ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

Strategic Choice

2016-09-30

[]処理の深さ

処理の深さ(Depth of Processing)

どういうこと?

ひとつの物事について熱心に考察すると、それだけ記憶に残りやすくなる、という理論のことです。

どうして?

深く分析した情報は、表面的に分析した情報よりも記憶に残りやすくなります。

どうすれば?

記憶は、2種類のリハーサルを通して形成されます。それは「維持リハーサル」と「精徹化リハーサル」です。

維持リハーサルとは、情報を何度も反復または復唱する作業です。精徹化リハーサルとは、質問を設定して答えるとか、何かになぞらえるなどの方法で、より深い分析を加える作業です。精徹化リハーサルが記憶に及ぼす効果は、維持リハーサルの効果よりも2〜3倍優れています。

記憶を保持し想起することが重要な局面では、処理の深さを利用します。

情報を熱心に考察してもらうため、何通りもの分析方法を併用します。「ケーススタディ」「実物見本」「関連する設備」などを提示して情報に興味を持たせ、自身との関連付けを促すことが大切です。

たとえば?

f:id:asakichy:20160714160355p:image

非常に判読しやすい書体で提示された情報(上)は読みやすいですが、やや判読しづらい書体で同じ情報が提示された場合(下)の方が記憶されやすくなります。書体が読みづらいと、読者は内容をより熱心に掘り下げることになり、記憶に残りやすいからです。

2016-09-29

[]守りやすい空間

守りやすい空間(Defensible Space)

どういうこと?

「境界」「監視の目」「所有者の存在感」を示すことで、犯罪をできるだけ防げるようデザインされた環境です。

どうして?

「境界を区切って所有権を示す」「監視の目を増やすための策を講じて死角を減らす」「住人が活動し使用していることを伝える象徴的障壁を配置する」などが組み合わさると、地域犯罪が抑止されます。

どうすれば?

守りやすい空間には、3つの重要な特徴があります。それは「領土権」「監視」「象徴的障壁」です。

領土権とは、境界を示し、私有地であることを明示するアイテムのことです。具体的には「地域ミュニティの標識」「門」「塀」「生垣」「フェンス」などです。

監視とは、随所に目が行き届くよう工夫され配慮された要素のことです。具体的には「屋外照明」「(人通りの多い場所に設置された)郵便受け」「(よく手入れされた)中庭」などです。

象徴的障壁とは、所有者の存在感を示すような事物のことです。具体的には「ブランコ」「花壇」「ガーデン・ファニチャー」などです。

たとえば?

f:id:asakichy:20160714160356p:image

領土権を示す印や、監視の目を絶やさないための設備や、象徴的障壁を追加すると、地域犯罪の防止に役立ちます。

2016-09-28

[]群衆の知

群衆の知(Crowd Intelligence)

どういうこと?

群衆(大勢の人々)が互いを意識せずに共同作業を行うとき、そこに立ち現われるひとつの知性のことです。

ここで言う群衆は、どのような種類の集団でも良いのですが、その構成員は個別に問題解決に取り組まなければならないという条件があります。

どうして?

ひとつの集団を対象に、ある特定の問題に対する答えを募って平均値を出すと、その値は、その集団に属するどの個人の答えよりも的確になります。

どうすれば?

群衆の知は、明快な答えが存在する問題を扱う場合に、もっとも良く機能します。したがって、たとえば数学的な問題を解く場合は効力が高いのですが、デザイン上の問題を解決する場合は効力が低いと考えられます。

群衆の知は、集団の構成員がそれぞれに多種多様な意見や信念を持つ場合に、もっとも優れた答えを出すようになります。集団内で強力な権威や社会的影響力が働くと、群衆の知の成果は低下します。

群衆の知は、問題解決のための新しい選択肢になり得ます。ただし、簡単に説明でき、明快な答えを出すことができる問題以外には使用しないのが得策です。

たとえば?

f:id:asakichy:20160714160021p:image:w360

Wikipediaの成功は、「群衆の英知」の文脈で説明されることが多くあります。

関連

2016-09-27

[]費用便益分析

費用便益分析(Cost-Benefit)

どういうこと?

ものの価値を、「それを手に入れて使用するための費用」と「そこから得られる利益」との比較によって分析する方法です。

これは、財務だけを対象とするわけではありません。ひとつのデザインをめぐって発生するあらゆる費用(コスト)と便益(ベネフィット)が対象となります。コストの中には、「身体的コスト(労力など)」「感情的コスト(フラストレーションなど)」「社会的コスト(ステータスなど)」も含まれます。

どうして?

費用便益分析は、デザインを評価する観点になります。ひとつのデザインをめぐって発生する費用が便益を上回るなら、そのデザインは失格です。便益が費用を上回るなら、そのデザインは合格です。

どうすれば?

費用便益分析を、デザインのあらゆる側面で考慮します。「費用のみ」「便益のみ」に基づいてデザインを決定してはいけません。

よくある誤解として、いろいろな機能を付け足せば製品価値が上がるという発想があります。これが正しいと言えるのは、新しい機能によってもたらされる便益が、使い方が複雑になるというコストを上回る場合だけです。さもなければ、新機能の追加は製品価値を落とすことになります。

たとえば?

f:id:asakichy:20160714160025j:image:h480

カヤックは、持ち運ぶための手間や労力(つまりコスト)が大きく、それが人気を低迷させる一因となっていました。持ち運びがしやすいカヤック(折り畳み式)なら、このコストは軽減され、カヤックの魅力は高まります。

2016-09-26

[]コンバージェンス

コンバージェンス(Convergence、収斂)

どういうこと?

同質の環境内に存在する複数の事物が、それぞれに進化しながら同質の特性を獲得していく傾向のことです。

どうして?

さまざまな適応戦略の成否には、環境が大きく影響します。よって、類似した環境の中では、問題解決策も類似してきます。複数の独立した発明家や科学者が、個別かつ同時に、さまざまな発見や発明をすることも珍しくありません。

どうすれば?

安定した環境下では、既存の解決策に改良を加える方法が望ましく、収斂が促進されます。不安定な環境下では、革新的で実験的な方法が望ましく、収斂は妨げられます。

また、新たな戦略に取り組むときは、収斂のことを考えに入れ、誰かが同じタイミングで、自分よく似たアイデアを練り上げているかもしれないことを思い起こします。

たとえば?

f:id:asakichy:20160714154112p:image:h640

流体(海と空)の中を移動するための戦略は、長い歴史を通して次第に収斂しました。この事実から推し測ると、競争力のある新システムを開発するためには、既存の戦略のいずれかを手本にする必要があります。