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記憶の残滓 by arkibito

2017-05-11

ミシマ社の本屋さん

金曜日。

少しだけ仕事を切り上げて、

向かったのははたまた京都

実はずっと行ってみたいと思いながらも、

毎週金曜日のみの営業ということで、実現が叶わなかった場所へ。

神宮丸太町駅から少し下った路地の奥にある、

ミシマ社の本屋さんです。


↓路地の奥

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↓民家を利用した造り

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10年ほど前に東京自由が丘でスタートした「ミシマ社」。

コーヒーと一冊」シリーズなど、

なかなかユニークで面白い本を出版している

今大注目の出版社さんが、

数年前から金曜日だけ

京都のオフィスでOPENさせている本屋さん。


↓ミシマ社

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店内は書店というよりも、

本当に本屋さんという言葉がぴったりの空間で、

そこにたくさんの面白そうな本がズラリ。

ほんの30分ほどでしたが、楽しむことができました。

ちょうどレジ版をしていた営業の方と、

少し出版社トーク

本が売れないといわれる時代に、

こんな風に面白い試みをしながら、

発信する自由なカンジがちょっと羨ましかったり。


↓内観

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↓内観

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それにしても、大阪もそうですが京都の界隈に、

小さいながらも個性豊かで魅力的な本屋さんが増えてきて

ますます面白い。

昔から文化の町として栄え、

学生や研究者、アーティストが大勢いる土地柄もあってか

本を読んだり、本に関わりながら暮らすというのが

しっかり根付いている町だからこそなんだろうなあ。

2017-04-05

毎度のスタンダードさんにて

生まれ変わったスタンダードさん。

ワンフロアに集約されて、より濃密な感じになった感じ。

モノは増えたけど、頑張って設置したライトのおかげか、

以前より明るさも増したし、

cafeと物販のエリアを分ける壁が取っ払われて、

遠くまで見通せるので、お店に入った瞬間の開放感が出て

うまくいっていると思います。

それにしても、初日のお手伝いの状況では全然どうなるか、

ほんとにオープンできるのというぐらいカオスでしたが、

無事に営業できているようで安心しました。

さっそく、20%OFFの通称”無敵カード”も使わせていただきました。


↓この棚切ってよかったんでしょうか

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タコライス

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2017-03-31

肉食系呑み 「堂島精肉店」

来月丸々、研修で関東に行ってしまうというので

そのまえにあっちょさんと呑み。

あの人、肉しか喰わんのですわ。

ならば肉三昧をばということでやってまいりましたのは

新地のスエヒロの裏辺りにあります、堂島精肉店。

卸専門の精肉店ですが、

昼と夜は狭いお店に無理やり椅子とテーブルをこさえて、

ええ肉を出すスタンド店として営業されてます。


↓堂島精肉店

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↓ええ肉が出番待ち

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すでに小さなお店はお客で一杯でしたが、

ガラスケースの前の席に陣取り、たちまちビール。

さっそう出てきたキュウリのしばき、

そして、分厚いハムカツ。

いわゆる「ワンパクでもいいたくましく育ってほしい」系の

ええハムをどどーんと。

徳田さんとこのもええサイズですが、

それをはるかに上回る分厚さ。

んんん〜ジューシー♪


↓とりあえずビール

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↓キュウリのしばき(350円)とハムカツ(300円)

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それから、せっかくええ肉を使てますからね。

肉祭り。

まずはバラ・カルビ。甘めのタレとネギでいただく。

んまあ〜。やらけ〜。

そしてそして、今日の目玉は何と言ってもシャトー・ブリアン。

高級なステーキハウスとかでしか聞いたことないけど、

ここでは1980円のビニシー価格。

簡易トレーに乗ってやってくる様はなんともカオスですが、

旨けりゃこの際なんでもええんです。

そういうお店です。

んんんんん〜お肉!!

もういっちょお肉で、赤身。

噛み応え十分で、噛むほどに澄んだ上品な肉汁がジュワジュワジュワ〜。

もうあかへん!お母さん、生お替わりね!


↓バラ・カルビ(980円)とシャトー・ブリアン(1980円)

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↓赤身(700円)

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どっか別のお客さんが頼んだMIXホルモンが真横の鍋で

豪快に焼かれていて、その香ばしい匂いと、

テリテリのフォルムに完負けして、こっちにも!!

いろんな部位のホルモンがキャベツとシンプルに炒められてますが

牛が良いので、どのホルモンも臭みもなく最高すぎる@@


↓名物MIXホルモン(880円)

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〆はガーリックチャーハン。

ほっかほか、パラパラのええ炒め具合で、

ガーリックとお肉もしっかり入って、こりゃたまらん。

肉神さまも大満足されまして、ごちそうさん!!


↓〆はガーリックチャーハン(1480円)

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そのあと、ちょうど娘の話になって、

ほな家来るかということになって

アポなし突撃で自宅へ。

ひさびさのあっちょに上の娘も大ハッスル。

2人仲良くストファイ兇任靴个合い。

下の娘は初めましてで、最初ちょっと人見知りしたけど

害がないとわかると、ちょこちょこちょっかい出してはりました。

後は2人でいつものコントラスピリッツ。

ちょっと、いやかなり腕が落ちてて愕然。

反射神経が落ちたのか、動体視力が落ちたのか、

いやはや二人も年取ったなあと。

2017-03-27

本屋改造プロジェクト at スタンダードブックストア心斎橋

足しげく通っている大好きな本屋さん、

スタンダードブックストア心斎橋。

そこが、この春から大きく生まれ変わる。

これまでも色々な仕掛けや、

人やモノ、コトの交流の場としては機能してきたけれど、

売る側と買う側の垣根をぶち破って、

双方向的な場所としての在り方を模索されていて、

それをいよいよ実践に移していこうということらしい。

その手始めとして、今持て余していた1F部分を引き払って、

地下フロアに集約し、より凝縮した空間、

お客さんとの距離感を縮めるとのことで、

大リニューアル作戦が行われた。


双方向的というのをヒントに、

じゃあ、店づくりからお客さんを巻き込んでいこうよという

何ともオモロイ発想で、リニューアルボランティアを募集され、

こちらとしても、思い入れのある場所、

お店に少しでも携われるチャンス!ということで、

参加してきました。


集まったボランティアはこの日は6人。

みな、このお店が好きという1点だけ同じで、

あとは職業も年齢も全然違う。

10時になり、オーナーの中川さんと、

チーフの五百森さん、中川さんとご挨拶をしていざいざ。


↓さてどうなるやら

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すでに、前日の営業終了から、

大移動が始まっていて、騒然としています。

この日と翌日の2日間で作業をして、

少なくとも上のフロアの明け渡しはマストなので、

必要なものをすべて下に降ろし、不要なものを上げる作業。

まずはすでにこれまでにバラされていた

本棚や什器類を一斉に上げます。

あれだけの書籍を支える大型の本棚たちなので、

1つ1つのパーツにばらしても、なかなかのサイズと重さ。

ひたすらエスカレーターを往復して、

廃棄置き場へとピストン。

ええ、運動なります。


↓どんどん運ぶよ

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↓大量に廃棄

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廃棄の荷物の運搬をメインに、

他のスタッフさんからの助っ人依頼も受けて、

上のフロアの本を、

できるだけ今の並びをキープした状態で降ろしたり、

インパクトドライバーで本棚をばらしたり、

後はひたすら掃除。

あれだけの広いフロアを2つ分なので、

色々なものが出るわ出るわ、

運べど運べど、全く片付くメドもないような感じで、

こりゃあ、大変だ!


↓大量の本

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あっという間にお昼になり、まかないがふるまわれます。

大好きなエピスカレーに、スタッフお手製の小鉢。

汗かいた後のカレーは旨し!

休憩の合間に中川さんも来られて、いろいろお話。

規模的にはサイズダウンだけど、

ぎゅっと1フロアに凝縮させて、

なんかエネルギーみなぎってる感じで、

ますます面白くなりそうだっ!!


↓まかないはカレー

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↓まかない2

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さて、さて、仕事はまだまだ山ほどどっさり。

引き続き、大量の木材や本に立ち向かいます。

スタッフさんから呼ばれて、別のお仕事、何かなと思ったら、

こんくらいでいいので本棚をノコで切ってと言われ、ギコギコ。

本屋に来て本棚を切ることになるなんて思いもしませんでした。

なかなかおもろい経験ですな。

とにかく、どんどん、じゃんじゃん、

いるもの、いらないものを上げたり降ろしたり。

こういうとき、山で鍛えた体力が役立ちます。

こないだの愛宕山に比べたら、まだまだ行けます!


↓山の如し

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途中で、ちゃんとおやつタイムも用意していただいて、

ひと休憩。

でも、これほんまに終わるんかいなあ〜。


↓おやつタイム

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終盤は、1Fフロアの照明外し。

2人一組で三脚を使って高いところの照明をひたすら外す。

1つ1つ外していくごとに、明かりがなくなり、

最後全部はずして、ががらんどうの薄暗いフロアに

どっさり廃棄の山を見るにつけ

ああ、ここなくなるんだなという郷愁を思わず感じてしまいますね。

この最中にも、リニューアルを知らずに続々とお客さんがやってきては、

びっくりして去っていきます。

安心してください!リニューアルですよ!

外した照明は全て、地下フロアに移動させて、

1つ1つ丁寧に汚れをふき取ったら、

今度はそれらを地下フロアの天井に付け替え。


↓照明外して暗くなると寂しい感じ

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↓ライト

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そうして18時を過ぎて、ボランティア業務終了。

まだ初日で、全然終わりが見えない状態のまま

残していくのは忍びないですが、

翌日は仕事でお手伝いできないので、

あとは翌日のボランティアの方とスタッフさんに託します。

あとはよろしく!

ということで、大好きな本屋さんのリニューアルに少しですが

関わることができました。

なかなかこういう機会はないので貴重な体験。

自分で手を加えた分、さらに思い入れのある場所になれました。

もっともっと、いろんな人を巻き込んで

面白い場所になることを応援したいし、自分も巻き込まれたい。

あれやこれや、楽しみだ。


↓終了〜

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お仕事のお礼にということで、無敵カードをいただきました。

我が家はここに来たら、本当に大量に本や雑貨を買ってしまうので

これには奥さんも大喜びでした。

遠慮なく使わせていただきます!


↓特典

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↓お疲れ様でした!

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<追伸>

スタンダードブックストア心斎橋は、

どうにかなんとかリニューアル作業を終えて

3/23から無事に地下フロアにて絶賛営業中!

また今後もいろんなところに手を加えて、

面白い場所にしていくそうで、

双方向的なイベントや仕掛けもこれからどんどん。

本屋改造ボランティアはまた今後もあるそうなので、

興味ある方は要チェック!

2017-02-24

本屋トーク 辻山良雄(Title)×大井実(ブックスキューブリック)

水曜日の晩は、いつものスタンダードブックカフェのイベントに参加。

今晩は「本屋トーク」と銘打って、

東西3つの人気個性派ブックストアの店主が集まって

本が売れないと言われる時代に、

どう本屋をやっていくのか、

本屋の立ち上げ方とか、本屋の存在意義とか、

さらにその先、本屋発の地域活性・地方創世まで、

なかなか興味深いお題。

自分の仕事にも直結するお話なのですが、

自分はずっと編集畑で作り手サイドにしかいないので、

その先の流通とか営業とか、

知っていそうでなかなか知らなかったりなので、

勉強させていただきにあがりました。

19時会場だったのですが、

業界関係者も含めてざっと見渡しても50人はいたでしょうか。

あの広いカフェスペース一杯の盛況ぶりで、

関心の高さがうかがえます。


↓左から大井さん、辻山さん、中川さん

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まずはこの日の主役お三方の紹介。

2001年、福岡で近年珍しい新規開業の独立系小書店を立ち上げた

ブックスキューブリックの大井実さん。

2006年にブックフェスティバルの元祖と目されるブックオカを立ち上げ、

本の魅力や本屋のあり方について全国で伝道されている方。

また本屋という枠に収まらず、

それを地域活性・地方創世へと発展させる試みを行っておられます。


続いては、2016年に荻窪に本屋Titleを開いた辻山良雄さん。

この方は大手書店リブロで長く活躍されて、

池袋本店のマネージャーもされていた方。

町の本屋さんを開くこと、本屋から地域をつなぐことの意味を

とても大切にされていらっしゃいます。


ラストはおなじみ、

スタンダードブックストアの中川和彦さんが大阪代表として。

中川さんは親が本屋さんだったことから跡を継いだのがきっかけですが、

そこから色々な経験を経て、本屋の可能性に気づかれて

単に本を売るということではなく、

人と人を繋ぐ、直接触れ合い会話をする場を築くに重きをおいて

スタンダードブックストアを営まれています。


この3人の想いは一緒です。

本屋というのはただ単に本を売るというのではなく、

人や地域を繋ぐ潤滑油としての役割があって、

こんな時代だからこそ、

再び本屋がその役割を発揮する必要がきっとあるはず。

だから本屋がなかったら困るじゃないか!ということです。

同感!

業界ではただただ本が売れないという嘆き節ばかりが広まっています。

そしてネット通販という無機質な売り買いのシステムが広く普及し、

点と点だけを繋ぐだけで、

人と人が直接交わらない形での流通が主流になってきています。

そんな流れの中でも、ただ手をこまねいているばかりじゃなく、

何かやれるんじゃないか、面白いようにできるんじゃないか、

今晩はそういう同じ思いの人が自然と集まった会なのです。


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トークショーはいつもの軽快な中川さんの進行で盛り上がり、

多岐にわたる内容、示唆に富む内容で大盛り上がり。

あっという間の2時間でした。

留めておきたい内容は山ほどありますが、

ここでは主だった点だけ、自分の感想や言葉も加筆して

書き残しておきたいと思います。


【みんな勧められたがっている】

みんな勧められたがっている。

情報の海があまりに広大すぎるために、

どの情報が自分にとって必要でそうでないかがわからなくなっている。

そんな中で、これはこうです。今はこうです、という風に

誰かが情報を整理して、道筋を示してもらいたがっている。

実際に、POPや売り場での会話などで

お客さんとのコミュニケーションが発生したものほどよく売れるそうで、

また店主が思い入れが強く余分に発進したものほど売れていくとのこと。

要は、目利きの質というか、わかりやすく言えばソムリエみたいな存在ですね。

数多あるワインの中から、その日その人にぴったりの一本を選び出すように、

本屋は”知の道しるべ”としての存在であると感じています。

知というのはつまり生活を豊かにするための知恵という意味です。

本の中には例えば料理のレシピだったり、旅行記だったり、物語だったり、

色々な知がコトバとして紡がれて本に収められている。

本屋はそれらを一つの空間に収めたワインセラーのようなものです。

さらに言えば、お客さんは別に本=紙を束ねた物体を欲しているのではなく、

そこに書かれた事象や、描かれる知を欲しているわけで、

そう考えると、なにも本という形式に留まる必要はなくて、

例えばそれが本の記述から飛び出して、

音楽CDだったり、食器や雑貨、衣類だったり、

あるいは知を経験する時間や空間だったりしてもいいのです。

今回の御三人方は”知の道しるべ”としての

本屋の役割に気づいているからこそ、

本を売る場所というもっとも単純な形態に留まらずに、

本の内容と関連しながら、本ではない様々なものを一緒に置いていたり、

様々なイベントや仕掛けを行っているのであろうと思います。


また、単に勧めるといっても、

例えば得体のしれないネットの住人が発信している情報を得るのと、

実際に顔と顔を突き合わせてお勧めされるのとでは、説得力が違います。

これは、本と本屋にまつわることだけではなくて、

例えばグルメでも、”キュレーター”などと称して、

単に自分が食べたものをネットにアップしているだけの連中の

情報を鵜呑みにするのと、

実際に町を歩いて地元の人にこの辺で旨い店知りませんかと尋ねるのとでは

全然違うわけです。

顔が見えることの説得力というのは、

どの分野においても大きいことです。

今回最も印象に残ったのが、本屋titleの辻山さんが

「本屋さんというのは本を紹介するのが仕事です」という言葉。

当たり前のことを言っているようですが、

本を「売る」のではなく、本を「紹介」することを使命としているというのは

本屋としてのプロフェッショナルの表れだと思いました。

同じ意味で、本屋さんは結婚相談所みたいなもので、

本とお客さんをお見合いさせて、

いい出会いの場を作って成就させるというのも

なんだかとてもわかりやすい表現でした。


【大手にはない魅力/わざわざ立地の法則】

いきなり余談だが、上京するたびに、

発達しすぎる交通ネットワークに困惑してしまう。

どこへでもどんな風にでも路線は繋がっているけれど、

選択肢が多すぎるが上に、どの路線を使っていのかわからず、

結局迷子状態に陥ってしまう。

これは本屋でも同じような現象が起きていて、

ターミナル駅の大型書店へ行けば、絶対的な在庫量があって、

必ず欲しい本がどこかにはあるはずなんだけど、

あまりに情報が多すぎるせいで探せない。

逆にスタンダードブックストアや恵文社、ホホホ座など

売り場は大型書店と比べれば圧倒的に小さな書店でも

自分にぴったりの読みたい本がすぐに見つかるし、

欲しい本との出会いの場数が格段に上がる。

物量では勝負できない小さな書店が、

大型書店やネットと同じ土俵で勝負していくには、

当然、何かしらの武器・強みがないとやっていけないわけです。

そこで試されるのは先ほど出てきた目利きの力量。

ちなみに、福岡のブックスキューブリックさんは

博多・天神という町の中心から一歩外れた赤坂の、

しかも駅から徒歩10分ほどに位置し、

また、本屋titleさんも23区の西の端、

荻窪の駅から徒歩10分という場所にあります。

この「わざわざ立地」だからこそ、できる強みがある。

つまり、様々な場所から様々な人が入れ代わり立ち代わりやってくる

大型書店や、駅前の書店は、

高い賃料を払わないといけないので、

売り上げを上げないといけないためというのもあり、

すべての人に向けてまんべんなく売るために

全方向的にラインナップをそろえないといけません。

それはどうしても薄く広くという傾向に陥り、

全く特徴のないものになってしまう。

逆に、わざわざ立地であれば、そういう配慮をせずに、

店主が本当にお勧めしたい本、

興味のある分野に特化しやすい環境が整うのです。

少数精鋭で刺さるもの、ホンモノがそこにあれば、

例え、ちょっと不便だったり、遠かったりしても、

絶対に人はそれを求めてやってくる。

そして、そういう人たちは、

わざわざ時間をかけて足を運んだんだから

何か結果を出して帰りたい、手ぶらで帰るのではなく

何か買って帰りたいと思うはず。

そういった意欲のあるお客さんに対峙し、

期待を絶対に裏切らないようにするには

プロフェッショナルであり続けること、

仕事への熱量が必要なのです。

このことはハンバーガーのエスケールのM沢さんも

まさしく同じことをおっしゃられていました。

あそこも、大阪市内にいくつも絶品のグルメバーガー屋さんはありながら、

わざわざ山を越えて多くの人が足を運ぶのは、

そこにしかないホンモノの味があるからこそ。

逆にそれだけの自信があるからこそ、

M沢さんもあんな辺鄙な場所にあえてお店を構えているわけです。


そしてこの発想は何も本屋という単位だけではなく、

地方活性にも直結する話。

自分も仕事柄よく地方の方とお話をさせていただき、

地元PRとか、相談とかいろいろされます。

でも自治体がPRに来られて、

うちは自然がきれいで、新鮮な海の幸が自慢で、

今度地産地消のレストランもやって、ゆるキャラも作ってみました、

どうでしょう?お客呼べますか?なんていうところが

本当に山ほどあります。

でも、よく考えてください。

ここは島国日本。

自然がきれいなところ、新鮮な海の幸を自慢にするところ、

ザラにあります。

それはもうPRポイントなんかじゃ全然ないんです。

地産地消、そうでしょう。

ゆるキャラ、リストラもすでに始まってます。

どこか他所でヒットしたものを

そのままそっくりパッケージを丸写しにしたって、

消費者はごまかせません。

都会から、全国から、あるいは世界から、

貴重な休日を使って、高いガソリン代や旅費を払って、

その自治体までの道のりの途中にある

いくつもの魅力的なエリアを全部すっ飛ばして、

わざわざそこへ足を運ばせるには、

やっぱり刺さる何か、

日本あるいは世界でそこだけにしかないもの

それもホンモノがないとダメなんです。

それは別に、ある人が見たら

馬鹿にしてしまったりしまうようなものでもいいんです。

10の人がいるとしたら10の人にまんべんなく受け入れられなくても、

それが3でも4でもいいんです。

何かトリッキーで、ユニークで、個性の匂い立つものこそ、

本当の武器になるわけです。

これは確かに簡単な話ではありませんし、

ものすごく頭を回転させて、しかも民と官がタッグを組んで

エネルギーを燃やさないとできないことではあります。

でも根本理念はさっき言った、わざわざ立地の法則なんです。


もっといえば、これは人にも当てはまるかもしれませんね。

誰にでも差しさわりのない人、

周りに流されてまんべんなく仲良くしようとする人ほどつまらないし、

酷い言い方をすれば、替えの効く存在でしかありません。

敵が多かったり、評価の別れる人間でも、

何かその人にしかない個性や考え方の持ち主の方が、全然魅力だし、

真にオンリーワンを貫けるような気がします。

メインストリームを王手を振って歩くのは

アイドルやハリウッドスターにでもやらせておけばよいのです。


【地域活性の中心としての役割】

自分が子供の頃は、1つの駅前には本屋がありました。

ヘタすると駅の出口ごとにあったりして、

通学帰りには必ず買う買わない問わずに覗いたものです。

そうやって町の中に自然と人が集まるスポットがあって、

それなりの時間滞在するという場が、昔はあったように思います。

例えば、たこ焼き屋さんとかお好み焼き屋さん、

角打ちの酒場や駄菓子屋など。

そこでお店の人や、出入りする他のお客さんたちが

自然と会話をしたり、遊んだり、コミュニケーションを育んでいました。

これらは全てコンビニに取って代わられ、

そこはもはや滞在する場というより、単なる消費の場と化しました。

滞在する場と言えば、都心ではスタバを代表するカフェなどが増えましたが

そこは不特定の人とコミュニケーションする場ではなく、

都会の雑踏の片隅に自分の居場所を確保して閉じこもる、

例えば、イヤホンで音楽を聴いたり、

本を読んだり、勉強をしたりして、

その場所を長い時間占拠しさえすれど、

そこは交流の場では決してありません。

そうやって、様々な場所が消費行動を単純に行うだけの場や、

敷居のないパブリックな個室とでもいうような場所が増幅するご時世に、

地域やエリアを「パッケージ」として活性化させる、

その中心に本屋があってもいいのではないでしょうか。

その役割は別に本屋でなくても果たすことができるかもしれませんが、

本屋の強みは、まずはタダで時間をつぶせるということ。

結果的に商品を買わずに、長時間ぶらぶらとうろついていても

誰も文句を言ったりしません。

これは他のお店ではありえないことですね。

コンビニですらトイレを借りたらなんか買わなきゃという気になります。

そしてもう一つは、老若男女を問わないということ。

酒場なら当然大人だけ、駄菓子屋なら子供だけと、

世代や男女で偏りが出がちですが、本というのは人を選びません。

当然色々な価値観や経歴の人が絶えず出入りすることになり、

そこには多様性が生まれることになります。

なので、実はスタンダードさんがやっているように

多様な人たちのイベントとか仕掛けとかをとてもやりやすい環境であったのです。

ただ単に本を流通させる、消費するというだけの場所ではなく、

本屋の持つ本来の特性をフルに生かせば、

それは文化の発信基地となりうる。

個人的に、ハコをもっているというのはとても強いなあと感じています。

空間を所有していれば、必ず人がそこに出たり入ったり、集まります。

しかもネットのコミュニティとは違って、

そこに集う人の顔があり、実態がある。

その人たちがコミュニケートして化学反応が起これば

面白いことが起きるかもしれない。

本屋自体が人と人とを媒介する(mediate)メディアとしての

可能性をもっているということです。


といったところでしょうか。

密かに将来の夢は本屋兼カフェをやることというのを秘めている身、

地域の活性に取り組みたいと考えている身としては

とにかく、色々な可能性を感じたのは確かです。

何より目の前に実体として先駆者がいるのですから、

これほど説得力のあるものはありません。

(ただ私、経営とかお金を稼ぐということが不得意分野…)

とにかく、大変勉強になりました。


この後トークショーに続いて、延長の懇親会もあり、

出席させていただいたのですが、

ちょっとこの日具合がすこぶる悪かったので早々に退散せざるを得ず…

また、これからもこのムーブメントは続いていくと思いますので

ぜひ応援していきたいと思います。