旭亭だより

2018-08-09 村上RADIO

村上春樹がDJをつとめた村上RADIOを聞きました。村上さんの声を聞くのは初めてです。想像と寸分も違っていませんでした。

知っている曲は何曲かかかりましたが、どれもレコードは持っていません。聞けて嬉しかったのはエリック・バードン&ジ・アニマルズの「スカイ・パイロット」でした。

前身のジ・アニマルズのレコードは持っています。ブルーズやR&Bの名曲を中学生の私に教えてくれました。バードンの声も素敵でしたが、私はアラン・プライスの弾くオルガンに夢中になりました。バンマスはプライスだったのではないでしょうか。あの頃にイギリスのバンドにはプライス以外にも腕のいいオルガン奏者が何人もいましたっけ。

とても楽しい番組でしたが、村上さんが最後に読み上げたスライ・ストーンの言葉が心に沁みました。

「僕はみんなのために、誰にでも、馬鹿にでもわかる音楽を作りたい。そしたらみんな馬鹿でなくなるから。」

2018-08-08 中国四大奇書

床屋帰りに寄った本屋で、講談社学術文庫から井波律子訳の『水滸伝』が出ていることを知りました。私は中国四大奇書を原典からの完訳で読んだことがありません。手始めに『水滸伝』なんていいな。

本屋に置いてあったのは第一巻だけでした。全五巻ですでに完結しているそうです。問題はお値段。揃えると一万円弱となります。岩波文庫吉川幸次郎訳で全十巻。その他に駒田信二訳もあるし、どれを選ぶかにも悩みます。

小島晋治著『洪秀全と太平天国』(岩波現代文庫)を読み始めました。

2018-08-07 井上ひさし『頭痛肩こり樋口一葉』

井上ひさしの『頭痛肩こり樋口一葉』(集英社文庫)を読みました。新潮社の『井上ひさし全芝居』で読めるのですが大部で高価なので古本の文庫本を買いました。

井上ひさしの一葉観を知りたかったのですが、私には読み取れませんでした。芝居を引き回すのは一葉ではなく、一葉の母多喜と関わりのある稲葉鑛と中野八重です。

私は何冊か井上の戯曲を読んでいて、感心した作品も多いのですが、この『頭痛肩こり樋口一葉』は面白くありませんでした。でもこれは戯曲、舞台で完成するものです。こまつ座以外でも上演されていて、数年前には市内のホールでの公演もありました。一葉は田畑智子、花蛍は池畑慎之介だったような。

2018-08-06 真夏の昼飲み

昨日は友人と酒を飲みました。待ち合わせは2時、中野駅前。熱風が吹いていました。

24時間営業という居酒屋に行きました。半分ほどの入りでしたが、騒がしく、友人の声が聞き取れません。彼は店を変えようかと言いましたが、熱さの中を歩きたくはありません。大きめの声で話し、2時間ほど飲みました。

2018-08-05 古本を数冊

古本は著者に印税が支払われませんので、品切れ本以外は買わないようにしています。でも、私の読みたい本は古いものや再版されないものが多く、自然と古本を買うことになってしまいます。先週も数冊購入しました。

東アジアの近代に関する本が二冊、呉知泳著/梶村秀樹訳註『東学史』と牧田英二/加藤千代編訳『義和団民話集』で、どちらも平凡社東洋文庫です。前に東洋文庫は古本でも高いと書きましたが、これらは安価でした。

それと松下竜一著作を二冊。『狼煙を見よ』(読売新聞社)と『怒りていう、逃亡には非ず』(河出文庫)です。松下の本は『豆腐屋の四季』しか読んでいませんでした。先日新聞で大道寺将司の俳句に接し、彼について知りたくなったのです。『怒りていう、逃亡には非ず』は日本赤軍の泉水博についての本ですが、『狼煙を見よ』と併せて読んでみたくなりました。

2018-08-04 ”Hallelujah”

あるテレビドラマのエンディングでレナード・コーエンの「ハレルヤ」が流れました。誰が歌ったものかはわかりませんでした。「ハレルヤ」のカバーは多く、聞く機会もよくあります。

私はこの曲をk.d.ラングのアルバム"hymuns of the 49th parallel"で知りました。ラングと同じカナダ生れのソングライター達の作品を集めたアルバムで、そのコンセプトが面白くて購入しました。一曲目はニール・ヤングの"After the Gold Rush"でした。私にとってカナダのソングライターといえばまずジョニ・ミッチェルですが、彼女の曲は"A Case of You"と"Jericho"が取り上げられていました。しかし一番印象に残ったのは初めて聞く「ハレルヤ」でした。それまで私はこの曲を知らなかったのです。ゆったりと語りかけるようなメロディーの最後に繰り返される「ハレルヤ」という言葉。陶然としてしまいます。

歌詞は難物でした。冒頭にダビデが出てくるのですから。後半は旧約聖書の世界からは離れますが、ラブソングではないと私には思えます。

ラングのアルバムはこれ一枚しか持っていません。


Hymns of the 49th Parallel

Hymns of the 49th Parallel

2018-08-03 太平天国

ドラマ『西郷どん』を見ていて「あれ?」と思うことがあり、江戸末期と明治前期の通史を何冊か読みました。そうしたら同時期の東アジアの歴史についても知りたくなってきました。通史的な知識ではなく個々の出来事についてです。まずは太平天国義和団東学党です。

太平天国についてはマルクスが言及していた記憶があります。ほとんど覚えていませんが、取るに足らずといった評価だったようです。手始めに読みたいのはイギリスの軍人で幕僚として太平天国に加わったオーガスタ・リンドレーの著書『太平天国−李秀成の幕下にありて』です。平凡社東洋文庫から4巻本で出ています。東洋文庫は高価で、古本でも安くならないのが問題です。

年金生活なので本は増やさないつもりでしたが、そうはいかないみたいです。

2018-08-02 一葉について

22年前に一葉について短い文を書きました。間違いもありますがそれを以下に引用します。冒頭の「その頃」は一葉が中島歌子の主催する歌塾「萩の舎(はぎのや)」に通っていた時期を指します。文中にある蓬莱中学校は現在は今戸中学校と統合され桜橋中学校となっています。


なっちゃんはその頃、生活費を得るために「闇桜」「たま襷」「別れ霜」などの小説習作を書き始めていました。「萩の舎」に通う傍ら、東京朝日新聞社員だった小説家半井桃水(なからい・とうすい)の指導を受けていたのですが、ふたりの関係について有らぬ噂が立ち、中島歌子は彼女に桃水との絶交を勧めたのです。

なっちゃんの父則義は零落した士族でした。その父の死後樋口家は破産します。彼女は、小説で生活を支えようとしましたが思うに任せません。わずかな原稿料では口を糊することができず、父親の旧知の知人たちから借金を重ねるばかりです。

返す当てもない借金をいつまでも続けるわけにはいきません。21歳の家長なっちゃんは、少ない元手でできる商売をしようと、駄菓子屋を始めることにしました。一家は明治26年6月、下谷龍泉寺町に引越します。そして同年8月に店を開いたのです。しかし商売はうまくいかず、明治27年5月には本郷円山福山町に転居します。彼女が下谷龍泉寺町での体験のもとにした「たけくらべ」の第1回目を「文學界」に発表したのは明治28年1月でした。

明治28年はなっちゃんにとって大きな転機となった年でした。9月、「文藝倶楽部」に発表した「にごりえ」によって彼女は注目を集め、原稿の依頼が殺到します。なっちゃんの家には当時の文学青年たちが引きも切らずに訪れ、サークルのようなものを形作るに至る始末です。しかし彼女は冷静に自分とその周りを見つめていました。

なっちゃんはさらに「文藝倶楽部」12月号に「やみ夜」と「十三夜」を、「国民の友」明治29年1月号に「わかれ道」、「日本の家庭」1月号には「この子」を載せました。一葉の時代の幕開けです。しかし、彼女はその後、1年と生きることができませんでした。

明治29年4月、なっちゃんは「文學界」に1年間をかけて発表した「たけくらべ」を「文藝倶楽部」に一括掲載しました。正岡子規幸田露伴そして森鴎外といった人たちが最大級の賛辞を惜しみませんでした。しかし生活は一向に楽にはならなかったのです。

彼女は明治29年7月頃から高熱を出すようになりました。8月、駿河台の山龍堂病院で診察を受けましたが、すでに直る見込みはないとのことでした。鴎外の紹介で青山胤通博士が往診しましたが、結果は同じでした。

明治29年11月23日、なっちゃんは息を引き取りました。24歳でした。

翌24日、霙が降る寒い日になっちゃんの葬儀は行われました。鴎外が騎馬で葬列に従うことを申し出ましたが、妹の邦子が丁重に辞退しました。葬列があまりにも貧弱だったからです。

鴎外はこのように書いています。

「われは縦令(たとい)世の人に一葉崇拝の嘲りを受けんまでも此の人にはまことの詩人という称をおくることを惜しまざるなり」

あの偉大な一葉女史を「なっちゃん」なんて気安く呼んだのには理由があります。それのほうが可愛いからというのもあるのですが、彼女とぼくが比較的ご近所だったからなんです。なっちゃんが短い間駄菓子屋を営んだ下谷龍泉寺町は、ぼくの通った台東区立蓬莱中学校の傍なのです。現在その近くに一葉記念館があります。

2018-08-01 樋口一葉の日記

樋口一葉の本は筑摩書房の『明治文学 第17巻』を持っているだけです。代表作は網羅されていますが、日記は抄録でものたりません。

私がよく使う古書店からの案内に筑摩書房版全集全4巻7冊入荷とありました。ぴったしのタイミングです。値段は9千円。これなら買えます。でも早合点はいけません。ちゃんと全巻読むのだろうな、と自問しました。「はい、読みます」と心の声が答えました。そこで案内を再確認。あちゃ、金額が一桁違っていました。9万円では手が出ません。

全集は無理でしたが、その後日記の巻だけは安く入手することができました。なんと2冊で1,660円。この夏はなっちゃん(一葉の本名はなつ)と一緒です。

2018-07-31 蚊がいない

12階に住んでいますが蚊はやってきます。たぶん人にまぎれてエレベーターに乗ってくるのでしょう。

ところが今年は一度も見かけません。猛暑のせいなのかもしれません。このままだといいのですが。