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記憶の残滓 by arkibito

2016-08-19

子連れハイク はじめての北ア 蝶ヶ岳 詳細編

さて、充実の前穂〜奥穂の山行を終えたわずか2日後に

再び北アルプスへと舞い戻ります。

今回は単独行ではなく、

今年に入って勢いづいている長女を連れての子連れハイク

娘はもちろん、本格的な高所登山は初めてだし、

2泊3日で母親と離れるのも初めて。

山歩きに関しては彼女の能力はもう実証積みなのだが、

色々な不安を解消するために、万全を期すことからスタート。


まずは日程です。

1人なら蝶ヶ岳へは一泊でも十分ですが、

そんな過酷な行程は無理なので、

1日目は横尾もしくは徳沢泊、2日目は蝶ヶ岳泊、

3日目は下山・帰阪というプラン。

お盆時期が意外と登山客数が減るので

元々そこを狙っていたのですが、今年は特殊事情があり、

8/11(木)が初めての「山の日」を迎えるということで、

その前後3日間は記念式典開催の影響で、宿泊は一杯だし、

交通規制がかかったり、色々と読めない状態だった。

できれば、帰ってきたばっかりで疲労もあるので、

1週間ほどインタバールを開けたかったのだが、

1日目の横尾or徳沢の宿泊予約状況がこの週末は一杯で、

空室がある中で検討した結果、

ベストだったのが8/10(水)だった。

山上の蝶が岳ヒュッテの混雑具合だけが読めなかったが、

宿泊する11日は下の上高地に人が集中して、

山上まで上がってこないと予測できた。

(実際快適だった♪)


荷物も、基本的には自分の荷物は自分で持たせるのだが

何かあった場合のエクストラの着替えだったりなどは

こちらのザックに詰め込むので思ったよりボリューミー。

あとせっかくならあの広い穏やかな山上で夜間撮影をしようと

重い三脚をむりやり突っ込んだので、結構な重量となりました。


出発当日。6時には起床し、

7:03の新大阪駅発ののぞみに乗り込む

久々の新幹線に娘もワクワクドキドキ。

あっという間に名古屋に到着したら、今度は特急しなのに乗り換え。

早起きしたせいもあって、娘はほとんど眠りこけておりました。

松本駅に着くと、「ま〜つもと〜、ま〜つもと〜」というアナウンスに、

娘は反応して、ずっと真似をしておりました。

一旦下車をしてアルピコ交通のチケットを購入。

新島々までは電車でそこからバスに乗り換え。

バスは臨時の2台体制になったため、

後続車を定期便として、

我々が乗る先行車は途中バス停をすっ飛ばしての特急に。

臨機応変の対応はありがたいです。

運転手によるとつい2日前にはR158で事後が発生して

3時間も交通がストップして、乗り継ぎができなかったらしいです。

そういうリスクもあるのねん…

バスでは娘は、徐々に深くなっていく山の様子や、

3つあるダムを自分のカメラでバシバシと撮り続けておりました。

予定よりも10分ほど早く12:40に上高地BSに到着。

大阪から約5時間30分。やっぱりなんだかんだ遠いねえ。


↓3日ぶりの上高地

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3日ぶりの上高地です。特に感慨はありませんが、

翌日の式典にむけて、BSの駐車場一帯にテント会場が設置されていて

そのために若干バスの出入りが大変そうでした。

ちょうどお昼時ということもあり、出発前にお昼ご飯。

車内で寝てしまって食べそびれた駅弁をベンチでしっかり食べます。


山の日制定の記念式典会場

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30分ほどでお昼を済ませたらいざウォーキング

河童橋はものすごい人だかりです。

娘がかわいがっているカッパのぬいぐるみたちが売店にあり、それに喜ぶ娘。

河童橋からは先日登ったばかりの前穂〜奥穂の吊尾根が見事に見えていて

本当にいいお天気。

娘も高原リゾートの雰囲気を楽しんでいる様子でした。


河童橋わたし

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さて、時刻は13:30。

17時までには横尾山荘に到着しないといけません。

横尾までは約10kmの道のり。

普通に行けば3時間あれば行けますが、娘のペースもあるので、

ほとんどちょうどくらいのタイミングなのでそろそろ歩き始めます。

小梨平からは木立の中を進むので、直射日光がなく、

この日はそよ風が吹き抜けてとても心地よし。

川の対岸の明神岳が見えるポイントでは娘は、

文春の記者バリにカメラをバシバシ。

観る者すべてのスケールが今まで体験したことのないものなので

純粋に驚き、楽しんでいる様子に目を細めます。


↓カメラ小僧

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それほどアップダウンもなく、娘の足取りも快調で、

15時前には徳沢園に到着。

これで約束の17時までに横尾に間違いなくつくメドがつきました。

ここでちょっとブレイクということで、

徳澤名物のソフトクリームを。

どこから来てもずっと歩いてこなければ味わえないからか、

ここのソフトクリームは美味しい。

娘も口の周りをベチャベチャにして味わっておりました。


↓徳沢でソフトクリーム♪

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15分ほど休憩をしたら、残りの道をやっつけます。

さすがにこの時間、人通りがぐっと減ります。

娘もさすがに少し足にきたようで、疲れた〜と言いながらも、

ペースを落とすことなく、他愛もないおしゃべりをしながら歩きます。

横尾には16:12に無事到着。


↓横尾着

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すぐに寝床の受付をします。二段ベットの上下を確保しました。

同じ部屋ですぐ真上とはいえ、

実質一人で寝るのがはじめてな娘が気がかりですが、他に手立てはありません。

寝床に着いて、まずは荷物の整理をしていたら、

娘は二段ベッドがいたくお気に入りなようで、

用もないのに梯子を上ったり下りたり、超機嫌よく元気。

そんなに元気ならちょっとお散歩ということで、

暮れなずむ横の谷にかかる名物の吊橋の下に出て、少しばかり川遊び。

水が冷たい!


↓本日の寝床

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しばらく外遊びをしましたが、夕食まではまだ時間があったので、

先にお風呂を済ませます。

当然ながら男女別々で、娘一人で心配でしたが、

まあそれらにりちゃんとやったようです。

風呂あがりにお父ちゃんはおビ〜ル、娘はジュースで乾杯♪

ぷはあ。

晩御飯となり、食堂へ。

周りのおっちゃんおばちゃんに色々質問攻めにされてご満悦の娘。


↓お風呂あるよん♪

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↓夕食

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夕食後はすることもなく、

寝床で消灯時間までお話をして、21時には就寝。

何時だったか、娘が上へあがってきて、足が痛いというので

よくマッサージをしてあげると、もう大丈夫と言って戻っていった。

そんなこともあったので夜中なんどか様子を見に降りるが、

心配をよそにぐっすり寝ておりました。


2日目。

5時ごろになると槍や涸沢へ向かう人たちがごそごそと起き始め、

さわがしくなって、自分たちも目を覚ます。

朝食までの間に荷造りを済ませておく。

朝ごはんはしっかり食べましょう!


↓朝食

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6:25。

いよいよ蝶ヶ岳へアタックを開始します。

トイレも済ませ、荷物の整理も終わり、小屋を出ると、

見事は晴れ模様で、向かいに見える前穂もばっちりです。

早立ちの人はもうほとんど出払い、閑散とする横尾を出発。

槍方面への道の入り口の分岐点から山登りがスタートします。


↓快晴ナリ!

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↓ここから蝶ヶ岳へ向かいます

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深い緑の中を進むと、すぐに登りがスタートします。

今日は稜線まではずっと眺望のない森の中を登りっぱなしになります。

のっけからまずまずの急登が続きます。

昨日の晩に足が痛いと言っていたので心配をしていたのですが、

寝たからもう治ったと、ケロっとしていて、

お父ちゃんの心配をよそに、ぐんぐんペースを上げて行きます。

むしろ、数日前の山行の疲労や、

いつもと勝手の違う山行で

もろもろ気苦労で寝れてないこちらのペースがあらず、

待ってくれい〜。

いやああ、若いって素晴らしい。


↓今日はずっと登りっぱなしになります

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40分ほど登りを詰めていくと、

道の脇に小さなベンチがあり、そこで女性が2人休憩されています。

槍見台と呼ばれるポイントで、振り返ると、

緑の間から槍がエッヘンと胸を張って姿を見せています。

我々も5分ほど休憩。


↓槍見台から見事な槍

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リスタート後も、道の様子は変わらず、

木の枝やゴロゴロの岩の道をひたすら詰めます。

森は一層深く、緑一色の世界。

木々のおかげで直射日光からは逃れられるのですが、

風が入ってこないので、空気が淀んで蒸し暑い。

えっほえっほと登っていくと、標高2000mの標識を発見。

娘にとっては初めての大台突破です。

オメデトウゴザイマス。


標高2000m超え

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そこからも一定のペースで登りつづけ、

7:54に、本家よりも立派な「なんちゃって槍見台」に到着。

誰かが眺望をよくするために木々を伐採したのか、

以前来た時よりも、眺望が開けていて、槍がくっきり。

眺望も大事だけど、木の伐採はあかんと思うけど…

8:00までしばし休憩。


↓なんちゃって槍見台

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↓槍はどこから見てもかっちょええどす

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休憩ののち、再び登ります。

道は相変わらずで、徐々に斜度も上がってきたように思います。

娘を先頭にえっちらおっちら登ります。

眺望もなく単調なのですが、娘は楽しいと言ってくれてちょっと安心。

9:35には標高2500m地点と書かれた標識を通過します。

あともう少し!


↓ひたすら登り

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↓軽い身のこなし

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↓ガンガン進みます

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標高2500m超え

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歩きながら少し娘に森林限界について解説をします。

大きな木はある高さ以上だと、

風が強かったり寒かったりして育つことができないから、

もう少ししたらその高さになって、木がなくなるよ。

そうしたらもうすぐ山の上に出るよと教えてあげます。

しばらく歩くと娘が前を指さして、

「もうすぐ木がなくなるから、なんとか限界やな」とつぶやきます。

その通り、その先からは高い木々がなくなり、ハイマツ帯へと様子を変えて、

青空が広がるようになっています。

ようやく森林限界を抜け、ザレ場を詰めると、常念主稜線の分岐点に出ました。

時刻は10:13なので、約4時間の登りでした。

乙!


↓森を抜けました!もうちょい!

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そうしてお待ちかね。お待ちかね。

振り返ってみると、槍・穂高の山の連なりが、

オールウェルカムでお出迎え♪

娘は思わず、「うぉおおお〜!」と絶叫を上げておりました。

自分も初めてこの光景を見た時には、

日常ではありえない、大パノラマのスケール感に度肝を抜いたものです。

小学生の娘からしたら、その驚きはさらにものすごかったことでしょう。

この景色は自分の足で歩いたものだけしか見ることのできないものなので、

彼女が自分の足で得た経験ということではほんとうにえらいと思います。

この景色をぜひとも見てほしかったので、

天気も味方して本当にうれしかった。


↓槍・穂高の絶景!

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↓見事な槍

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↓再びカメラ小僧

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稜線まで来ましたが、目的地まではあともう少しあります。

山頂と、山頂直下にある本日の宿泊地・蝶ヶ岳ヒュッテまでは

なだらかに二重稜線を30分ほど歩きます。

一見なだらかに見えますが、そこそこアップダウンがあります。

ハイマツ帯の間に細く切られたトレイルを進んでいきます。


蝶ヶ岳まではなだらかな稜線

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自分も娘も、すかっと開けた眺望に

すっかり足の疲労も忘れて快調に歩いていると、

前方でハイカーが数人ハイマツを覗き込むようなしぐさをしていたので

何かなと見てみると、なんと雷鳥の親子でした。

どうもやんちゃなヒナたちがが

あっちこっちにハイマツのつぼみを食べに散ってしまって迷子になってしまい、

お母さん鳥がハイマツの繁みから大きく頭を出しながら、

鳴き声でヒナたちを呼び寄せているようでした。

お母さんの心配をよそに、

ヒナたちはひょっこりむき出しのトレイルに飛び出しては

自由に歩き回って、ちょうど娘の足元を平気で横切りました。

こんなすっきり晴れた日に、

しかも蝶ヶ岳の稜線でばったり出会えるなんて

本当にラッキー。

雷鳥の生息の南限は乗鞍岳なので、

ほぼほぼ南限に近いエリアで見れるのは珍しいことです。


雷鳥さんだぞ

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↓ヒナが走る!

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そんな思いがけない出会いもありつつ、

再びトレイル歩きに戻り、11:00に蝶ヶ岳ヒュッテに到着しました。

かなり早い時間ですが、早速宿泊の受付を済ませます。

12時からしか寝床への案内がないので、

その間休息と、ちょっと早めのお昼ご飯。

なんだかんだで5時間歩き通したのでお腹ペコペコ@@@

自分も娘もカレーを注文してガツガツ食べます。

フライドガーリックチップをかけて食べるとうまいのねん。

のんびりとお昼を食べていたら、もうじき12時という頃合いだったので

ロビーで少し待って、12時に一番乗りで寝床へ。

ちょうど角のカイコ部屋の1ブロックというベスポジをゲット。

混み具合によってはもう1人入ってくる可能性があり、

この日は初の山の日ということもあって

小屋の人も混雑が読めないと困っておられましたが、

結果的に2人で1ブロックを丸々使えて快適でした。


蝶ヶ岳ヒュッテにとうちゃこ

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↓お昼ご飯はカレーです

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さて、無事寝床を確保しましたが、

肝心なことを忘れております。

まだ蝶ヶ岳のトップに登頂していません!

ということで、荷造りと寝床作成を終えて、

お昼からはおさんぽタイム。

まずは小屋から歩いてすぐの山頂へ。

標高2677mの蝶ヶ岳に無事登頂しました!

オメデトウゴジアマス!

ここから振り返れば、先ほどからずっと見えている槍・穂高はもちろん、

ヒュッテ越しに大きな器のような常念岳がどっしりと構えているのが見え、

本当に素晴らしい眺望です。


蝶ヶ岳登頂♪

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↓おさんぽ

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登頂を済ませた後は、

今度は小屋とは逆側に蝶槍まで足を延ばすことにします。

横尾の分岐点までは上がってきた道を戻ります。

再び探してみましたが、残念ながら雷鳥さんはもうすでにおらず。

そうこうしているうちに、安曇野側からモクモクと雲が上がってきました。

勢いよく山を上がってくる雲の塊に娘も興奮気味。

いつものように梓川から吹き上げてくる風が強いために、

この雲は稜線の半分から向こうへは乗越すことはできないため、

半分が晴れで半分が曇りときれいに割れています。

まだ小2だと理科の授業がないので、娘に説明するのが難しいですが

できるだけわかりやすくこの水と空気のマジックについて説明したり。

「へーへー」といいながら面白がっておりました。


安曇野側から雲がモクモク

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分岐点を過ぎ、なだらかな稜線のアップダウンをこなしていくと、

前方に鋭い岩礁が見えてきました。

近づくにつれて、ガレた岩場となり、

梓川の方は結構な高度感。

娘も慎重に前進して、無事に蝶槍に達しました。


常念岳と蝶槍

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↓蝶槍に登頂♪

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ここからの眺めもまた最高で、

本家の槍が槍沢ロッジの辺りから一気に伸びる様は圧巻。

槍はどこから見ても素晴らしいのですが、

ふもとから山頂までタテのラインで見えるのは

この一帯だけだと思います。

槍が鋭く天へと突き刺さるさまとは対照的に、

向かいにどっしりと地に足をつけて構える常念岳の堂々たる様もまた見事。

ああ見えて、意外と山頂は狭く、山頂までの登りは急登です。


↓蝶槍からの槍

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↓どっしりとした常念さん

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蝶槍では結構長い時間まったりしていて、

その間にも、常念から縦走してきた人たちが

ヒーヒーと大汗をかきながら到達してくるのを迎えます。

みな、娘の姿を見つけてすごいねえ、すごいねえと声をかけてくれ、

娘もまんざらではなさそうな感じ。

びっくりしたのは、娘が山歩き用の帽子がない代わりに、

スワローズの帽子を被っていたら、

スワローズファンに発見されたことです。

相手はお父さんと小学校高学年のペアの人でしたが、

まさかレアなスワローズファンに出くわすなんてびっくりで、

それは向こうも同じだったようで、

思わず盛り上がってしまいました。

この後、続々と縦走路からやってくる人たちと

みなさんで写真の撮り合いっこをしたり、楽しい時間を過ごせました。

「この景色、何時間でも見れるし、何枚同じ写真撮ってもええなあ」と

もつぶやくほど、お気に入りの場所になったようです。


↓躍動するカメラ小僧

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時刻は14時を過ぎ、雲も続々と上がってきたので

ぼちぼち小屋へと戻ります。

空身で来たので絶景を横目に軽快に歩く。

途中、ケルンを見つけると、

娘はわざわざ馬鹿でかい石を見つけ出してはおいていきます。

赤茶けた石を見て、

「鮭に似てる」「鮭に似てる」と何度も謎の言葉を発しておりました。

15時過ぎには小屋に戻る。


戻ってきてまずはおトイレなのだが、娘は小屋のトイレは初めて。

水洗ではないので、用を足したら拭いた紙は

必ず目の前のゴミ箱へ入れることと教える。

蝶ヶ岳ヒュッテは、昼間は屋外のトイレしか使えないルールになっていて

そこがまた結構な悪臭がただようトイレで、

娘はトイレから出てきたときには鼻をつまんで「強烈!」と叫んでおりました。

まあこれも山の洗礼の一つですね。


寝床へ戻りお菓子タイムにしようと、

娘のお菓子の巾着を探っていると、

ポテチの小袋がパンパンに膨らんでいたので、

ここでまたまた理科のプチ授業で、気圧の話をしました。

袋がパンパンなのに大笑いの娘。そらおもろいわなあ。


そこから娘と二人で1時間ほどお昼寝タイム。

起き出すと、結構人が込み合ってきました。

幸いにして、寝床は2人だけを確保できましたが、

それなりに混んできました。

17時になって第1弾として夕食。

娘は食べるのが遅いので最後まで残されてしまいますが、

小屋の人に2弾目のテーブルは十分あるので、

ゆっくり食べてくださいと声かけしていただきありがたや〜。


↓夕食

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夕食後は、夕焼けを見に、瞑想の丘までおさんぽ。

最初は大キレットの間に太陽が落ちていく様がよく見れたのですが、

時期に梓川の谷間にみるみるうちに雲が発達して、

その雲が尾根を乗越して安曇野側へとこぼれていくようになり、

はっきりとは夕焼けは見えませんでした。


↓夕焼け その1

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↓夕焼け その2

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少し肌寒くなってきたし、雲がどんどん厚くなって

これ以上眺望も望めないだろうということで小屋へバック。

乾燥室に行って衣類を干したり、

ロビーのテレビでオリンピックを観たりして時間をつぶす。

19時過ぎになって、

テント場が騒がしいので様子を見たら

雲が晴れたようなので、夜景を見に外へ。

この日は半月が煌々と明るくて、

小さな星のきらめきまでは見えませんでしたが

時折星が流れるのが確認できました。

せっかく思い三脚を担いできたので、用意して夜間撮影をしましたが、

やはり満天の星空は捉えることはできませんでした。

そのかわり、眼下に広がる安曇野の夜景や、

眠る穂高岳の黒い山容に、

小屋の所だけ明かりが灯ってる様などはどうにか撮れました。

ちょっとカメラ自体の調子も、前回の山行で悪かったので、

ぼちぼち買い替えを検討せねば。


安曇野の灯

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↓眠る穂高

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↓月が明るすぎて星が撮れないよう

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↓星空

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消灯時間までには寝床へ戻り、おやすみ。

スペース的には十分なのだが、

娘の寝相の悪さに、何度も起こされました(笑)

懸念していた高山病も問題なく。


↓おやすみなさい

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4時ごろ、

早立ちの人たちが起き出してごそごそとしだすのに気付いて起きる。

窓をのぞくと、すでに東の空がうっすらと明かりが刺し始めている。

娘に声をかけて起こし、朝は冷えるので、

下は2枚、上は3枚と厚着させ、小屋の外へ出る。

瞑想の丘の少し先まで行って、そこに陣取って日の出を待ちます。


↓DAWN

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この日はほとんど風もなく不思議なくらいおだやかな朝。

眼下にはふわふわと心地よさそうな雲海が敷き詰められていて、

地平と空の間から朝が少しずつ少しずつ始まろうとしています。

娘も神妙な面持ちで空を見つめ、時折思い出したようにカメラをバシバシ。

そうして、いよいよ朝日が昇り始めると、

そこからはもうあっという間で一気に空が明るくなりました。

娘もこんなのは見たことがないと心底感動しているようで、

連れてくることができて本当によかったなあと思います。


雲海から光がこぼれる

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↓おはようございます

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感動は東の空ばかりではなく、翻ってみれば、

今日も見事な姿を見せる槍・穂高の面々が朝焼けに燃えて素晴らしい。

一つ北にそびえる常念岳も相変わらず魅力的なフォルム。

小屋の向こう側には、うっすらと独立した円錐が見え、

それが富士山だと娘に教えてあげました。

約1時間、それほど冷えることもなく絶好のコンディションで

朝焼けを楽しむことができました。


↓燃える穂高

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↓燃える槍

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↓今日もいい天気!

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小屋へ戻り、5:30に朝食。

小さな娘にとってはお漬物とかはあまり好物ではないものなので

お米と味噌汁ばかりを食べる。

残してはいけないので、代わりに自分がパクパク。

朝ごはんをいただき、長蛇のトイレをすませます。

荷造りを終えたら、公衆電話でふもとの登山口までのタクシーを予約します。

標準タイムで4時間ほどなのだが、

こちら側のルートは初めてなのと、娘のペースが読めないので

少し余裕をもって11:30に来てもらうことにしました。


↓朝食

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小屋の人にお礼を言って、いよいよ6:25に下山開始。

その前にすぐそこなので、お別れとしてもう一度だけ山頂に立ち、

見納めとなる槍と穂高にさようなら。

そこからテン場を抜けて、大滝山方面へのトレイルに入ります。

これから降りていく方面はびっしりと雲海が広がっていて、

あの雲の中へと降下していくことになります。

常念山を左手に臨みながら、お花が咲き乱れる斜面を下っていくと、

トレイルは分岐に差し掛かり、三股登山口方面へと折れます。


↓あの雲の下まで降りていきます

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↓常念さん

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↓三股へレッツゴー

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大滝山との分岐

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これまで蝶ヶ岳は3,4回訪れているのだが、

三股登山道を利用するのは実は初めて。

大体しんどい長壁尾根を詰めるか、横尾へ降りるかなので

自分にとっても新しい道でワクワク。

常に左手に常念のスケール感のある山肌を感じながら、

意外と急峻で歩きづらい道が続きます。

ガイドブックなどでは、ビギナーな山である蝶ヶ岳に登るルートの中でも

最もポピュラーで優しい道という紹介が多いですが、

道は狭く、岩が転がり、斜度もあって、なかなかの道です。

ずんずんと下っているとどんどん足にダメージがたまっていくようです。

最終ベンチ、第1ベンチと書かれた目印をパスしていきますが、

だんだんと道はハードとなり、木の根っこやら岩場を渡るようなところも出てきます。

ひょっとしたら前日の横尾からの登りよりも、

こちらの下りの方がハードかもと感じるくらいでした。

娘も難所は慎重に慎重に足場を選びながら進んでいきます。


↓最終ベンチ

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↓意外と険しい道

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↓第1ベンチ?

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2時間30分ほど延々と降り続けて、蝶沢とよばれる沢の頭に到着。

ここまでの区間はなかなかハードで、思った以上に時間がかかりました。

あまりモタモタせずに、それなりのペースで降りてきたはずですが、

標準タイムより1時間もオーバーしてしまいましたので、

あまり甘く見れない区間だったのかもしれません。

娘も、「疲れた〜」と叫んでおりましたが、

この場所もあまり広いスペースではないので、

もう少し進んで落ち着けるところでしっかり休むことにし、

一呼吸おいてリスタート。


↓蝶沢

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この先もしばらくはゴツゴツとした岩の部分があったり、

痩せた道が山肌に取り付けられただけの部分が多く、慎重に進みます。

そろそろ、朝早くに出発した人たちが上がってきて、

行き違いが頻発しますが、一様に登ってくる人は汗だくで辛そうでした。

眺望を見る余裕もあまりないのですが、

時々木々が開けたところから常念がよく見えます。

あのスケールのある裾野はまだまだ下の方まで伸びていて、

一体この山はどれだけ大きいのかとため息をつきます。

結構な時間、頑張って下ってきたつもりですが、

まだ2000mを切るところまでしか到達していません。

登山口は1300m台なので、まだ半分も来ていないのか!?

4時間程度で降りれると何処の案内にもあったけど、

これは5時間以上かかりそう…


↓常念さんをパチリ

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↓2000mを切ります

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細い道へっこうな行き違いが続き、

その度にお互いに頑張ってと声をかけあって別れます。

小さな娘のエールに勇気づけられる人もいたみたいで、

自分も結構バテバテになりながら、

しっかり声を出して挨拶をしていた娘が誇らしくあります。

長らく続いた急登も2000mを切ると落ち着きだし、

中腹の広い場所に出ます。

そこでいったん休憩をして、娘の靴と靴下を脱がせてマッサージ。

「楽〜♪」と大喜び。

そこからぬかるみに木道をはわした区間などをずんずん進み、

まめうち平に到着したのが9:35。

ここから登山口まではまだ2kmちょいあります。


↓ようやくなだらかな道に

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↓まめうち平

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まめうち平から下は、よく整備された階段状の道が続く。

結構一気に高度を下げるような形だが、

上部の道よりも断然整備されているので安全で歩きやすい。

ただ、下りの衝撃で足が結構ダメージが大きい。

途中、おそらく見納めになるであろう常念にさよならをつげて

さらにどんどん下ります。


↓さらば常念

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がっつりと階段で高度を下げたのちは歩きやすいフラットな森の道となります。

直角に道を右手身曲がったところに面白いスポットを発見。

少し前から、その姿がゴジラに煮ていると話題になった木で、

面白がって木の割れ目に石を敷き詰めて牙のようにしたりして

ますますゴジラのようになっています。

今では「ガオさん」という愛称もつけられて、

蝶ヶ岳の新マスコットとして密かな人気となっているようです。

娘もこの木がお気に入りになったようです。


↓ガオさん

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さて、ガオさんに別れを告げて先へ進むと、

徐々に沢を流れる水の音が大きくなってきました。

少し岩場を下っていくと右手から大きな沢が現れ、

一帯から流れが集まってきました。

そこを抜けていくと、小さな吊橋がありそこを渡ります。

そうしてしばらく進んでいくと、三股の登山口に無事たどり着きました。

そこにある小さな小屋には係員のオッチャンがいて、しばらくお話。


↓吊橋

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↓三股登山口

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しかしゴールはここではなく、さらに800m進んだ駐車場まで行かないと、

タクシーは来ないので、トイレだけ済ませてすぐにそちらへ向かいます。

そうして11:08に無事に駐車場にてゴール!

おつかれさま!

駐車場へ着くと既に1台のタクシーが停まっていて、

名前を告げると予約したタクシーでした。

念のために早い目に待機してくれていたようで、

熱くて何もない駐車場を待ち時間なしで、すぐに出発です。

タクシーのオッチャンによると、ここまで上がってくるときに、

この道のところに熊が出たらしく、まだこの辺をうろついているらしい@@@

きょろきょろ周囲を見回してみると確かに、

猿やら鹿やらを目撃したので、熊もいるのでしょう。



↓三股駐車場。すでにお迎えが来てくれてる!

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快適なタクシーで30〜40分ほどでJR豊科駅に到着。

6000円ほどでした。

次の松本行の電車までは30分ほどありますが、

駅前には何もなく、

空調の効いた待合所でジュース飲みながら待機。

すると、電車遅延のアナウンス。

中央西線特急が鹿をはねたとかで、

10分ほどタイヤが乱れているとのことでした。

予定より少し遅れて入線してきた電車に乗り松本駅まで戻ってきたのが12:40。

下界はびっくりするぐらいに暑くて、ヘロヘロ@@@


JR豊科

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まずは帰りの電車の手配をし、1時間後の電車を手配。

その間に昼ごはんとおみやげ。

娘は久々にマクドがいいというので、駅前のマクドへ。

そのあと土産物を物色。

信州北陸ターミナル駅はそこそこ駅までみやげが充実しているのだが

松本駅はちょっと物足りない。地酒ももっと置いてほしいんだけどなあ。

13:52に予定通り特急しなのに乗り込み、

最初は娘はぐっすり熟睡していたのに、途中で起き出して

そんな短時間で回復したのかよというくらい元気はつらつ。

撮りためた写真などを見ながら、また山に行こうねと約束しました。

名古屋まで来るともう現実世界で、17:03には帰阪。


本格的な登山という大冒険を終えて、娘はまた一回り成長したように思います。

単独で、厳しい日程のなか、難しいコースを制圧するというのも

とてもやりがいがあって楽しいのだけど、

こういう山行もとても充実感・達成感があってよかった。

娘と忘れ難い思い出を共有できて大満足のおとうちゃんでした。

2016-08-16

前穂〜奥穂 縦走

2日目。いよいよ本番です。

朝の4:30には起床し、ザックを整理。

向かいでご一緒した佐賀からお越しの方に、

頑張ってと声をかけていただき、いざ出発。

人気のない河童橋から、目的地である岳沢〜前穂を見上げると、

すっきりクリアな空。気合が入ります。

明神池まで続く、梓川の左手につづく木道をずんずん進む。

朝もやの中、向かいにそびえる霞沢岳も静かに見守ってくれています。

10分ほど歩いて、岳沢の登山口に到着。


↓すっきり快晴

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↓霞沢岳もきれい

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↓岳沢登山口

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5:00。いよいよアドベンチャー開始。

沢登山口からはうっそうとした緑の中をしばらく進みます。

道中には650mほど上部にある岳沢小屋まで

ナンバリングがされていて、距離感がつかみやすい。

本当なら岳沢小屋からスタートしたいところが、

あそこはキャパの問題で完全予約制で、

しばらくは週末は満杯で予約不可になっていたため、

この区間はハンデとして、早く消化したいところ。

ペースを上げて進んでいきます。

NO.7のところには自然のクーラー・風洞がありましたが

まだ朝も早く涼しかったので、あまり実感できず。

NO.5辺りまで来ると、河童橋からも見えていた、

石の沢に出ます。

ここからは、さっきまでいた上高地が眼下に広がり、

上部を見上げれば西穂の方からせまってくる

荒々しい岩礁の稜線が威圧するかのようにそそり立っています。


↓岳沢小屋までの10カウント

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↓No.7付近にある風洞

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↓徐々に登ってきました

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↓西穂から伸びるえぐい稜線

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道はこの岩の沢のヘリに沿って続き、

岩の区間と緑の区間を交互に行き来しながら

にわかに高度を上げていきます。

ちらちらと小屋が上部に見えてきますが、まだ先。

NO.2の手前で登りは厳しくなり、

えっほえっほと登っていると、

岳沢を発ったばかりの人たちとの行き違いがはじまります。

急登を登ると、道は左へと折れ、岩の沢を横断します。

沢を渡って少し登れば、岳沢小屋に到着。

時刻は6:30。

できるだけイージーなところで時間を稼いで、

その分難易度の高いところでゆとりが持てるようにと

少しペースを上げてたのが功を奏しました。

小屋ではおトイレと、前日に朝食代わりに手配した弁当を食べる。


↓岳沢小屋

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7時となり、いよいよ重太郎新道に突入します。

ここから前穂高岳まで、わずか2kmで

900m以上も高度を上げることになるので急登必至です。

重太郎新道とは、穂高岳山荘の初代主の今田重太郎さんが、

事故の絶えない前穂高に安全な道をと切り拓いた登山道で、

当時幼かった娘さん(紀美子さん)テントに寝かせながら

作業されたそうです。

そのテントを設営した場所が今は紀美子平と呼ばれています。

北アルプス一般ルートの中でも急登と知られている道で、

小屋から上部を見やれば、その過酷さが一目でわかりますね。

いざ!


↓ここから一気に900m標高を上げる

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まずは岩の沢を再び対岸へ渡り、

テン場の脇をかすめて進みます。

ゴローゴローとした岩の道は

急斜面をジグザグと高度を上げていきます。

道幅は徐々に狭まり、カーブの部分では

両手で岩をよじ登るような格好で

徐々にハードな展開になっていきます。

そうして急登と格闘していると目の前に、

重太郎新道名物の長梯子が現れました。


↓にわかにハードな展開に

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↓重太郎新道名物の長梯子

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早速梯子に取り付きます。

見た目は意外と怖いような感じがしますが、

自分は人工物がしっかりと設置されているところの方が安心感があります、

もちろん、ロープとか鎖とかがあるところというのは

それなりに危険度が高いから設置されているし、

その設置されているものも、

経年劣化などで必ずしも信用してはいけないのだけど、

そういうところは案外、自分でも危険というのが頭にあって、

自然と緊張と集中しているので、怖い思いをすることが少ない。

むしろそういうのが全くないのに、危ういガレ場とかの方が足がすくみますし、

難所を抜けた先で、ほっと気を抜いた場面などの方が事故が多い。

ここは梯子が長いので

渋滞だったり、下りだったり、ウェットコンディションだと

確かにちょっと慎重になりそうです。

しっかりと梯子をホールドして上部へあがると、

左手の明神だけとの間にあるえぐい岩の沢が目に飛び込んできて、

ひや〜っとします。


↓落ちたら終わり

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ここからは道はジグザグと急斜面に無抵抗に振り回されながら

幾多のハシゴや岩場の連続。

周囲に植生があるのでそれほど高度感は感じませんが

とにかく岩にへばりつく感じで骨が折れます。

急斜面と格闘していると上部がにわかに広がり、

カモシカの立場と呼ばれるちょっとした平地に出ました。

重太郎新道はひたすら真上に続いているので、

眺望にほとんど変化はありませんが、

眼下に常に見えている岳沢〜上高地の景色は徐々にワイド感を出し始め、

それと対比するように、西の稜線はその鋭い牙をむき出しに威嚇し始めます。


カモシカの立場

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カモシカの立場から見える西穂の稜線

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↓振り返ると、焼岳と乗鞍岳がきれい

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立場で少しだけ休憩をして先へ進みます。

ここから先はいよいよ本格的な岩場の道となり、

リスタートして早々にスラブ状に展開する鎖場が登場。

手置き場、足場を確認しつつ抜けていきます。

そこからさらに急な岩礁もあり、かじりついて登ります。

ここから岳沢小屋を出発した人たちに追いついたり、

逆に早くも上から降りてくる人たち(奥穂から来たのか、ご来光帰り?)との

行き違いが頻繁に発生。

難儀な岩場で結構わちゃわちゃと忙しく、

恐怖感や高度感を感じている余裕なく、ひたすらに急登を詰めます。

この間、結構な高度を稼いできましたが頂はまだまだ先。

さすがは重太郎新道です。


↓難儀な鎖場もぬける

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↓急な岩礁もよじ登る

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↓パーティーをパスしてひたすら登る

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↓まだまだ頂は遠い…

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えっさほっさと急登を詰めて、8:30には

7合目に当たる雷鳥広場というわずかなスペースに出ました。

わずかに息を整えてリスタートします。

個人的にはここから8合目に当たる紀美子平までの区間

一番難儀な区間で、結構な角度の岩場を鎖をサポートに使用しながら

グイグイと登っていく。

ちょうど上から、韓国のご一行が一斉に下りてきて行き違いが発生し、

難しいところで互いに道を譲りあいしながらで大変でした。

みな、礼儀正しく、「がんばって」「アニハセヨ〜」と声かけ頂きました。


↓7合目に当たる雷鳥広場

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↓急な岩場区間に差し掛かる

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難儀な岩場を抜けると小さな梯子で岩礁を抜け、

さらにそこから急斜面の岩場を詰めます。

道幅が限られているのだが、

韓国のご一行さんの列はまだまだ終わらず、

お互いにわずかな足場を確保しながら譲り合い。

岩にかじりついて詰めていくとその先が騒がしく、

向こう側へと抜けると、そこが紀美子平でした。

ふぃ〜。やっと着いた!


岩礁を越えたらもう一息!

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↓鎖場の連続する難所で行き違いも多発

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↓紀美子平

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ここでは多くの人が休息を取っていて、

自分も一角で小休止。

いったんザックを脇にデポして、

前穂の頂上まで空身でアタックします。

ここからの登りがさっきの7〜8合目よりもさらに岩登りな感じで

えっほえっほと登っていきます。

9合目の槍見平からは穂高の山並みの間から

ちらっと槍が穂先を見せているのが見えますが、

山頂まではおあずけして、とりあえずトップを目指す。


↓9合目の槍見平

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9合目から上も、浮石が多い岩場の登りで、

一部結構な高度感を感じるような場面もあったり、

一筋縄ではいきません。

慎重に歩を進めて、9:20に標高3090mの前穂高岳に登頂しました。

乙!


↓岳沢方面。御嶽までばっちり

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山頂は想像していたよりもずっと広々としていて、

大きな岩がからからと積み上がったような広場になっています。

せっかくなので、一番奥の方まで進みます。

そこからの眺めは本当に素晴らしかった!

まずは何と言っても、これから向かう先の奥穂高岳の威圧感!

吊尾根の先にそそり立つ岩の殿堂は、

前のめりでこちらを覗き込んでいるように感じるくらい圧倒的。

今からあの細い回廊を伝ってあちらへ行くのかと思うと、

思わず武者震いをしてしまいます。

そして、真っ先にその姿を求めてしまう槍ヶ岳

この日もしっかりと北アルプスの中心に堂々と鎮座しています。

その槍からこちら側へ向かって鋭い稜線が向かってくるのが見え、

改めてものすごいところに来てしまったという実感が湧きます。

視線を東へ転ずれば、はるか眼下の梓川沿いに

明神池や徳沢の小屋がミニチュアのように見え、

その上部に、蝶ヶ岳常念岳大天井岳〜燕岳と常念山脈のしなやかな山並み。

そしてさらにそのはるか奥に針ノ木岳や鹿島槍

そして後立山の山々までが延々と続いています。

事前の天気予報では二転三転していた天候も、

文句のつけようのない晴天で感無量でした。


↓絶景かな〜

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↓常念・表銀座方面

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20分ほど絶景を楽しんだのち、

紀美子平までの下降をスタートします。

登りに難儀した道は下りは一層難しく、慎重に下っていきますが

途中で思わぬトラブルが発生。

槍見平まで下ってきて、奥穂のショットを撮ろうとポケットを探ったら

なんとスマホがない!WHY?

山頂では撮影をしたので、その時までは間違いなくあったので、

その間に落としたのか?

でも、落としたらきっと音やら何やらでわかるはずなのに?

でも紛失したのは山頂からの下りなのは間違いないので

向き直って再び山頂へ登り返します。

周囲にいた人たちや、先行で登っている人たちに、

あったら教えてください!と声をかけながら戻っていると、

上部の人がスマホがここにあるよと教えてくれ、

しかもわざわざそれを私に降りてきてくれました。

ありがたや〜@@@@

そこはちょうど、段差が大きくて、

降りるのに尻をつかないといけないところで、

おそらくその動作の際にズボンのポッケから

ニュルっと静かに押し出されてしまったのだと思います。

皆さんお騒がせいたしましたm(__)m

なんだかんだで、どうにか紀美子平まで降りてきました。

ただでさえ緊張感が続くゾーンにいるのに、

思わぬトラブルで軽いパニックになり、

少しここで休憩を入れて落ち着きを取り戻します。


↓紀美子平まで戻ってきました

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10分ほど休憩をしたのち、いよいよ吊尾根にアタック!

道自体はすでにここからほぼ全容が見渡せます。

よくよく目を凝らすと所々にカラフルなザックが動いているのが見え

こちらから見ると、ええっつ!?あんなところ歩いていくのと

少しばかりビビってしまいます。

特にここから見える奥穂高の威圧感はすごくて、

それを目の当りにするだけでもひるんでしまいますが

ここまで来た以上は突撃あるのみ!


↓いざ吊尾根!

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細い細い道が岳沢側につけられていて、

そこをえっちらおっちらと進みます。

しばらく進んでいくと、上部の難儀な岩場から声が?

何かと思ったら前穂の頂上から降りてきた人で

「道をロストしてこっちに来てしまったんだけど、紀美子平どっち?」

と聞いてきた。

いやいや〜そんな危なっかしい岩場に来るまでに

なぜ気づいて引き返さないのよ。

オッチャンのいる岩場から縦走路までは結構段差が大きいし、

岩の状態もよくないから、

正規ルートまで引き返した方がいいですよと声をかけたのですが

「いや〜登り返すの面倒なんで」とかいいながら

無理やり縦走路まで下りてきて、そのまま反対側へ消えていきました。

いやいや、無事に一般ルートへ戻れたからいいけど、

それは結果論でしかなくて、もしあそこで滑落されたら、

周囲の人も放っておくわけにはいかないわけで、迷惑かけるでしょうが。

そもそもあんなわかりやすいところで道をロストして、

それにすら気づいてない程度なんだから、

そういう人がこんなところに来て勝手はいけません!


さて、オッチャンの無事を一応確認してからリスタート。

すぐ目の前に山の端の岩礁が目に飛び込んできます。

先行する単独者さんが、

そこを通過するのにルートを決めきれずにまごまごしています。

山の切れっ端のところで、なかなか高度感がありそう。

しょっぱなから難しそうです。

少し遅れて、自分も岩に取り付きます。

左側はすっぱり切れ落ちていて、

滑落すればはるか800m下の岳沢小屋まで10秒で着けそうな勢い@@@

マークに従って慎重に岩を乗り越えます。


↓出だしからハード

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その先も山肌に沿って細い道が続いており、

山の凸凹に応じて切れっ端の部分では同じように岩礁が待ち受けていて

その度に、スリリングな岩場を越えていく、というのが繰り返されます。

不思議なもので、この辺りまで来ると徐々に高度感にも慣れて、

恐怖心がなくなってきます。

ただ、そうなってからの油断が怖いので、

集中集中と声に出しながら慎重に歩きます。

前方の奥穂の絶壁と、西穂から続くエグイ稜線のむき出しの岩肌が

本当に迫力満点で迫ってきていて、目がくらくらします。

その無慈悲な光景に、思わず、

少し前に温かく迎えてくれた前穂の方を振り返ってみると、

先ほどの歓迎はどこへやら、

こちら側もギザギザのタテガミをなびかせて早くも他人行儀な表情。

あまりに巨大すぎるモンスターの間に挟まれて、

あまりにちっぽけな自分の存在に途方もなさを感じてしまいました。

とはいえ、ここで停滞するわけにはいきません。

じっくりと一歩一歩前進します。


↓左側はすっぱり崖DEATH

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↓西穂からのギザギザ

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↓前穂のギザギザ

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途中、分岐点(?)とマークの書かれた場所を通過し、

ひたすら細いトレイルを詰めていきます。

この吊尾根はアップダウンはそれほどきつくないし、

スキルを要するところもそれほどないのですが、

左側は常に切れ落ちており、緊張感で体が硬くなって疲れます。

岩場になると、多少滑りやすいところもあるので

慎重に足場を確認しながら進んでいく必要があります。

この日はとっても天気が安定して、晴れていたので

時折、立ち止まって深呼吸をしながら、

眼前に広がる絶景に癒されながら進むことができましたが

これが雨だったり、発達した雲の中に巻かれていたら

さぞかし不安だったと思います。


↓まだまだ先は長い

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↓振り返っての前穂

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↓集中集中

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上高地はずーっと眼下に

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ちょうど中間地点辺りで、わずかのスペースがあり、

先行していた3人パーティーさんと一緒に小休止。

ここからはようやく岳沢と反対側の涸沢を眼下に見ることができました。

大きい小屋床屋の間には色とりどりのテントが咲いているのが見えます。


涸沢カール

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リスタートすると、ここからは少しずつ高度を上げていきます。

岩場の傾斜がにわかに急となり、

万一足を滑らせたら谷底というのが頭をよぎりますが、

必要以上に恐怖心を抱いてもよくないので、

気を紛らわせながら進みます。

そうして進んでいくと、

徐々に奥穂のトップの岩の塊が近づいてきました。


↓緊張感のある岩場が続く

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↓がんがん登ります

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↓おそらく吊尾根で一番の難所にさしかかる

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吊尾根のほぼ終盤に差し掛かり、

この区間最大の難所にぶち当たります。

絶妙に嫌な角度で岩の斜面が結構な長さ続いていて、

そこには一本の鎖がぴろんと垂れ下がっているだけ。

意を決して取り付きます。

まず鎖の末端まで上がるのに、

意外と岩がフラットで難儀します。

どうにか鎖まで来たら、それを補助に、

岩の段差や切れ目を使って三点確保で登る。

上部に行くほど傾斜が急ですが、

必死に岩と格闘してどうにか上がりきる。

最中は登るので必死ですが、登りきってその区間を振り返ると、

谷底まで滑り落ちるように展開する岩場に

さーっと血の気が引きます。

下りの場合は絶対怖い@@@


↓長めの鎖場に突入

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↓振り返って。落ちたらタダじゃすみません

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↓垂直に近いところも

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長めの鎖場を抜けると、さらにその先、岩と岩の間に鎖場。

ここは、中央に突き出た岩が結構邪魔で、

腕力で無理やりよじ登ります。

そこを抜ければ難所は終了で、少し登れば南陵の頭に到着。

そこからはもう山頂がすぐそこで、

たくさんの登山客が見えることでちょっと一安心。


↓少しの間をおいて次の鎖場。中央の出っ張った岩が越えづらい

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↓難所を抜けてほっと一息振り返り前穂

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↓南陵の頭

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そこからはカラカラとした大岩が転がる

なだらかな区間となり、進んでいきます。

左手側からは名高いジャンダルムがそそり立つ稜線が近づいてきます。

そうして12:05に北アルプスの最高峰、

標高3190mの奥穂高岳に登頂しました。

いや〜念願の奥穂です!


↓ジャンダルムが近づく

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↓日本第3位の頂

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さすがに奥穂は人が多く、にぎわっています。

トップにある祠で、絶景を堪能しながら写真の順番待ち。

すぐ前方のジャンダルムは本当に敵意むき出しの荒々しさで、

眺めているだけでも萎縮してしまいそうな感じ。

でもよく見るとあそこのトップにも何人か人が立っていて、

そこからの危うい稜線上にも歩いている人が見えます。

純粋にすごいですね。

自分はちょっとあそこにはよっぽどのことがない限り、行けなさそうです…

翻って、槍方面もこれまた文句なしの絶景。

さっきの前穂からは見えなかった、笠ヶ岳薬師岳といった面々も見えます。

すごいねえ。

こんな景色、いつまでもずーっと飽きずに見ていることができます。


↓ジャンダルム

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↓見るだけでも恐ろしい岩の要塞

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↓奥穂から見る槍

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さて20分ほど写真を撮ったり満喫して、時刻は12:30。

実は腹ペコなのと、おトイレがそろそろということで、

名残惜しいのだが、穂高岳山荘を目指すことにします。

祠から先へ伸びるトレイルへ進み、

右側へとくるっと回り込むような形で岩場を降ります。

そこからは比較的フラットな岩場の区間を歩いていきます。

途中で山口から来たというオッチャン2人組と合流して

色々山話をしながら進みます。

徐々に前方が切れ落ち、向かいの涸沢岳との谷間に赤い屋根が見えてきました。


穂高岳山荘が見えてきた。奥は涸沢岳

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↓小屋直上の難所

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奥穂の名所となっている小屋直上の2連梯子にたどり着きます。

ここは時期や時間帯によっては長蛇の渋滞が発生し、

しかも登りと下りで同時なので、

ヘタをすれば1時間待ちとかもありうるところなのですが、

この日はスイスイと通過できました。

すぐ下に小屋が見えていることもあって、

あまり恐怖感も感じません。


↓名物のハシゴ

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↓小屋から涸沢を見下ろす

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そうして奥穂の山頂から30分弱で穂高岳山荘に到着。

しかし、よくこんなところに小屋があるものです。

小屋は涸沢から上がってきた人たちでごった返しています。

まずは何より腹ごしらえということでカレーを注文。ビール我慢

速攻でペロリ。


で、ここで思案です。

当初の予定だとこの日の終着点はここで、

この小屋で一泊を考えていたのですが、時刻はまだ13:00。

この調子なら、向かいの涸沢岳に登った上で、

涸沢に降りることができそうです。

というのは、穂高岳山荘のHPでは

この日は超混雑日のマークがされていたし、

実際この時間でこの混雑ぶり。

宿泊受付にも今日は1枚の布団を3人でと書かれてあります。

これだけ登って疲れている上に、3000mの山上で、

ひどい寝床は避けたいもの。

それであれば、涸沢まで降りれば、小屋は2つもあり、

それぞれがこの山上の小屋よりもキャパがあるので、

下で混んでもまだマシじゃないかと考えたわけです。

しかも、この日に下山していれば、

明日朝イチで北穂にもアタックが可能!

(奥穂〜涸沢〜北穂の稜線は実力不足なのではなから考えず)

実際はこれが欲張って策に溺れるという結果になります…

実は穂高岳山荘では、エクストラチャージを支払えば、

1人1枚の布団で寝ることが可能だったわけで、

予定通りここで宿泊していれば、

快適な寝床をゲットでき、夕焼け&朝焼けショーも観れたのでした…

涸沢の盛況ぶりを完全に甘く見てしまっていました。

それが悪夢の一晩をすごすことになります@@@


カレーで腹ごしらえ

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この時点ではそんな結末になるとはつゆ知らず、

涸沢に降りるために準備を始めます。

トイレを済ませ、小屋の外にザックをデポして空身で涸沢岳へ向かいます。

テン場とヘリポートを横切って、ガレた岩の道をずんずん進みます。

道はそれほど難しいところ、高度感もないのですが

高所なので登りはとにかく息が切れます。

15分ほどで標高3110mの涸沢岳に登頂です。

山頂には標識が刺さっているだけでほとんどスペースがなく、

岩の間で休憩をして景色を眺めます。

前方には険しい稜線が北穂まで続いていて、

所々にカラフルなザックが取り付いているのが見えます。

このまま前進してみたい気もしますが、

ここから先は事故多発の超難所。

安易には行けません。

そしてはるか眼下には涸沢

あそこまで今から下っていくのか。


涸沢岳への登り途中。向かいは奥穂

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涸沢岳

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↓目の前に北穂があるが、この区間はさらに難易度アップ

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涸沢岳にわずかに滞在したのち、穂高岳山荘へ飛んで帰る。

時刻は13:30だし、あとは下りだけなので、涸沢には十分下れると判断。

ザックをピックアップして、下山を開始しました。

穂高岳山荘のテラスから眺めると、

本当に高度感を感じるようなところですが、

道自体は谷底の方まで細長く続く岩礁の間を

ジグザグジグザグと続いていきます。

ここはザイテングラートと呼ばれ、ほぼ固有名詞化されていますが

要は主稜線ではなくて支尾根という意味です。

ひたすら岩の道を詰めてずんずん下りますが、

難しいところはあまりないように感じました。

下からは必死の形相で登ってくる人が絶えず、

頑張って頑張ってと声をかけながら行き違います。

下の方まで来ると若干の鎖場がありますが、

ここも難易度も恐怖度も低め。

無事にカールの岩殿まで降り立ちます。


↓ザイテングラートを降ります

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↓鎖場もありますが難しくない

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↓登りはしんどいだろうなあ〜

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下ってきた道を見上げてみると、

すごい角度で山が反り返っていて目がくらくら。

これは確かに登りは辛そうです。

右手側には今朝歩いた前穂からの吊尾根のギザギザが見えます。

もはや名残惜しい…

徐々に近づく下界をみやれば、

涸沢名物の色とりどりのテントの賑わいが大きくなってきました。


↓ずいぶん下ってきました

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涸沢のにぎわい

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↓午前中に歩いた吊尾根

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カラカラの岩の沢を歩いて涸沢小屋に到着したのが15:10。

約10時間30分の大冒険が終わりました。

おつかれさま〜。

早速、宿泊の受付をします。

本日の様子を聞いてみるとなかなか今日は混みそうな様子でした。

通された部屋は、受付の後ろにある洞穴のような地下への階段を下ったところ。

しかも残念なことに二段ベットの上の段で、梯子を上るのが難儀でした。

また、この部屋はとにかくどこからも遠くて、

トイレも乾燥室も食堂も売店も、

いちいち靴に履き替えたうえで、

薄暗くて足場の悪い階段を登らなくてはならなくて本当に不便でした。

しかも、寝床も、布団をぎちぎちまでスペースに詰めただけで、

貴重品とかメガネなど枕元に置きたいモノたちを置くスペースもなかったり、

細かいところが結構不便な造りでした…。


涸沢小屋着

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とりあえず荷物を置いて寝床を確保したら、

晩御飯まではフリーなので売店へ行って

早速、生ビールセット♪

テラスから今日歩いてきた吊尾根を見ながらの祝杯です。


生ビールで祝杯♪

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ゆっくりビールを味わったら、

にぎわいを見せる涸沢を散策しますが、

どうも同じ山というフィールドを共有しているだけで、

文化的には異なる人種が多いようで、

サークル活動の延長のようなナンパなノリの若者グループの乱痴気騒ぎとか、

しこたま飲んで酔っ払ってタチの悪い中年グループの横暴さだったり、

アルピニズムというより、

単に都会でできることを山に持ち込んだだけという風な雰囲気が

涸沢全体にあって、

元々人ごみの苦手な自分にとっては、

あまり魅力的に映る場所ではありませんでした。

彼らの楽しみ方を否定するわけではないのですが、

自分が間違った場所に来てしまったなあと感じてしまいます。

また、高山に囲まれた深い谷なので、眺望は開けておらず、

紅葉の時期なら山肌を愛でるのも楽しいかもしれないが、

すでに上の景色を知っている山を見上げても、

あそこに戻りたいなという思いになるだけで、

山上に留まらずに欲張って下ってきた後悔だけが募ります。

それでも、それらをぐっと我慢して、明日は北穂!と

この時点までは考えていたのですが…


17:30となり晩御飯。

窓側の席に案内されたので、吊尾根を見ながらの食事

料理はなかなかおいしゅうございました。


↓晩御飯

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谷底にあるので日暮れは比較的早く、

19時には暗くなって、することもなく、寝床へ戻りますが

結果的に、布団1枚を3人でシェアするという、

回避すべく努力したはずの最悪のパターンに陥るという…

できるだけ寝床に入る時間を遅らせるため、

売店へ行き、TVでリオオリンピックの開会式をぼうっと見る。

それも21時には消灯となるため、悪夢の寝床へと舞い戻る。

さらに最悪なことに、この日一緒になった同部屋の連中は

そろいもそろって大イビキ軍団。

右も左も、ガーガーと眠れやしない。

なのに、どうつもこいつも、周りがイビキでうるさいと

自分のことを棚に上げてののしって険悪なムード。

1人のイビキが止まったなと思ったら、次はその隣の奴がイビキ、

さらにその隣、隣。

スペースも全く寝返りを打てるスペースはなくて、

右から左から肘や膝が入り、おっさんの寝息が顔にかかるので、

途中からもうあきらめて、体を起こし、座して眠る努力。

結局、朝になるまで一睡もできず。

今まで生きてきた中でこれほど最悪な夜はありませんでした。

10時間かけて、3000m峰を3つ登った昼間の疲労よりも、

7時間もの間、極度に狭い場所でなにもすることなく

ひたすら待機するだけの夜間の方がはるかに疲労しました。

一晩で心も体も芯から疲れ切ってしまい、

もはや翌日に北穂にアタックするという野望は消え失せてしまいました。


最終日へ続く…

2016-08-04

カレーなる日々

ひさびさのカレー行脚。

新店情報は続々あるのだが、

ほとんどが平日昼のみ営業とかで全然行けそうにない。

仕込み時間もあるので単純に営業時間が労働時間ではないけど、

ラーメン屋と比べても、昼のほんの数時間だけで

どうやって採算とっているんだろうと不思議に思う。


なかなか新規開拓できない中で、ようやく中津の新店に。

わがホーム「おおにしさん」からも目と鼻の先の

古民家を改装した「スパイスカレーまるせ」さん。

なかなかええ雰囲気です。

カレーは常時3種あるようで、

せっかくなので奮発して3種あいがけを注文。

キチンカレーとポークキーマとグリーンカレーの3種盛りに、

ピクルスなどの付けあわせ。

1つ1つがスパイスを上手につかった逸品で、

混ぜて食べてもまた旨し。

パクチーをどっさり盛ってくれているのがなんともうれしい。


↓スパイスカレーまるせ

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↓三種盛り大盛り(1300円)

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お次は会社の近所にできたバリスタのお店。

ラーメン屋ばかりのエリアにあって、

お昼のバリエーションにたまに利用させてもらっているのだが、

カレーはお初。

トマトの酸味が全面に出たカレーです。

おしゃれカフェで女子向きのお店なので

大盛りでもちょっとボリューム的に物足らないのがなあ。


ワンルームカフェのカレー

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ラストはすでにレジェンドとしての地位を確立している

中津のSOMAさんのカレーに久々にありつくことができました。

相変わらずの人気ぶりで、結構待たされましたが、待ってでも食べたい!

この日はチキンキーマ+トマトカレー+肉(牛すじ)の大盛りを注文しました。

ライスの硬さと、キーマのゴリゴリしたそぼろ感がよく、

そこに入れ代わり立ち代わりでスパイスたちが乱舞。

これぞスパイスカレーです。

ごちそうさん


SOMA

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↓チキンキーマ+トマトカレー+肉(牛すじ)の大盛り

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2016-07-27

大杉谷から大台ケ原へ 2日目

2日目の朝。

5時にセットしていた目覚ましが鳴る前には起床。

ゆっくり身支度を整え、5:30に受付へ朝ごはんを取りに行く。

昨日はあれだけアップダウンがありつつも、

ほとんど標高を上げなかったが、

この日は今いる480m地点から1700m近くまで

一気に1200mほどを上がらなくてはならないので、腹ごしらえはしっかりと。


この日は平日なので、帰りのバスは15:30の一本しかないので、

早めに到着しても仕方がないのだけど、

昨日のわずか5kmちょいで4時間もかかったこともあり、

この日も予想以上に時間がかかるかもしれない。

それに気温が上昇してつらくなる前、

午前中にはある程度消化しておきたいこともあって、

6時出発に向けて準備を始める。

もし早く到着できれば、

それはそれで大台ケ原は散策するところがあるし。

すると、例の謎のおっちゃん集団の一人から、

「そんな早くなぜ経つの?」と言われましたが、

早立ちするに越したことがないです。

(ちなみに彼らが何時に出たかは知りませんが、バスが出る5分前にギリギリ到着してました)

で、準備はすぐできたのだが、

恒例のおトイレタイムでなかなか苦戦をしてしまい、

結局出発は6:15となりました。トホホ…


↓朝ごはん

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すでに食堂で朝ご飯をはじめていた小屋の方々にお礼を言っていざ出発。

玄関を出て右手に続く石の道を少し進むと、

大岩の前にロープが張ってあり、そこから一気に谷の上部へと上がります。

すぐに吊橋があり、渡っていくと、道はどんどん上へと延びる。

しょっぱなからなかなかハードです。

しばらく沢とはずれたところをずんずん進んでいくのだがそのうちに、

川面が近づきます。

昨日よりも一段と渓谷の鋭さが増し、

なおかつ渓谷にどんどんと鎮座する岩のサイズも見るからに大きい。

すでに日は高く上がっているのだが、

谷が深く日が差さないので水の色は深めのグリーン。

ほとんど川面に近いところまで降りてきて、

その脇の岸壁を補強された道ずんずん進みます。


↓2日目も最初からハード

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↓ゴロゴロとした大岩の転がる渓谷を抜ける

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↓川は今日もエメラルド

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しばらくして、再び登りとなり、

滑りやすい岩の階段をダブルの鎖を頼りに登っていきます。

しばらく進んでいくと、

黒部の水平歩道の大太鼓付近を思わせるような絶壁の道に出る。

WOW!

ここからは渓谷が激しく蛇行をしながら、

岩壁を容赦なく切り刻んでいる様がよく見えます。

そして進行方向の遠く、はるか上部から

勢いよく滝が流れているのが見えてきました。


↓ワクワクする道は黒部を思い出す

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↓険しい表情を見せる渓谷美

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↓流れは複雑に入り組む

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朝っぱらからスケール感の大きすぎる絶景に先制パンチを食らいながら、

先へ先へと歩を進めます。

しばらく歩いていくと滝壺付近までやってきました。

つい先ほどまでの自然の厳しい表情から一転して、

エメラルドの水を湛える滝壺は本当に翡翠のように美しく、

まるでここは桃源郷かと思えるほど。


↓七ツ釜滝が少しずつ見えてきた

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↓桃源郷かよ、ここは

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その右脇をかすめながら、ずんずん進んでいくと、

ヘリに東屋が建っており、その向こう側は眺望が開けて、

いよいよ百名瀑の七ツ釜滝の全容が姿を現しました。

七つの滝壺があるほどの段瀑で、落差120mもある大滝

ちょうど真後ろに屏風のように山並みを従えて、

そのど真ん中を我が者顔で真っ二つに切り裂く様はアッパレとしか言いようがない。

残念ながら東屋からは全ての釜を確認することはできませんでしたが、

とにかく1つ1つの見どころがいちいち馬鹿でかい!


↓七ツ釜滝(百名瀑)

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しばらく東屋で絶景を楽しんだのちリスタートしていきます。

脇の急な階段をえっほえっほと歩き、支流の谷筋に取り付いたので、

そちらからショートカットするように進んでいるんだと思ったら、

なんとさっきの七ツ釜滝の方へと道は寄っていき、

滝の右横に無理やり取り付けたような急登となって待ち構えていました。

おおう!こんなところによくもまあ道をつけたものです。

滝の迫力を左側に感じつつ、厳しいのぼりをこなしていきます。

木立の間からは先ほどの東屋も見えます。

短時間で意外と登ってます。


↓滝の右手の斜面をへばりつくように巻く道

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無事に難儀なのぼりを通過すると、滝の上部は穏やかな流れとなっていて、

平坦な道をしばらく進んでいくと吊橋を渡って対岸へ。

そこからは、大きな石のテーブルの上を渡りながら進んでいくことになります。

この岩がフラットなんだけどとにもかくにも滑りやすい。

左手の故障明けの身としては、ちょっとしたスリップも恐怖心があるので慎重に。

徐々に谷筋も狭まってきて、険しい表情に変わっていきます。

左の岸壁には鎖がつき、それを頼りに滑らないように進む。

右手の川もついさっきまでの穏やかさを消して、

一軒家ほどもあるような大岩がゴロゴロとする合間を縫うようにして濁流を作っている。

谷はここでも大きく左へと旋回し、えぐいゴルジュを作っていて、

すぐ真横を、もう滝と言っていいほどの急な流れがある真上に、

わずか人が一人どうにか通れるだけの岩の道が申し訳程度についている。

ただでさえ滑りやすい性質の岩なのに、流れのしぶきで洗われて濡れていて、

鎖をしっかりホールドして一歩ずつ確実に前進する。

丁寧に行けば何の問題もありませんが、

たぶんこのルートの中で、一番緊張を強いられる箇所だと思います。


↓川そばを進む

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↓滑りやすい石の道が続く

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↓右側にスリップすれば一巻の終わり

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↓振り返って

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無事に難所を抜け、安定した大岩のテラスにたどり着き、

ほっと一息して前方を見ると、

崩れた大きな岩で谷がすっぽり塞がれているではありませんか!

あそこが、10年前に大雨によって大崩落が起きた場所のようです。


↓大崩落地が見えてきた

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↓谷が完全に塞がれてしまっている

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しばらく休憩ののち、崩落地へと進んでいきます。

岩場を伝って進んでいくと、いくつもの赤ペンキで指示があり、

登山道はまさにその崩落地のど真ん中を抜けるようになっていました。

まるで山が稲妻か何かでカチ割られたのかと思うほど、

間違いなく一軒家か10tトラックほどもある巨大な大岩が

これでもかというほど斜面から川面へと押し寄せ、

谷全体を押しつぶさんという勢いで、

その岩と岩の間に小さな石(それでも本当は大きい)をうまくはめ込んで、

できるだけ安全に抜けれるように道がついていました。

マークに従って、崩落現場にとりつきます。

エッヂの効いた黒い岩の間をずんずんと登っていくと、

崩落地の向こうには穏やかな河原が広がっているのが見えます。

一方、振り返ると先ほど抜けてきた難所を見渡すことができました。

おそらく学生2人組でしょうか、

その難所を今まさにわたっているのが豆粒ほどに見えます。

どこがどう崩落したのか上部を確認すると、

山がスパッと切れ落ちたように半分崩れて、

そこから五月雨式に大岩が谷の方へと流れているのが確認できます。

山が崩れた衝撃で、岩盤が砕け散りこれほどの大岩ができたのでしょうか。

とにかくすさまじいエネルギーがスパークしたのが容易に想像できます。

もしその場にたまたま差し掛かったとしたら、

ちっぽけな人間なんて、有無を言わさずぺしゃんこです。

恐ろしい@@@


↓崩落地のど真ん中を抜けていきます

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↓上部より振り返って

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↓崩落地の向こう側は穏やかな河原

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↓一軒家ほどもある岩がゴロゴロ@@@

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登山道のマークは引き続き、

崩落した岩の間を器用に抜けているのですが、

途中で河原へ降りれそうな個所があったので、

ちょっと寄り道をして降りてみます。

きっと崩落がある前は、

コースの中でもかなり穏やかなエリアだったと思われる浜です。

そのコントラストが何と因果なものか。

谷の先を見ると再び急速に狭まっているのが見え、

たぶんこの河原を進んでも問題ないのだろうけど、

どこかで行き止まりになって無駄足になるのもいけないので、

一応、崩落地の上部へ戻ってご丁寧にルートをトレースしておきます。

結局しばらく岩の間で格闘したのちに、沢へと降りることになりました。

穏やかな浜の脇に、ぽつんと大木が立っていて、そこでしばし休憩。


↓河原に降りて大崩落地を望む

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↓シンボルの大木

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その先からは渓谷は複雑にジグザグとなって、急激に細まっている。

登山道は川面を行くのをあきらめて、

急流から逃げるように大木の脇から一気に登ります。

しばらく急登を詰めると、渓谷はシケイン気味に左右とツイストして

その先に、なんともなだらかな光滝がしなやかに流れています。

ここまで見てきた荒々しい滝とは違って、

まるでスカートのように裾をゆったりと広げた様は

なんだか女性的な優しさを感じます。


↓光滝

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↓なんとなく女性的なシルエット

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道は光滝をまるで畏れ多い場所かのように遠巻きに外れながら、

左手の絶壁へいきなり切り込むような形で急登となる。

谷の本流からわずかに外れて、急なのぼりをかき分けると、

いつのまにか渓谷の上部へとたどり着きます。

ちょうど、光滝の真上辺りまで来て、

覗き込むとかなりの高さに思わず目がくらみます。


↓滝の左側から巻く。高け〜

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しばらく水面からかなり高い位置を道は進み、

その先に吊橋が現れます。

ここでも渓谷は直角に右折をしていて、

水深が深く感じられる溜りとなっています。

吊橋を渡るとそのすぐ際から、隠滝が豪快に水しぶきを上げています。

こんなものすごい場所によくぞ吊橋を渡したものです。


↓隠滝

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隠滝の吊橋を渡ると、再び水面が近くなり、

道も穏やかになります。

しばらく進むと対岸に与八郎滝という細い滝が現れますが、

草木が茂っていてなかなか見えづらい。


↓与八郎滝

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さらに先へと進むと、

渓谷は思い出したかのようにまた荒々しい表情を見せます。

でっかい岩と岩との間を鋭く流れ落ちる激流の真上を歩いていく

岩のステージが続きます。

滑りやすく意外と骨の折れる区間です。

鎖がきちんと整備されているのでそれをしっかりと握って、

段差をよじ登って先へ先へと進みます。


↓深く刻まれた渓谷

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難所は名もなき小さな本流の滝でほぼ終わり、その先吊橋があり、

そこから堂倉の発電用ダムに出ました。

なんだか非現実的な風景をずっと歩いてきたので、

こういう人工的なものがいきなり現れるとびっくりしてしまいます。

対岸に渡り少し進むと再び吊橋があり、左手を見ると、

このアドベンチャーコースの終わりを告げる堂倉滝が見えました。

時刻は8:30。小屋から約3kmを2時間15分の別世界でした。

ここでいわゆる大杉渓谷と呼ばれる、渓流沿いの道は終わりで、

いよいよ、ここからは標高1700mまで一気に登り詰める5kmの山道がスタートします。


↓堂倉のダム

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↓渓谷歩きの終着点、堂倉滝

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水分補給などわずかな休憩ののち、リスタート。

しばらくは名残惜しそうに渓流の上部をトレースするのだが、

時期に係留は右手の山の方へと離れていき、

山道はそれを見送って、いきなり急なジグザグ道となります。

昨日はほとんど高度を上げなかった分がいっぺんにやってきたような

なかなかの急登で、木々の幹や根っこを頼りによじ登るような場所や、

急角度で取り付けられた階段などが続々と登場する。

しばらく歩いていると前方に気配があり、追いついてみると、

昨日泊りで一緒だったバスに乗っていない単独の方でした。

自分が出がけのトイレでモタモタしている間に先発されたようです。

ここからしんどいですねえと言葉を交わして先行していきます。


↓ここから鈍い尾根歩き

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まだ、わずかに朝のひんやりとした空気が残っているのだが、

いきなりの急登の連続に思わず汗が噴き出す。

地図を確認してもこの渓谷終わりから尾根までの区間が最も高低差があり、

登山道は緩急をつけながらも、決して容赦してくれない。

深い木々の間からは青空が見え、今日も暑くなりそうな予感。

周囲の山並みも目線と同じ高さに近づいてきて、

ようやく斜度も緩み始めます。

ほんのわずかに道を下ると、未舗装ながらも整備された林道と合流します。

このまま林道を進めば粟谷小屋がありますが、遠回りなので

標識通りに本ルートの階段を上がると堂倉の避難小屋に到着。

時刻は9:15。約40分の格闘でしたが、思ったより長いのぼりの印象でした。


↓林道に合流

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↓堂倉避難小屋

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10分ほど休憩ののち、小屋の裏手に伸びる道を進みます。

先ほどに比べれば穏やかな道が続きます。

この日は天気が良いので問題ないですが、

熊野特有の雨や霧の中だと、少し道をロストしてしまいそうです。

マークをよく確認して進んでいくと、

途中、粟谷小屋からやってきた道と合流します。

しばらく進むとまた急な登りが発生し、そこがシャクナゲ坂と呼ばれる区間

ここから緩く右に旋回をしつつ、急坂が延々と続きます。

ここは眺望もなくだらだらとした登りで結構バテました。

ようやく鈍い登りを詰めると、今度はいきなり岩壁区間に入ります。

マークに従ってよじ登り、しばらく進むと、シャクナゲ平に到着。

名前にシャクナゲとありますが、それらしい花が咲きそうなところもないし、

眺望も全くなく、急なのぼりのてっぺんにあるわずかの広場でしかありません。

時刻は10:25。


↓シャクナゲ坂

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↓シャクナゲ平

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10分ほど休憩してリスタート。

酷暑を避けて早立ちしたものの、やはり気温の上がり方が尋常じゃなく、

ペットボトル3本分はあった手持ちの水がそろそろ少なくなってきました(汗)

シャクナゲ平からはしばらくは道は穏やかさを取り戻し、

周囲の植生も豊かに緑の世界。

ルンルン気分で進んでいると、前方に鈍い階段が登場。

ここからジャッキーカルパスのような丸太で組まれた階段が延々と続き、

その区間は日差しが直撃して、かなりこたえました。

黙々と階段を上がっていき、

ついに大台ケ原最高峰、標高1695.1mの日出ヶ岳にとうちゃこ!


↓植生が豊かになってきた

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↓鈍い階段が続く…

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↓ラストスパート!

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↓大台ケ原最高峰・日出ヶ岳

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まずは一服と、山頂にある展望台のベンチに腰掛け。

少し整えてから展望台の上からもろもろ撮影。

この日もなかなかのお天気だが、さすがに遠方は霞んでしまい、

肉眼でどうにか熊野灘を確認できる程度。

残念ながら富士山までは見えませんでした。

しばらく撮影をしていると、

続々とハイカーさんが反対方向から上がってくるのですが、

駐車場から1時間程度ということで皆さん軽装で、

大自然から無事にカムバックしたんだなあと実感します。


↓三角点(標高1695.1m)

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↓紀伊山地の山々(北側の山並み)

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↓歩いてきた東側の山並み。うっすら奥には海も見える

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時刻は11:30になろうとしているところ。

このまま30分も歩けば

今回のゴール地点である大台ケ原の駐車場にたどり着けるが、

バスの時間まではまだだいぶあるし、

東大台をぐるっと回って見どころを散策することにします。

そのまま木の階段をトントンと下り、向こう側の高みへ。

正木峠は、笹のグリーンと枯れ木のコントラストが独特の風景を作り出しています。


↓大台ケ原ならではの風景

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元々この一帯は太古の時代からの原生林が広がるところでしたが、

昭和34年の伊勢湾台風による被害で多くの木が倒壊し、

土壌が流出したことが契機となって、

山の生態系を支えていたコケ類が衰退、

取って代わるように笹が生い茂る山となりました。

格好の餌である笹を求めてニホンジカが増加し、

またドライブウェイの開通により観光客数が急増、

土壌の踏み荒らしなどによって、

森林衰退が収まらないという状況になっています。

環境保全の最前線がこの大台ケ原というわけです。


↓枯れ木と緑のコントラスト

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パーク内は木道が整備されていてそこをトコトコと歩いていきます。

いくつか駐車場へと向かう分岐がありますがスルーして、

おそらく大台ケ原イチの絶景ポイントを目指します。

緑と青のコントラストが素晴らしいですが、

大台ケ原に来てこれほどまでに天気がいいのは初めて。

贅沢な注文ですが、

やはり鬱蒼と白い霧のなかにある森というイメージの方が

大台ケ原らしさを感じられます。

そのままずんずんと進んでいくと、

正木ヶ原の先に神武天皇像がぽつんとあります。


↓神武天皇像

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さらにその先へと進み、標識に沿って奥へ奥へと進んでいくと、

大蛇厳(だいじゃぐら)に到着しました。(ぐらは山カンムリに品)

ここは落差800m以上もある断崖絶壁に突き出た部分で、

かなりのスリルを味わえます。

滑落防止にクサリがされているというものの、

滑って落ちればジ・エンドで、

ちょうど断崖に向かって大岩が絶妙にスリリングな斜面になっていて、

見ているだけでも吸い込まれそう。

みなさん及び腰で進みますが、先端まで行くには度胸がいるかもしれません。

自分も先端まで進んでみますが、

うまく姿勢を取らないと怖くて進めません@@

この日は西の空がきれいで、はるか向こうに大峰の山並みがきれいに整列。

すばらしい眺望でした。


↓大蛇厳

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↓先っぽまで行ってみる

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↓振り返って

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↓恐る恐る記念撮影

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ひとしきり絶景(絶叫?)ポイントを楽しんだら、

いよいよゴールに向けて最後の歩み。

分岐まで戻り、そこからシャクナゲ坂(さっきの坂とは違う)をずんずん下り、

シオカラ谷まで。

少しだけ水辺で涼を得て、吊橋を渡ると、今度は急な登り返し!

ヘロヘロの体にムチを打って、オーラススパート。

そうしてようやく大台ケ原駐車場に到着したのが13:35でした。

乙!


↓シオカラ谷

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↓オーラスの坂

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↓大台駐車場にてゴール

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まずはとにもかくにも腹ごしらえ!

バス停前のレストハウスに飛び込んでカレーうどんをすする。

途中、京都のチームのローディー4人組が相次いでゴールして、

がっつり飯を食べておりました。

おそらく9月の大台ケ原ヒルクライムに向けての練習でしょう。

そろそろそっちも再開しないといけないけど、なかなかなあ〜。

筋力的にも心肺機能的にも当時より充実しているのだけど

少なくともレース的なのはもうないかなあ。(てか気づいたらツール終わってた汗)

何より生活の大半をそれに取られるのが今となってはもったいない。

でも旅のツールとして、ロングはぜひ復活させたい!


カレーうどんで腹ごしらえ

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うどんを食べ終え、みやげもひとしきり見て、

ちょっとビジターセンターの展示を見たりしても、

まだ1時間ほど余ってしまいました。

レストハウスのお母さんのご厚意で中で休ませてもらうことにしました。

吹き抜ける風が心地よすぎてついウトウト。

気づけば出発の15分前で、運転手さんがぼちぼちと車にエンジンをかけ始めました。

車内はむせかえる熱気だったので、出発まで車の外で待機。

大台日帰りのハイカーも含めて結構満席に近い状態でした。

予定通り15:30にバスは出発。


↓ビジターセンター

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↓帰りのバス

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バスはゆっくりとドライブウェイを下っていきます。

車窓からは雄大な紀伊山地がずっとお見送り。

ほんの4,5年前にここに自走で来て、深刻なハンガーノックに陥って

工事現場のオッチャンに飯をめぐんでもらったこととか思い出す。(笑)

それにしても、よくまあこんなとこまで自走してきたなあ。


↓さらば大台

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バスは一度、日和山登山口まで寄り道をして、

それからは川上村を突っ切っていきます。

大迫ダム、大滝ダム、懐かしい。

18:10には終点の大和上市駅に到着。

すぐに特急券を手配して18:36大阪阿部野橋行に乗り込む。


↓近鉄大和上市駅

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暑さがたまらなかったけれど、心配していたお天気もずっとよく、

同じ関西とは思えない圧倒的な大自然と、

尋常じゃないくらいのアクセスの悪さを体感できた山行でした(笑)

2016-06-14

ご近所めんライフ

最近は麺ばっかり食べている気がする。

ということでめんライフ。


まずは西中島の人気台湾料理店「一路發」でランチ。

冷し中華です。

さっぱりとしたレモン風味が効いたタレは清涼感抜群で、

蒸し蒸しした季節柄たまりません!

なかなかおいしゅうございました。


↓一路發(イロハ)の冷し中華

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続いてはおなじみの大杉製麺。

いつもついついラーメンを注文するのだが、

今回初めてつけ麺を注文してみました。

が、麺のうまさを前面に出すべきつけ麺にしては特徴がなく、んんん〜。

ラーメンはあれだけ美味しいのに、ちょっとの違いで全然違うんだなあ。


↓大杉製麺のつけ麺

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つづいてもおなじみすなお軒。

結構ここの昔ながらの中華そば好きです。

麺も細麺でガシガシ系なのでスープに絡んでうまいのだが、

最近ちょっと甘味が濃くて後味がベタつく。


↓すなお軒の中華そば

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続いては、めずらしく「つぼや」を利用。

カレーつけ麺は、開き直ったジャンク感が逆に潔くてよい。

ラーメンなのかつけ麺なのか、カレーなのかもはやわからないが、

満足できれば何でもよし。


↓つぼやのカレーつけ麺

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ラストもおなじみの塩元帥。

ひさびさにまともに塩つけ麺を注文。

こう食べるとやはり、この店のスペックの高さを痛感します。


↓塩元帥 塩つけ麺

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