たっくん、パリコレへ。

岡野「朝陽ちゃん。『兎のヒヨ』で、相手役だったたっくん。覚えてる?」
朝陽「ああ、確かあの暇さえあれば中森姉さんの胸ばっかり見たはった、たっくん」
九原「何、その最低な人」
岡野「もともと、たっくんは僕がスカウトしてきたんですけどね。彼は、顔と言われたことを成し遂げる能力だけは完璧なんです」
朝陽「まあ、あいつのやる気のなさと言ったら、ほんまにひどい」
岡野「そのけだるげな感じをそのまま援用したのが『兎のヒヨ』だったわけです。だから、あれ、ほとんど彼の素なんですよ」
九原「ああ、なるほど。わざとそういう子を見つけてきたわけですか」
朝陽「初めは京都の関係者にだけ映画の評判が広まっていってな。わかりやすいところで、朝陽とたっくんが芸能界入らへんかって声かけられたわけや」
九原「へえ…」
岡野「お兄さん、興味ないですか?」
九原「ばれたか…」
朝陽「ちゃんと話聞けや」
岡野「くだんの中森姉さんに相談したところ、演技力はあるけど人としてなんかこう大切なものが抜け落ちてる朝陽ちゃんは映画オンリーで、演技する気もさらさらないけど顔だけはいいたっくんはモデルになったらどうかと勧められたわけです」
九原「へえ、それで?」
岡野「その顔だけは格好いいたっくんがついにパリコレデビューしたわけです!!」
朝陽「たっくん、やったなあ!!」
以下、読了。