プライス・コレクション「若冲と江戸絵画展」その3

江戸絵画における「虎」は面白い。どうみたって「虎」の本物ではなく「猫」に「虎」の「知識」を混ぜて描いたものにしか見えない。だから、なんだか妙に愛嬌がある。作者不詳の虎図屏風。毛並みは随分写実的なんだけど、どうにも生き物として変で、幻獣のように見える。
蓮図小襖は、そのハスの美しさと葉の枯れ具合にカラヴァッジォの静物画を彷彿と。技法もなにもかも違うが、画家の見据えるなにかが似ているのかも。
以下絵画の画像はプライスコレクション、九州国立博物館による提供(クリックすると大きなサイズにいきます。)

と、ひとつひとつを紹介していくと、きりがないので、私が気に入ったものの、それも一部だけ駆け足で。
福岡は3月11日まで。それが終われば中部に行くとか。
これは本当に見る価値のある展覧会なので、見逃した方も機会があれば是非。

さて、いささか、若冲にあてられながらも、せっかく来たので、九州国立博物館の常設展示にも入場。(これも前売り券の金額の内。)雰囲気として、百道にある県立博物館と似ているが県立博物館のほうが「九州」や「博多」に焦点を当てているのに対して、こちらはもっと広く「アジア」を色濃く意識している。
黒を基調とした暗い展示場内で、アジアの原色が映えて、なかなか面白くはある。照明のあてかたで勝負、といった感じ。もう少し肩の力が抜けたら、やがてよい展示に育ちそうだ。でも、若冲を見た衝撃の後では、ちょっと弱く感じるのは、仕方がないところ。
最後に、江戸絵画展の図録を買ったら、ほとんど手元に現金が残らないことに気付いた。まあ、参道の商店街、コンビニATMのひとつもあるだろうと思ったら…いけどもいけども地銀しかない。コンビニは見つけたがATM持ってないし。こりゃ、天神に戻らないと昼ご飯にありつけそうにないなー。
市内までの切符をとにかく買って、残りの小銭で、太宰府名物梅が枝餅を買って食べる。(ああ、これで一文なし)。朝ご飯抜きできて、体力の限りで展覧会を見た後なので、甘いアンコがえらく美味しく感じました。