記憶の残滓 by arkibito

「マジメにアソブ、マジメをアソブ」をモットーに、野山を駆け、コトバを紡ぎ、歌う。

『松田美緒 エーラ(έλα)』発売記念+CHOVE CHUVA16周年特別ライブ!」 at CHOVE CHUVA

土曜日の晩。家族4人そろって、
“歌う旅人”松田美緒さんのライブに行ってきました。


去年だったか、おととしだったか、深夜に、
『ニッポンのうた “歌う旅人”松田美緒とたどる日本の記憶』という
ドキュメンタリー番組をやっていたのを偶然見た。
自分と同い年の松田美緒さんが、
日本の農村や漁村で語り継がれてきた
子守唄や●●節、盆踊りといった、
生活の中から自然発生的に生まれてきた歌を発掘し、
それを後世に歌い継いでいくという
プロジェクトを追ったものでした。
その文化人類学的なアプローチの面白さと、
松田さんの母なるヴォイスとでもいうような
力強くのびやかな歌声、
そして、土に深く根差した歌のもつ
根源的な生命力と美しさはもちろん、
時に残酷で、もの悲しい歴史を帯びた調べの
虜になってしまいました。


ぜひ一度生でその歌声を聴いてみたいと、
夫婦そろって機会をうかがってたところ、
新盤リリースの記念で大阪であるということで即予約。
靭公園に面した「CHOVE CHUVA」という
老舗のブラジリアン・カフェでのライブです。
ちょうどお店の周年記念も兼ねているということもあり、
店内は超満員でした。


↓靭公園にあるCHOVE CHUVA


↓異国にトリップ


↓Marcelo Sakuma(VIVARIO) によるブラジル・ポルトガル料理も!


今回は、ニッポンの歌ではなく、新盤からの曲がメイン。
松田さんの活動の舞台は日本だけではなく、
自身が第二のふるさとと呼ぶ、バルカン半島や、
ギリシャ・トルコといった地中海、
そしてポルトガル・大西洋、あるいは南米の
様々な民族音楽、つまりファドやジプシー音楽、
クレオール音楽、オスマン音楽、
ボザノヴァ、サウダージなどを
現地の言語で抒情的に歌い上げます。


例えば最後の曲『サイコー』では大盛り上がりで、
あちらこちらから「サイコーだよ♪」と声が上がり、
カーニバルのような熱気でした。
ちなみにこの『サイコー』は、西アフリカの沖合、
大西洋にポツンとある島で今でも歌い継がれている漁業歌。
1960年代に、ニッポンの漁船がマグロを追ってこの地まで遠征しており、
日本人が発する「最高」という言葉の響きが面白いということで、
現地の人がその言葉を残したのです。
そういう雄大でロマンあふれる物語がそこかしこにあふれていて
それが音楽という共通言語によって
時代や場所を越えて繋がっていくというのが
本当にすごいことだなあと思います。


↓超満員でライブスタート


松田さんの生歌は初めてでしたが、
まるで大いなる母の声で、ものすごく説得力があり、
一気に引き込まれてしまいましたし、
ギター・ブズーキを担当した山口亮志さんの
粘りつくようなギターも、
太田恵資さんの、リズミカルで饒舌なヴァイオリンと、
まるでモスクの祈りのような
しゃがれたコーラスがたまりませんでした。
このトリオ編成はホント最高の組み合わせだと思います。
スバラシイ!


↓海外のバルに迷い込んだような熱気


時に哀愁を多々酔わせ、時に小気味良いステップを踏み、
そして会場全体からたくさんの手拍子と、
思い思いに体や机を叩いてリズムを刻む音のうねりが
会場を包み込み、
まるでイベリア半島のバルに迷い込んだような熱気に包まれました。
娘も楽しそうに手拍子で囃し立てておりました。
これはもうおとぎ話のような夜で、
ほんの2時間ちょいでしたが、
疑似世界旅行を楽しむことができました。


↓力強い歌声


ライブ後は即席のサイン会で、
いろいろお話をさせてもらいました。
長女の名前をいたく気に入ってくれて、
娘もとてもうれしそうでした。
同じ年の人が、こんなにも素晴らしいことを実践しているというのは
とてもうれしいことで、これからも応援していきたいと思います。


↓記念撮影


↓サインいただきました


↓こちらにも





エーラ

エーラ


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