怖い絵1 怖い絵2

怖い絵怖い絵
中野京子

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怖い絵2怖い絵2
中野京子

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いろんな意味で「怖い絵」の本である。
単純に見た目にグロテスクな絵で「怖い絵」だったり、周到に埋め込まれたシンボルに画家の怖ろしい意図を読み取ったり。
もしくはその絵の背景にある歴史の闇だったりと。
いや、すべての絵に、ある種の「怖さ」を見出すことは可能だろう。なにしろ「絵」が人の深奥の感情や意図の吐露なのだからして。ある意味、本当に怖ろしいのは「人の心」ですという陳腐な結論となりそうだし。

また、西洋絵画の背景は稠密にその怖ろしい歴史と社会に結びついているのだから・
どちらかというと、この本で説明されるのは背景の歴史と結びつけての「怖さ」である。華麗な宮廷を闊歩する王侯貴族たちのイメージに彩られたヨーロッパ史がいかに野蛮で暴力に満ちたものであったかを語り、画家たちがその妖怪のような特権階級からの意向を受け絵筆をとったかということを活写する。
その血まみれの歴史を思う時、美しい名画とはそんな歴史の血を吸って咲く妖花と言えるかもしれない。

いささかゴシップに似た俗な話しや苦しいこじつけに堕してしまう点はある。
しかし絵を見る時にこういう見方もあると蘊蓄がらみで教えてもらうのはありがたい。
3もきっと出るんだろうな。楽しみ。・

「アイアンマン」とアフガニスタン

娯楽映画としてはよくできている「アイアンマン」にツッコミ入れる野暮は承知。でも、娯楽映画といって笑うには、それは現実の世界にリンクしすぎている。
今そこにある地獄の辛酸を思う時、「アフガニスタン」という地名が出てくるのはやはり胸が痛む。製作者は敵は国際的なテロリスト組織(多分、アルカイダがモデル)ですって言い訳をするつもりだろうけれど。それにしても…
無造作に社長ロボに殺されていく彼らの下っ端は、悲惨な難民キャンプの中から産み出されてきた。サディストとして描かれる彼らの首領たちを別としても、彼らが雇った下っ端連中たちは、無辜の民として描かれる避難民たちと、それほど差異があるわけじゃない。そこに無造作に介入して、おそらくはリンチが起こるであろう状態にするのが「正義」なのか?
この映画における武器製造の放棄の論理は、「米国の敵に武器がわたるから」であって、「武器そのもののもつ罪悪、他者の生命を奪うから」ではないことを、注意して見ておかなくてはいけない。(まーそうでなくては、悪の手に渡ればさらに惨い災厄をもたらすであろう強力なスーツの製作なんてできないやね。)
ものすごく穿って考えれば、このバカ社長の行動そのものが「アメリカ」のカリカチュアライズした自画像で、彼の行動がいかに愚かであるかという風刺ととれないでもないけれど。まあ、そんなことは考えてないだろう。

アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだアフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ
Mohsen Makhmalbaf 武井 みゆき 渡部 良子

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たとえば、アフガニスタンにおけるバーミヤン遺跡の大仏の破壊の問題なんかを考える時には、こういう本も読んでおかなくちゃいけないと思う。
他国において、様々な障害を越え遺跡の復元に尽力されている方々の苦労には頭が下がるものの。仏像を破壊しなければ飢餓のアフガニスタンに目もくれなかったではないか、という非難は確かに理があるのだ。

アイアンマン

連休ということで、配偶者をひっぱって久しぶりに劇場に足を運びました。周囲の人たちから、バットマンダークナイトを薦められていたんだけど、出遅れがひびいて劇場公開に間に合わなかったよん。ま、あっちはいずれスターチャンネルかレンタルDVDで見ることにしよう。

さて、今期(?)一番の注目の「アイアンマン」。早速見てきました。武器開発の会社社長がテロリストに誘拐された挙げ句、自分の会社の武器がテロリストに流れていることを知って改心。正義のヒーローになって自分の武器をなんとかするってお話。

予告編で見ていてもダメな社長だー、って思っていたけれど、本編ではさらにダメな社長が大活躍(?)だ。
女好きで甘えっ子で、秘書におんぶにだっこ。自分のやりたいことしかやらない技術オタク。そいつが正義(?)に目覚めてやりはじめたのが、戦闘スーツをまとってスーパーヒーローに!だから、ダメすぎる。嫌いじゃないけどさ、こういうヤツ。
もちろん、このダメ社長の荒唐無稽なダメ行動を肩の凝らない娯楽作品として見ればいいわけで。その分については文句なくウェルメイドな冒険活劇になってます。映画としては大変に面白い。

ただ最初のほうの舞台がアフガニスタンということで、少々複雑な思いがさしてしまうのも正直なところ。ダメ社長はアフガンのテロリストは完全なる悪と断じてしまえるだろうけど、ねえ。
「テロリストにはテロリストにならざるをえない事情っつーもんがあるでしょう」と、社長ロボに大暴れされて死んでいく彼らに同情したりして。
ま、それはこの作品の脚本家もわかっていたのでしょう。途中から別の悪役を作って話しをすり替えるというズルイ手を使うので。

ところで一番よくわからないのは、最初に作った時は身体の中に入ったバクダンの破片が心臓につきささるのを防ぐための装置だったものが、後には戦闘用スーツの駆動力として欠かせぬようになったこと。なにかどっかで見落としたかな?
なので、このダメ社長が実はソレスタルビーイングの黒幕で、ガンダムの設計者だったってオチはどうですか?

鉄のダメ男

ほぼ半年ぶりのご無沙汰です。その間に本も読まず映画も見なかったわけではないのですが、たくさんブログを作りすぎてオーバーフロー状態になってしまったので、有り体に言えば放置していました。
わりと一番好き勝手に書いていた場所なので、頻繁な更新は無理としてもまた復活させたいと思います。(誰か読んでくれる人がいるかな。)