際立つ存在--James Dean

3日前に新文芸坐で【GIant】を観た。1956年公開。途中休憩がある3時間以上の長尺版だ。主演は当時20代前半のElizabeth Taylor(リズ・テーラー)とRock Hudsonだが、準主役のJames Deanの存在が際立っていた。Texasの大牧場を相手に油田を掘り当て、一攫千金をモノにする反逆児に成り切る。
彼の存在がなければ、この大作も冗長な凡作となっていただろう。

エデンの東」や「理由なき反抗」でアカデミー賞にノミネートされ、「ジャイアンツ」でその卓抜した演技が冴え渡った。が、撮影終了1週間後の55年9月30日、愛車ポルシェで走行中、カリフォルニアの州道で他車と衝突死した。24歳だった。
次回主演予定作【傷だらけの栄光】はPaul Newmanが”引き継いだ"。JamesとPaulー世代も時代も違うが、心なしか芸風が似ているようだ。

The Promise(君への誓い)とは?

歴史上Armenian Genocide(Holocaust)と称されるアルメニア人に対するおぞましい迫害があった。オスマン帝国のこの少数民族第一次世界大戦時に虐殺されたり強制移住させられた数200万人以上にも及ぶという。加害者は誰か・・・?トルコ政府は今なお弾圧・民族浄化の事実を認めようとはしない。
この<史実>を題材に、事件に翻弄された3人の男女を中心に描いたTerry George監督のThe Promiseを今日日比谷で観た。副題は「君への誓い」。スペクタクルなヒューマン・ドラマ風に仕上がっている。制作はスペインと米国。ハリウッド好みのCGを駆使した大作だが、タイトルも含めて五つ星とは言い難い。
米国へ移住したアルメニア人(Armenian American)の子供である劇作家William Saroyanによるエンデイングの言葉が辛辣だ---
"...........Go ahead,destroy Armenia. See if you can do it. Send them into the desert without bread or water. Burn their homes and churches. Then see if they will not laugh, sing and pray again. For when two of them meet anywhere in the world, see if they will not create a New Armenia.

ダークなユーモア

ほぼ10ヶ月振りにブログ再開である。
一昨年のお正月から映画館通いを始めた。DVDを借りて観ればいいじゃないかとのお勧めもあるが、映画は映画館に限る。高校時代からのボクの流儀だ。年間100本をめざしている。
去年観た90本のなかから、特に再見したい秀作を3本選んだ。「人生タクシー」(制作国:イラン)

、「希望のかなた」(制作国:フィンランド--Aki Kaurismaki監督)、そしてキネ旬トップの「I. Daniel Blake」(Ken Loach監督)だ。それらに共通する基調はdark humour。今の国際社会の現状を暴き、警鐘を鳴らす作品だ。残念ながら、邦画のなかには見当たらない。

Behave! ( お行儀が悪いぞ!)

Donald TrumpがNorth KoreaのKim Jong-un(金正恩)に対してBehave(お行儀良くしなさい)と危険な軍事挑発を止めるよう自制を求めた。が、突然シリア空爆の挙に出たTrumpとて偉そうなことは言えまい。BehaveというセリフはTrumpの側にも向けられよう。危ない火遊びは止してくれ。
大統領就任3ヶ月になるが、Fickle Diplomacy Of Donald Trump(トランプ外交は気まぐれ)だ。国内外からの抗議や批難の声はもとより、モノ笑いになっていないか?
Trump can survive denunciation, but I'm less sure that he can withstand mockery(トランプは非難・攻撃には打たれ強いが、嘲笑の的にされたら耐えられるかが心配だ)--NYTのコラムニスト、Nicholas Kristof氏は懸念する。

お久しぶりです

1ヶ月ぶりである。
目下、中野好夫に凝っている。ShakespeareのJulius Caesarの訳書が良い。例の名セリフ"Et tu,Brute(ブルータス、お前もか?)の後の--Then fall, Caesar! (ぜひもないぞ、シーザー)が泣かせる。
ボクが畏敬する加藤周一の東大在学時代の英語教官が中野好夫だった。
加藤による中野評が『居酒屋の加藤周一 2』に載っていた---
「.........シェイクスピアを講義もしましたが、非常にいい翻訳もしました。........徳冨盧花の素晴らしい評伝も書きました。さらに、たくさんのエッセイ、政治・社会的なエッセイも書いた人です。著作者としては非常に範囲の広かった人ですね』面白い点が三点あるという。『第一点は日本語が非常にいいことですね。あれこそ現代日本文の鏡ですよ。なるべくわかりやすく、普通の言葉を使って表現しようとして、しかも明瞭です。<不退転>とか<粛々として....>とか、そういう消化不良の変な漢語を使ったこけおどしとは正反対だ。あれは日本語の散文の一つの手本じゃないかと思います』
そんなワケで中野好夫自身6年かけて書き上げたという『評伝 盧花徳冨健次郎』(全三巻)を思い切って読んだ。計13,00頁余に及ぶ大書である。毎日少しづつ、途中の挿話を飛ばさずに読み進み、付録の<盧花探訪拾遺>を除き、漸く昨日読了した。2週間以上かかった。評伝というより矛盾に満ちた作家盧花の稀有な人間像の全体を描いた伝記文学の白眉だといえよう。500頁以上の長編単行本が苦手なボクがまさに遅読ながらあまり苦にせず読み終えられたのも明快な名文だったお蔭だ。
数々の知らなかったことに気づかされた。それらを思いつくまま記しておこう--
何かにつけ5歳年上の兄、猪一郎(蘇峰)と比較され、賢兄愚弟と称された健次郎が雅号を盧花とした由来については諸説ある。が、随筆「自然と人生」の中の一編を「『盧の花は見所とてもなく』と清少納言は書きぬ。然も其見所なきを余は却って愛するなり」との書き起こしではじめている。要するに彼は盧の花がひどく好きだったからだろう。
話は飛ぶが、盧花健次郎は異常なまでに旅行好きである。旅先での心中は蠢き言動は多彩である。1919年(52歳)夫妻して世界周遊旅行に出る。4月、パレスチナからパリ講和会議の全権団数人(英ロイド・ジョージ首相 / 米ウイルソン大統領 / 日本の西園寺公望候 / ロンドン・タイムズ社)宛に公開要望書を郵送する。聖地エルサレムにあって深く第一次大戦の惨禍に思いを潜めたのであろう。要望書のなかに次のような提唱が見られる--③陸海軍全廃。人類再び相殺さずの決意を以て、一切無条件に陸軍及び海軍を全廃する。④税関撤廃。日の遍く照らし風の思ふまゝ吹く如く、世界の物貨の自由に流通せしめ、需要と供給と自然の調和をなさしめん為に、一切の人為的関門を撤去す。⑤国際貨幣の制定。万国共通貨幣は、形容、質、重量を統一し、其他の意匠を各国の自由とす。---
「断っておくが、わたしは別にこれを特に評価して紹介するわけでない。畢竟は書生の空理空論にしかすぎなかったろうからである」としながらも中野好夫氏は「.......理想の空論であることは、現在といえどもほぼ変わりない。だが、........軍備の全廃や貿易障壁の撤廃、通貨制度の根本的改革など、意義を新たにして、決して今日も消滅していないのである。実現の日はとうていいまだ早急には望めぬとしても、苦悩を通して問題自身は、いよいよ生きて動きつつある。稚拙ではあろうが、早い問題の先取りとはいえぬであろうか」と結んでいる。
100年前の盧花徳冨健次郎の<所望>を現代の政治家や文化人はどう感じるか?

Moritomo Scandal の行方は?

森友学園への異常な国有地ディスカウント売却の怪に次々と尾ヒレがついている。何しろこの学園が異様なウルトラ国粋主義だからだ。
著名スター気取りの学園理事長がPM Abeから「100万円の寄付をもらった」と言いだした。Mr & Mrs Abe やChief Cabinet Secretary Mr Sugaは否定しているが、真偽のほどは? どうも怪しい。もし本当だったら.....違法ではないが、"Shinzo Abe Hurt by New Disclosures Over Ties to Extreme Right-Wing Group"(極右との結びつきが暴露されPM Abe は打撃)--4/17付NYT--
NYTが特に注目するのは次の点だ==
A kindergarten operated by his group seeks to promote "patriotism and pride" by reviving elements of Japan's militaristic prewar education system. He has been accused of making derogatory statements about Chinese and Koreans (この学園の運営する幼稚園は戦前の日本軍国主義の精神を復活させることによって<愛国主義と誇り>を鼓吹することを目指している。また。園児たちに中国人と韓国人を公然と侮蔑させていると非難を浴びている)
Morimoto Scandal の渦中にあるDefense Minister Tomomi Inadaも国会で集中砲火を浴びている。
23日(木)の理事長証人喚問が待たれる。

和製 Babe Ruthとは?

閑話---
MLB専門のNewsletter--Bleacher ReportがShohei Ohtani: The Best Baseball Player in the World Isn't in MLB....Yetと速報した。
投手として球速!00マイルを投げる一方、打者としても本塁打22本、打率3割2分2厘、打点67,盗塁7--こんな選手はMLにもいない。「1世紀を経て、日本にBabe Ruthが舞い戻った」とBleacher Report. 世界最高のプレーヤーとShohei Ohtaniが評価されるのも当然。日本球界は恐れ慄き、MLにとっては垂涎の的だ。
なのに、直ぐにもMLB入りといきたいところだが、ちょっと待ったがかかった。そのワケは?