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記憶の残滓 by arkibito

2016-09-20

現代演劇レトロスペクティヴ<特別企画> AI・HALL+生田萬『夜の子供2 やさしいおじさん』

それは偶然が偶然を呼び、

生まれた小さな奇跡だったのかもしれません。


土曜日の深夜にたまたま見ていたバラエティ番組に、

片桐はいりさんが出ていて、ちょうど流れで、

元々の出身はどこ?という話になり、そのとき発せられた言葉、

それが「ブリキの自発団」!

長年頭の中に漂っていた最後のミステリーの一つが、

ついに解き明かされた瞬間でした。


自分の文化的な嗜好に一番影響を与えてきたのが

実は母親だったというのがこの年になってよく思い知らされます。

うちの母親は音楽とか映画とかかなりマニアックな面があって、

いつもステレオからは、ジャンゴ・ラインハルトや、ピアソラ

ムスタキなんかの曲が流れていましたし、

そういうのをまだ自己の記憶がはっきり形成される前、

小学生低学年の頃から、無意識の表層に植え付けられてきたようで、

それらが自分の原風景として今になってふっと湧き上がってくるのです。

ただそれらの中には、当然おぼろげなイメージだったり、

ほんのわずかな断片としてしか思い出せないものもたくさんあり、

その正体が何だったのか、誰の、何の作品だったのか、

検索しようにもそのとっかかりとなるようなヒントすらわからないものが

いくつもあります。


その中で、長年そのイメージだけが何度も押し寄せては増幅し、

その正体をつかみたいと思いながら、

全く手がかりのなかったもの。

それは、昔、母に何度も見せられていた演劇だったのだけど、

怪しげな仮面や衣装を着けた人たちがぞろぞろと練り歩く様子、

「全自動オートメーション工場」というフレーズ、

真夜中に子供たちが奇想天外な旅をするという話だったか、

とにかく誰が演じていて、どんなあらすじで、

どんな作品かは全く分からないまま、

そういったおぼろげなイメージだけが、

ずっと頭の中にモヤモヤとあったのです。

その作品はまさに、

80年代の小劇場ブームを席巻した劇団「ブリキの自発団」による

『夜の子供』という作品だったのです!

ちょうど観た映画『君の名は』のように

大切な存在だけど、夢が目覚めてしまえば思い出せない

その相手の名前・存在にやっと巡り合えたかのようでした。


一気に謎が解けて、あまりにうれしくなって、

さっそくネットでいろいろ検索をしていたら、なんと!

この週末に伊丹AI・HALLで、

ブリキの自発団の主宰だった生田萬さんが、

『夜の子供2 やさしいおじさん』という作品を上演中というではないか!

30年来の謎が解けたちょうどそのタイミングで、

地元の劇場で、後継作品がやっているなんて、

これはもう行くっきゃない!

さっそくチケットを手配して伊丹AI・HALLへはせ参じました。


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今回の作品は、1986年、バブル絶頂期に生まれた『夜の子供』の続編として、

バブル崩壊期の90年に上演されたもので、

今回、作者の生田萬さんが、

オーディションで選ばれた関西の若手演者たちとタッグを組んで、

演出に挑んだものです。


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20世紀(ニジッセイキ)最後の大晦日の夜。

とある売れない少女漫画家ヤスベーが、

東京オリンピックを目前に控えた1964年の夏の日を追憶しながら、

マンガを描いていくうちに、

現実の世界と虚構の漫画の世界の壁が徐々に崩れ去り、

あの年眩しかった少年少女たちの甘酸っぱくも苦々しく、

とにかく得体のしれないエネルギーがスパークするような日々の情景が、

にょきにょきと目の前に現れるのでした。


「われ思う、夢にわれあり」

「さよならニジッセイキ」

「お座敷小唄」

「僕があの日飲まなかったコカコーラ

「ペンシルキャップの宇宙ロケット

東京タワー舞妓さん付き灰皿」


ノスタルジックを掻き立てる極めて詩的な言葉の数々と

二次元的でダイナミックな表現方法。

2000年大晦日の現実と1964年の虚構を絶妙に行き来する

時代転換・舞台転換の面白さ。

そして何よりも、舞台に対する並々ならぬ熱意がビンビンと伝わる

なんともいえない生っぽさが、どうにもスバラシイ!

特に、主演のヤスベーを演じたサリngROCKさんのなんともいえぬ存在感が気になった。

ちょっとこれから演劇にも注目していきたいなあと思いました。

とにかく今はこの素晴らしい演劇に出会えた喜びを、

コカコーラで祝杯を挙げたいと思います!


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2016-09-18

『君の名は』 by 新海誠

日曜日。

次の仕事に関連があるので

今話題の『君の名は』を観に。

おっさん一人で行くのもこっ恥ずかしいので長女と一緒に。

webで梅田の劇場を予約しようとしたら

すでにどの回もいっぱいだったので、大日イオンまで。

さすがの人気もあって

なかなかエンターテインメント作品としては楽しめる作品でした。

小学生の娘にもわかりやすい話の内容で、

映像も美しく。

こういう作品が今のメジャーになってきたのだなというのが実感。


ただそれが今後の日本のクリエイティブの発展にとって

いいのか悪いのか。

うまい例えではないけれど、

津軽海峡冬景色』のような奥深くて抒情的な歌に対する

恋するフォーチュンクッキー』のような感じというか、

地元の市場で売ってる新鮮で不格好な野菜に対して、

徹底管理されたトップバリュー製品というか、

こういう味付けが濃くて中毒性のある

インスタントなものばかり味わってたら

きっとヤヴァイだろうなあという怖さがあった。

辛口映画評論家としてはちょっと言っておきたい。


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本作の一番の魅力は何といっても背景の精密な描写だろう。

監督の出身地である長野県の諏訪や飛騨地方、

そして東京の風景はまるで本物そっくり。

実際にそのシーンの元になった実物の場所を訪ねる

聖地巡礼も盛んにおこなわれているという。

確かに背景の描写はすごい。

でもそのすごさが、作品の本質である物語の薄っぺらさを

補うというより包み隠す巧妙なすり替えになっていて、

どう、この背景の描き方すごいでしょと

半ばクドイほどの強引さを終始感じた。

背景の描写の精密さというのは、本作に限らず、

日本アニメお家芸ではある。

でも、例えば宮崎アニメの背景の精巧な描写は、

それ自体が作品の主役なのではなく、

物語をより身近にリアルに感じてもらい、

その世界観へスムーズに導入するための

手段の1つに過ぎなかったはずだ。

または、重厚な物語に耐えられるだけの

ビジュアルのクオリティを追求した結果だろう。

確固たる物語。伝えたいメッセージがまずあって、

その骨組みを確かに肉付けするものでなければ

それは単に風景を模写しただけのことに過ぎない。

模写を自慢するだけだったら、それは映画とはいいがたい。

なぜなら、映画とは総合芸術だからだ。

例えば、英語はコミュニケーションの一手段で

習得した英語で何をするのかが大事なはずなのに、

それを学ぶということだけが目的化し、

そのちっぽけなステータスに満足してしまうような小さな人間がいるが、

それと同じような目的と手段の取り違えが大いにある。

背景の描写の精密さというのは作り手も見る側も、

その審査基準が明確でわかりやすいポイントだが、

情熱と労力を注ぐ方向性が割合がどうも違うような気がする。

背景の精密な描写は金と時間をかければ、誰でも実現可能なこと。

それを実際やるかやらないかというのは

確かに大きな差であり、評価されるポイントではある。

でもクリエイターにとって肝要なのは、

現実にあるものを模写することではなく

想像力の豊かさにあふれた物語性や、

誰も考えもつかなかったような世界観を

表現することでなくてはならないと信じたい。


続いて気になったのは演出過多、

特に音楽が雄弁しすぎて、

はっきり言って余計な場面が多かった。

画と音の関係性というのは映画にとっては

おそらくもっとも重要な要素で、

音楽の壮大さで無理やりクライマックスを盛り上げるような

程度の低い作品は、国内外問わず山ほどあるが、

映像にそれらしい音楽を乗っけてさえすれば

もっともらしい作品になるし、

逆にその使い方を誤れば、全く拍子抜けすることもある。

まさに演出のキモ。

本作ではもっと登場人物の感情に寄り添いたい、

感情移入したい感じる場面でも、

いちいち過保護に曲を乗せてきて、

それがインスト曲ではなく、

歌詞付きなので歌が画に勝ってしまって、

感情の余白というか見る側が入り込む隙間が

一切なくなってしまうことがあった。

あれが久石譲さんならもっとうまい塩梅でやるんだろうし、

物語に自信があれば、あえてキモのシーンでは

一切の音をつけずに画に集中させることだってできたはずだ。

何でもかんでも味付けを濃くすればいいというものではないし、

ここでもやはり物語の薄っぺらさをひた隠しているかのような

自信のなさを感じました。

バラエティ番組で、ネタはたいして面白くないのに、

テロップを多めに入れて笑いを盛られているようなあの感覚に近い。

自信がない人ほど音楽に頼る、これ、映画あるあるですね。


あと、意外な問題はそれを見る側のクオリティの低さ、

とくに感動に対する敷居が恐ろしく低い。

これは本を読まないという世代指向の問題、

スマホでのコミュニケーションが当たり前の世の中では

レスポンスのクイックネスがことさら重要視されるようになったり、

LINEスタンプやインスタ投稿のように

中身ではなくヴィジュアル至上主義になっているという点がやはり大きい。

要は物語の精密さではなく見た目重視、

文脈をじっくり読み解くのではなく、

手っ取り早く面白いということが求められる世の中になったということだ。

見る側の指向のレベルが高くなければ

クリエイターは絶対に成長しないし、

逆に成長しないクリエイターの作品がスタンダード化すれば、

見る側のレベルも高くならない。

今の世の中、双方が面倒くさいプロセスを取っ払って、

横着をしている気がします。

その面倒くさいプロセスこそ面白い醍醐味のはずなのですが…


これは別にアニメに限った話ではなく、

実写の邦画やTV番組、漫画、音楽、そして現代アートの世界ですら…

あらゆるクリエイティブであるべき世界で起こっている現象。

実際、映画が始まる前の予告でも、

同じようなテーマ、同じようなキャストが、

2Dか3Dか表現方法が少し違うだけでやっていることは

全く同じことをしている作品のPRばかりで愕然とする。

(胸キュン少女漫画原作を若手実力派俳優と呼ばれる人たちが演じるのばっか)

それらには、何かを表現したいとか、何かを生み出したいとか、

やりたいことをとことんやるという

自分の内面から湧き上がってくるパッションではなく、

何が売れるか、何がウケるかという

他人からの評価を出発点とする打算しか感じ取れない。

そこにイマジネーションはあるのか。

そこにクリエイティティはあるのか。

面白ければ、話題性や興行がよければ名作というわけでは決してない。

残念ながら、同じアプローチを続けるようなら新海さんや細田守さんは、

宮崎駿押井守にはなれそうにない。

2016-09-17

『ペンギンのいるところ』 by さかざきちはる

土曜日。

いつものブックストアに、

絵本作家イラストレーターさかざきちはるさんのサイン会に行ってきました。

関西ではあまりなじみがないかもしれませんが、

例えば、JR東日本suicaのマスコットのペンギンとか、

千葉県のマスコット、チーバ君、

ほかにもダイハツのカクカクシカジカ、クーネル君など、

シンプルながらとっても味わいがあって

チャーミングなキャラクターを描いている大好きな人です。


今回は初めての作品集を出版する記念で、

関西でのイベントは初開催。

2人の娘もぬいぐるみや絵本が大好きで、

1人ずつ本を購入してサインをいただきました。

サインにはそれぞれに即興でイラストを描いてもらいました。

下の娘が『おいしいね』という絵本が大好きでよく読むんですが

すぐに噛み噛みしがんでしまうんですとお伝えすると、

それは絵本冥利に尽きますと言っていただけました。

会場では作品展も開催されていてたくさんのプリントスクリーンが並んでいて

そこから1つ気に入った作品を思わず購入してしまいました。

作品展が終わって我が家にやってくるのが楽しみ♪


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2016-09-15

力作

長女がこの間参加した「アンサンブルズ東京」を画にしました。

なかなか細部まで描かれていて力作だと思います。

楽しかったんだな〜


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2016-09-10

アンサンブルズ東京 いよいよ本番!

日曜日、午前中のリハーサルを終えたら、

本番集合の18:00までは自由時間。

ちょうど奥さんたちが銀ブラをしているところだったので、

そちらに合流して、お買い物とお昼ごはん。

そこから東京駅へ戻り途中に、

東京国際フォーラムで行われていた東京JAZZをちら見。

そのあとはキャラクターストリートとおかしランド。

あまりの混雑ぶりで疲労困憊で、

後の時間は丸の内ビルのカフェで休憩タイム。


そのあと1時間前に会場へ。

イベント自体は15:30から始まっていたので

他の出演者の演目を拝見。

そして18:00となって、控室のテントで集合。

山形からカムバックしたいしいさんと

郁子ちゃんを中心に集まって決起集会。

段取りの最終確認をして、エイエイオー。


↓直前に決起集会

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↓いしいさんといくこちゃんとがんばろう!

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一度本番前に舞台チェックでみんなでステージに上がり

立ち位置とかを確認。

午前中に上がった時より機材が増えていたり、

子供用の低位置マイクが全然違う場所に設置されていたりしたので調整。

で、いったん舞台裏に下がり本番前に記念撮影。

みんな楽しもう♪


↓もうじき本番

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↓舞台裏

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↓本番前に記念撮影

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いざ本番になったらもうとにかく楽しいだけ!

ちょうど真正面に東京駅のライトアップが浮かび上がり、

際までお客さんがざわざわしていて、熱気むんむん。

自分はちょうど郁子ちゃんの真隣。

郁子ちゃんが進行の合図を出してくれるので

本当にやりやすかった!

ソロパートのところもうまく行き、

娘も比較的長いセリフでしたが噛まずに言えました。


↓ソロパート

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クラムボンのライブではおなじみのシャボン玉が用意されて

ステージ上で子供たちがプカプカ。

とっても心地よい。

みんなで歌う「東京駅〜♪」が何度もリフレイン。

簡単なコトバに、シンプルなメロディなのに、

とても残るフレーズ。


東京駅〜♪

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前半のバラバラ駅パートが終わると、

一気に大盛り上がりの中間パートへ。

そこから後半パートのメンバーや、

トクマルシューゴグループのメロディー隊、

フレッド・フリスさんや芳垣安洋さんとOrquesta Nudge! Nudge!

他のワークショップのみなさんもステージになだれ込みます。

ボルテージ最高潮の中、

大友さんのエッヂの効いたギターリフに合わせて

全国各地のICカードをシャウト!

「はやかけん」で決めポーズ!


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そこから後半の東京駅パートに入り、

メロディーをみんなで歌います。

「便利そうだけど、わっかりにくい! ああああああ〜!」

「万馬券当ててその金で食べた〜」

「ちょっとドキドキしてる〜50過ぎで初めてのステージ〜」


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そこからは、「上り」「下り」の大波小波で会場を包み込み、

お客さんもみんな一緒に巻き込んで、

みんなで「東京駅」の大合唱が終わらない!

スゴイ!スゴイ!

本当にその場にいるすべての人の想いが一つに昇華して

これほどHAPPYでPEACEFULな時間はないというくらいでした。


↓大盛り上がりのフィナーレ

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本番を終えて、帰りの新幹線までのわずかな時間で

舞台裏でみなさんと記念撮影。

本当にこんな機会を作ってくれた

大友さんやいしいさん、郁子ちゃん、スタッフの皆さんありがとう!

そして一緒に舞台に上がって歌ったメンバーのみんな!

サンキュー!サンキュー!サンキュー!


↓いくこちゃんと

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↓いしいさんのとこに上がってた通しフルバージョンの動画です