三文文士の散文詩的マクドナルド感

ハムバアガアを食(は)む──


久しぶりに、マクドナルドへ行った。
ビッグマックが安くなっていたからだ。
ぼくらの星に近すぎる夕日が射貫いてくる中、
原動機のないバイクでチャリチャリ走っていく。


子どものころに食べたビッグマックは、
手乗り宇宙船のようにズッシリと手に重く感じた。
したたるソースごと口いっぱいにほおばって、
照れながら口をぬぐうのが楽しい。


今日、味わった「ビッグマック」は、
「──風」と呼ぶべきサンドイッチだった。
あの高密度・大容量はどこへ行った?
あふれんばかりの憎たらしいソースは?


店内では、地球の反対側から来た子どもたちが、
カタコトの日本語混じりの外国語でしゃべっている。
その子らも、自分も、持っている物の多くは、
となりの大陸から運ばれてきたのだろう。


ああ、どこにも、
「あこがれの強いアメリカ」はなくなったのだ──。
そして、どこまでも、いつまでも、
日本人には純国産が似合うのだ、といまさら気づく。


夕焼けに濡れた町並みを見て、
足りないソースの代わりにする。
バンズも肉も、何もかも物足りないけれど、
一番足りないのは、「スマイル: 0 円」の店員──。