いただきものに感謝

通称"いた感"

3100-01-01 田中濯*第二歌集『氷』 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

2016-12-25 花山多佳子『晴れ・風あり』 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

秋にいただきました。

ありがとうございました。


10首選(☆1首選)


われわれの世代のやうにアジることなきゆゑ湯浅誠を信ず

われら団塊世代の親のおほかたは大正年間の生まれなるべし

遊びに出るこどもをよろこぶ感情を二十七歳のむすめに未だ持つ

霜月を儚く清きおもざしに連行さるる小室哲哉

つづまりは妥協を余儀なくされるゆゑハンストはするなと祖父の言ひゐき

黄葉のいちやう並木の道ゆけば顔から眼鏡がすつと落ちたり

ゴミ出しに行くたび見上ぐ陸橋の柱に描かれし梵字のごときを

誰よりも深き力を湛へたる大人とならむ子供たちが居り

☆こまごまと被災手続きするために思ひ起こすは苦しくあらむ

バブル期の息子の果てなき欲望形見なりけりガンダムカード



以上です。

2015-11-15 島田幸典『駅程』 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

駅程―島田幸典歌集

駅程―島田幸典歌集


秋のはじめにいただきました。

ありがとうございました。


10首選(☆1首選)


電灯を落としつつゆく廊下ありて寝室[ねや]の明かりに妻とおち合う

白たまのいのちひとつというごとくフード被りて眠る人あり

石のほかなべて朽ちたる住宅に不全の感をわれは催す

雨あとをもどる日差しにしらほねの明るさをもて碍子は照れり

昼暗き厨にゆけば臨済の僧のごとくに焼酎の立つ

☆午まえの指標に安き患[うれ]えせりとおくかかわるを当然視して

朝空に錆びし白れん展[ひら]きけり天人五衰を見しむるがこと

梅雨の間のふところ深き青空避雷針おお挑みて立てり

レインコートのベルトを締めてたちまちに海上自衛官の胴の細しも

平日の昼間の家に帰りきて誰もおらねば旅するごとし


  • 妻の歌が多い。安定感のある相聞
  • 馬の歌が多く、あるいは、糞尿譚がめだつ。
    • これらは端的に「生」の領域意味であり、そこが何らかの理由で圧迫を受けているときに、歌として現れる様子
  • ロジカルに詞を組んでいるが、漢語が強勢であり、濃縮感がある。
    • 電柱の柱の根が、姿をあらわしている部分の倍あるようなイメージ
      • 単語や発想じたいにタイミングと距離の定まった飛躍があり、理解が届かない場面でも、信頼があるので捨てられない
    • カタカナや一字明けは極小で、韻律文語に預けている
  • 鉄道・軍・城・藩などのワードで囲まれる小世界があって独特
    • 個人的にはたいへんよくわかる(ような)世界
    • いっしゅの理性なのではないか(混沌や悪に対する)

以上です