記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

なんちゃってキャノンボール リターンズ① 東京⇒静岡

さて、いよいよブログ版、走りだします。長い長い長〜い道のり。
なんとか年内には書ききりますぞ。記憶との勝負だ。


金曜日。当日の早朝までかかって、
ずっと宿題として残っていた上京ライドの最終章を書ききる。
これで出発前の課題はクリアしたが、どうにも寝不足。
昼間は本当に走れるのか不安になるような雨模様。
午後に雨も上がったので、予定通りに柿狩り。濡れた塀と枝の上で格闘したせいで
右脚を少し痛めてしまう。飛び降りたのがよくなかったか。
その後、家族で買い物へ行き、ケーキを食べようとなって近所のアルションで買う。
ちょうどパリブレストがあったので迷くことなくそれにする。
今からロングライドに出かけるのにこれほど縁起のいい食べ物はないだろう。
うまし。


パリブレストで景気づけ


出発直前に軽くメンテ。
なにせハチ北で泥っ泥のままだったので。
ある程度きれいにしたら、念入りに注油しておく。
ただあとで輪行に収納したらめちゃオイル臭くなってしまった。
タイヤはリアを今度こそFUSION3に履き替えたかったが、直前で疲労するのが嫌で
結局そろそろ寿命ぎみにツルツルのアルトレモのままで行く。
やはり直前でメンテしちゃいかん。
わかっちゃいるけどこのところサイクルが短すぎて手が回らない。
風のことを考えたりすると、前輪だけでもイーストンにした方が楽なのはわかっているのだが
やはり正装でいきます。
この1年、走り倒して十分身で持ってわかりましたが、
ロングライドするのにディープリムって正直ハンデでしかないなあ。
重いので上りでモタつくのはもちろん、平地でも風の影響を受けやすく、
それに信号開けの度に加速にエネルギーを使う。
キャノボを達成できるような超人の方ならいざ知らず、
また例えばアワ1やビワ1のような、
信号もなく1時間以上回しっぱなしのシチュエーションでもない限り
空力を発揮するような40kmオーバーで走る機会がない。
それならば軽量ホイールで走った方が結果的に速く楽に走れると思う。


さて話を戻します。
家族で鍋をつつき、〆のラーメンを堪能したら20:00に出動。
男には時に挑戦せねばならん時がある。嫁子よ許せ!
自走で新大阪駅へ向かい、中央口で輪行作業を手早く済ます。
大急ぎでみどりの窓口へと飛び込む。
連休初日ということもあってか、21:20の最終までずらーっと禁煙席満席×の表示。
しまった。マズイぞ…
と、後6分後に出る20:33のひかり号なら、禁煙席がわずかに開いている!
これで行くしかない。
駄目もとで一番後部の座席を探してもらったら、奇跡的に空いていてラッキー♪
で、悠々とホームへ上がる。が、電光版に20:33の表示がない。
普通ならホームを間違えたとすぐに気付くのだが、
このところの国鉄さんとの相性の悪さですっかり疑心暗鬼なので、
これは遅延か何かだと思い込んでしまいモタモタ。
近くにいた駅員さんに聞くと、隣のホーム!
時間は出発の1分前!
ヤバイ!いきなりピンチ!
馬鹿でかい輪行かついで、ビンディングシューズのまま、
長いエスカレーターを転がり落ちるように下って、
今度は果てしない上りのエスカレーターを全力疾走で駆けあがる。
ああ、もうベルが鳴ってる〜!!!!!
プシュ〜。ドアが閉まるまさにギリギリ直前にどうにか間に合った〜。
ビンディングシューズでのRUNではおそらく最速タイムのダッシュだっただろう。
それにしてもよくぞ間に合った。自分でもびっくり。
そこから5両分狭い通路を移動して、どうにか自分の席にたどり着く。
ゼエゼエ、いつもながら無駄に崖っぷちだぜ…
大阪ではそれほど混んでなかったのに、京都からどどど〜っと人が乗ってきて
あっちゅう間に満席。
しかも運の悪いことに、前後左右うるさいオバハン集団と、
大はしゃぎのいちゃいちゃカップルに囲まれ、全然寝れへんやんケッ!
結局寝つけたのは小田原から品川のわずか20分ほどのみ。
前日は4時間しか寝てないし、コンディションは最低最悪状態です。
でも、新幹線代を支払った以上、引き返すことはできん!何が何でも自走で帰らねば。
ボンビー魂で完走を目指します。


23:30に東京駅に到着。日本橋に直行するなら東口へ行けばいいのだが、
改装が完了した丸の内口までわざわざ広い駅を横断していく。
東京駅も一応終着駅だったのでパチリ。ちなみに大阪駅は終着駅でない。
写真を撮って、いそいそとマシンを組み立て。
雨はすでに止んでいるようだが、まだ所々路面が濡れている。
天気予報ではこの雨のせいでぐぐぐっと気温が下がって相当冷え込むとのことだったが、
なにやら気味が悪いほど暖かい。これはひょっとしたらもうひと雨あるかも?
今回は予報で冷えるとのことで、いつものペラペラのウィンブレではなく、
山行に使っているモンベルのレインウェアをかさばるのだが持ってきたのだが
とり越し苦労だったか?結果的に持ってきて大正解というか、なかったら凍死だったわ〜。


↓終着駅の東京駅


さっそく、東京駅から出発地の日本橋まで移動する。
路面は雨が乾ききっていない部分が多少ある。
いつもよりも気持ちセンター寄りで走る。
日本橋に着いてとりあえず記念撮影し、その写真をメンバーに転送し出発の連絡を入れる。
方々から、アホかと、正気かと激励のメールが来る。ありがとさん。
今日もアホやっちゃうよ〜。
とにかくアニキからの挑戦状に応えるべくがんばりやす。


メーターで0:00を指したらいよいよ出発(このメーターは5分ほど早い)。
ここから約550kmの道程、果たしてやれるだろうか。大丈夫だろうか。
緊張MAXでドキドキが止まらない。
走り始めて数10m、日本橋の交差点で早くもR1をはずれ、直進してR15(第1京浜)に入る。
京橋を過ぎ、高速をくぐると、
もう日付も変わったというのに煌びやかな銀座のネオンの下を走行する。
ゆっくりと眺めながら流したいところだが、時間は少しでも惜しいし、
何より路肩に停車したタクシーの動きに逐一神経をとがらせないといけない。
新橋からは交通量が減り、追い風基調で35kmオーバーで走行する。
右手のビルの隙間からちょいちょい東京タワーの姿を見ながら、順調に南下する。
田町あたりから、路肩にずら〜っとタクシーの列が続いている。
その列は途切れることなく2km先の品川駅まで続く。
この列は徐行運転で動いているので、細心の注意を払いながら右側を駆け抜ける。
品川を過ぎて新八ッ山橋までひょいっと上がる。
新馬場へ下り、そこから引き続き追い風で35km後半で最初からいいペース。
こんな時間でもそこそこ交通量はあるが、道幅が広いのでそれほど気にならず。
京急蒲田駅のところにさしかかる。
この間は完全に撤去されていなかったレールがすでになくなっていました。
六郷橋多摩川を渡り、早くも東京都とお別れ、神奈川県突入です。
川崎を通過し、鶴見橋を渡ると、一気に車線が減る。


と、そのポイントで後ろから速いペースでローディーさんにパスされます。
なかなかいいペースなので、ちょっとでもランデヴーして、
ペースを稼ごうと追尾(サイドワインディング)します。
40kmオーバーを出して徐々に追いついていくが、
道幅が狭いうえに、交通量がどかっと増え、大型車も多いので、
軽く渋滞気味となり、その間を縫うようにして進みます。
生麦辺りで、信号停止となり、ようやくローディーさんに追いつき話しかけます。
リュックも背負っていて、ペースも速いので、家路を急いでいる方かと思い、
途中までご一緒させてもらおうと、どこまで行かれるんですか?と聞いたら、
「今からちょっと遠出です」とおっしゃるので、
こんな時間にこんなルートで?もしやと思ったら、「大阪まで」とのこと!
おお、ビンゴ!
まさかこんな時期に、しかも同じ夜に同士に出会うなんてビックリミラクルです。
こんなにうれしいことはありません♪
この方、あうさんと言って、元々大阪出身のローディーさんで、
本町の強豪tubiに所属してはったそうです。
すでに今年2回、大阪までのライドを試みたらしいのだが、寒さや体調不良のためにDNF、
今回3度目の正直で、30時間切りを目指しているそうです。
同じ目的で夜中を走る同士がいるというのは自分としても大変心強い、心躍る。
残念ながらあうさんは御殿場ルート、自分は箱根越ルートということで、
戸塚辺りでお別れになってしまうのですが、そこまでご一緒することにします。


あうさんの曳きで快調にR15を前進します。
信号待ちに合わせて自己紹介をしたり、これからのプランについて語ります。
話し相手がいるだけで全然楽しさが違います♪
あうさんばかりに曳かせてしまっては申し訳ないので、
途中で自分も先頭交代をして前を38kmペースくらいで曳きます。
横浜に突入のあたりで進路が複雑でわからなくなり、
そのタイミングで道に詳しいあうさんにバトンタッチします。
横浜もいつも寄ってみたいと思うけど、どうしてもスルーになっちゃうよなあ。
R1に入り、高島町で左折をして西進に転じる。
幅広の快走路は保土ヶ谷までで、横須賀方面へと続く環状1号と別れて右折をすると
車線が減って上り基調となる。
ここは前回、複雑な谷あいに沿って道がクネクネしている丘陵地帯で、
軽く現在地をロストしてさまよいまくった魔の山谷である。
あの時は、ちょうど帰宅ラッシュと重なっていて、
信じられないくらいの車の波に押しつぶされそうな苦しいライドであったが、
この日は深夜ということもあり、交通量はまばら。
むしろそれを期待しての深夜日本橋発なのだが、狙い通りである。
この一番シビアな区間をライドの最初に、
しかも交通量の少ない時間帯を狙って済ますことができるというのは西向きの利点の1つ。


あうさんの曳きで順調に権太坂の鈍い上りを上がっていきます。
あうさんのTIMEは小気味回り、フォームも安定していて、
後ろから見ているとクライマー志向なのかなという印象。(ご本人は否定してましたが)
なかなかいいペースで上りをやっつけるのだが、そのせいで暑い暑い。
あうさんと、妙に今日は暑いですねといぶかしる。
狭い道幅に時折大型が通過していくところを連帯を組んで切り抜けて行きます。
知り合ってわずか1時間もたっていませんが、軽い連帯感も生まれワクワク楽しい♪
不動坂でR1の旧道へと折れる。その先すぐの戸塚駅であうさんとはお別れなので
その前にセブイレにインして、暑いのでコーラを補給しながら、
連絡先などを交換します。
しばし休憩ののちリスタート。
JRをまたぐのだが、ここで大規模な踏切工事がなされていて慎重に対岸へ。
前回は、この踏切工事のせいで踏切をまたげないと思って、別の道に入ってから
延々さ迷うことになったのでした。
ここを越えて、すぐ、戸塚駅前の交差点であうさんとお別れします。
鶴見からわずか30kmしかご一緒できませんでしたが、
ものすごく励みになる素晴らしい出会いでした。
これから自分は湘南へ下ってから箱根峠を、
あうさんは海老名・松田と相模丘陵のアップダウンをこなして御殿場へと、
お互い別のルートで大阪を目指すのだが、
途中途中連絡を入れあっていけば楽しいだろうし、
辛い局面のときには気晴らしにもなって、お互いを支えあうことができるだろう。
互いの健闘を祈りながら、がっちりと握手をしてお別れします。
がんばりましょ〜!!


↓あうさんと戸塚でお別れ


あうさんは交差点を右折して県道22号(ブルーライン)へと入ってきました。
それを見送って自分は直進してR1旧道を進みます。
ここから本道へと合流する地点までは大坂台の少し急な上りをこなしていきます。
今まで話し相手がいたのに急に一人になって孤独が増します。
自らを元気づけるようにダンシングでほっほと合流地点までの上りをやっつける。
前回、逆方向からのときはこの分岐が全く分からずBPへと侵入してえらい目にあった。
確かにちょっとわかりにくい構造だ。
前回はラッシュのど真ん中だったが、この時間帯はほとんど交通量はない。
幅広の幹線道路をひた走る。
藤沢BP出口で、県道30号へと入るのだが、入口が右側レーンなので、
後方から車が来ないかを確認してからそちらに入る。時間帯によっては難しい分岐。
県道30号(湘南新道)に入ったら遊行寺まで急な下りをシュンと降りる。
R467をまたぎ、藤沢のところでJRを越える。
浜見山からはさらに道幅も広がり、他に車も見当たらず独占状態で走る。
まだ進行方向的には若干追い風の恩恵を受けながら快調なペース。
そしてドンツキの浜須賀でR134、湘南ラインに入り西進。
ここもびっくりするほど交通量がない。ただただド平坦の幅広の道をノーストレスで進む。
時折馬鹿でかいタンカーなどが真横を通り過ぎていく。
サザンビーチのあたりでは1車線を潰して工事をしていた。
そのうちトラスコ湘南大橋で相模川を渡る。


↓藤沢BP出口交差点で県道30号へ


この辺りから心配されていた雨がポツポツとやってくる。マズイなあ。
大磯からR1に復帰すると、若干のアップダウンが繰り返される。
雨はどんどん強まる感じで、先ほどまでの生温かい空気が一変し、底冷えする感じ。
ここまでで約70km。序盤から強度高めで走ってきたのもあってガス欠気味。
本当は休憩回数を減らすため、箱根の直前、小田原で休憩をしようと思っていたのだが、
雨脚も強まってきたこともあって、二宮のセブイレにイン。
とにかく温かいものを食べたかったので、カップヌードルカレーとおにぎりでがっつり行く。
地べたに座るとどんどん尻から冷えるので、持ってきた地図の束を挟んで座る。
時刻は4時くらい。戦前にきちんと睡眠をとっていないツケが早くもきている。
補給をしながら、あうさんに初メールで実況報告。
あうさんはすでに御殿場まであと10kmまで迫っているとのこと。
こちらよりもだいぶ先行されているようです。
向こうは山側なので大丈夫かと思ったら、あちらも雨が降り始めている様子。
ん〜、晴れるという予報はガセだったか?
とりあえずがんばって切り抜けましょう。
20分ほどの休憩ののちリスタート。雨は止んでいない。
国府津あたりまではアップダウンが若干あり、酒匂川を渡ると平坦に。
小田原市街に入ると若干交通量が増す。
少し行くとTOYO TIRESターンパイクの標識が。
そういえばヒルクライムチャレンジシリーズ最終戦は明日だったか。
JRをまたぐと少しずつ山あいとなり、登り基調。
箱根登山鉄道と並行しながらじわりじわりと上っていく。
意外とでかい車が頻繁に通る。この辺は道幅もそれほど余裕がないので少し緊張。
箱根新道の山崎ICでは出入り口の工事をしていて、進むべき道が少々わかりづらかった。
当初の予定では三枚橋で左折して、七曲りのある旧東海道を上るつもりだったが、
夜はまだ全く明ける気配すらなく、このままR1でいこうかどうか迷う。
どちらのコースをとるにしても、分岐はまだ先にあるので、
ひとまずトイレ休憩も兼ねて少し先の箱根湯本駅へ行く。
時刻は5:30。セブイレでトイレを借りて、缶コーヒーで暖を取りながら思案する。
夜が明けるまで少なくともあと1時間はある。
県道はおそらく外灯も少なく真っ暗闇だろう…
それにずっと降り続いている雨もあり、トラブル発生のリスクもある。
そう考えればR1の方が確実に外灯もあって見通しも利くし色々安全ではある。
ただ交通量はそこそこあるし、何より距離が10km弱は伸びてしまう。
急な上りが発生する代わりに最短距離でいくということが箱根越えルートの利点なのに
結局距離が延びてはこのルートを選択した意味合いが薄まる。
それに、前回のライドで下った七曲り。みなにお勧めしておいてそれを避けるのも忍びないだろう。
ということで、真っ暗闇を覚悟の上でやはり、予定通り七曲りルートに決める。
要は気合の問題。序盤から弱気になってどうする。


箱根登山鉄道箱根湯本駅(終着駅ではないが、小田急ロマンスカーの終点駅)


リスタートしてすぐにR1から離れ、河鹿荘のところから温泉街の中心へ入る。
東海道へ行く道がよくわからず袋小路にはまってしまいウロウロ。
たまたま通りがかった旅館の人に道を聞いてそちら側へ。
右手に川を望みながらじわりじわりと坂を上っていく。
一旦川の対岸へ渡り、おかだのところで再び川を渡ると、いきなりコンクリの激坂!
なんじゃこら〜。
わずかではあるが、ゆうに20%越えている壁みたいな坂を200mほど必死のパッチで上りきると、
ようやく旧東海道・県道732号に入る。ゼエゼエ。
こんなことなら最初から三枚橋で曲がっていればよかった。
旧東海道に入って、鈍いのぼりが続いていく。
須雲川ICまではホテル街なので明かりが十分あったのだが、
そこから一気に暗くなり、斜度もじわじわと上がっていく。
そのうち、大きな連続ヘアピンがあり、天狗山神社の赤い鳥居が見える。
雨が少し強くなってくる。


↓天狗山神社前のヘアピンところから


ヘアピンを抜けると、湯本の方角が少し開けて東の空がうっすらと見えるのだが、
全然真っ暗で、いつになったら朝日がやってくるのか…
そこからしばらくうっそうとした雑木林の間を道が行き、
斜度がさらに上がるとともに、全く明かりがなく、
手元のわずかな明かりだけを頼りにジリジリと上がっていく。
ああ、暗いなあ。心細い。
斜度もそこそこあるし、雨がうっとおしくてペースが上がらない。
大きく左にヘアピンぎみに回り込んだら、畑宿の集落に入る。
ここでわずかにだが空と山の境界がうっすらとわかるくらいに空が白み始める。


東海道(県道732号)。暗すぎ。寒すぎ。雨ヤメレ。


↓中間にある集落、畑宿に到達


集落内は平坦で、一旦インターバル。
そこを抜けると再びジワジワと斜度が上がっていく。
こんな時間だというのに、時折暴走気味に車が駆け降りてきたり上がったり。
雨脚がどんどん強くなり、これ以上ウェアを濡らすと下りに入ったときに地獄なので、
上りで熱いのだが、箱根新道をくぐるところで一旦停止してレインウェアを被る。
いつものウィンブレだったらきっと防げないくらい強い雨脚だが、さすがにゴアテである。
新道の方は早くもたくさんの車が行き交っている音がし、
そちらに設置されている外灯の明かりがもれて先ほどよりも暗さは改善される。
ダラダラとした森の中の上りを進むと、いよいよ核心部の七曲りの標識を発見。
平均斜度10.1%とある。なかなか骨が折れそうだ。
上りについてはまだ心肺について恐怖心があるので無理せずに行く。
ヘアピンのインがえぐれて厳しそうなので、できるだけセンター寄りにラインをつけて進む。
2つ目のヘアピンのところで再び新道の下をくぐり、次のヘアピンでは再び新道をくぐる。
かと思ったら次のヘアピンで今度は新道の上をまたぐ。
新道と複雑に絡まりながら一気に高度を上げていく。
ヘアピンに次ぐヘアピンの応酬で、おもしろい。
徐々に空の具合も明るくなってきた。ただすっきりとは晴れずに雨模様。
一番の難所で難しいコンディションはつらい。
左右合わせて12個目のヘアピンでようやく七曲がり区間を通過する。
見晴らし茶屋のあたりは少し斜度が緩み少し足休めするが、
そこからすうっと直線的に再び斜度が上がっていく。猿すべり坂である。
そこをジワリジワリと上っていくと、その先に再び連続ヘアピンが現れる。
そのあたりで新道からは外れて、緩いのぼりが続いていく。
お玉ヶ池を過ぎると、箱根湯本からの約11kmの長い上りが終了。
約1時間ほどで上がりました。


↓真っ暗闇の中、いよいよ七曲がりへ


↓箱根新道と交差


↓こんな斜度が何度も押し寄せます


↓12%表示。七曲がりの1.2kmの平均は10.1%


↓猿すべり坂のところのヘアピン


畑宿入口でR1と合流し、元箱根まで少し下る。
めちゃくちゃ寒くて、芦ノ湖には低く霧が垂れこめている。
さすがに下界と比べても寒く路面はベチャベチャで底冷えがひどい。
元箱根から箱根関所までは緩くアップダウンをこなし、
遊覧船乗り場のところで軽く記念撮影。寒い。厳しい寒さ。
なのに半袖シャツにショートパンツでランニングのトレーニングをしている人が結構いるからびっくりする。
さすが駅伝の聖地。
ここではすぐにリスタートして、再び短いのぼりをこなして道の駅箱根峠でトイレ休憩。
時刻は7:30。ここの電光表示は3℃。雨と風で体感は当然もっと寒い。
眠気MAXだが、室内で休憩をするところがない。
缶コーヒーで暖をとって、下りに備えてウェアを整える。グローブが雨にぬれてびしょびしょ。
ここから三島まで15kmの下り…。
寒くてどうにかなりそうだが、こんなところでモタモタしてたら余計に冷える。
せめて雨よ止んでくれ〜。
連絡を入れてみるとあうさんはすでに富士川を渡っている。
45km、2時間チョイくらい先行されています。
新道と合流してすぐに箱根峠に到達。


↓冷え冷えの芦ノ湖


道の駅箱根峠から箱根山方面


↓箱根峠は気温3℃…


さて、峠を越えたら下りです。路面はべちゃべちゃ。
風も軽く舞っているような感じで気が抜けない感じ。
さすがに前の週のハチ北ほどまでサバイバルではないが、
あそこと違ってここは幹線道路で、すでにそこそこの交通量がある。
大型車も遠慮なく水しぶきをあげて横を通過している。
一旦バランスを崩したら大事故間違いなしなので、安全第一で慎重に下る。
下りの序盤は路肩も十分で幅広なのだが、路面の上にたまっている水が滑る!
そして跳ね上がる水しぶきで眼鏡が曇る!背中が跳ねた水で冷える。
いいことひとつもNothing。
大型のトラックが頻繁に通過するのだが、水は浴びせてくるし、
ただでさえ危ういバランスを崩す風圧が押し寄せて、難易度が高い。
くねくねとタイトなカーブも連続していて、
とにかくハンドルを抑えつけながらペースを落として進む。
徐々に前方の眼下に三原の街並みと、駿河湾、その向こうに雲に隠れがちな伊豆半島が見える。
なかなか壮観な長めである。
ずっとフルブレーキングで上半身に力が入って非常に疲れるので、
見晴らしのよいポイントで休憩がてら写真を撮りつつ下る。
富士見平まで来たが、富士山の姿は全く見えない。裾野すらわからないほど雲が集まってきている。
ここからは道幅も狭まり、車との距離も近くなるし、路肩の汚れ具合(石や枝の散乱)も悪くなるので
いっそうに慎重に下っていく。
それにしても交通量が多い。幸いにして下っていくにつれて雨脚は弱まってきた。
といってすぐに状況が好転するわけではない。
冷え切ったた体をさらに緊張で固まらせながらガッチガチのダウンヒル。地獄だぜ。
大曲を越えたところで、前回のライドでドルクス君に再開したポイントに差し掛かり写真撮っとく。
徐々に斜度も緩みだし、路肩もわずかに広がってきて少しずつ楽になる。
三原塚原ICで交通量がドバドバと増える。路線バスも登場し、軽く渋滞気味。
ここからは再び斜度が厳しくなり、フルブレーキングで残りも神経をとがらせながら下る。
谷田東小山でR1をはずれ、県道22号に入ってようやく安堵する。
本当なら、遅れ気味の行程を下りでペースを上げて帳尻を合わせるつもりが、
上りよりも難易度の高い下りにペースをあげれずに思った以上に時間がかかってしまった。
とにもかくにも、最大の難所である箱根は越えた!


↓ウェット路面、要注意!


↓三島・沼津を望む


↓振り返って湯河原方面の山々


↓ドルクス君と再会を果たした地点


三原の市街地を細い生活道である県道145号で通過する。
八幡でR1をまたいで、県道380号に入る。雨がまた少し降ってきた。
箱根の上り下りで想像以上にエネルギーを使ったのと、
難所を抜けたという安ど感から、この辺りで睡魔がヤバイ感じ。
今すぐにでも休憩を入れたいのだが、
それでも少し遅れ気味だし、予定では富士川のそばの道の駅富士で休憩を予定していたので
そこまでの20kmはやっつけておこうと我慢して走行する。
西間門からは海岸沿いなのに一切海の見えない残念ロードの県道380号の直線道を走る。
ここがひたすら単調で、眠気がもはや我慢できないほど猛威をふるう。
勝手に瞼が落ちてきて、非常に危うい。
交通量もそこそこあるのでフラフラできないのだが、気付いたらセンターよりにブレたり、
自分でも明らかにヤバイ状態だというのを自覚するほど。
しかしこの区間はもはや店らしい店がない。
海岸のキワなので吹きすさぶ風が容赦なく、外で休憩するわけにもいかず、
大声を出したり、自ら方を平手打ちしたり、どうにか目を覚まさせて走る。
チャリで走っていてこれほど眠気にやられそうになったのは初めてだ。
槍で県道170号に入り、多少交通量が減り、少し安心。
もはや失神寸前の状態でダラダラと吉原駅を通過。
眠い。眠い。すぐに枕と布団を持ってきてくれ〜。
田子の浦を過ぎて、R1に合流すると、前方にマクドの看板発見!
これは助かったと、大急ぎで駆け込む。時刻は9:00。
モーニングセットを注文し、出来上がるまでにみんなにおやすみメールを入れる。
室内は暖房が利いているので濡れた衣服を脱いで、シートにかけ少しでも乾かす。
暖かいコーヒーでホットドッグやらハッシュドポテトを流し込んだら、
どかっと机に突っ伏して失神。まだ200kmも走っていないのにもう限界っす。
完全に意識を失い、はっと気付いたらすでに30分が経過していた。
やはりライド前のコンディショニングが最悪過ぎました。
あわてて支度をしてリスタートします。
あうさんはその間に、静岡タウンを越えて、宇津ノ木峠に差し掛かっている模様。


リスタートしてすぐに、新富士川橋で富士川を渡ります。
雨はすでに止んでいるが、黒い雲がまだいたるところに垂れこめている。
前回はここから見事な富士山が姿を現してくれましたが、今回は全く存在すら確認できない。
日本一でかいはずなのに、まるで神隠しでもあったかのようだ。
富士川を渡ったところは階段なので、わずかに担いで道路へ降りる。
通常のルートは、ここから山側の県道396号へ入るのだが、
そこまでいかなくても道があるかもと、JRをまたがずに並走する道を行くことにする。
新蒲原駅を過ぎ、密集する住宅の間をするする抜けると、
JRとR1BPとの間の狭い間に一本、センターライン付きの走りやすい道を発見。
県道396号は何気にアップダウンの応酬なのだが、こちらはド平坦で楽ちん。
東名高速とクロスするところでJRも一緒にまたぎ、県道370号へ。
ここから先は港の宿場町の風情があってよろしい。
時間が許せば、生シラスや桜エビなんぞを堪能したいところだがスルーです。
由比の駅前で一旦グイっと上ってから、寺尾の交差点でR1BPにぶつかる。


↓おーい?富士山どこだあ?


↓同じ新富士橋から撮影。前回はこんな感じ


長めの信号待ちをしている最中にぱしゃ君から入電。
とりあえず信号を渡っておいてかけなおす。
ぱしゃ君はニューマシンを購入したらしく、
それもBMC SLRという超高級、高スペックマシン!
それを興奮気味に話すもんだから、この吹きすさぶ海岸線で15分も電話でつぶれてしまった…
翌日、タイミングが合えばどこかまでお迎えをしてくれるそうな。
さて、気を取り直して、太平洋岸自転車道を進みます。
時刻も10時ごろということで地元のサイクリストたちの姿もちらほら見かけるようになる。
信号を渡ってすぐは狭い狭いガードレールの間を進む。
そこを抜けると、幅広の駐車場を抜けます。
が、そこはサラサラの砂が路面に乗っているので滑らないように慎重に。
そこを越えて、食堂の脇を抜けたら、防波堤のコンクリ部分を走ります。
向かい風がそこそこあるので、姿勢を低くしながらペースを上げていきます。
海も見えんし、山も見えんので、とにかく突っ切る。
ホテルのところで、興津川を渡るところでようやく海が見える。
そのままひたすら堤防を走っていたのだが、
前回自転車道に入った西側の入り口への分岐がわからず、そのままスルーしてしまう。
堤防のドンツキにBPをくぐる小さなトンネルがあり、
そこを抜けると見覚えのない場所に出る。とりあえず進行方向へ進むと、
マックスバリューの裏手に出て場所を確認。
西側からきたらかなりわかりづらいポイントのではあるが、
次回走る際はここから自転車道に入った方がタイム稼げる。


↓寺尾から太平洋岸自転車道に入る


↓大阪側からだとここを右折する


↓ちょっとわかりづらいが、ここから太平洋岸自転車道に入れる


自転車道を出てそのまま公園沿いの道を直進。BPをくぐるところでR1に復帰。
東海道をまたぐために少し上り、そこから徐々に交通量の増える道を南へ。
清水駅のところでR1は大交差点で右折するので、二段階でそちらへ。
しばらく進むと今度は大きく左へと曲がる。
大曲からは車線も増え、幹線道路然とした趣となり、交通量もさらに増す。
新幹線の効果をくぐると、周囲の街並みも一気に都会となっていく。
東静岡辺りでは再開発のあおりで、路肩工事中のところを一気に抜ける。
そうするともうそこは静岡市街。
ちょうど時刻は12時前。
ここから2発ちょっとした峠越えがあるし、休憩をはさむことにし、
静岡と言えば、やはり、おでん、おでんといえば「おがわ」ということで、
駿府城の裏側から浅間通りへ。
お目当てのおでんをコーラで流しながら、腹を満たします。
ああ、ビール飲みて〜。
店番のおっちゃんが、めちゃくちゃ落語家チックな話し方で、
東京からチャリで来たと知って色々話が盛り上がりました。


↓おがわで静岡おでんにありつく。本ライド唯一の贅沢


ということでひとまず180kmかけて静岡まで来ました。
しかし、静岡は果てしなくどこまでも西へ続いているのであった。
つづく…