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記憶の残滓 by arkibito

2016-09-18

『君の名は』 by 新海誠

日曜日。

次の仕事に関連があるので

今話題の『君の名は』を観に。

おっさん一人で行くのもこっ恥ずかしいので長女と一緒に。

webで梅田の劇場を予約しようとしたら

すでにどの回もいっぱいだったので、大日イオンまで。

さすがの人気もあって

なかなかエンターテインメント作品としては楽しめる作品でした。

小学生の娘にもわかりやすい話の内容で、

映像も美しく。

こういう作品が今のメジャーになってきたのだなというのが実感。


ただそれが今後の日本のクリエイティブの発展にとって

いいのか悪いのか。

うまい例えではないけれど、

津軽海峡冬景色』のような奥深くて抒情的な歌に対する

恋するフォーチュンクッキー』のような感じというか、

地元の市場で売ってる新鮮で不格好な野菜に対して、

徹底管理されたトップバリュー製品というか、

こういう味付けが濃くて中毒性のある

インスタントなものばかり味わってたら

きっとヤヴァイだろうなあという怖さがあった。

辛口映画評論家としてはちょっと言っておきたい。


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本作の一番の魅力は何といっても背景の精密な描写だろう。

監督の出身地である長野県の諏訪や飛騨地方、

そして東京の風景はまるで本物そっくり。

実際にそのシーンの元になった実物の場所を訪ねる

聖地巡礼も盛んにおこなわれているという。

確かに背景の描写はすごい。

でもそのすごさが、作品の本質である物語の薄っぺらさを

補うというより包み隠す巧妙なすり替えになっていて、

どう、この背景の描き方すごいでしょと

半ばクドイほどの強引さを終始感じた。

背景の描写の精密さというのは、本作に限らず、

日本アニメお家芸ではある。

でも、例えば宮崎アニメの背景の精巧な描写は、

それ自体が作品の主役なのではなく、

物語をより身近にリアルに感じてもらい、

その世界観へスムーズに導入するための

手段の1つに過ぎなかったはずだ。

または、重厚な物語に耐えられるだけの

ビジュアルのクオリティを追求した結果だろう。

確固たる物語。伝えたいメッセージがまずあって、

その骨組みを確かに肉付けするものでなければ

それは単に風景を模写しただけのことに過ぎない。

模写を自慢するだけだったら、それは映画とはいいがたい。

なぜなら、映画とは総合芸術だからだ。

例えば、英語はコミュニケーションの一手段で

習得した英語で何をするのかが大事なはずなのに、

それを学ぶということだけが目的化し、

そのちっぽけなステータスに満足してしまうような小さな人間がいるが、

それと同じような目的と手段の取り違えが大いにある。

背景の描写の精密さというのは作り手も見る側も、

その審査基準が明確でわかりやすいポイントだが、

情熱と労力を注ぐ方向性が割合がどうも違うような気がする。

背景の精密な描写は金と時間をかければ、誰でも実現可能なこと。

それを実際やるかやらないかというのは

確かに大きな差であり、評価されるポイントではある。

でもクリエイターにとって肝要なのは、

現実にあるものを模写することではなく

想像力の豊かさにあふれた物語性や、

誰も考えもつかなかったような世界観を

表現することでなくてはならないと信じたい。


続いて気になったのは演出過多、

特に音楽が雄弁しすぎて、

はっきり言って余計な場面が多かった。

画と音の関係性というのは映画にとっては

おそらくもっとも重要な要素で、

音楽の壮大さで無理やりクライマックスを盛り上げるような

程度の低い作品は、国内外問わず山ほどあるが、

映像にそれらしい音楽を乗っけてさえすれば

もっともらしい作品になるし、

逆にその使い方を誤れば、全く拍子抜けすることもある。

まさに演出のキモ。

本作ではもっと登場人物の感情に寄り添いたい、

感情移入したい感じる場面でも、

いちいち過保護に曲を乗せてきて、

それがインスト曲ではなく、

歌詞付きなので歌が画に勝ってしまって、

感情の余白というか見る側が入り込む隙間が

一切なくなってしまうことがあった。

あれが久石譲さんならもっとうまい塩梅でやるんだろうし、

物語に自信があれば、あえてキモのシーンでは

一切の音をつけずに画に集中させることだってできたはずだ。

何でもかんでも味付けを濃くすればいいというものではないし、

ここでもやはり物語の薄っぺらさをひた隠しているかのような

自信のなさを感じました。

バラエティ番組で、ネタはたいして面白くないのに、

テロップを多めに入れて笑いを盛られているようなあの感覚に近い。

自信がない人ほど音楽に頼る、これ、映画あるあるですね。


あと、意外な問題はそれを見る側のクオリティの低さ、

とくに感動に対する敷居が恐ろしく低い。

これは本を読まないという世代指向の問題、

スマホでのコミュニケーションが当たり前の世の中では

レスポンスのクイックネスがことさら重要視されるようになったり、

LINEスタンプやインスタ投稿のように

中身ではなくヴィジュアル至上主義になっているという点がやはり大きい。

要は物語の精密さではなく見た目重視、

文脈をじっくり読み解くのではなく、

手っ取り早く面白いということが求められる世の中になったということだ。

見る側の指向のレベルが高くなければ

クリエイターは絶対に成長しないし、

逆に成長しないクリエイターの作品がスタンダード化すれば、

見る側のレベルも高くならない。

今の世の中、双方が面倒くさいプロセスを取っ払って、

横着をしている気がします。

その面倒くさいプロセスこそ面白い醍醐味のはずなのですが…


これは別にアニメに限った話ではなく、

実写の邦画やTV番組、漫画、音楽、そして現代アートの世界ですら…

あらゆるクリエイティブであるべき世界で起こっている現象。

実際、映画が始まる前の予告でも、

同じようなテーマ、同じようなキャストが、

2Dか3Dか表現方法が少し違うだけでやっていることは

全く同じことをしている作品のPRばかりで愕然とする。

(胸キュン少女漫画原作を若手実力派俳優と呼ばれる人たちが演じるのばっか)

それらには、何かを表現したいとか、何かを生み出したいとか、

やりたいことをとことんやるという

自分の内面から湧き上がってくるパッションではなく、

何が売れるか、何がウケるかという

他人からの評価を出発点とする打算しか感じ取れない。

そこにイマジネーションはあるのか。

そこにクリエイティティはあるのか。

面白ければ、話題性や興行がよければ名作というわけでは決してない。

残念ながら、同じアプローチを続けるようなら新海さんや細田守さんは、

宮崎駿押井守にはなれそうにない。

2016-08-16

前穂〜奥穂 縦走

2日目。いよいよ本番です。

朝の4:30には起床し、ザックを整理。

向かいでご一緒した佐賀からお越しの方に、

頑張ってと声をかけていただき、いざ出発。

人気のない河童橋から、目的地である岳沢〜前穂を見上げると、

すっきりクリアな空。気合が入ります。

明神池まで続く、梓川の左手につづく木道をずんずん進む。

朝もやの中、向かいにそびえる霞沢岳も静かに見守ってくれています。

10分ほど歩いて、岳沢の登山口に到着。


↓すっきり快晴

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↓霞沢岳もきれい

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↓岳沢登山口

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5:00。いよいよアドベンチャー開始。

沢登山口からはうっそうとした緑の中をしばらく進みます。

道中には650mほど上部にある岳沢小屋まで

ナンバリングがされていて、距離感がつかみやすい。

本当なら岳沢小屋からスタートしたいところが、

あそこはキャパの問題で完全予約制で、

しばらくは週末は満杯で予約不可になっていたため、

この区間はハンデとして、早く消化したいところ。

ペースを上げて進んでいきます。

NO.7のところには自然のクーラー・風洞がありましたが

まだ朝も早く涼しかったので、あまり実感できず。

NO.5辺りまで来ると、河童橋からも見えていた、

石の沢に出ます。

ここからは、さっきまでいた上高地が眼下に広がり、

上部を見上げれば西穂の方からせまってくる

荒々しい岩礁の稜線が威圧するかのようにそそり立っています。


↓岳沢小屋までの10カウント

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↓No.7付近にある風洞

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↓徐々に登ってきました

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↓西穂から伸びるえぐい稜線

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道はこの岩の沢のヘリに沿って続き、

岩の区間と緑の区間を交互に行き来しながら

にわかに高度を上げていきます。

ちらちらと小屋が上部に見えてきますが、まだ先。

NO.2の手前で登りは厳しくなり、

えっほえっほと登っていると、

岳沢を発ったばかりの人たちとの行き違いがはじまります。

急登を登ると、道は左へと折れ、岩の沢を横断します。

沢を渡って少し登れば、岳沢小屋に到着。

時刻は6:30。

できるだけイージーなところで時間を稼いで、

その分難易度の高いところでゆとりが持てるようにと

少しペースを上げてたのが功を奏しました。

小屋ではおトイレと、前日に朝食代わりに手配した弁当を食べる。


↓岳沢小屋

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7時となり、いよいよ重太郎新道に突入します。

ここから前穂高岳まで、わずか2kmで

900m以上も高度を上げることになるので急登必至です。

重太郎新道とは、穂高岳山荘の初代主の今田重太郎さんが、

事故の絶えない前穂高に安全な道をと切り拓いた登山道で、

当時幼かった娘さん(紀美子さん)テントに寝かせながら

作業されたそうです。

そのテントを設営した場所が今は紀美子平と呼ばれています。

北アルプス一般ルートの中でも急登と知られている道で、

小屋から上部を見やれば、その過酷さが一目でわかりますね。

いざ!


↓ここから一気に900m標高を上げる

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まずは岩の沢を再び対岸へ渡り、

テン場の脇をかすめて進みます。

ゴローゴローとした岩の道は

急斜面をジグザグと高度を上げていきます。

道幅は徐々に狭まり、カーブの部分では

両手で岩をよじ登るような格好で

徐々にハードな展開になっていきます。

そうして急登と格闘していると目の前に、

重太郎新道名物の長梯子が現れました。


↓にわかにハードな展開に

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↓重太郎新道名物の長梯子

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早速梯子に取り付きます。

見た目は意外と怖いような感じがしますが、

自分は人工物がしっかりと設置されているところの方が安心感があります、

もちろん、ロープとか鎖とかがあるところというのは

それなりに危険度が高いから設置されているし、

その設置されているものも、

経年劣化などで必ずしも信用してはいけないのだけど、

そういうところは案外、自分でも危険というのが頭にあって、

自然と緊張と集中しているので、怖い思いをすることが少ない。

むしろそういうのが全くないのに、危ういガレ場とかの方が足がすくみますし、

難所を抜けた先で、ほっと気を抜いた場面などの方が事故が多い。

ここは梯子が長いので

渋滞だったり、下りだったり、ウェットコンディションだと

確かにちょっと慎重になりそうです。

しっかりと梯子をホールドして上部へあがると、

左手の明神だけとの間にあるえぐい岩の沢が目に飛び込んできて、

ひや〜っとします。


↓落ちたら終わり

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ここからは道はジグザグと急斜面に無抵抗に振り回されながら

幾多のハシゴや岩場の連続。

周囲に植生があるのでそれほど高度感は感じませんが

とにかく岩にへばりつく感じで骨が折れます。

急斜面と格闘していると上部がにわかに広がり、

カモシカの立場と呼ばれるちょっとした平地に出ました。

重太郎新道はひたすら真上に続いているので、

眺望にほとんど変化はありませんが、

眼下に常に見えている岳沢〜上高地の景色は徐々にワイド感を出し始め、

それと対比するように、西の稜線はその鋭い牙をむき出しに威嚇し始めます。


カモシカの立場

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カモシカの立場から見える西穂の稜線

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↓振り返ると、焼岳と乗鞍岳がきれい

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立場で少しだけ休憩をして先へ進みます。

ここから先はいよいよ本格的な岩場の道となり、

リスタートして早々にスラブ状に展開する鎖場が登場。

手置き場、足場を確認しつつ抜けていきます。

そこからさらに急な岩礁もあり、かじりついて登ります。

ここから岳沢小屋を出発した人たちに追いついたり、

逆に早くも上から降りてくる人たち(奥穂から来たのか、ご来光帰り?)との

行き違いが頻繁に発生。

難儀な岩場で結構わちゃわちゃと忙しく、

恐怖感や高度感を感じている余裕なく、ひたすらに急登を詰めます。

この間、結構な高度を稼いできましたが頂はまだまだ先。

さすがは重太郎新道です。


↓難儀な鎖場もぬける

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↓急な岩礁もよじ登る

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↓パーティーをパスしてひたすら登る

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↓まだまだ頂は遠い…

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えっさほっさと急登を詰めて、8:30には

7合目に当たる雷鳥広場というわずかなスペースに出ました。

わずかに息を整えてリスタートします。

個人的にはここから8合目に当たる紀美子平までの区間

一番難儀な区間で、結構な角度の岩場を鎖をサポートに使用しながら

グイグイと登っていく。

ちょうど上から、韓国のご一行が一斉に下りてきて行き違いが発生し、

難しいところで互いに道を譲りあいしながらで大変でした。

みな、礼儀正しく、「がんばって」「アニハセヨ〜」と声かけ頂きました。


↓7合目に当たる雷鳥広場

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↓急な岩場区間に差し掛かる

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難儀な岩場を抜けると小さな梯子で岩礁を抜け、

さらにそこから急斜面の岩場を詰めます。

道幅が限られているのだが、

韓国のご一行さんの列はまだまだ終わらず、

お互いにわずかな足場を確保しながら譲り合い。

岩にかじりついて詰めていくとその先が騒がしく、

向こう側へと抜けると、そこが紀美子平でした。

ふぃ〜。やっと着いた!


岩礁を越えたらもう一息!

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↓鎖場の連続する難所で行き違いも多発

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↓紀美子平

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ここでは多くの人が休息を取っていて、

自分も一角で小休止。

いったんザックを脇にデポして、

前穂の頂上まで空身でアタックします。

ここからの登りがさっきの7〜8合目よりもさらに岩登りな感じで

えっほえっほと登っていきます。

9合目の槍見平からは穂高の山並みの間から

ちらっと槍が穂先を見せているのが見えますが、

山頂まではおあずけして、とりあえずトップを目指す。


↓9合目の槍見平

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9合目から上も、浮石が多い岩場の登りで、

一部結構な高度感を感じるような場面もあったり、

一筋縄ではいきません。

慎重に歩を進めて、9:20に標高3090mの前穂高岳に登頂しました。

乙!


↓岳沢方面。御嶽までばっちり

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山頂は想像していたよりもずっと広々としていて、

大きな岩がからからと積み上がったような広場になっています。

せっかくなので、一番奥の方まで進みます。

そこからの眺めは本当に素晴らしかった!

まずは何と言っても、これから向かう先の奥穂高岳の威圧感!

吊尾根の先にそそり立つ岩の殿堂は、

前のめりでこちらを覗き込んでいるように感じるくらい圧倒的。

今からあの細い回廊を伝ってあちらへ行くのかと思うと、

思わず武者震いをしてしまいます。

そして、真っ先にその姿を求めてしまう槍ヶ岳

この日もしっかりと北アルプスの中心に堂々と鎮座しています。

その槍からこちら側へ向かって鋭い稜線が向かってくるのが見え、

改めてものすごいところに来てしまったという実感が湧きます。

視線を東へ転ずれば、はるか眼下の梓川沿いに

明神池や徳沢の小屋がミニチュアのように見え、

その上部に、蝶ヶ岳常念岳大天井岳〜燕岳と常念山脈のしなやかな山並み。

そしてさらにそのはるか奥に針ノ木岳や鹿島槍

そして後立山の山々までが延々と続いています。

事前の天気予報では二転三転していた天候も、

文句のつけようのない晴天で感無量でした。


↓絶景かな〜

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↓常念・表銀座方面

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20分ほど絶景を楽しんだのち、

紀美子平までの下降をスタートします。

登りに難儀した道は下りは一層難しく、慎重に下っていきますが

途中で思わぬトラブルが発生。

槍見平まで下ってきて、奥穂のショットを撮ろうとポケットを探ったら

なんとスマホがない!WHY?

山頂では撮影をしたので、その時までは間違いなくあったので、

その間に落としたのか?

でも、落としたらきっと音やら何やらでわかるはずなのに?

でも紛失したのは山頂からの下りなのは間違いないので

向き直って再び山頂へ登り返します。

周囲にいた人たちや、先行で登っている人たちに、

あったら教えてください!と声をかけながら戻っていると、

上部の人がスマホがここにあるよと教えてくれ、

しかもわざわざそれを私に降りてきてくれました。

ありがたや〜@@@@

そこはちょうど、段差が大きくて、

降りるのに尻をつかないといけないところで、

おそらくその動作の際にズボンのポッケから

ニュルっと静かに押し出されてしまったのだと思います。

皆さんお騒がせいたしましたm(__)m

なんだかんだで、どうにか紀美子平まで降りてきました。

ただでさえ緊張感が続くゾーンにいるのに、

思わぬトラブルで軽いパニックになり、

少しここで休憩を入れて落ち着きを取り戻します。


↓紀美子平まで戻ってきました

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10分ほど休憩をしたのち、いよいよ吊尾根にアタック!

道自体はすでにここからほぼ全容が見渡せます。

よくよく目を凝らすと所々にカラフルなザックが動いているのが見え

こちらから見ると、ええっつ!?あんなところ歩いていくのと

少しばかりビビってしまいます。

特にここから見える奥穂高の威圧感はすごくて、

それを目の当りにするだけでもひるんでしまいますが

ここまで来た以上は突撃あるのみ!


↓いざ吊尾根!

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細い細い道が岳沢側につけられていて、

そこをえっちらおっちらと進みます。

しばらく進んでいくと、上部の難儀な岩場から声が?

何かと思ったら前穂の頂上から降りてきた人で

「道をロストしてこっちに来てしまったんだけど、紀美子平どっち?」

と聞いてきた。

いやいや〜そんな危なっかしい岩場に来るまでに

なぜ気づいて引き返さないのよ。

オッチャンのいる岩場から縦走路までは結構段差が大きいし、

岩の状態もよくないから、

正規ルートまで引き返した方がいいですよと声をかけたのですが

「いや〜登り返すの面倒なんで」とかいいながら

無理やり縦走路まで下りてきて、そのまま反対側へ消えていきました。

いやいや、無事に一般ルートへ戻れたからいいけど、

それは結果論でしかなくて、もしあそこで滑落されたら、

周囲の人も放っておくわけにはいかないわけで、迷惑かけるでしょうが。

そもそもあんなわかりやすいところで道をロストして、

それにすら気づいてない程度なんだから、

そういう人がこんなところに来て勝手はいけません!


さて、オッチャンの無事を一応確認してからリスタート。

すぐ目の前に山の端の岩礁が目に飛び込んできます。

先行する単独者さんが、

そこを通過するのにルートを決めきれずにまごまごしています。

山の切れっ端のところで、なかなか高度感がありそう。

しょっぱなから難しそうです。

少し遅れて、自分も岩に取り付きます。

左側はすっぱり切れ落ちていて、

滑落すればはるか800m下の岳沢小屋まで10秒で着けそうな勢い@@@

マークに従って慎重に岩を乗り越えます。


↓出だしからハード

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その先も山肌に沿って細い道が続いており、

山の凸凹に応じて切れっ端の部分では同じように岩礁が待ち受けていて

その度に、スリリングな岩場を越えていく、というのが繰り返されます。

不思議なもので、この辺りまで来ると徐々に高度感にも慣れて、

恐怖心がなくなってきます。

ただ、そうなってからの油断が怖いので、

集中集中と声に出しながら慎重に歩きます。

前方の奥穂の絶壁と、西穂から続くエグイ稜線のむき出しの岩肌が

本当に迫力満点で迫ってきていて、目がくらくらします。

その無慈悲な光景に、思わず、

少し前に温かく迎えてくれた前穂の方を振り返ってみると、

先ほどの歓迎はどこへやら、

こちら側もギザギザのタテガミをなびかせて早くも他人行儀な表情。

あまりに巨大すぎるモンスターの間に挟まれて、

あまりにちっぽけな自分の存在に途方もなさを感じてしまいました。

とはいえ、ここで停滞するわけにはいきません。

じっくりと一歩一歩前進します。


↓左側はすっぱり崖DEATH

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↓西穂からのギザギザ

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↓前穂のギザギザ

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途中、分岐点(?)とマークの書かれた場所を通過し、

ひたすら細いトレイルを詰めていきます。

この吊尾根はアップダウンはそれほどきつくないし、

スキルを要するところもそれほどないのですが、

左側は常に切れ落ちており、緊張感で体が硬くなって疲れます。

岩場になると、多少滑りやすいところもあるので

慎重に足場を確認しながら進んでいく必要があります。

この日はとっても天気が安定して、晴れていたので

時折、立ち止まって深呼吸をしながら、

眼前に広がる絶景に癒されながら進むことができましたが

これが雨だったり、発達した雲の中に巻かれていたら

さぞかし不安だったと思います。


↓まだまだ先は長い

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↓振り返っての前穂

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↓集中集中

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上高地はずーっと眼下に

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ちょうど中間地点辺りで、わずかのスペースがあり、

先行していた3人パーティーさんと一緒に小休止。

ここからはようやく岳沢と反対側の涸沢を眼下に見ることができました。

大きい小屋床屋の間には色とりどりのテントが咲いているのが見えます。


涸沢カール

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リスタートすると、ここからは少しずつ高度を上げていきます。

岩場の傾斜がにわかに急となり、

万一足を滑らせたら谷底というのが頭をよぎりますが、

必要以上に恐怖心を抱いてもよくないので、

気を紛らわせながら進みます。

そうして進んでいくと、

徐々に奥穂のトップの岩の塊が近づいてきました。


↓緊張感のある岩場が続く

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↓がんがん登ります

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↓おそらく吊尾根で一番の難所にさしかかる

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吊尾根のほぼ終盤に差し掛かり、

この区間最大の難所にぶち当たります。

絶妙に嫌な角度で岩の斜面が結構な長さ続いていて、

そこには一本の鎖がぴろんと垂れ下がっているだけ。

意を決して取り付きます。

まず鎖の末端まで上がるのに、

意外と岩がフラットで難儀します。

どうにか鎖まで来たら、それを補助に、

岩の段差や切れ目を使って三点確保で登る。

上部に行くほど傾斜が急ですが、

必死に岩と格闘してどうにか上がりきる。

最中は登るので必死ですが、登りきってその区間を振り返ると、

谷底まで滑り落ちるように展開する岩場に

さーっと血の気が引きます。

下りの場合は絶対怖い@@@


↓長めの鎖場に突入

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↓振り返って。落ちたらタダじゃすみません

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↓垂直に近いところも

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長めの鎖場を抜けると、さらにその先、岩と岩の間に鎖場。

ここは、中央に突き出た岩が結構邪魔で、

腕力で無理やりよじ登ります。

そこを抜ければ難所は終了で、少し登れば南陵の頭に到着。

そこからはもう山頂がすぐそこで、

たくさんの登山客が見えることでちょっと一安心。


↓少しの間をおいて次の鎖場。中央の出っ張った岩が越えづらい

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↓難所を抜けてほっと一息振り返り前穂

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↓南陵の頭

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そこからはカラカラとした大岩が転がる

なだらかな区間となり、進んでいきます。

左手側からは名高いジャンダルムがそそり立つ稜線が近づいてきます。

そうして12:05に北アルプスの最高峰、

標高3190mの奥穂高岳に登頂しました。

いや〜念願の奥穂です!


↓ジャンダルムが近づく

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↓日本第3位の頂

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さすがに奥穂は人が多く、にぎわっています。

トップにある祠で、絶景を堪能しながら写真の順番待ち。

すぐ前方のジャンダルムは本当に敵意むき出しの荒々しさで、

眺めているだけでも萎縮してしまいそうな感じ。

でもよく見るとあそこのトップにも何人か人が立っていて、

そこからの危うい稜線上にも歩いている人が見えます。

純粋にすごいですね。

自分はちょっとあそこにはよっぽどのことがない限り、行けなさそうです…

翻って、槍方面もこれまた文句なしの絶景。

さっきの前穂からは見えなかった、笠ヶ岳薬師岳といった面々も見えます。

すごいねえ。

こんな景色、いつまでもずーっと飽きずに見ていることができます。


↓ジャンダルム

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↓見るだけでも恐ろしい岩の要塞

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↓奥穂から見る槍

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さて20分ほど写真を撮ったり満喫して、時刻は12:30。

実は腹ペコなのと、おトイレがそろそろということで、

名残惜しいのだが、穂高岳山荘を目指すことにします。

祠から先へ伸びるトレイルへ進み、

右側へとくるっと回り込むような形で岩場を降ります。

そこからは比較的フラットな岩場の区間を歩いていきます。

途中で山口から来たというオッチャン2人組と合流して

色々山話をしながら進みます。

徐々に前方が切れ落ち、向かいの涸沢岳との谷間に赤い屋根が見えてきました。


穂高岳山荘が見えてきた。奥は涸沢岳

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↓小屋直上の難所

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奥穂の名所となっている小屋直上の2連梯子にたどり着きます。

ここは時期や時間帯によっては長蛇の渋滞が発生し、

しかも登りと下りで同時なので、

ヘタをすれば1時間待ちとかもありうるところなのですが、

この日はスイスイと通過できました。

すぐ下に小屋が見えていることもあって、

あまり恐怖感も感じません。


↓名物のハシゴ

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↓小屋から涸沢を見下ろす

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そうして奥穂の山頂から30分弱で穂高岳山荘に到着。

しかし、よくこんなところに小屋があるものです。

小屋は涸沢から上がってきた人たちでごった返しています。

まずは何より腹ごしらえということでカレーを注文。ビール我慢

速攻でペロリ。


で、ここで思案です。

当初の予定だとこの日の終着点はここで、

この小屋で一泊を考えていたのですが、時刻はまだ13:00。

この調子なら、向かいの涸沢岳に登った上で、

涸沢に降りることができそうです。

というのは、穂高岳山荘のHPでは

この日は超混雑日のマークがされていたし、

実際この時間でこの混雑ぶり。

宿泊受付にも今日は1枚の布団を3人でと書かれてあります。

これだけ登って疲れている上に、3000mの山上で、

ひどい寝床は避けたいもの。

それであれば、涸沢まで降りれば、小屋は2つもあり、

それぞれがこの山上の小屋よりもキャパがあるので、

下で混んでもまだマシじゃないかと考えたわけです。

しかも、この日に下山していれば、

明日朝イチで北穂にもアタックが可能!

(奥穂〜涸沢〜北穂の稜線は実力不足なのではなから考えず)

実際はこれが欲張って策に溺れるという結果になります…

実は穂高岳山荘では、エクストラチャージを支払えば、

1人1枚の布団で寝ることが可能だったわけで、

予定通りここで宿泊していれば、

快適な寝床をゲットでき、夕焼け&朝焼けショーも観れたのでした…

涸沢の盛況ぶりを完全に甘く見てしまっていました。

それが悪夢の一晩をすごすことになります@@@


カレーで腹ごしらえ

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この時点ではそんな結末になるとはつゆ知らず、

涸沢に降りるために準備を始めます。

トイレを済ませ、小屋の外にザックをデポして空身で涸沢岳へ向かいます。

テン場とヘリポートを横切って、ガレた岩の道をずんずん進みます。

道はそれほど難しいところ、高度感もないのですが

高所なので登りはとにかく息が切れます。

15分ほどで標高3110mの涸沢岳に登頂です。

山頂には標識が刺さっているだけでほとんどスペースがなく、

岩の間で休憩をして景色を眺めます。

前方には険しい稜線が北穂まで続いていて、

所々にカラフルなザックが取り付いているのが見えます。

このまま前進してみたい気もしますが、

ここから先は事故多発の超難所。

安易には行けません。

そしてはるか眼下には涸沢

あそこまで今から下っていくのか。


涸沢岳への登り途中。向かいは奥穂

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涸沢岳

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↓目の前に北穂があるが、この区間はさらに難易度アップ

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涸沢岳にわずかに滞在したのち、穂高岳山荘へ飛んで帰る。

時刻は13:30だし、あとは下りだけなので、涸沢には十分下れると判断。

ザックをピックアップして、下山を開始しました。

穂高岳山荘のテラスから眺めると、

本当に高度感を感じるようなところですが、

道自体は谷底の方まで細長く続く岩礁の間を

ジグザグジグザグと続いていきます。

ここはザイテングラートと呼ばれ、ほぼ固有名詞化されていますが

要は主稜線ではなくて支尾根という意味です。

ひたすら岩の道を詰めてずんずん下りますが、

難しいところはあまりないように感じました。

下からは必死の形相で登ってくる人が絶えず、

頑張って頑張ってと声をかけながら行き違います。

下の方まで来ると若干の鎖場がありますが、

ここも難易度も恐怖度も低め。

無事にカールの岩殿まで降り立ちます。


↓ザイテングラートを降ります

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↓鎖場もありますが難しくない

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↓登りはしんどいだろうなあ〜

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下ってきた道を見上げてみると、

すごい角度で山が反り返っていて目がくらくら。

これは確かに登りは辛そうです。

右手側には今朝歩いた前穂からの吊尾根のギザギザが見えます。

もはや名残惜しい…

徐々に近づく下界をみやれば、

涸沢名物の色とりどりのテントの賑わいが大きくなってきました。


↓ずいぶん下ってきました

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涸沢のにぎわい

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↓午前中に歩いた吊尾根

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カラカラの岩の沢を歩いて涸沢小屋に到着したのが15:10。

約10時間30分の大冒険が終わりました。

おつかれさま〜。

早速、宿泊の受付をします。

本日の様子を聞いてみるとなかなか今日は混みそうな様子でした。

通された部屋は、受付の後ろにある洞穴のような地下への階段を下ったところ。

しかも残念なことに二段ベットの上の段で、梯子を上るのが難儀でした。

また、この部屋はとにかくどこからも遠くて、

トイレも乾燥室も食堂も売店も、

いちいち靴に履き替えたうえで、

薄暗くて足場の悪い階段を登らなくてはならなくて本当に不便でした。

しかも、寝床も、布団をぎちぎちまでスペースに詰めただけで、

貴重品とかメガネなど枕元に置きたいモノたちを置くスペースもなかったり、

細かいところが結構不便な造りでした…。


涸沢小屋着

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とりあえず荷物を置いて寝床を確保したら、

晩御飯まではフリーなので売店へ行って

早速、生ビールセット♪

テラスから今日歩いてきた吊尾根を見ながらの祝杯です。


生ビールで祝杯♪

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ゆっくりビールを味わったら、

にぎわいを見せる涸沢を散策しますが、

どうも同じ山というフィールドを共有しているだけで、

文化的には異なる人種が多いようで、

サークル活動の延長のようなナンパなノリの若者グループの乱痴気騒ぎとか、

しこたま飲んで酔っ払ってタチの悪い中年グループの横暴さだったり、

アルピニズムというより、

単に都会でできることを山に持ち込んだだけという風な雰囲気が

涸沢全体にあって、

元々人ごみの苦手な自分にとっては、

あまり魅力的に映る場所ではありませんでした。

彼らの楽しみ方を否定するわけではないのですが、

自分が間違った場所に来てしまったなあと感じてしまいます。

また、高山に囲まれた深い谷なので、眺望は開けておらず、

紅葉の時期なら山肌を愛でるのも楽しいかもしれないが、

すでに上の景色を知っている山を見上げても、

あそこに戻りたいなという思いになるだけで、

山上に留まらずに欲張って下ってきた後悔だけが募ります。

それでも、それらをぐっと我慢して、明日は北穂!と

この時点までは考えていたのですが…


17:30となり晩御飯。

窓側の席に案内されたので、吊尾根を見ながらの食事

料理はなかなかおいしゅうございました。


↓晩御飯

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谷底にあるので日暮れは比較的早く、

19時には暗くなって、することもなく、寝床へ戻りますが

結果的に、布団1枚を3人でシェアするという、

回避すべく努力したはずの最悪のパターンに陥るという…

できるだけ寝床に入る時間を遅らせるため、

売店へ行き、TVでリオオリンピックの開会式をぼうっと見る。

それも21時には消灯となるため、悪夢の寝床へと舞い戻る。

さらに最悪なことに、この日一緒になった同部屋の連中は

そろいもそろって大イビキ軍団。

右も左も、ガーガーと眠れやしない。

なのに、どうつもこいつも、周りがイビキでうるさいと

自分のことを棚に上げてののしって険悪なムード。

1人のイビキが止まったなと思ったら、次はその隣の奴がイビキ、

さらにその隣、隣。

スペースも全く寝返りを打てるスペースはなくて、

右から左から肘や膝が入り、おっさんの寝息が顔にかかるので、

途中からもうあきらめて、体を起こし、座して眠る努力。

結局、朝になるまで一睡もできず。

今まで生きてきた中でこれほど最悪な夜はありませんでした。

10時間かけて、3000m峰を3つ登った昼間の疲労よりも、

7時間もの間、極度に狭い場所でなにもすることなく

ひたすら待機するだけの夜間の方がはるかに疲労しました。

一晩で心も体も芯から疲れ切ってしまい、

もはや翌日に北穂にアタックするという野望は消え失せてしまいました。


最終日へ続く…

2016-07-25

秘境、大杉谷 1日目

さかのぼること1か月。

ようやくお医者さんから左手完治の宣言を受け、

本格山行を企て、チャンスをうかがうべく、

ずっ〜〜〜〜っと天気予報とにらめっこ。

何しろ明ける明けると言いつつも、一向に明けない梅雨空。

しかもよりにもよって土日なると天気が下るという

全くもってありがたくない状況が続いている。

本当は遅くても7月の頭には行くつもりにしていた大杉谷も、

迫りくる酷暑と、アルプス開きを考えると、

チャンスタイムのリミットは目前だった。

連休を迎え、ここで行けないとまたお預けになりそうなところ、

天気予報は雨の予報…

一瞬あきらめかけたが、

月・火なら奇跡的に雨の谷間の晴れが期待できそう。

ただその日程だと、なけなしの夏休みを1日取得する必要があり、

雨になってしまえば貴重な休みのカードを

みすみす捨てることになるリスクがある。

ええい!ままよ!男なら突っ込むべし!

ということで、半ば勢いでバスと小屋の予約を入れる。

入れてしまえば、もう行くしかないということで、

いそいそと準備を始める。


標高はそれほど高くはないけれど(小屋は480m)、

今季初の本格遠征なので重くなるがそれなりのウェアを用意する。

あとは全く未知のエリアなので、見聞きしたイメージで

黒部峡谷のような危険個所なはずなので、

ヘルメットを持っていくことにする。

そしてもう1つ、ヒル対策。

やはり渓流沿いで雨の時期なので出ると聞いていて、

ヒル除けのスプレー(ヒル下がりのジョニー)と、

あと材質的に女性用のストッキングを嫌うらしいので、

奥さんに不要になった膝下用のものをもらう。

1日の移動時間はそれぞれ長くても6時間程度だし、

補給品とドリンクは最小限度に抑える。


で、いよいよ出発当日の月曜日。

見事な晴れ!やった!

地下鉄を乗り継いで鶴橋駅へ向かい、そこから近鉄特急

当初のプランで予定していた便だと、

津駅でJR特急に乗り換えるタイミングが5分もなかったので、

早めに家を出れたので、安パイで急きょ、

もう1本早い便に間に合うように、

石橋を叩いて鶴橋に来たのだが、

いきなりダイヤが大幅に遅れている!!!

どうも大和高田付近で早朝に人身事故が発生して、

10〜15分も遅れが生じているとのこと。

予想外のトラブルで早くもDNSの大ピンチ。

すでに事故処理は済んでいて、順次運転再開をしているとのことなので

これ以上の遅れは発生しなさそうだが、果たして…

7:11鶴橋発の予定だった賢島行特急は7:25過ぎてようやく出発。

予定よりさらに一本速い便を目指してきたのが幸いしたが

この便は賢島行きなので津へ行くには

伊勢中川で名古屋行きの特急に乗り換えないといけないが

その乗り継ぎが間に合うか間に合わないか、微妙なタイミング…

10分の遅れならギリギリ、15分の遅れならアウト。

他に案はないのかとスマホで情報戦を展開。

要はJR特急南紀1号に乗り継げれば津でなくてもよいのであって、

便を早めた結果、近鉄特急の行き先が変わったのだから、

乗り継ぎ駅を津から松阪に変更すればなんとか間に合うのがわかった。

そこで車掌に行先変更を告げて、ようやく落ち着きを取り戻す。

予定通りの便(名古屋行き特急)だったら、津への到着が遅れて、

乗り継げてなかったので、本当に早めの行動をしていて助かりました。

松阪には9時前に到着をし、20分ほど乗り継ぎ時間があったので、

駅前のパン屋で朝飯と昼飯のパンを購入。

そして9:18に無事、JR特急南紀1号に乗り込みました。

9:47にJR三瀬谷駅に到着。

ここまでですでに色々あって、ほんと疲れた@@@


↓JR三瀬谷駅

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↓のどかな里

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駅では、住民らしい人たち(明らかに登山目的でない)を含め、

パラパラと5,6人が降りただけで、

電車が行ってしまうと周囲は静けさを取り戻す。

抜けるような青空と、周囲の緑がなんとものどかな小さな駅です。

駅舎を出て、一度踏切のあるところまで大きく迂回し、

線路の反対側にある「道の駅奥伊勢おおだい」に到着。

ここから登山バスが出発するのですが、まだバスが来ておらず、

道の駅で散策をして待つ。

そのうちにそれらしきバスがやってきて乗り込む。

お一人様2500円。

自分のほかには、学生2人組、ナゾのおっさん4人組の3パーティーのみ。

この謎のおっさんグループは、

結局翌日の帰りの特急まで一緒になるのだが

身なりも装備も登山者っぽくないし、地図も持ってなさそうで、

しかもバスの運転手に帰りのバスはあるのとか、

全くノープランで、まるで慰安旅行の延長といった感じ。

そんなんでも完歩しちゃうんだからすごいねえ。

さてこのバス、4人以上そろわないと

運行されないのでこの2パーティーがいなければ登山できませんでした(汗)

週末ならそれなりに人数いるんだろうけど、

祝日・平日の2日コースとなるのでこんなもんでしょうか。

とにかく無事に登山バスに乗り込むことができて一安心。


↓道の駅奥伊勢おおだい

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↓大杉渓谷登山バス(3日前までの要予約)

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定刻通り10:30にバスは出発。

すぐにR42をはずれ、宮川沿いに進んでいく。

奥伊勢フォレストピアの先から

すでに山奥の渓谷といった趣が出てくる。

R422に入ると、すでにキラキラと清流が美しく、

そこかしこで鮎釣りをしている人や

行水をする子供たちが目に飛び込んでくる。

R422から県道53号に入ると、周囲は険しくなり、道も細く難儀に。

しばらく進んでいくと宮川ダムがあり、

貯水池の脇にある大杉自然の家でいったん停車。

ここまでで約1時間。

ここでトイレ休憩が10分あり、登山届もここで提出。

ここからは遊覧ジェットが発着していて、

渓谷を水面から楽しむこともできます。


↓宮川ダムにある大杉自然の家

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↓ダム湖の遊覧船

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再びバスが走り出すと、道幅はさらに細くギリギリ。

新大杉橋でダム湖の対岸へ渡るのも一苦労。

複雑に入り組んだ渓谷をなぞるようにして道がついているので、

スムーズに前進することができず、

右へ左へ振られながらさらに1時間弱。

ようやく登山口に到着します。

下車した他の人たちは、降りた駐車場にある東屋で昼食タイム。

自分は、身支度を済ませたらすぐに出発することにしました。

歩道をもう少しだけ歩いていくと、宮川第3発電所があり、

その脇を進んでいくと、登山道がありました。

いよいよ渓谷歩きのスタートです。


登山口の先、宮川第3発電所から山行スタート

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↓本日は6.2km先の小屋を目指す

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↓ヒル対策もばっちり(ストッキングはきちんと履かずに折り返して靴に巻く)

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しばらく整備された歩きやすい山道を進むと、

その先に、様々な警告のプレートが掲げられたゲートがあり、

その奥には、見るからに険しそうな岩をくりぬいた道が

頼りなく続いているのでした。

一度、ふ〜っと大きく息を吸いこんだら、いざ突撃。


↓ここから本格的な渓谷へ

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まるで黒部の水平歩道を思わせるような、

固い岩盤を最小限度歩ける程度にくりぬいた岩の道が続きます。

左側は川面まで数十メートルの断崖となっていて、

落ちれば一巻の終わり。

岩壁の方には頑丈な鎖が取り付けられてあって、

時々それを頼りにしながら進みます。

それにしてもそのはるか下に見える水の美しいこと。

太陽の光に照らされて薄く緑を纏いながらも、

川床までスッキリとクリアに澄んでいる。

あまり見とれていると吸い込まれそうな感覚になってしまいます。

道自体は黒部よりもさらに幅があるし、鎖も設置されていて、

難易度的には見た目ほどは難しくはない。

ただ、この岩が全然グリップせずにツルツルと滑りやすいので注意が必要。

この一帯の岩は、チャートという物質が含まれているらしく、

非常に頑丈で、その頑丈さのおかげで、水がなかなか浸食できずに、

このような複雑怪奇でスケールの大きい渓谷を作り出したようなのだが、

そのせいで岩が滑りやすく、

なんでもないフラットな区間でも、グラッと来てしまう。

これが場所が場所なら恐ろしい結果を招かないとも限らず、

あまり気が抜けません。

基本的に川に沿って道は続いているのだが、

蛇行している場所で険しいところなどは

岩場をショートカットするように乗っ越す場面も多々あり、

意外と細かいアップダウン、それもツルツルの岩場が連続します。

そして、支流の谷との出合では必ずと言っていいほど吊橋がかかっていて、

これが結構揺れます。

高度なスキルを要する場面はありませんが、

なかなか思った以上に骨が折れます。


↓水平歩道を思わせる断崖の道

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↓早速鎖場も登場

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↓結構揺れます

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徐々に川面へと高度を下げながら、道は続き、

そのうち白い石で敷き詰められた河原へと降りれるくらいになってきました。

こんな奥地までポツポツと釣り人がいて、

自分も降り口を探して河原へと降りてみます。

川面に近づいてみると、ますます水の美しさが際立って見えます。

水に触れてみるととても冷たく、タオルをドボンとつけて

早くも噴き出す汗をぬぐい涼を得ます。

ああ、生き返る@@@

この河原から来た方面を振り返ってみると、

ちょうど自分が歩いてきた道の上部が実は大日厳という強大な絶壁でした。

しばらく川の写真を撮ったりなんだしてリスタート。


↓透明感!

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↓大日厳(山カンムリに品が正式な漢字)

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↓エメラルド!

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道は引き続き、渓谷に沿って進みます。

この辺りはまだ川面からも近く平坦。

時折苔むす緑の谷を抜けたりして、熊野らしい風景の中を進みます。

ただ、最初に絶壁の道が登場した以外は、

意外なほど平坦でフツーの道がこの辺りでは続くので、

ひょっとして期待はずれかと感じてしまったほど。

川が一度大きく右手へと折れるあたりから、

登山道は川面を外れて徐々に高度を上げていきます。

時期的なものもあるだろうけど、右も左も木々や葉っぱが生い茂り、

せっかくの川の美しさも木々の間からうっすらと除くほどで、

特にカメラで狙うにはポイントが限られるし、

確かに渓谷美は素晴らしいのだけど、

ここでしか見れないものでもないし、う〜ん。

と、歩きはじめて約1時間は頭の中でクエッションマークが浮かんでいました。


↓苔むす谷

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↓河原沿いに出ます

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登山道はどんどん地底から離れ、高度を上げていきます。

美しい渓谷の道、それも深い森の中なので、

さぞかし涼しい道だろうと思いきや真逆!

地獄のような暑さに早くも疲弊してきました。

とにかく渓谷があまりにも深いため、山の尾根を吹く風が降りてこない。

しかも複雑に蛇行し入り組んでいるために、

せっかく降りてきた風もすぐに岩壁にぶつかって消えてしまう。

ほとんど無風状態で、あまりにも強い日差しに焼かれた空気が

谷一帯に充満し、強烈な草いきれで窒息しそうなほどにエグイ暑さ。

川の水で涼を得ようにも、その川ははるか眼下に遠のき、

最小限に抑えてしまった手持ちの水を本当にチビリチビリとやるだけ。

去年の栂海新道の水攻め地獄を思い出します。

あまりに暑く、自分でも顔が真っ赤になっているのがわかるほどで、

途中から熱中症の症状も出て、それがとにかく堪えました。


↓再び崖道

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↓深い渓谷

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ひたすらに痩せた道を前進していくと、結構な高さの吊橋に出ました。

日浦杉吊橋。

ここも歩く度に、結構ぐわんぐわんとたわむので

高所恐怖症の人は結構大変かも?

ここは結構高い位置なので、渓谷を見渡することができますが、

谷はまだまだ奥へ奥へと続いています。

この先のあたりから徐々に、

前日に小屋宿泊されたであろう下山の人たちとの行き違い。

みなさん、暑い暑いとうなされておりました。

水越谷の出合から、渓谷は右へと急旋回をしていきます。

渓谷のずいぶん上を高巻きしながら進んでいくと、

対岸に滝が現れました。


↓日浦杉吊橋

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↓ひたすら鎖場

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千尋滝という名前で、幾段にも渡って水が流れ落ちています。

最初に見えるスポットからは、それなりにきれいですが、

まあフツーの滝かなあという印象しかありませんでした。

近くの東屋で小休憩をして、その先へ進んでいくと、

渓谷側に視野が開けた部分があって、さっきの滝の方を振り返ってみると…

なんと、山のてっぺんから水が勢いよく吹き出して、

絶壁を洗っているではありませんか!

さっきはフツーの滝とか言ってすみませんm(__)m

先ほどの位置からは、あまりにスケールのでかい滝の

ほんの膝下しか見えなかったのです。

ある意味ドッキリに近いサプライズにまんまとはまってしまいました。

それにしてもあんな山のてっぺんに近い位置から

あれだけの水が流れ落ちているなんて、何処に水源があるんでしょう?


↓千尋滝。きれいだけど小規模かなあと思いきや…

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↓山のてっぺんから落ちてる@@@

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千尋滝の全容に圧倒されたのち、再び歩き始めます。

すでに時刻は14時を過ぎ、看過できないほど暑さがこたえ始めます。

すでにバテはじめ、熱中症の兆候も出始めて、フラッフラ。

それでももう後戻りはできないし、すでにぬるくなっている首巻のタオルで

何度も額をぬぐって、少しでも体温を下げる。

道は谷の形状に沿って蛇行を繰り返し、細かくアップダウンを繰り返していく。

途中、支流の谷にわずかな水の流れがあり、そこで思わずザックを置いて休憩。

岩の間をちょろちょろと落ちる水を両手ですくって、

全身にバシャバシャとかけて火照った体を冷ます。ああ、気持ちいい。

何度も何度もタオルを流れにつけて水を含めて、

全身をぬぐうというのを何度も繰り返します。

それでようやくボオーッ意識が薄くなっていた頭もようやくマシになり、

もうしばらく涼んでからリスタートします。

この先も、意外とのぼりが続き、

木の道やら岩梯子のようなところをせっせとこなしていく。


↓滑りやすいチャートを含んだ硬い石の道

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↓支流の水で涼を得る

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↓岩場をいくつも越えていく

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ある程度本格的な登りが終わったと思ったら、

今度は谷底へ向かって大きく下っていきます。

下りきると、鋭くえぐられた谷の間を勢いよく

深緑の水がトグロを巻いているのが見え、

その先が少し岩の広間のように空洞になっているところに出ました。

その広間をぐるっと谷筋に沿って回り込んでいくと、

渓谷はそこから左に旋回しています。

もう少し進んでその左手に伸びている谷の奥の方を確認すると…


↓広い岩の広場に出る

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↓シシ淵

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ここがシシ淵と呼ばれるところで、

よくポスターなどでもここの写真が使用されている大杉谷のシンボル的な場所です。

川がここで直角に折れているため、

角部分に激流がぶつかって削られ、そこが広間のようになっているという具合で、

ちょっと頑張って大岩を下れば、川べりの砂浜に降りることができます。

砂浜と言っても砂地はわずかで、トラックほどの大岩がゴロゴロと転がっています。

周囲は断崖に囲まれていて、真上にぽっかりと青空が見えているだけ。

なんだか火口の中にいるような錯覚。

岩を伝ってさらに淵の方へと進んでいきます。

この区間だけ、岸壁と岸壁の間隔が狭まり、見事なゴルジュを形成しています。

そのゴルジュの遠く先には2連の滝が落ちているのが見えます。

まるで高千穂峡のようでもあり、もののけ姫にでも出てきそうな

神聖な空気が漂っています。

そこで再び冷たい水で涼を得て、しばらく撮影しながらまとまった休憩を取ります。

しばらくすると、後ろが騒がしいので見てみると、

同じバスにのっていた2組が現れ、

オッサン連中は服を脱いで砂浜からドボンドボンと行水。

無邪気でエエですなあ。

自分は十分休憩も撮ったし、静かな山歩きをしたかったので、ここらでリスタート。


↓シシ淵

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↓右手からゴルジュを巻いていく

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流石にこのゴルジュの中を行くのは無理で、

登山道はその真横の崖を一気に駆け上がる。

その道もさらに反対側にでっかい名もなき滝がゴウゴウと水を落として、

結構滑りやすいので注意が必要。

ゴルジュのちょうど真上に出て、

谷底を除いてみると、かなり高度感があってビビビ。

あんまり覗いていると、あのエメラルドの水に吸い込まれそうなのでほどほどに。


↓道の真横にも滝

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↓ゴルジュを覗き込む。なかなかの高度感

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そこからずんずんと進んでいくと、

先ほどゴルジュの間から見えていたニコニコ滝に到着。

なかなかチャーミングな名前ですが、二連の滝なのでそう名付けられたのだそう。

ここも木々が生い茂って、撮影できるポイントが限られているので

全体をうまく捉えるのが難しいですが、なかなかに美しい滝でした。


↓ニコニコ滝

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道はまだまだ続いていきます。

いつもなら10kmくらい平気で歩いているのに、

それほど本格的な登りもないくせに、

ここまで4kmしか歩いていないのにバテバテです。

暑さがひどいというのもありますが、

なかなか骨の折れる道です。

しばらく高巻きの道を歩いていると、前方に大きな吊橋が見えてきました。

しかもその吊橋の奥に聳え立つ平等厳の無慈悲な絶壁具合がすさまじい!

100mほどものそそり立った岩の壁に思わず絶句してしまいました。

このスケール感、写真で伝わればいいけれど…


↓平等厳。デケー!!

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さて、なかなかの高さに設置された吊橋を渡ります。

高度感もなかなかあるし、ほかの吊橋同様に結構ゆれるのでちょっとビビります。

35年前には、この吊橋が落ちて死者も発生しているというのを聞いていたので余計に。

原因は、一度に渡れる人数制限の警告を無視した大人数パーティーが、

山行の遅れを心配し、どうせ大丈夫だろうと高をくくって、

一度に渡ったためにケーブルが断絶、1人が滑落死亡、1人が重傷だったそうです。

去年の槍でもマナーや決め事を無視して無茶をする人を見ましたが、

やはり勝手して、一歩間違えれば大参事なわけですからね。

ちなみに現在の吊橋は2012年に新しく付け替えられたものなので、耐久性はばっちり!


↓スリリングな高さの吊橋

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無事に対岸へたどり着くと、今度は急な岩沢の急登となる。

岩の沢というか、

大昔に上部が崩れて砕け散った大岩が散乱しているといったようなところで、

マーキングを頼りに道をトレースして行く。

そうして対岸からくるっと平等厳を回り込むようにして道は進んでいきます。

再び短めの吊橋で渡って、ひと上りをしたら、

その先からきれいに岩が並べられた石畳となり、ずんずん下っていくと、

再び吊橋があり、その奥に建物が!

深い谷底を流れる激流の、はるか上部に頼りなく揺れる吊橋。

その先に、絶壁にへばりつくようにして建っている古びた小屋。

なんだかここだけを切り取って見ると、エベレスト街道の宿場町のよう。

登山口から歩いて4時間40分、ついに本日の宿泊地・桃の木山の家に到着です。

乙!


↓これもまた絶景

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↓桃の木山の家

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まずは受付です。

「顔真っ赤やで〜」と言いながら、お姉さんが快く迎えてくだいました。。

1泊2食付で9000円なり。

この一帯は国定公園に指定されているので、テント・野営の類は禁止。

(ってそもそもそんな余裕あるスペースもないけど)

行程的に1dayで歩き通すのは至難の業なので、ここがほぼ唯一の宿泊地です。

それにしてもこんな奥地の絶壁によくもまあこれだけの建物を建てたものです。すごい。

まずは寝床に通されると、お一人先客の方がいらっしゃいました。

バスにはいなかったので、マイカーの方でしょうか。

この日は結局このお一人+バスの人だけでしたので、寝床は十分1人1枚確保です。


↓本日の寝床

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小屋のお姉さんから「もうお風呂沸いてますよ〜」とお声かけ頂きます。

え?ここ風呂あるの?びっくり!でもありがたや〜

ということで、早速一番風呂をいただきます。

湯船は2人はいればぎゅうぎゅうといったサイズですが、それでも十分ありがたい!

かけ湯をしてドボンすると…

熱い!!!!!!!

死ぬほど熱くて、思わず飛び出します。

かまど炊きなので、底の方が熱くって、1人ダチョウ倶楽部状態でした。(笑)

慌てて入るのは危険ですね。

ゆっくりと洗い場で時間をかけて、ようやく入浴していると、

バスのほかの2組が続々到着されるのが窓から見えましたので、

順番を譲るために風呂を出ます。

熱々の風呂で疲れた体もシャキ〜ンと正すことができました。


↓かまど風呂

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風呂を上がっても夕食まで30分ほど余裕があり、

小屋の周囲(といっても玄関回り)を写真を撮ったりして過ごす。

17:30となって、セルフで受付に晩御飯を取りに行き、

渓谷沿いの食堂で食事

今晩は海老フライ&トンカツ定食。がっつりモリモリ。

あとは、おビールをいただいて一人祝杯。プハア♪

最高です。


↓食堂

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↓晩御飯はトンカツ&エビフライ定食

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食後はすることもなく、暑さで疲労しすぎたせいか、

19時までには寝てしまいました。

夜中激しい水の音がするので、雨かと思って起きるが、

渓谷の川の水の勢いが強いようでその音でした。

部屋は窓を網戸の状態でも寒くなく、ちょうどいいひんやり具合で、

ぐっすり安眠できました。

翌日はいよいよ大杉谷の核心部を経て、

大台ケ原の最高峰・日出ヶ岳まで1300mの高低差を上がります。

2日目へ続く…

2016-06-28

マインスイーパー

ネタがないので、珍しくゲームの話。


電車に乗っても店に入ってもスマホでカチャカチャ、

みんな何をやっているのかと思えば、

ツムツムやモンストなどを必死でやっている。

通信や課金を要するようになってからすっかりゲームはしなくなった。

昔はパワプロとかかなりやり込んだりしていたんだけど、

今となっては自転車や山や音楽、酒といった、

もっと現実世界で楽しいことがたくさんあるのに

電子ディスプレイの中の世界に閉じこもる理由もない。


そんな自分のスマホに唯一入っているゲームがある。

それがマインスイーパー。

初期のPCにはこれとソリティアが必ず入っていたので、

やったことのある人は多いと思います。

レベルに合わせて決められた数の地雷(mine)がマスの中に潜んでいて、

地雷の入っていないマスをすべて明ければクリア。

地雷があるかどうかは、ヒントとして、

自分のマスの周辺にいくつ地雷が埋められているか数が表示されていて、

その情報を元にどのマスが危険でどのマスが安全かを推理して、

マスを開けていきます。

1クリック目の開き具合など、運が必要な要素ももちろんあるのですが、

大体は法則を見破り、確率性を上げれば比較的スムーズにクリアできます。


ちょっとの暇つぶしに時々やるのだが、

いっちょ本気出してみたらどうなるだろうと、

ここしばらくやり込んでみた。

初級は3秒、中級は32秒、上級は151秒、

合計タイムは186秒が自己ベスト。


↓EASY(9×9マスに10個の地雷) 2.55秒

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↓NORMAL(16×16のマスに40個の地雷) 31.47秒

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↓HARD(30×16のマスに99個の地雷) 2:30:33秒

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まずまず早いタイムが出たなと思ったのだが、

それはそれ。世界には上には上がいる。いすぎる。

世界記録は何と初級が0.49秒、中級が 7.27秒、上級が31.13秒という

全くあり得ないタイム。

もう完全に無の境地でクリックしているとしか思えないなあ。

初級・中級・上級の合計タイムがどのくらいかが

プレイヤーのレベルを測る目安になっているらしく、

世界トップクラスで合計100秒を切るのが最低ラインなのだそうだが、

あと80秒も短縮するのはおそらく至難の業と思われる。

2016-06-08

箱根外輪山トレイル 後編(長尾峠〜湖尻峠〜三国山〜山伏〜箱根町〜鷹巣山〜浅間山〜箱根湯本)

さて、後半戦。

長尾峠の先の箱根スカイラインの料金所での休憩を終え、

再び歩き出します。

舗装道路は有料の自動車専用なので歩行禁止なので、

すぐにまたブッシュの切れ目からトレイルに復帰します。

深い森の中に入っていき、そこからにわかに登り基調となります。

ピークを微妙に避けつつ、

尾根の左手側を上ったり下ったりを繰り返していきます。

なかなかに藪が深く、変わり映えがしないので単調になってきます。

一度大きく下ったら、芦ノ湖方面からのトレイルとの分岐。

最初ここが湖尻峠かと思ったのだが、違いました。


↓振り返って、これまでの道のり。中央の電波塔が丸岳。右奥が金時山

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↓まだだ!まだ終わらんよ!

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深い藪を抜けていくと、視界の開ける場所に出て、

スカイライン途中の休憩所みたいな芝の広場に出ます。

ここからは眺望がよく、眼下に芦ノ湖が広がり、

桃源台のところには観光船が停泊しているのが見えます。

そこから視線を上げていくと、

絶賛活動中の大涌谷と箱根山が雲を被っている。

なかなかの絶景。

ただ視線を進行方向に移していくと、前方にでっかい壁が…

とにもかくにも進むしかない。


↓藪を抜ける

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↓桃源台と芦ノ湖

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ドライブ途中に休憩している人たちを横目に、

広場を抜けて再び藪の道へと突き進む。

鈍いのぼりをこなしていくと、そこから真正面に大きなギャップ。

前方に大きな三国山がデーンと立ちはだかり、ラスボス感バリバリ。

その前に、湖尻峠までえげつない激下りが待ち受けているではないか!

すでに25km以上歩いてきて、大物はほぼやっつけたと思っていたのに、

このビジュアルにさすがにマジかよ〜と戦意を喪失しかけました。

削れて意外と歩きにくい下りをどうにかやっつけて湖尻峠に到着。

ここからさっきみたエグイ上り返し。

これはちょっとその日中に帰阪するのは無理ですと

思わず奥さんにLINEを入れ弱音を吐く。


↓おい!湖尻峠までの下り!三国山の登り!

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↓湖尻峠

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鈍いのぼりがースタートし、鬱蒼とした森の中へと入っていく。

天気が悪くなってきたのか、高度があがったためか、

だんだん周囲に白い霧が立ち込めて、ますます湿った世界が広がります。

疲労感と、さっきくらったカウンターパンチで戦意喪失気味で

ペースが自然と落ちてしまう。

これはいかんと、しばらく音楽を流して気分転換しながら歩く。

意外と急な部分が続き、霧のせいか足元がベチャベチャ、

木の根っこやらがツルツルで難儀する。

そのうち背後に気配がするなと思ったら、

トレイルランナーの2人組にパスして行かれました。

そうして14:50によくやく三国山(1102m)に到着。

標高の割に意外とタフな山でした。


↓ガスってきた

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↓三国山

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山頂では先ほどのトレイルランナーが休憩をされていたので、

こちらは通過して先を急ぐことにします。

また抜かれるのもいやなので、ここから下り基調に入ることもあり、

勝手に逃げを打つようなイメージで一気にペースアップ。

尾根の左側の細い細い斜面の道をえっほえっほと進みます。

頭一つ抜けている三国山の山頂付近だけ雲がかかっているのだろうと思っていたのに、

下っていけばいくほどガスは厚くなっていくので、結構天気崩れてきている予感。

かなり大股小走りでペースをガツンと上げて進む。

時々、乗り越えたりする部分があったりするが、道はほぼほぼ平坦。

かなり中途半端なところで、山伏峠を通過。

道の途中に道標がなければあれは全く分からない。

そのうち、斜面を抜けて道が右手へ急ハンドルを切ると、森を抜け、

スカイラインの脇の道となる。

道もおなじみの幅広の藪の間を抜ける道となり、

短いアップダウンをこなして進むと、さらに広々とした空間にでる。

ガスが濃すぎてよくわからないがかなり広い広場のようで、

そこからぬうっと建物をが現れる。

山伏のレストハウスです。


↓山伏峠

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↓山伏レストハウス

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↓ヤギ発見

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この区間は結果的にかなりハイペースで進んできたので、

ちょっとここで小休止。

お昼ご飯もまだだったので、何か温かいものを食べようかとも思ったのだが、

あまり悠長にはできないし、ちょっと高めの金額だったので、

手軽な焼きおにぎりとサイダーだけ。

休憩をしていると先ほどのトレイルランナーの人たちが到着。

それと入れ替わりに出発します。


↓小休止

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さっきの区間で調子を取り戻しペースも上がったし、

引き続き仮想バトルを妄想しつつ、ペースを上げて箱根町を目指します。

再び、藪道を下っていくと、今度は杉林のようなところに出て、淡々と進みます。

一か所大きく下って、小さな沢に架かった木橋を渡ろうとして、

思わずスリップ!

濡れてツルツルの木に足を取られ、

どうにか踏ん張って転倒は免れたのだが、

右足をひねる?攣る?かしてしまいダメージを負ってしまった…

そこを抜けると、かなり幅広の芝の道が続く。

周囲がガスで覆われていて何とも幻想的で、

ここは北海道の牧場かというような感じ。

鈍いのぼりとなっていてえっちらおっちら歩いていると、

右手の藪の向こう側のスカイラインに車が通る度に音楽のようなものが流れる。

速度超過の対策なのか、どうもメロディーロード化されているようだ。

メロディーロードとは、舗装のアスファルトに、溝を切り込み、

車のタイヤが通過する際に生じる摩擦音を調整して、

一定速度で走れば音楽が鳴るようにしたもの。

よくよく耳を済ませて聴いてみると、

この区間は『残酷な天使のテーゼ』が流れるようになっているようだった。

そのうちに、海平と呼ばれる広々とした緑の草原に出る。


↓海平

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そこから再びアップダウンをこなし、ずんずん下っていく。

なかなか急な下りの階段区間が続き、山肌に沿って道は右へ左へ。

そこから前方に長に長いのぼりの階段が続く区間

ここは結構ダレました。

そこを乗り越えていくと、外輪山集遊歩道入り口の看板がかかったところに出る。

ハイスピードで車が行き交う道を慎重に横断して、

向かいの道の駅箱根峠に到着。

自販機で再びアンバサだけ買って、

直ちに流し込んだら、間髪入れずにリスタート。


↓外輪山周遊歩道入口

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↓道の駅箱根峠

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道の駅の駐車場を縦断して、ICの入り口方面へ。

そこに旧街道の看板があり、そこから再びトレイルへ。

ここがエグい下りで、道は細く、難儀。

ようやく斜度が落ち着いてきたなあと思ったら、

今度は、恐怖の石畳区間がスタート。

大昔から踏み倒されてきた石達は角が取れてツルツルに丸くなり、

その上には瑞々しい苔がむしており、

それらが分厚いガスにまみれて程よく濡れており、

本当にもう、どうぞお滑りくださいと言わんばかり。

斜度は緩いながらもあるし、前のめりにでもなろうものならひとたまりもない。

ここは絶対に左手を死守せねばならぬと、ペースを落とし慎重に進む。

岩の上に乗るのではなく、岩と岩との間を狙い足を置き、

道の中央ではなく、道の端の土との境界を歩く。

それだけ慎重を期しても、時折、グラッときてビビる。

超ビビる。

それが1kmちょいほどある。

心底ビビりながらどうにか箱根町まで下りてきました。


↓旧街道へ

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↓滑る!石畳

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県道737号からR1に出ると、しっかりとした街中に様変わり。

観光客だけでなく、マラソンの練習をしているランナーなどもいて

さすが箱根といった感じ。

ここからはしばらくロードを歩いて元箱根を目指します。

土産物屋の巨大な駐車場や箱根関所跡を通過し、

道をいったんまたいで右側の歩道へ。

恩師箱根公園を左手に見ながら砂利道を黙々と。

そのうち前方に朱の大鳥居が見えて、元箱根の到着。


↓箱根町の中心部へ

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↓箱根関所跡

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↓元箱根

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そこから鳥居横の脇道へ入りにわかに登り。

その先で木の陸橋があり、えっほえっほと重い足を担ぎあげて渡ると…

ひえ〜〜〜〜、また容赦ない石畳区間に突入…

しかも、なかなか傾斜の急なのぼりで、ここにきてかなり堪える…

これも道の脇の比較的ステップを切ってある方を歩いて進むが、

ツルッツルッっと前のめりになりそうでビビりながら進む。


↓恐怖!

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ひとしきり登り終え、石畳区間を終えて、

道なりに進むと県道732号にぶち当たる。

ここはキャノボの際のハイライトとなる「七曲り」へ続く旧東海道。

色々と思い出のある道をまたぎ、

向かいのどさんこラーメンの脇から再びトレイルへ。

平坦で幅広の道を黙々と歩いていくと、右手に小さな池があり、

これがお玉が池かと思ったが、どうも違うようだ。

途中で、道標に従って、左折し、

鬱蒼とした森の中に続く階段状の道を黙々と。

そろそろ周囲も薄暗くなり、ガスがいよいよ濃くなってきた。


↓ここから再びトレイルへ

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↓これはお玉が池じゃなかったようだ

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↓ここ折れて精進池へ

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ここらでスマホの充電が消失…

前日に充電を忘れて、山伏あたりからアラートが出ていたのだが、

ラストまで持たず。

今回は軽量化のために一眼を置いていたのが裏目に出てしまった。

どのみち、日没との争いと、帰阪終電へのラストスパートに専念しないと

そろそろキワキワのタイミングとなってきました。ちょっと焦る。

ガスガスの森を黙々と進んでいると、左手側から車の音が響き始める。

そのうちR1と並走するようになるが、高い壁で遮断されている。

精進池のところでトレイルが切れ、そこからしばらく退屈なロード。

ガスがかなり深くて、前方から車が突然ぬうっと出てくるような感覚で、

そうなると、後方から来る車が歩行者(自分)を見つけるのは難しいだろうから

十分に注意してできるだけ路肩を歩く。

途中R1の最高地点を通過し、

ヘアピンを1つ2つこなすと湯坂路入り口からR1を外れる。


ここからは歩きやすいトレイルが続いていて、ペースを上げます。

標高834mの鷹巣山、続いて802mの浅間山とつなぐ。

ここでヘッデンを装着し万全を期した状態で

ここから、プランニングの際にオーラス区間として目をつけていた通り、

傾斜も緩く、幅広で直線的な道が続く。

とにかく暗闇と白霧を切り裂いて、

ラストはもう速足というよりもほとんどランに近い状態で進む。

ラストは少しガレて九十九折れとなり、そのころにはちょうど足も棒で、

ペースを慎重にしてR1に降りてきたころには周囲はもう真っ暗でした。

無事に歩ききった喜びもつかの間、

そこからさらに駅まで歩かないといけないのですぐに移動。

無事に箱根湯本駅に到着して時計を見ると19:34。次の小田原行が19:38!

なんとかギリ間に合いました。

朝の6:05にここを出発して、19:34着なので、実に13時間30分の山行。

去年の栂海新道に匹敵するくらいのしんどさで、もう全身ボロッボロです。

ここを10時間とかそこいらで走りきってしまう

トレイルランナーはやはりすごいですねえ。


感傷に浸っている間もなく、みやげを物色する余裕もなく、

とにかく切符を買って小田原行きに滑り込む。

改札から電車の停車しているホームまでがこれまた意外とあって、

電車がちょっと出発に手間取ってくれたおかげでどうにかギリギリでした(汗)

乗り込むと、外国人だらけ。

19:52に小田原に到着し、すぐさま新幹線の手配。

できれば乗り換えを少ない便のほうが寝れるのでと期待したが、

どれもすでに×が並んでいて、結局、静岡・名古屋で2度乗り換えることに。

しかも最後ののぞみが広島行き最終だったので、乗り過ごしたら地獄…

売店でめぼしいみやげと補給品(酒はヤバイのでNG)をひっつかんで

ホームに上がったら、もう入線してくるタイミング。

そこから寝れずに新大阪に到着したのが23:13。

タクシー飛ばして23:30には帰宅したのだが、

鍵を回してもドアが開かない!

どうも今日は帰れないと連絡したまま、

携帯の充電を消失して連絡できていなかったので、

まさか帰ってこれるはずないと思って錠もかけていたらしく、

ドンドンとドアを叩くものだから、家族に不審者と間違われる始末…

頑張ってその日中に返ってきたんだけどね!


ということでどうにかこうにか箱根外輪山一周できました。

帰りのリミットがある分、六甲よりもシビアな展開になりましたが、

曇天でも十分魅力的な眺望と、

整備された心地よいトレイルを満喫できました。