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 現代美術情報サイト「art-info.」の管理人によるコラムです。
 日常生活の中の事象からアートについて考えています。

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2005-08-05

[]連想させる力

展覧会にいったり、作品集を見ていたりすると、

「あれどこかで同じようなものを見たような気が・・」と思うことがあります。

これは、誰でも時々感じることだと思います。

似たような色、似たような構成、似たような形・・・。

無意識の内に人は過去に経験したものとの共通項を探し出してしまうのです。

そして、その共通点を見つけたとき、

ある人は、その作品がパクリであると判断してしまうかもしれません。

確かに、似ている要素があれば、パクリかもしれません。

それに、パクリを否定をするのはとても難しいと思います。

作られた年代、作家の生活、緻密な調査をしなければなりません。

なにより、パクリであると判断するのはとても簡単です。

その根拠に「似ていると感じる」経験があればいいのですから。

でも、そう判断するのは、短絡的だとは思いませんか?

うまく考え方を変えれば、作品をより良く知る手がかりになるかもしれません。

例えば「似ていると感じる」事を「連想させる力」として考えてみてはどうでしょう。

作品が似ていると感じたのは、その作品が「連想させる力」を持っているのだと。

私は、良い作品ほど、この「連想させる力」をもっていなければならないと思っています。

でも、「連想させる力」がただ強いのでは駄目です。

そうではなく、多くの種類の「連想させる力」を持っていなければならいと考えるのです。

それは、なぜか。

作品の見方は、数多くあります。

歴史的な見方、社会的な見方、構成的な見方・・・・。

作品は、それぞれの見る人に「連想」を与えなければいけないからです。

そして、連想させることとは、見る人に比較対象を与えるということです。その比較対象がなければ、作品を評価することはできないのです。

作品と呼ばれるものは、純粋にひとつの見方しかできないものよりも、多様な見方を許容するものの方が強度があると思います。

さて、今の美術界で「連想させる力」のある作品はあるでしょうか。探してみて下さい。

それとともに、「連想する力」を身につける事も大事でしょう。

その力をつける事で、作品の見え方、捉え方が多様になるのではないでしょうか。

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