ケイ・スカーペッタシリーズの第１０作です。オーディブルで聴きました。ＣＤ９枚あるのでかなりのボリュームです。
リッチモンド港でヨーロッパからの船便のコンテナの中に男の腐乱死体が発見されたが発端となる話です。前作で最愛のベントンを亡くし悲嘆に暮れるケイと、出世欲の強い美人の副署長ブレアに見回り警官に降格されたマリーノという、名コンビはドン底からのスタートです。
本作の執筆の前にインターポールを取材した作者のコーンウェルが、今回は国際犯罪ものに挑んでいます。ナレーターのレベッカ・マックスウェルさんは、女性ながら悪態つきまくりのマリーノの声だけでなく、フランスなまりの刑事や検視官も演じておられて、ナレーターって大変だなと思いながら聴いていました。
メインストーリーのインターポールの絡んだ国際犯罪を主軸に、ケイのオフィスでは盗みが発生したり、ケイのフリをしたネット上の人物、さらには、ケイとマリーノを落としめようとするクール美人のブレイがサブストーリーで絡んできます。手のつけられない姪っ子ルーシーも出てきます。
最後まで聴いてみて、やはりこのシリーズは女流作家による強い女のファンタジーなんだなと感じました。主人公のケイは、中年だけれどまだまだ若い男を夢中にさせるルックスとボディを持ち、頭は切れるし言う時はガンガン主張するけど、芯は傷つきやすい女。自分を慕う番犬、マリーノを従えて、時にはふらりと恋に落ちる。
2010年代になって、さらに女性が強くなってきた感がありますし、まだまだケイ・スカーペッタシリーズの人気は衰えないのではないでしょうか。
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