旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

なぜ執拗に

インクスの倒産について、昨日まで4回にわたり書いてきました。倒産した企業についてなぜ執拗に批判するのかと、不快に感じた方もいらっしゃったことでしょう。
いつもの私なら、尻尾を巻いて逃げていく犬に石をぶつけるのが好きなもので、なんて書いてお茶を濁してしまうのですが、今回はきちんとその理由を書いておくことにします。


まずこの負け犬は、かっては凶暴で近所の嫌われ者だったということです。
私のように外部とはほとんど接触のない者でさえ、インクスを取り上げたテレビ番組や新聞記事を見て、それを鵜呑みにしたお人好したちから、嫌みをいわれたものです。いわんや営業では、です。
新規に訪問した会社から「うちはインクスと取引があるから」と体よく追い払われたことは、何度も聞いたことがあります。そう断る人たちの心の内は、お前のとこみたいな独自技術のない町工場とは付きあえねえよ、ということなのでしょう。
そのような会社がインクスの実態をどこまでを知っていたのか、おそらく自ら調べたことはなかったと思います。NHKでも紹介されたあのインクスだからと、それだけが根拠だったところがほとんどだったはずです。


私は「凶暴」と書きました。無定見なマスコミを巻き込んだ営業戦略は、ATCのような零細同業者にとっては凶暴としかいいようのないものでした。インクスの山田社長は本まで出していましたから、私の嫌いな職種である広告代理店が裏で糸を引く、メディアミックスと称する戦略だったのでしょう。


マスコミは批判的な番組や記事には慎重になるようですが(後で告訴されることもありますからね)、提灯持ちは安易にやってしまうようです。たぶん、取材する相手が提供する資料を疑うこともないのでしょう。「いやそんなことは断じてない」と、もしNHKがいうのであれば、是非ともインクスの倒産を検証する番組を作って欲しいものです。たぶん、未曾有の自動車不況が、我々の絶賛した(ヨイショした)インクスまでも潰してしまったと、インクスの公式発表通りの番組になることは確実でしょうが‥‥。
「褒めて悪いか、くさしたわけじゃねえぜ」と居直るとしたら、私は即刻NHKの受信料の支払いを止めることにします。善意で作った番組でも、そのために迷惑をこうむる人たちがいるということは、ちょっとでも頭を働かせればわかることですし、その内容が疑いのあるものなら、犯罪と紙一重です。
NHKがインクス賛美の番組を制作したことを知ったとき、(受信料をずっと払っている私は)盗人に追銭だなと気落ちしたものです。


朝日新聞批判はいいや。前科が多すぎますものね。
なにせ、記者が自分でサンゴを傷つけて、こんなことは許せないと平気で記事にする会社ですもの。小林亜星の息子とやらをヨイショした記事が失笑を買ったこともあったっけ。
調査が嫌いな社風なんでしょう。


私が書きたかったのは、メディアを味方につけたインクスの営業方法と、それを後押しした検証を欠いたマスコミに対する批判です。
自らのことをいわせてもらえば、ATCでは【江刺寄席】を例外として、広告の掲載や取材されることを禁じています。
例外である【江刺寄席】も、寄席自体を紹介する記事は認めますが、主催者であるATCに対する取材はお断りしています。
それは、美談となることが見え見えだからです。美談の主人公となることがどんなに愚かしいか、私たちでもそれくらいはわかっています。でも「ヤボだよ」と、軽く受け流すくらいがいいのかな。