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2008-03-09 (Sun)

[][][]2008-03-07(Fri): 図書館サイトの迷走−平塚市図書館の「みんなの掲示板」開設を受けて

screenshot

末廣恒夫さんの次の記事が興味深い。

・「広報媒体としての図書館サイト価値」(Copy & Copyright Diary、2008-03-07)

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20080307/p1

要するに、事実上広告中途半端な形で平塚市図書館が実施しているという話。

平塚市図書館 - みんなの掲示板

http://www.lib.city.hiratsuka.kanagawa.jp/keijiban/keiji_index.shtml

平塚市図書館

http://www.lib.city.hiratsuka.kanagawa.jp/

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末廣さんの指摘にあえて付け加えるとすれば、タイトルタグもまともに入れていないようなサイトに誰が3000円も払うものだろうか。

・「大学サイトバナー広告は許されるのか−滋賀大学の事例から」(編集日誌、2008-02-17)

http://d.hatena.ne.jp/arg/20080217/1203253500

で指摘した問題と同じだが、そもそもたかの知れた収入を目論んで図書館サイトトップページの一等地を実質的な広告に用いてしまうことは愚かしい。

もう一つの論点として

・「科学技術振興機構JST)、研究者広告専用サイト「CoALa」を正式公開」(新着・新発見リソース、2007-10-29)

http://d.hatena.ne.jp/arg/20071029/1193587748

での指摘と同様、今回の平塚市図書館の試みは、「そもそもビジネスモデルとして成り立っていないのではないか」という疑問を挙げておきたい。

平塚市図書館の「みんなの掲示板」がビジネスとして成り立つには、まず図書館サイトをみにくる利用者が多くなくてはいけない。具体的には1ヶ月1枠が3000円という掲載料にみあった閲覧回数を提供できる見込みが必要だ。そのためには、まず「みんなの掲示板」が人気コーナーにならなくてはいけない。人気コーナーにするためには、最低限情報が集まっていなくてはいけない。そして、できれば、市民が必要とする情報が集まっていなくてはいけない。まず、そのような場をつくり、その上で広告を導入していくのがやり方というものだ。

平塚市図書館は、「みんなの掲示板」を

平塚市財政健全化策の一環として新たな財源の確保及び図書館情報提供事業の一環

と位置づけているが、そもそも現時点で「図書館情報提供事業」にすらなっていない。そして、「財政健全化策の一環として新たな財源の確保」というが、これで広告が集まらなければ、掲示板の開設に投じたコストすら回収できない。財政健全化策を謳いながら、赤字を拡大しているだけではないだろうか。物事は始める時点でコストがかかる。この場合であれば、掲示板開設に向けた作業に従事する職員の人件費、そして掲示板設置のための開発費をすでに投じてしまっている。その初期費用をどのようにして回収するのか、その見通しもないまま、「新たな財源の確保」を主張されては、納税者としてはたまったものではないだろう。

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そして、もし平塚市図書館が真剣に「図書館情報提供事業」を考えているのなら、平塚市広報誌である「広報ひらつか」から、「図書館情報提供事業」にふさわしいと考える情報を抜き出してきて掲載すればそれでよいはずだ。

広報ひらつか

http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/koho/

実際、広報ひらつかには「サークル掲示板」といったコーナーもある。

広報ひらつか - サークル掲示板

http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/koho/circle.htm

「ワンソースマルチユース」は広報の基本である。財政健全化を掲げる組織であれば、まっ先に考えなければいけない戦略の一つだろう。図書館サイトで様々な試みが繰り広げられること自体は望ましいことだ。だが、本質を見誤り、目先の技巧に走ること、ましてや技巧にすらなっていない稚拙な取り組みを始め、迷走することは避けてほしい。


・「図書館サイトは、一工夫でさらに向上する」(編集日誌、2006-02-16

http://d.hatena.ne.jp/arg/20060219/1140345097

・「「現代の図書館」に「試論:理想のOPACを求めて−ユーザビリティの観点から」掲載」(編集日誌、2007-11-27)

http://d.hatena.ne.jp/arg/20071203/1196614153

・「「図書館サイトの現状−再点検の必要性と危機感の欠如−」が「カレントアウェアネス」第291号(2007-03-20)に掲載」(編集日誌、2007-03-21)

http://d.hatena.ne.jp/arg/20070322/1174517044