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地下室のアーカイブス(岩川ありさBLOG) このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter


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2016年12月03日

[] 一生誰かを笑っていくんだね

11月27日(日)

前の週に放映された再放送も含めて、「相棒」を見た。「相棒13」第4話「第三の女」は、警察学校でかつて自分を救ってくれた年上の女性の死の真相をめぐって、組織の中で女性が生きてゆくことを主題にして描いている。しかし、誰もがすんなりと去りすぎているところにざわついた気持ちになる。とどまった彼女を描くこともできたのではないかとそう思った。「相棒10」第7話「すみれ色の研究」は新聞で連載中の遺伝性の疾患と関連している。何をどのように描くのかが問われている。

11月28日(月)

どこかで 誰かが生きていて 泣いたり 笑ったりしていることを思うと胸が熱くなるのはなぜだろう。知らない街の家々の灯り。焼いた魚の匂い。自転車で駆け抜けてゆく中学生。夕焼け空。なぜだかわからないのに涙がとまらないこの気持ちはなんだろう。歩いていて、ふっと、そういうことを考えた。


今週のアニメ「working」は私の好きなものがすべて入っていた。へたれ足立さんと村主さんのことはもちろん、相変わらずの進藤もまたよかった。夜になって、村田沙耶香『タダイマノトビラ』(新潮文庫)読み終わる。寝る前にニュースで羽生結弦。数年前の大会の様子が放映されていたが、それ以上に選びえない道すじをそのとおりに滑った見事な演技。

タダイマトビラ (新潮文庫)

タダイマトビラ (新潮文庫)

11月29日(火)

藤野千夜『夏の約束』(講談社)読了。塾帰りの中学生が、主人公のマルオとヒカルに投げかけた侮蔑に対して、「いや、あのうち八割はそのまま大人になって、一生誰かを笑っていくんだね」(39)と怒りながらヒカルがいう言葉に、私も同じ怒りを持ちつづけていたいと思った。そして、実は、この小説でのヒカルという人の基本的な性格を形作っているのがこの言葉でもある。菊ちゃんのお兄さんとのエピソードも然り。たった一行のセリフだけれども、凝縮(あるいは、演繹?)している。


今日の講義は、リービ英雄の『英語で読む万葉集』(岩波新書、2004)。何度読んでも引き込まれる。私が特に好きなのが以下の翻訳。

春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣乾したり 天の香具山(持統天皇


Spring has passed,

and summer seems to have arrived:

garments of white cloth

hung to dry

on heavenly Kagu Hill.(16-17)

実際に、急ぎ足で登ると、香具山は20−30分で登れる。私が登ったときには、夏だということもあって、登る人も少なかった。どこまでも青々とした田んぼが眼下に広がっていたが、「天まで山が」とはいえなかった。しかし、歌を作る人は、天までそびえたつ雄大な景色を見た。天皇の歌であるということに注意深くいたい。そこに見たのはどのような想像だったのだろうか。想像力の面白さはもちろんだけれども、おそろしさも感じた。

夏の約束 (講談社文庫)

夏の約束 (講談社文庫)

英語でよむ万葉集 (岩波新書)

英語でよむ万葉集 (岩波新書)

11月30日(水)

来年の仕事の下準備をしている。方針は決まっていて、この時代を懸命に生きる人にむけて、戦いながら書いた小説が、この世界にはたくさんあるのだと伝えること。作家が次の小説を書くときの手がかりになる批評であるように努めること。そして、公平であること。この三つである。


夏目友人帳」、名取さんと的場さんの高校生時代の回。周一さん、静司と呼びあう関係だったのだなと感慨深い。名取さんが夏目をこんなに可愛がるのがなぜかわかる回でもあった。「静司でいいよ。周一さん」というはじまりから、二人の関係性が深く刻まれていて、怖い。「周一さん、もっとうまく生きなよ」という静司に、高校生の頃の名取さんが低い声で、「うるせえよ」という場面は石田彰という役者の巧みさを感じた。


真夜中すぎ、広島カープの倉と廣瀬の引退についてテレビニュースで放送していた。私は野球のルールもはっきりとわかっていないのだが、ファンの人たちの熱気が伝わってきて、なぜかこみ上げるものがあった。

12月1日(木)

時が経つのは早い。もう12月。朝、京王線が遅れていて、先週の大雪のことを思い出す。今日の講義は校正校閲について、実例も示しつつやったのだが、どのようなものが返ってくるのか楽しみ。ちょっと私は校正がひどいので、自分の校正もしっかりやろうと心に決めた。他の講義で「風立ちぬ」の前半を見たのだが、しどけない様子の堀越二郎が眠っていると、たいてい本庄がきて、いとおしそうに名前を呼ぶ感じだった。

12月2日(金)

藤井貞和構造主義のかなたへ』(笠間書院、2016)。文学的な射程距離を持ったある言葉をテクストの中に見出すことから文学研究ははじまるのだと感じさせてくれる一冊。夜、村田沙耶香『しろいろの街の、その骨の体温の』(朝日文庫)読了。

構造主義のかなたへ: 『源氏物語』追跡

構造主義のかなたへ: 『源氏物語』追跡

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