ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版 このページをアンテナに追加 RSSフィード

"Ask not what the net can do for you - ask what you can do for the net."

インターネットの学術利用をテーマにした専門サイトACADEMIC RESOURCE GUIDEブログ版です。記事は主に以下の4点です。

1. 新着・新発見リソース - 最新の学術サイトの紹介と批評。
2. 編集日誌 - 編集長・岡本真の日誌。
3. イベントカレンダー - 順不同のイベント情報。
4. 産官学連携クリップ - ウェブ産業の産官学連携に関するニュース、講演情報等。
5. メルマガ版 - 本ブログを再編集したメールマガジンの発行情報。

New!【重要】サイト移転のお知らせ:2011年1月1日より、arg.ne.jpに移行します。過去の記事も移行済みです。本ブログ自体もアーカイブします。



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2008-08-09 (Sat)

[][]オーマ株式会社、あのひと検索「SPYSEE」を公開(2008-07-11)

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オーマ株式会社があのひと検索「SPYSEE」を公開した(2008-07-11)。

・あのひと検索「SPYSEE」

http://www.spysee.jp/

現在は試験運用と位置づけられているが、「セマンティックウェブ技術を使い、ウェブ上から人と人の関係を見つけ出して見える形にする」機能を利用できる。

2008-01-20 (Sun)

[][][][]2008-01-19(Sat): 図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を(2)

そこそこの反響を呼んだ

・「図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を」(編集日誌、2008-01-16)

http://d.hatena.ne.jp/arg/20080117/1200557466

だが、一連のブログ記事をまとめておこう。

朝日新聞の報道があったのが2008年1月11日(朝刊)。残念ながら記事は朝日新聞サイトでは公開されていない。この記事を受けて、早々に

・「練馬区図書館(図書室その26)」(出会いを大切に!!、2008-01-11)

http://blog.goo.ne.jp/honchijin2006/e/ba988f8e98ead0d58a978c2f1fe76f7e

が書かれている。筆者は図書館員のようだ。趣旨が明確ではないが、「情報は利用者サービスのために利用する」という言葉は印象的。

記事にコメントが掲載されている沢辺均さん(ポット出版雑誌ず・ぼん」編集委員)が副理事長を務めるNPO法人「げんきな図書館」のサイトでは、沢辺さんのコメント内容を紹介している。

沢辺は「汚損被害の度合いと情報を保存するリスクバランスの問題」であるとし、「情報公開して利用者らの理解を得てから始めるべきではないか」としています。

・「練馬区図書館の貸し出し履歴保存についての新聞記事」(げんきな図書館、2008-01-11)

http://www.genkina.or.jp/archives/178

ポット出版

http://www.pot.co.jp/

ず・ぼん

http://www.pot.co.jp/zu-bon/

報道を受けて、東京図書館をもっとよくする会が

・「「練馬区図書館貸し出し履歴保存」報道に関して」(東京図書館をもっとよくする会、2008-01-15)

http://motto-library.cocolog-nifty.com/main/2008/01/post_6dc7.html

を出したわけだが、ほかにも様々な反応が示されている。

まずは今回のシステム導入が練馬区図書館がいう問題の解決になるのか?という疑問。

履歴を参照できるようにしたところで、ほとんど意味はないだろう。なぜなら、履歴がわかったからといって、破損の証拠とはならないからだ。たとえば、もし本の返却時に破損が判明したとしても、利用者が「借りた時点ですでに破損していた」と主張すれば、結局、トラブルが繰り返されるだけだろう。つまり、このシステムではいつ誰が破損させたかはまったくわからず、事態は今と変わらない。

・「図書館の貸し出し履歴を知ってどうするのか?」(ヨコシマ審議会、2008-01-12)

http://blogs.yahoo.co.jp/yokoshimac/1016387.html

このブログが指摘する通りだろう。本への書き込み抑制と貸出記録の保存は、コストパフォーマンスの問題ですらなく、制度やシステムの設計が根本的に間違っているように思える。

また、既存のシステムでも貸出中は貸出記録が保存されていることを考えれば、リスクは常に存在することを指摘する声もある。

3週間借りっぱなしのあと13週間残る。つまり、最大16週間履歴が残る、と。で、その間に某圧力により貸し出し履歴が…って言い出したら貸し出し中ならしょうがないのか、って話になるでしょ。そうじゃないよね。あらゆるタイミングで、図書館が資料を管理するため以外には使用しない。これが原則であれば、13週間「資料を管理する」目的の為に残っていてもいいでしょう。

・「図書館利用者として思うこと」(novtan別館、2008-01-17

http://d.hatena.ne.jp/NOV1975/20080117/p4

この意見も正論だろう。

さて、リスクを案じるばかりではなく、積極的なメリットを見出そうとする声も少なくない。たとえば、

逆に図書館が貸し出し履歴を活用すれば、アマゾンのようなレコメンデーションサービスを始めることも可能ではないでしょうか。

・「図書館レコメンデーションする日」(シロクマ日報、2008-01-14)

http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2008/01/post-a62c.html

わたしの窓口応対の経験でも「自分が前に借りた本をもう一度読みたいんだけど、タイトルが思い出せない…」、「貸出記録を印刷して配って欲しい」などとおっしゃる方って、結構いらっしゃいます。「ごめんなさい、図書館プライバシーを保護する方針ですから」、と言うと、たいがい「不便だね」と返されます。では、もし、仮に個人で、貸出記録を残すか、残さないかを選択できるとしたら、どちらを選ぶ人が多いだろう?

・「貸出記録、残してほしい?ほしくない?」(非正規図書館司書の「βな日記」、2008-01-15)

http://d.hatena.ne.jp/cappuccina/20080115/1200361955

インターネット販売のアマゾンでは、俺の買った本の履歴を管理していて、興味がありそうな新刊が出るとメールがくる。

便利なことがあるね。

もちろん、個人情報管理はしっかりやっているという了解のもとだがね。

・「図書館の貸し出し履歴保存と情報保護」(知的漫遊紀行、2008-01-14)

http://plaza.rakuten.co.jp/ryu32/diary/200801140000

個人的には、特定の個人のレベルまで絞り込んで見ることさえしなければ、こうしたデータはもっと積極的に活用したほうが良いと思うのだが、そこは人が介在して分析する限り、その性として個人の情報に目がいってしまうのは避けられないような気もしている。(Googleアマゾンというのは、そこに人を介さないようプログラムを使うのだろう。)

・「返却した本をチェックすれば良いのでは?」(ENIGMA VARIATIONS、2008-01-15)

http://projectk.txt-nifty.com/enigma/2008/01/post_05d8.html

本の利用が個々の図書館で完結してしまうような時代はもう終わりだと思います。

ネットワークの時代にふさわしいサービスを提供できるように図書館は変わっていかないといけませんね。

・「貸し出し履歴の有効活用」(諸問題をカンガルー、2008-01-18)

http://d.hatena.ne.jp/sheep_seeker/20080118/1200627415

など。

なお、田辺浩介さん(東京工科大学)は具体的な解決策を示している。

  1. 図書館システムとは別に、「読書管理システム」を作る。運営は図書館以外の組織が行う。書店などの民間企業でもOK。
  2. 利用者は図書館システムに、読書管理システムのIDとパスワードを登録する。もちろん登録は任意。
  3. 利用者が読書管理システムのIDとパスワードを登録してある場合、図書館システムは貸出時に、その利用者の貸出情報を自動的に読書管理システムに送信する。
  4. 資料が図書館に返却されると、図書館システムは貸出情報を消去する。これは今までどおり。
  5. 読書管理システムは送信されてきた貸出情報を蓄積し、利用者に対しておすすめの本を紹介する。同時に、図書館でのその本の所蔵情報を表示する。
  6. 読書管理システムに蓄積された情報は、利用者がいつでも削除できる。

・「貸出履歴」(簡単な日記、2008-01-18)

http://kamata.lib.teu.ac.jp/~tanabe/diary/20080117.html

良案。できる/できないの安易な議論に陥らずに、否定から入らずに、こういう提案が続くとうれしい。

さて、練馬区に関していえば、

・よりよい練馬区図書館つくる会

http://betterlib.exblog.jp/

練馬区光が丘図書館利用者の会

http://homepage3.nifty.com/riyosha/

という市民による利用者の会がある。練馬区図書館の積極的な利用者である両会の方々はどう考えているのだろうか。

2008-01-17 (Thu)

[][][][]2008-01-16(Wed): 図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を

2008年1月11日付の朝刊で朝日新聞が伝えるところによると、東京都練馬区図書館1月5日付で図書館システムが刷新され、「本の貸し出し履歴を一定期間職員が参照できるシステムを導入した」という。同紙によれば、

参照できるようになったのは、その本を借りた直近2人の利用者番号。返却後、最長13週間まで保存する。個々の利用者がそれまで借りた本の記録は従来通り残らない。

とのこと。導入の目的については、次のように報道されている。

区が履歴の一時保存に踏み切ったのは、ここ数年、貸し出した本が切り抜かれたり書き込みされたりして、誰が破損したかを巡り窓口でトラブルになるケースが増えているためという。

この報道を受けて、東京図書館をもっとよくする会が1月13日に「「練馬区図書館貸し出し履歴保存」問題にかかわる見解」を出している。

・「「練馬区図書館貸し出し履歴保存」報道に関して」(東京図書館をもっとよくする会、2008-01-15)

http://motto-library.cocolog-nifty.com/main/2008/01/post_6dc7.html

見解は3点に渡っているが、

私たちは、外部に流出しなくとも、「貸し出し履歴」を残すことは、それ自体が思想・信条の自由、読書の自由を侵す恐れがあると考えている。練馬区図書館が導入した「貸し出し履歴」は貸出者全体の監視システムである。

「貸し出し履歴」システムは、返却と同時に貸し出し記録を消すという大原則を逸脱するものである。その導入にあたっては、どのように使用するのか説明しなければならない。それによって、「貸し出し履歴」システム導入の是非が判断できる。

といった箇所が主要な論点だろう。

さて、朝日新聞の報道でもふれられているのだが、日本図書館協会は

・貸出業務へのコンピュータ導入に伴う個人情報の保護に関する基準(1984年5月25日社団法人日本図書館協会総会議決)

http://www.jla.or.jp/privacy/kasidasi.html

を定めており、そこでは次のように謳いつつ、

コンピュータによる貸出しに関する記録は、図書館における資料管理の一環であって、利用者の管理のためではないことを確認し、そのことに必要な範囲の記録しか図書館には残さないことを明らかにして、利用者の理解を得るよう努めなければならない。

以下の6点の基準を示している。

  1. 貸出しに関する記録は、資料を管理するためのものであり、利用者を管理するためのものではないことを前提にし、個人情報が外部に漏れることのないコンピュータ・システムを構成しなければならない。
  2. データの処理は、図書館内部で行うことが望ましい。
  3. 貸出記録のファイルと登録者のファイルの連結は、資料管理上必要な場合のみとする。
  4. 貸出記録は、資料が返却されたらできるだけすみやかに消去しなければならない。
  5. 登録者の番号は、図書館で独自に与えるべきである。住民基本台帳等の番号を利用することはしない。
  6. 登録者に関するデータは、必要最小限に限るものとし、その内容およびそれを利用する範囲は、利用者に十分周知しなければならない。利用者の求めがあれば、当人に関する記録を開示しなければならない。

この基準が示す「貸出しに関する記録は、資料を管理するためのものであり、利用者を管理するためのものではないこと」は重要だ。報道が伝えるように、本の破損対策、特に破損の犯人探しが目的であれば、上の基準が否定している「利用者を管理するため」の記録にあたり、好ましいことではないだろう。ただ、気になるのは、資料管理と利用者管理のどちらに重点があるかである。練馬区図書館は貸出履歴を元に本の破損に至るまでの経緯を調べた後、具体的にどのような対処をとろうと考えているのだろうか。破損の犯人を探し出し、何らかの注意や罰則を与えようというのだろうか。もし、そうであれば、「貸出者全体の監視システム」という東京図書館をもっとよくする会の批判も妥当だろう。それとも、個人の行為は問題とせず、たとえば破損が多い本の貸出を一時停止するなど、資料の管理を見直すのだろうか。しかし、もし後者であれば、利用者単位での貸出履歴を保存する理由はあるだろうか。

いずれにせよ、まずは練馬区図書館練馬区説明責任を果たすことがまず求められる。練馬区図書館練馬区も、今回のシステム刷新をサイト上でアピールしているものの、貸出記録の扱いについては特にふれていない(そもそも、朝日新聞はどうやってこの情報をつかんだのだろうか)。

・「新しい図書館サービスが始まりました」(練馬区図書館

http://www.lib.nerima.tokyo.jp/info/replace.html

練馬区図書館

http://www.lib.nerima.tokyo.jp/

・「図書館利用者サービスを充実します!−資料の検索機能を充実、携帯電話での利用も可能に」(練馬区、2008-01-04)【PDF】

http://www.city.nerima.tokyo.jp/kocho_koho/koho/press/2008/01/20080104.pdf

練馬区

http://www.city.nerima.tokyo.jp/

さて、ここまでは個別の事例に基づいて話をしてきたが、自分は

・「Web2.0時代の図書館−Blog, RSS, SNS, CGM」(『情報の科学と技術』56-11、情報科学技術協会、2006-11-01)

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004857462/

などで、図書館におけるWeb2.0の試みの一つとして、貸出記録を活用して利用者に本を推薦する仕組みを整えるよう述べてきた身である。練馬区図書館の問題は問題としつつ、「「貸し出し履歴」システムは、返却と同時に貸し出し記録を消すという大原則」(東京図書館をもっとよくする会)という考え方について一つだけ反論しておきたい。

・「講演「Web2.0時代の図書館 −Blog, RSS, SNS, CGM」の補足」(編集日誌、2006-05-24)

http://d.hatena.ne.jp/arg/20060526/1148575117

「総論「価値観の交差点」」(『情報の科学と技術』56-9、情報科学技術協会、2006-09-01)

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004815075/

でも述べているように、何事も否定から入ってしまっては始まらない。貸出情報はうまく使えば、図書館にAmazonを超えるサービスの可能性をもたらすものだ。

・「Web2.0時代の図書館−Blog, RSS, SNS, CGM」(『情報の科学と技術』56-11、情報科学技術協会、2006-11-01)

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004857462/

で述べているように、

であり、一年間に貸し出される点数と販売される点数はほぼ同数である。ということは、これだけのデータを活用すれば、たとえば、Amazonをはるかに超える関連書の推薦(レコメンド)を実現できる可能性があるということだ。日本図書館にはそれだけのポテンシャルが眠っている。

そして、

・貸出業務へのコンピュータ導入に伴う個人情報の保護に関する基準(1984年5月25日社団法人日本図書館協会総会議決)

http://www.jla.or.jp/privacy/kasidasi.html

を尊重するとしても、ここに示されている基準は、

貸出しに関する記録は、資料を管理するためのものであり、利用者を管理するためのものではないことを前提にし、個人情報が外部に漏れることのないコンピュータ・システムを構成しなければならない。

ということであって、利用者サービスの向上を目的とする貸出記録の利用を妨げるものではない。もちろん、この基準が別に示す

登録者に関するデータは、必要最小限に限るものとし、その内容およびそれを利用する範囲は、利用者に十分周知しなければならない。利用者の求めがあれば、当人に関する記録を開示しなければならない。

は当然であるが、東京図書館をもっとよくする会のように「「貸し出し履歴」システムは、返却と同時に貸し出し記録を消すという大原則を逸脱するものである」とまで言い切ることはないだろう。貸出記録は一時的に保持し、本の返却後はすぐに消去するということは、確かに過去には一定の意味があったかもしれない。だが、インターネットが普及・浸透する現代にあって、果たしてその姿勢を堅持する必要があるだろうか。図書館、特に公共図書館はいままで通りでよく、インターネットへの対応は、せいぜいOPACのウェブ公開やデジタルレファレンスの実施まででよいということであれば、それでもいいだろう。だが、サービスの可能性をさらに追求したい図書館関係者、そして税金を図書館に投じる市民にとって、これまでの伝統を遵守することは必ずしも福音ではないはずだ。

貸出記録の活用による関連書の推薦システムという例に限らず、貸出記録がもたらす可能性にも目を向けよう。運用を誤れば、貸出記録は「貸出者全体の監視システム」にもなるだろう。だが、逆に公共図書館の利用者サービスを画期的に向上させる仕組みの土台となるかもしれない。ここに示した以外にも、多種多様な可能性が考えられるはずである。それだけに、今回の練馬区図書館の事例をもって、貸出記録の利用で広がりうる可能性を閉ざすことになってはいけない。どうか、図書館関係者の方々、そして図書館をよりよくしたいと願う市民の方々には、多様な可能性を考えながら慎重な議論を冷静に行うようお願いしたい。

2007-10-29 (Mon)

[][][]国立国会図書館、国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)を公開(2007-10-15)

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国立国会図書館が国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)を公開した(2007-10-15)。PORTAは2005年5月から2007年9月までプロトタイプシステムとして公開されてきたNDLデジタルアーカイブポータルをリニューアルしたもので、今回正式版として公開されている。NDLデジタルアーカイブポータルと同様に国立国会図書館コンテンツと国立国会図書館外の協力機関のコンテンツを横断して検索できる。検索できるのは、国立国会図書館内のコンテンツが12種類、国立国会図書館外の協力機関が提供するコンテンツ8種類の計20種類で、内外のコンテンツをあわせると約800万件のデータを検索できるという。検索対象となっているコンテンツの内訳は以下の通り。

国立国会図書館はPORTAの特徴として、

  1. ウェブの「深層」にあるコンテンツも統合的に検索:サーチエンジンでは検索できない深層ウェブ中のコンテンツを含む複数のデジタルアーカイブを、統合的に検索することが可能です。
  2. 多様な検索手段:キーワード検索(簡易検索、詳細検索)、連想検索、分類からのブラウズ検索など、多様な検索が可能です。
  3. ユーザに合わせたパーソナライズ:ユーザ登録を行うと、ユーザの好みやニーズに合わせた設定(検索条件設定の保存、ブックマーク機能など)が可能となります。

以上の3点を挙げているが、ブログやソーシャルブックマークで話題となっているように、今回のリニューアルの最大の特徴は、ユーザ登録を行えばパーソナライズ機能やブックマーク機能を利用できることだろう。特にソーシャルブックマークの開始は大きな衝撃だ。ここ数年、日本図書館の世界でもWeb2.0への関心が高まり、ユーザー参加型のサービスの可能性が危惧とともに語られてきたが、いきなり一足飛びに実現したことに驚かされる。国立国会図書館が一躍、図書館ウェブ利用のトップランナーに躍り出た格好であり、それだけ反響も呼んでいる。これはこれで喜ばしい。だが、同時に忘れてはならないのは、ここに至るまでには様々な先行例があったことだ。たとえば農林水産研究情報センターによるMAFFIN News Feeds Centerである。先見性と一歩先に踏み出す勇気を備え、かつその過程と成果を惜しげなく共有してくれる先行事例抜きにはPORTAの登場を語ることはできない。この点はあらためて述べておきたい。

さて、サイトとしてみたPORTAについて数点記しておこう。ソーシャルブックマークは衝撃ではあるが、サービスとしてはまだ実用的ではない。まだ試行段階に留まるといえるだろう。そもそもソーシャルブックマークは一定の利用者数を確保しない限り、有効に機能しないという問題もあるが、それ以前の問題として使い勝手がよくない。このままでは利用者数が限られてしまう。最終的に図書館サイトにおけるソーシャルブックマークの可能性までが否定される結果にならないようなるべく早く改善してほしい。特にブックマークしたURLごとの個別ページを持たない構造は改善すべきだろう。一般的なソーシャルブックマークのサービスでは、

・はてなブックマーク - PORTA(国立国会図書館デジタルアーカイブポータル)

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://porta.ndl.go.jp/

・Yahoo!ブックマーク - PORTA(国立国会図書館デジタルアーカイブポータル)

http://bookmarks.yahoo.co.jp/url?url=http://porta.ndl.go.jp/

という形でブックマークされたURLごとに個別ページを持ち、そのページに関連するブログ記事を取り込むなどして情報を集約している。このような構造がソーシャルブックマークの成功には不可欠と思われる。

その他、細かな点を挙げればきりがないが、あえて指摘すればJavaScriptを多用しすぎている点も大きな課題だろう。本来、リンクを何回もクリックし何枚ものページを移動する手間を省くために役立つJavaScriptだが、これほど多用してしまうとかえって使いづらさが増してしまう。

逆に感心するのは、収録しているデータが代わる代わる表示される「資料ピックアップ」の存在だ。800万件という巨大なデータを単なる数量にしてしまうのではなく、一件一件どのようなデータなのか、その顔が感じられるようになっている。今回の大リニューアルからすれば小さな点に思われるかもしれないが、中身を見せる工夫、想像させる工夫として実に秀逸だ。

また、PORTAとの連携が準備されており、今後に大いに期待させられる。「このサイトについて」以下で詳しく説明されているが、外部からPORTAの検索対象となるための方法、つまりPORTAにデータを提供する方法、そして外部からPORTAを検索する方法、つまりPORTAのデータを利用する方法が追って公開されるようだ。後者は一般にAPI(Application Programming Interface)と呼ばれ、近年非常に注目されている方法である。おそらくNDL-OPACや近代デジタルライブラリー、レファレンス協同データベースといった国立国会図書館の巨大なデータベースを外部から利用できるようになるのだろう。国立国会図書館以外の組織や個人が独自の付加価値をつけたサービスを開発・公開できるということであり、国立国会図書館の役割も根本的に変わる可能性がある。国立国会図書館の有する膨大なデータを用いて多様なサービスが続々と生み出されるように、ぜひAPIの利用に過大な制限を設けないようにしてほしい。

ただ、データの提供と利用が進んでいくと、PORTAの方向性も問われることだろう。単独のサービスとして機能や魅力の向上に取り組んでいくのか、それともデータプロバイダーとしての役割に特化していくのか、ということだ。もちろん、両者を均等に実現していくという選択肢もあるが、国立国会図書館としてはどのような選択をするのだろうか。最終的にはこの点に注目が集まるだろう。国立国会図書館には、ぜひその方向性についても積極的に情報を発信し、利用者の声に耳を傾けつつ、意志決定をしていくよう願いたい。

なお、PORTAの公開については、国立国会図書館がここに至るまでの過程に注目した記事を別に書き上げている。掲載・配布される段階でまた追ってご案内したい。

・国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)

http://porta.ndl.go.jp/

・「国立国会図書館デジタルアーカイブポータル「PORTA」の公開について(付・プレスリリース)」(国立国会図書館、2007-10-15)

http://www.ndl.go.jp/jp/information/news.html#071015_01

・「国立国会図書館デジタルアーカイブポータル「PORTA」の公開について」【PDF】

http://www.ndl.go.jp/jp/information/pdf/pr_071016.pdf

・「NDL、デジタルアーカイブポータル「PORTA」公開」(カレントアウェアネス-R、2007-10-15)

http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=4308

・国立国会図書館

http://www.ndl.go.jp/

・「国立国会図書館、NDLデジタルアーカイブポータルの閉鎖を予告」(新着・新発見リソース

http://d.hatena.ne.jp/arg/20070924/1190606551

・MAFFIN News Feeds Center

http://www.affrc.go.jp/ja/rss/

・農林水産研究情報センター

http://ss.cc.affrc.go.jp/ric/home.html

・「国や公共機関、約800万件のデジタルコンテンツを一元検索できる「PORTA」」(マイコミジャーナル、2007-10-16)

http://journal.mycom.co.jp/news/2007/10/16/027/

・「国会図書館、約800万件のデジタルデータを検索できるポータル「PORTA」」(INTERNET Watch、2007-10-16)

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/10/16/17199.html

・「国会図書館が書籍検索ポータル開設 ソーシャルブクマ・RSSリーダー付き」(ITmedia News、2007-10-17)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/17/news075.html

・「国立国会図書館がソーシャルブックマークを始めると誰が予想しえたのか。」(図書館退屈男、2007-10-15)

http://toshokan.weblogs.jp/blog/2007/10/post_4226.html

・「眠れる巨人が目覚めた?」(ダメな図書館員の日々、2007-10-16)

http://d.hatena.ne.jp/garugon/20071016

・「やりやがった、NDL」(かたつむりは電子図書館の夢をみるか、2007-10-15)

http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20071015/1192466048

・「ぽ☆るた(PORTA)」(日々記−へっぽこライブラリアンの日常−、2007-10-15)

http://hibiki.cocolog-nifty.com/blogger/2007/10/post_9c5c.html

・「話題のNDL・PORTAを使ってみた!」(HVUday、2007-10-17)

http://hvuday.seesaa.net/article/61074020.html

・「国立国会図書館「PORTA」がスタート」(WIRED VISION / 関裕司の「サーチ・リテラシー」、2007-10-18)

http://wiredvision.jp/blog/seki/200710/200710181100.php

2007-08-03 (Fri)

[][][][]2007-07-29(Sun): Web2.0サービスを活用している大学

もう一か月以上前になってしまうが、

・「大学サイトでYouTube活用 明治学院大」(朝日新聞、2007-06-14)

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200706140256.html

というニュースがあった。

・明治学院大学 - MG Video(動画コンテンツ

http://www.meijigakuin.ac.jp/video/

・明治学院大学

http://www.meijigakuin.ac.jp/

YouTubeに限らず、ソーシャルブックマークやQ&Aサイトを活用している事例は他にあるだろうか。