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観劇、LIVE覚書

MOZART!

モーツァルト

梅田芸術劇場
2015.1.3〜15

脚本/歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲 シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナルプロダクション ウィーン劇場協会
演出/訳詞 小池修一郎
指揮 西野淳

ヴォルフガング・モーツァルト 井上芳雄/山崎育三郎
コンスタンツェ 平原綾/ソニン
ナンネール 花總まり
ヴァルトシュテッテン男爵夫人 香寿たつき/春野寿美礼
セシリア・ウェーバー 阿知波悟美
アルコ伯爵 武岡淳一
エマヌエル・シカネーダー 吉野圭吾
コロレド大司教 山口祐一郎
オポルト 市村正親


ラスト・井上ヴォルフガング観てきました〜
以下私的感想文です

井上さんのヴォルフガング。
序盤の若者らしい溌剌とした奔放さが新鮮で、母を亡くす場面でも大人になりきれないヴォルフの幼さや死に対面して変わらない世界への戸惑いが、魂のやわらかさが伝わってきて引きつけられた。
そこからコンスタンツェとの結婚生活を経て、パパの死を切っ掛けに大人になる決心をさせられるところまでのじわじわとくる変容。
天才と呼ばれた人の一生がそこにあって、素直に彼の生き様、ドラマに浸ることができた。
序盤の若々しさは驚くほどで、まだまだいけるんじゃないかなって思うんだけど、明言されているだけに続投はないだろうことが残念です。

今回、自分でもびっくりするくらいレオポルトパパの歌が響いて、心を鉄に閉じ込めや、星から降る金からの私ほどお前を〜の流れで泣いてしまった。
ほんとに前回はアンサンブルの彼に夢中で、本筋を疎かに観てたんだなと反省。
子を思う親の気持ちはわからないまでも、パパとヴォルフガングのすれ違いが切なくて、もっと正面から素直に気持ちを伝えあえばいいのにと歯がゆさにまた涙。
ヴァルトシュテッテン男爵夫人も、前回は「焚きつけるだけ焚きつけといて無責任な人だな〜」って思ってたんだけど、今回はヴォルフガングを見守る温かさや、親と子、互いの自立を促す厳しさを持っているんだとここでもまた気づきがあった。
一幕の「星から降る金」が力強く、ただ外の世界に誘うだけではなく、親子の独り立ちを。二幕では父を失ったモーツァルトに自分の足で立って歩けと励ましをおくっているように聞こえて、彼女の存在の大きさに圧倒された。
この日、香寿さんの大楽だったようで、だからと言う訳ではないだろうけどすさまじい迫力で思わずスタオベしたくなったくらい、本当に熱の篭った演技と歌だった。
その大楽の挨拶のときに泣いてしまってるのもかわいらしいけど、それを隣でちゃんと香寿さんの方に体をむけ、温かく見守っているコロラド大司教様がまたかわいくてにまにましてしまったわ。
劇中、嫌われ役のコロラド猊下がそんな風にしてるのがまたね〜。何とも言えんのです。



今公演は1回しか観れなかったけど、とても満足いく観劇になって良かった。
前回でストーリーと楽曲が頭に入っていたのと、何と言っても井上さんはじめキャストさんの演技がとても熱かった。
オポルトパパとヴォルフのやりとりは、1度きりの観劇の私でも一公演一公演噛みしめて、親子でいる時間を愛しんでいるように感じた。
ヴォルフガングのおでこをぺちっとたたくの、すごく好き。
あそこの親子すごーく愛が溢れてて、こんな愛情のキャッチボールも出来るのになんでわかり合えないんだろって切なさが増すんだよね。


DVD予約したけど、舞台はやっぱり生が一番。
また何年後になるかな?上演かかったときは観に行くぞ!