お江戸下町ぶらり歩き


 新年会の翌日25日は以前から一度はしてみたいと思っていた“お江戸下町ぶらり歩き”。
前日の昼食の寿司や夜に食したイタリアンのコトなどを思い出しながら移動する駅には懐かしいカレースタンドや立ち食い蕎麦のお店があり、朝ゴハンを食べたばかりだというのにダシのいい香りについ立ち止まってしまいそうになる。

 乗継駅の京成高砂のホームには柴又帝釈天の大きな看板が目の前にあり、いよいよ下町に来たんだなぁという実感がひしひしと湧きあがってくる。
前日に続き天気予報は少しだけ外れて快晴かつ気温高めだし、何より風がほとんどないのが助かる。出発前にハーフコートをホテルに置いてきたのは正解だったようで、アセっかきなボクには心地よい日和なのね。

 柴又駅はトナリなのでアッと云う間に到着してしまう。駅前の小さな広場には“あのお方”の銅像が待っておられて次々と来る観光客がケータイやデジカメをかざしては記念撮影などに勤しむ姿はなんとなくコッケーなのではあるが、テレビ番組などで氷川きよしクンなどがうれしそーにココに立つ映像を見慣れてしまっているせいか「ボクもワタシも」とゆーシーンなのだな。
小旗を持った添乗員と思しきヒトが何人ものお年寄りを集めては「みなさ〜ん、それでは…」などと声を張り上げているのはナニかのバスツアーなのだろうか、そんな集団がいくつも見受けられるのがイカニモなカンジで面白い。

 参道に向かって歩いてゆくと少し早目の時間だったせいもありまだ開店準備中のお店が多かったが、門前町ならではの産品土産がヤタラとメを惹くのは365日が縁日のようなこの界隈らしい特徴かもしれない。
トコロで「なんでタワシなんだよ〜」と思ったものの、よく考えてみれば寅さんがアタッシュケースに入れて売り歩いていたのはタワシや歯ブラシといった軽量な日用品で、ソレに因んでこんな商品を並べているのだろう。


しかしいくらアタッシュケースの中身を全部売りさばいてみたところで、所詮単価も安く利幅も小さなタワシなど生活費の足しにもなんないじゃん…などとおバカなコトを考えてしまうのはボクだけだろうか。
ちょっと失敗したな〜と思ったのは、どーせならこのタワシを買ってみるべきだったと云うコトだ。
たいして高価なワケでもなく軽いので行動のお荷物になるようなコトもなかっただろうし、なにより並べられた御利益というかゴタクがおもしろげだし、ホントにその通りならコレまた話のタネにってさぞかし楽しかったに違いない。


 飲食関係の屋台は準備中で、ヒルどきにイッキに訪れる客のためにコレでもかってくらいに食材を並べて忙しそうにしている。そうか、今日は日曜日なんだなぁ…。
ダルマは高崎や富士市鈴川が有名だが、ココにも結構なお店があった。極小さなものから巨大なものまでズラリと並び有難いカンジがするが、現時点で特に祈願すべき目標を持たないボクにとってはただのオブジェに過ぎない。数年前に買ったダルマには片目も入れていない不信心ヤローにはいいコトなんてあるハズないしさ。


 参道にはココロ惹かれるお店もたくさんあるのだが、メボシだけをつけておいて帰りに用を済ませようではないか…というコトになり、ずんずん進んで行くとまもなく帝釈天の山門が現れた。
ホントに勉強不足だなぁと思ったのは“神社”だと思い込んでいた葛飾柴又帝釈天日蓮宗のお寺なのであり『経栄山題経寺』というレッキとしたお名前があるのだった。

帝釈天と呼ばれるのは日蓮上人が自ら彫刻した軍神・武勇神インドラ(帝釈天)が存在していたからなのであり、1800年代前半の文化文政のころより記録が残っているらしい。以来江戸の庶民の帝釈天信仰の中心地として栄え現在に至っているワケだった。
 せっかく来たのだから“おみくじ”でも引いてみようとガラガラ六角の木箱から竹の棒を抽出すると「第八十四番…」ってコレ“凶”じゃん!
いや〜参りましたね…モロに“凶”を引いたのは生まれて初めてなのであり一瞬ドキドキしてしまったが、ジツはコレかなりいい縁起らしいのだな。
ココで悪いコトは全て引いてしまい、境内のシカルベキ場所にくくりつけて終わりにしてしまう…というマコトに都合の宜しい出来事なのであったのよ。

 さて帝釈天からほど近い場所にはかの有名な“矢切の渡し”があるというのでチョット足をのばしてみた。歩けば10分程度の近場なので気楽に向かおうという気持ちにもさせてくれる。
暖かな陽気にも恵まれ江戸川の河川敷にはスポーツを楽しんだりコドモの散歩などの人々がたくさん訪れており、こんな平和な風景を見るのは久し振りのような気がした。
 

 カブスカウトの少年たちもナニかの訓練がてらに来たのだろうが、こんなにいいお天気だとなんとなくキンチョー感もなくなって「好きに遊んでいいよ〜」などとムセキニンなリーダーになってしまいそうなボクなのね。
 渡しの料金は大人が¥100で往復で¥200だ。この場所での江戸川の川幅は意外に狭いので所要時間は10分未満だろう。 


 話のタネに乗ってみたい気もしたが先の読めない次のヨテーもあるので断念して、見るだけのアホ観光客テキ存在となってしまったのだなぁ。
テレビによく出る渡し場のオジサンは例によってホッタテ小屋のような受付で“ミニわらじ”を作っては販売しているが、ホンモノのワラで作ったものならいざ知らず、色とりどりの荷造り用ビニールヒモで編んだワラジなど、なんとなく有難味がないような気がして購入意欲は全く湧いてこなかった。


 やっぱりありましたね『矢切の渡しもなか』。参道のお店で見つけたトキは思わずニンマリしてしまったくらい予想通りの菓子があったのだ。
渡し船のカタチのモナカに小豆のアンコが詰められていてナカナカに美味しい。
今ではFRP製ばかりになってしまい、見るコトのできなくなった木製和船はこうしたモナカでないと眺められないのがちょっと寂しいのね。
渋いお茶でも飲みながら『矢切の渡しもなか』でも食べて、あののどかな川面を思い出そうではないか…


 ゆっくりと陽の光を浴びながら帝釈天に引き返し、境内の一角で線香を纏わさせて頂いた。緑色の服を着て帝釈天やこの柴又界隈について説明をしているご老人が何人かいらっしゃったので、この線香をモクモクと焚く設備の名称はいったいナニなのであるか訊きたかったのであるが、ちょうど混みあい始めたばかりの境内であまりに忙しそうだったので「帰ってからネットで調べよー」と諦めてしまった。う〜んジツは未だ調べてないのよね〜


まだ午前中だがちょっと小腹も空いてきたコトだし「茶店にでも入ってダンゴでも喰おーぜ」なのである。
ひときわ人ダカリがしているこのお店は「男はつらいよ」のロケで何度も使われたお店で、店先ではあの有名な“草だんご”が飛ぶように売れている。


店内はムカシのイメージそのままでレトロなフンイキだ。茶屋だとばかり思っていたココは食堂なのであり、オムライスを食べながら燗の日本酒を焼鳥を肴に飲っているオジサンやラーメンをすする家族連れなどで満席だった。
注文は近代テキに食券販売機になってはいるものの、内容はムカシながらの献立で下町グルメツアーにはうってつけの場所かもしれない。 


本来は食券を購入して着席するのだろうが、何も知らなかったボクは席に着いて「草だんごを下さい」とお店のオバチャンに言ってしまったのだ。
オバチャンは「“焼草だんご”もありますよ〜」と親切に教えてくれた上、イヤな顔ひとつせずに販売機で券を購入してダンゴを持ってきてくれた。ん〜、態度スーパーLLの某店とはエライ違いなのだなぁ。
お店で食べた草だんごはジツに美味かった。バッチリ刻み海苔をまぶしつけた“焼草だんご”も香ばしく、コゲた醤油の風味が一杯のサカナにもなりそーな予感がした。


参道の飲食店はやはり観光地価格でどの商品も2〜3割高な設定がなされていたが、先のモナカやこうしたダンゴはフツーの価格なので安心して購入できる。
 土産に購入した「草だんご」はダンゴとはセパレートされたカタチでアンコが入れてあり気が利いている。
若干軟らかめに調整されたダンゴなので日が経っても硬くなりにくく、土産にはモッテコイかもしれない。どのお店の草だんごも包装紙がシブくて、なんとなくコレクションしたくなってしまうような魅力があるのだな。


帰り道の柴又駅に向かう途中、着いたトキから気になっていた焼鳥屋さんからはいい香りの煙が漂っていた。
「おヒルまでにはまだ小一時間あるし、ちょっとつまんじゃおーか♪」と購入したのはタンとレバーとネギマだ。
えへへ、駅前のさっきの銅像の前で立ち喰いなのだ。
ん〜サイコーっ! ホントに美味しいのだよ、このウチの焼鳥は。近かったらドサッと買いに行って焼たてをビールで…ってなコトになるのだろう。


 ちょうど昼近くに浅草に到着。下町ランチを楽しもうとアチコチさまよい歩くがナカナカここぞと思うお店に出会わないものなのだな。
どーせなら「浅草今半」で極上牛肉料理でも喰っちまおう…と一大決心をして飛び込んだものの「ただいま30分ほどお待ちいただいております」ですって。
そんなに待てるかよ〜、で仕方なしにベツの方向へ。
ようやく見つけたお店は繁華街とは反対側にある料理店で、どうやら築地のお店の二号店のようで期待が持てる。
 注文した“天ぷら定食”はたっぷりの天ぷら盛り合わせに茶碗蒸し・漬物・シラスおろし・ご飯・味噌汁といったスタンダードなものだったが、その質の良さはサスガ築地ってーなカンジ。
出来ればランチではなく、夕方から攻め込みたい魚料理のお店だったのである。


 まさかこのボクが並んでまで買うとは思わなかったなあ。ホントは午前中に行ったのだが既に売り切れで「PM2:30より販売開始します」となっていたのは、あまりに手に入らないコトで有名な「亀十のどらやき」なのだ。
お昼ゴハン食べてちょうどいい時間じゃん…と思ってお店の前に行けば既に50人位が列をなしているではないか、しょっくー。


 とにかく並んで待つのが大キライなボクではあるものの、ココまで来てしまったからには諦めて帰ってしまう方がナサケないのであり、大衆の方針に従わざるを得ないワケなのだ。
その甲斐あって念願の「亀十のどらやき」は無事ゲットできたのね。
 肝心なのはお味なのである。「甘くない!」不味いというイミではないのね、ちょっと説明が必要になってしまうのよ。
アンコだけ食べるとフツーに甘い。そして皮だけ食べればちゃんとほのかな自然の甘味がある。
しかし同時にカブリつくと甘みが消えてアズキと焼いた小麦粉卵の味になるのだな…
フツーのどら焼の皮のように均一でキレイな焼き色を持たせているワケではなく、かなりキツめに焼を入れられた皮の香ばしさというか苦みが、アンコやその他の材料と独特の世界を作っているのである。
そんなに個性テキな味というワケでもなく、誰が食べてもきっとみんな「美味しい♪」と云うに違いないどらやきなのであるが、しっかり存在感のあるお味が人気のヒミツなのかも知れない。


 どらやき購入で時間は押せ押せになってしまった。
夕日が傾きかけるころ「湯島天神」に到着した。受験シーズンなのでものすごいたくさんの親子連れが押し寄せていて、ご祈祷などをお願いしている。
ボクは受験のトキにはこのような“神頼み”はしたコトがなかったが、やはりやらないよりはやっておいた方が安心なのである。


 合格したからと言ってソレはすべて自分の実力だけでそうなったワケでもなく、驕るココロを鎮めるためにも必要なコトなのだな…などと、この歳になってやっと気づき始めたエロおやじなのだ。
 しかしちょっとやってみたかった「お江戸下町ぶらり歩き」はナカナカに楽しい一日なのであったが、今回は少し欲張って移動量が多過ぎたというハンセーもある。
いちおーソレナリな場所は押えたので、次回からはピンポイント集中一日コースで計画してお江戸探訪を楽しんでみたい。
しかしB級グルメとはいえ下調べもきっちり必要なんだなぁ〜








梅成弟子丸さん
おはようございます!
どうしてもっと早く行ってみなかったのかなぁ〜下町の面白さったら。平日の落ち着いた時間をゆっくりと過ごしてみたい…今はソレもゼイタクなことになってしまいましたね。
でも、もっと深く追求するステージはたくさんありますね(*^_^*)また行きたい…
焼そば情報ありがとうございます、そのお店しっかり存在しているような気がします。
【麺倶楽部】柴又駅前の焼きそば
http://binarydecimal.weblogs.jp/blog/2009/01/post-95ba.html



がんたさん
おはようございます!
ハコの中にメがある…う〜ん、そんな解釈ウンチクもあるのね…サスガ雑学だけのがんた(≧∇≦)b でもそんながんたにナグサメられるなんて(爆)
今回はうんと歩いたのでハラも快調、よく食べましたノ(´д`*) 昨晩もヘルシーなチャンコ鍋で済ませましたよー



ムー吉どん
おはようございます!
やはりドイツでのシゴトはダミーで、東欧圏潜入がモクテキだったんだなっ! なんか東欧はシャラポワみたいなねーちゃんがいっぱいいるらしいじゃん…指令を忘れて溺れないように(笑)
兎にも角にも健康にはお気をつけて、無事に帰国してよ〜ん。



sadaさん
おはようございます!
今回は「下町を歩く」ってーのが目的だったのですが、生来のヨクボーがやはりニョキニョキと出てきてしまい、結局喰いまくりツアーみたいな様相になってしまいましたー(;´Д`)ノ
あまり欲張らずに1ケ所とその周辺をジックリ…というのがボクのスタイルに合っているような気がしました。
帝釈天、なかなかいーですね、ぜひ行ってらして下さい。湯島はもうじき「白梅まつり」ですね。




元ルーさん
おはようございます!
参道のお店ばかりについ注目してしまいますが、ホントはそのもう一本ウラ側の通りを探索してみたいんですよ。
きっとムカシからある駄菓子屋とかおでん屋があって…って、また喰い物の話かよ〜(笑)
帝釈天から矢切の渡しへぷらぷらと…のどかでいい風景でしたよo(^-^)o



チャッピ〜さん
おはようございます!
そうそう!一等賞はあの焼鳥だよね〜っ♪ やっぱり酒飲めばよかった…\(≧▽≦)丿柴又で一日過ごすってーのも悪くないにゃ〜
ダメじゃん“Suica初体験”のコトをバラしちゃ(笑)だって普段メガーヌしか使ってないしさぁ、あんなにベンリだとは思わなかったぜ。
今度は根津とか佃島も行きたいな〜とは思うんだけどね、う〜んもう一度柴又攻めも…
あ〜、巣鴨の「とげぬき地蔵」は?(爆)