"Indefinitely…."

ニューヨークの今日の予想最高気温は35度、そして明日は何と37度…やっと体調が少しずつ回復して来たと云うのに、これは何なのだ…嫌がらせか(笑)?

それにしても今回の風邪は長く酷く、(「cold」では無く、所謂「flu」って奴だ)、強いウィルスと気管支炎の初期段階に因って、2年振りに大層エラい目に会ってしまった。

話は変わるが、ヒューストン美術館で白昼堂々、ピカソの絵画「赤い肘掛け椅子の女」に「イタズラ書き」がされたのをご存じだろうか(→http://www.youtube.com/watch?v=wW2faF7u7UU)?

こちらのニュース等で流れている映像は、どうも美術館関係者(フェロー)が撮ったモノらしいのだが、「撮ってる暇有ったら、止めろよ!」と云う事では無いか?中々良いピカソだったので心配していたが、修復で直るらしく、ホッと胸を撫で下ろした所だ。

さて、熱に魘されていた間は、何処かサイケな想いに囚われ、前回の様な訳の解らん内容と為ったが、今日のダイアリーは違います(笑)。

何故なら、今日のダイアリー・タイトルは、筆者が今迄観て来た有りとあらゆる映画の中でも、最も好きな「セリフ」なのだから…そして、極く最近香港ー羽田間のフライト中に、この作品を久し振りに観たからである。

この台詞を云う俳優は、ジュリア・ロバーツ…普段は全く興味の無いこの女優も、本作中で演じる「女優」役は、誠に可愛いらしい。そして彼女の相手役は、敬愛する英国男優ヒュー・グラント

こう来れば、察しの良い映画ファンならばもうお分かりだろう…「Notting Hill 」(邦題:『ノッティングヒルの恋人』)で有る!

1999年度英国製作の本作品、「如何にも」な「ブリティッシュ・ロマンティック・コメディー」振りを、「チャラい」と馬鹿にする者が居れば、させて置け…しかし筆者に取っては、本作は誰が何と云っても「フォー・ウェディング」(拙ダイアリー:「Funeral Blues」参照:因みにこの2作共、脚本はリチャード・カーティス…この人、天才では無かろうか?)に勝るとも劣らぬ、名作中の名作なのだ。

「憧れの女優と、プライヴェートで付き合う」と云う、男なら一度は夢見るストーリーを、小気味の良いテンポとシニカルなブリティッシュ・ジョークで綴るこの作品、件のセリフが登場するのは全編通じてのラスト、「ザ・サヴォイ」での記者会見のシーンで有る。

このセリフ迄の「経緯」は、映画を観ていない人に幾ら文字数を割いても仕方が無いと思うので、何しろ映画を観て頂きたいのだが、ドミニックと云う記者の「アナ、英国には何れ位滞在するの?」と云う「2度目」の「同じ」質問に、ロバーツ扮するハリウッドの大スター、アナの口から放たれるこの「Indefinitely…(永遠に…)」と云うセリフ、そしてその直後に流れるエルヴィス・コステロの大名曲「She」(何と美しい曲なのだろう!)とのコンビネーションは、何回観ても感動の涙を禁じ得ない。

当然、今回の香港ー羽田便でも、再び一人感涙に噎せた訳だが、笑いたければ、笑うが良い…どうせ俺は、「ロマンティシズムの王」なのだ(笑)!

この「Indefinitely...」と云う言葉は、通常安易に「forever」を使ったりするので、アメリカ等では意外な程聞く機会が無いのだが、イギリス英語独特の言葉面(ヅラ)と発音の美しさ、そして何よりも「in"definitely"」と云う言葉の持つ「能動的な強い意思」がアナの気持ちを代弁していて、セリフ直後に始まる「She」のピアノ・イントロとの絶妙なタイミングと共に(いや、マジにこのセリフとピイントロのタイミングは絶妙で、実際計った事は無いが恐ろしい程素晴らしいタイミングで有る!)、ワタクシの映画史上に残る「美しいセリフ・決定版」に君臨するので有る。

作中登場する個性的なキャラ(同居人スパイクやダメな友人バーニー、イカれた妹やオカマの使用人迄)や音楽(コステロやアーロン・ネヴィル!)、ウィットに富んだ会話も含めて、筆者の中ではゴダールヴィスコンティタルコフスキー、そしてコッポラにも比肩する、最高の逸品「Notting Hill」(誉めすぎか…:笑)。

そしてこの作品から得る教訓は、

「何時の日か訪れるで有ろう『夢の瞬間』を、強く願わない者は愚か者である」。

何故なら、「誰かに会いたい」と云う想いは、強ければ強い程叶うのだから…このワタクシが云うのだから、確かな事極まりない(これは、分かる人にしか分からんな:笑)。

You must keep your wish "indefinitely" !