所(NII)
http://www.nii.ac.jp/
検索結果や書誌の詳細情報のページに[機関リポジトリ]というアイコンがあれば、CiNiiと連携している機関リポジトリの当該文献にリンクしている。
国立国会図書館、近代デジタルライブラリーのRSSを公開(2008-08-29)
国立国会図書館が近代デジタルライブラリーのRSSを公開した(2008-08-29)。
・近代デジタルライブラリー
http://kindai.ndl.go.jp/
・国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/
近代デジタルライブラリーのように更新頻度が高くないサイトのRSSは役立つのか、という声もあるかもしれない。しかし、こういった普段日常的にアクセスするわけではないサイトのRSSは意外に重宝するものだ。多くの方々に活用してほしい。
国立科学博物館、サイトをリニューアル(2008-08-27)
国立科学博物館がサイトをリニューアルした(2008-08-27)。
・国立科学博物館
http://www.kahaku.go.jp/
・国立科学博物館の過去のサイト
http://web.archive.org/web/*/http://www.kahaku.go.jp/
改悪と言っていいだろう。これまでのトップページの上部に各コンテンツ間を行き来するグローバルナビゲーションがあったが、それがなくなっている。代わりに登場したのは、館内の風景を写したかなり大きな画像とJavaScriptを多用し、大きな画像の下に移動したグローバルナビゲーションである。非常に使いにくい。このデザインは、初めて訪れた利用者に与えるインパクトは大きいだろうが、繰り返し訪れる利用者にとっては不便極まりない。また、トップページ以外のページでは、グローバルナビゲーションが引き続きページ上部に置かれる等、統一性もとれていない。
もちろん、館内の風景を積極的に紹介することは悪くない。確かにこの印象的な画像に引き寄せられて、初めて国立科学博物館に足を運ぶ利用者も出てくるだろう。だが、なにもここまで大きくなくてもよいはずだ。
ぜひ、トップページの構成を見直してほしい。
国立国会図書館、近代デジタルライブラリーに明治・大正期の図書約4600タイトルを追加(2008-08-26)
国立国会図書館が近代デジタルライブラリーに明治・大正期の図書約4600タイトル(約5700冊)を追加した(2008-08-26)。
・近代デジタルライブラリー
http://kindai.ndl.go.jp/
・「平成20年8月22日 近代デジタルライブラリーに画像を追加します。」
http://www.ndl.go.jp/jp/information/news.html#080822_01
・国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/
追加されたデータの内訳は、
- 大正期の資料約4200タイトル(約5100冊)
- 明治期の資料約400タイトル(約600冊)
となっている。ところで、今回のデータ追加によって、近代デジタルライブラリーで公開されている明治・大正期の図書は10万タイトルを超えたという。近代デジタルライブラリーの成長は、
・「国立国会図書館、近代デジタルライブラリーで大正期図書を追加」(新着・新発見リソース、2007-07-11)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070711/1184086828
・「国立国会図書館、近代デジタルライブラリーでの大正期図書の公開を予告」(新着・新発見リソース、2007-07-01)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20070701/1183295785
・「国立国会図書館、近代デジタルライブラリーをリニューアル」(新着・新発見リソース、2006-04-16)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20060416/1145167657
・「国立国会図書館、近代デジタルライブラリーに650件(約700冊)の資料を追加」(新着・新発見リソース、2004-10-17)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20041017/1136271883
・「国立国会図書館、近代デジタルライブラリーに資料追加」(新着・新発見リソース、2004-09-19)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20040919/1136273129
といった記事の足跡がよく示しているだろう。だが、今回は10万タイトルという数以上に、新収の資料を紹介する
・資料あれこれ
http://kindai.ndl.go.jp/information/shiryo_arekore/shiryo_arekore080826.html
というページが設けられていることのほうが特筆に値する。このページによって、今回新たに収録されたデータには、『彼岸過迄』『行人』『こゝろ』『道草』『明暗』といった夏目漱石の名作、あるいはH.G.ウエルズの『宇宙戦争』、黒岩涙香訳の『八十万年後の社会』が含まれることがよくわかる。そして、このページは直接これらの作品にリンクしており、興味を持った利用者がすぐに電子化された本文にアクセスできるようになっている。利用者の関心を高め、さらに見るという行為を促す工夫がしっかりとなされており、手本としたいものだ。10万タイトル突破は一つの画期的な出来事ではあるが、このタイミングでこのようなプロモーション用のページが設けられていることにもっと注目していいだろう。担当者の見識とセンスに感心する。
なお、
・「国立国会図書館、貴重書画像データベースにデータを追加(2008-07-11)」(新着・新発見リソース、2008-08-07)
http://d.hatena.ne.jp/arg/20080807/1218062231
で、データ追加情報の記載の問題を指摘しているが、近代デジタルライブラリーは明治期のデータ、大正期のデータそれぞれについて、図書をリスト化したCSVファイルを公開している。これもよい手本の一つだろう。ただ、願わくば国立国会図書館には、同じ館内のGood Practiceを学びあい全体で品質を高め整えていくようになってほしい。
経済産業省情報大航海プロジェクト、マイニング技術検証用プロファイルデータを公開(2008-08-**)
経済産業省情報大航海プロジェクトがマイニング技術検証用プロファイルデータを公開した(2008-08-**)。
・プロファイルデータの利用のご案内
http://www.igvpj.jp/gakkai/profiledata.html
・経済産業省情報大航海プロジェクト
http://www.igvpj.jp/
このデータは、「36名の被験者の約2週間の行動をモニタリングし、25万件以上の行動履歴情報を集めたもの」で、研究者や学生は申請の上、無償で利用できるという。
神奈川県立図書館、サイトをリニューアル(2008-04-15)
神奈川県立図書館がサイトをリニューアルしている(2008-04-15)。
・神奈川県立図書館
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/
・神奈川県立図書館の過去のサイト
http://web.archive.org/web/*/http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/
・「ホームページをリニューアルしました!」(神奈川県立図書館、2008-04-15)
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/information/osirase08002.htm
新しくなったトップページでは、これまで同様、横浜市にある神奈川県立図書館と、川崎市にある神奈川県立川崎図書館とを、ほぼ等分に紹介しているが、トップページはあくまでに2館のサイトへの入り口にとどめている。ここには一見小さいが重要な改善が含まれている。従来のサイトでは、トップページに両館の新着情報が掲載された上で、両館へのリンクが設けられていたが、新サイトでは新着情報がすべて両館のサイトのトップページに移動している。リニューアル前は神奈川県立図書館、あるいは神奈川県立川崎図書館のサイトのトップページを直接訪れた場合、一度全体のトップページに移動する必要があったが、その手間が省かれている。模式図で示すと、
- 旧トップページ
- 両館の新着情報
- 神奈川県立図書館へのリンク
- 神奈川県立川崎図書館へのリンク
という構造だったものが、
- 新トップページ
- 神奈川県立図書館へのリンク
- 神奈川県立図書館の新着情報
- 神奈川県立川崎図書館へのリンク
- 神奈川県立川崎図書館の新着情報
- 神奈川県立図書館へのリンク
となったわけだ。
ただ、惜しい点もある。特に、新トップページにある「Pick Up!」というコーナーの使い方はまだ改善の余地がある。「Pick Up!」には、両館の特選情報が掲載されており、たとえば現在では、
- 神奈川県立図書館
- 図書館まるごと活用術「県立図書館紹介講座&図書館探検ツアー」
- 神奈川県立川崎図書館
- 県立川崎図書館50周年記念行事のご案内
と2つの情報が掲載されている。しかし、両館のサイトのトップページにも同じように「Pick Up!」というコーナーがあり、そこには、
- 神奈川県立図書館
- 大人のための読書会
- 神奈川県立川崎図書館
- ビジネス支援トーク
と、違う内容がピックアップされている。同じコーナー名である以上は、同じ使い方、この場合であれば、同じ情報を掲載しておくほうがいい。運用の仕方で対応できるものであり、今後の使い方を工夫していってほしい。