Authur Potter
FBI's senior hostage negotiator and assistant director of the Bureau's Special Operations and Research Unit
長ったらしい役職名だが、要するに立てこもり事件の交渉人のことである。本作の主人公。ちょっと太り気味のおっさんみたいだが、
私の脳内ではマーク・ハーモンとかゲイリー・シニーズとかに変換されていた(笑)
連邦刑務所から脱獄した3人の服役囚。カップルを殺し、10人の耳の不自由な女性教師と少女たちを人質にして、廃墟となった
元食肉加工場に立てこもる。舞台はKansasのCrow Ridge。
これに対し、Potterを中心とする立てこもり事件解決班のメンバー達は、まず対応の初動プロトコルからきびきびと実行していく。
生き生きとした緊張感でその緻密さがこちらにがんがん伝わり、読んでいて思わず背筋がぴんと伸びる。
立てこもり犯達を仕切るのはLou Handy。鉄の心臓を持つ冷酷で狡猾な悪魔だ。この手の事件のプロであるPotterも、その非情な所業を
防ぎきることができない。さらにこの事件を私利私欲に利用したい有象無象がPotterと同じ側であるはずの人間からも出てきて、
Potterの作戦に茶々を入れ、出し抜こうとする。ここまでするか、と思うほどの「味方」からの妨害。Potterは交渉に集中できない。
ページをめくる手ももどかしく、じりじりする。交渉は混迷の度を極める。
これがこの物語の本流なのだが、実はもうひとつ、サイドストーリーとして人質のひとり、若き女性教師Melanie Charrolと
Arthur Potterとの「不思議な」ラブストーリーが「静かに」川底を流れている。Melanieは人質として拘束されている間、
「恋人」であるPotterに自分だけの「音楽の部屋」で語りかけることによって自らの内なる声に「耳を傾け」
「覚醒」していくのだ。
一方Potterも、遠くから見ているだけのMelanieを頭から追い出すのが次第に難しくなっていき、彼女への想いを募らせる。
事態は終盤で急展開。しかしいやいやこのまま終わるわけはないと固唾を飲んで読み進めると、おお!そう来たか!と期待を裏切らず
どんでん返しだ。とともにPotterとMelanieの「恋」も全く思いがけないカタルシスである種、「結実」する。最初から最後まで文字通り息もつかせない、極上の、芳醇なサスペンスを堪能できたと思い、ほうっと満悦のため息をついたところだ。
なおタイトルのA Maden's Graveは、ある有名な歌の題名に掛けてあるのだが、その含意には思わず唸らされた。
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A Maiden's Grave マスマーケット – 1996/10/1
英語版
Jeffery Deaver
(著)
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- 本の長さ432ページ
- 言語英語
- 出版社Signet
- 発売日1996/10/1
- 寸法11.13 x 3 x 17.48 cm
- ISBN-100451188489
- ISBN-13978-0451188489
登録情報
- 出版社 : Signet (1996/10/1)
- 発売日 : 1996/10/1
- 言語 : 英語
- マスマーケット : 432ページ
- ISBN-10 : 0451188489
- ISBN-13 : 978-0451188489
- 寸法 : 11.13 x 3 x 17.48 cm
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2002年1月2日に日本でレビュー済み
いつもながらこの作家のプロット作りの巧みさには驚かせられます。
数時間ごとにやってくるタイムリミットという、いつもながらに
はらはらどきどきさせる仕掛けが物語のあちらこちらにちりばめられています。
個人的に残念だったのは、魅力的なキャラクターがいなかった
ことでしょうか。主人公である警察の交渉人、彼と心を通わせる人質の女性、
極悪非道の犯人など、どれもキャラクターを書きこんではいるのですが
魅力を感じる、といったところまではいかず、登場人物が魅力の一つで
あるこの作家の作品としては物足りなく思いました。
また、途中から「ちょっと都合良くないか?」と思ったのも事実です。
悲惨な目にあう人質の一人に、読者があまり感情移入して
不快に思わないようにキャラクターを書き込んでいなかったようにも思います。
数時間ごとにやってくるタイムリミットという、いつもながらに
はらはらどきどきさせる仕掛けが物語のあちらこちらにちりばめられています。
個人的に残念だったのは、魅力的なキャラクターがいなかった
ことでしょうか。主人公である警察の交渉人、彼と心を通わせる人質の女性、
極悪非道の犯人など、どれもキャラクターを書きこんではいるのですが
魅力を感じる、といったところまではいかず、登場人物が魅力の一つで
あるこの作家の作品としては物足りなく思いました。
また、途中から「ちょっと都合良くないか?」と思ったのも事実です。
悲惨な目にあう人質の一人に、読者があまり感情移入して
不快に思わないようにキャラクターを書き込んでいなかったようにも思います。
2000年11月29日に日本でレビュー済み
今でこそボーンコレクターですっかり知名度が急上昇して、その評価もうなぎ上り(映画ははっきり言って、 最悪だったけど)。そのシリーズが世に出る前、 何の気なし(前知識なし)に見つけて読んだときの 印象は今でも思いだすほど強烈。 Deaverはやっぱりこの本から入って欲しい!
LincolnRhymeこそいないけれど、そのおどろおどろしさ
は冒頭の人質拉致から惜しみなく発揮されていて、 そこから始まる悪玉と善玉の頭脳戦(これが相変わらず 悪玉がたいしたやつで)、みなぎる緊張感は、きれる どころかびっくりするような展開があったり… おもしろいのは、タイトルの由来(これは読まないと だめ)。Very Clever!
LincolnRhymeこそいないけれど、そのおどろおどろしさ
は冒頭の人質拉致から惜しみなく発揮されていて、 そこから始まる悪玉と善玉の頭脳戦(これが相変わらず 悪玉がたいしたやつで)、みなぎる緊張感は、きれる どころかびっくりするような展開があったり… おもしろいのは、タイトルの由来(これは読まないと だめ)。Very Clever!
2014年11月3日に日本でレビュー済み
ベン ロペス著「ネゴシエイター―人質救出への心理戦」の解説に、この本があったので、図書館で借りて読みました。
ジェフリー・ディヴァーの本は、初めてです。
借りたのは、文庫本ではなく、単行本なので、上巻・下巻通しで読んだことになります。
小さな活字で460ページあり、ストーリーも、何人もの人たちが、それぞれの動きで登場するので、なかなか読み応えがありました。
何日かに 分けて読み終えました。
多くの人が高く評価されていますので、その通りですが、
私としては、ドラマチックではあるが、本当らしくないと気になるところがあったので、星四つという感じです。
気になるところは、
(1)交渉担当者ポターが人質メラニーに対して好きになり、メラニーも同じですが、今一つ本当にそんなことあるかと疑問です。
(2)物語の最後の方で、メラニーが生まれて初めて車を運転するが、初めての運転で、そんなに遠くまでうまく行けるだろうか?
(3)メラニーがプリシラを殺害するが、おとなしい女性が、あばずれ相手に、そんなにうまくできるだろうか?
読み終えた頃に、ちょうど新聞で、この著者の新作「ゴスト・スナイパー」の広告が載っていたので、この作品も読みたいと思っています。
ジェフリー・ディヴァーの本は、初めてです。
借りたのは、文庫本ではなく、単行本なので、上巻・下巻通しで読んだことになります。
小さな活字で460ページあり、ストーリーも、何人もの人たちが、それぞれの動きで登場するので、なかなか読み応えがありました。
何日かに 分けて読み終えました。
多くの人が高く評価されていますので、その通りですが、
私としては、ドラマチックではあるが、本当らしくないと気になるところがあったので、星四つという感じです。
気になるところは、
(1)交渉担当者ポターが人質メラニーに対して好きになり、メラニーも同じですが、今一つ本当にそんなことあるかと疑問です。
(2)物語の最後の方で、メラニーが生まれて初めて車を運転するが、初めての運転で、そんなに遠くまでうまく行けるだろうか?
(3)メラニーがプリシラを殺害するが、おとなしい女性が、あばずれ相手に、そんなにうまくできるだろうか?
読み終えた頃に、ちょうど新聞で、この著者の新作「ゴスト・スナイパー」の広告が載っていたので、この作品も読みたいと思っています。
2012年7月21日に日本でレビュー済み
凶悪な脱走犯が、聾学校の教師と生徒を人質にして廃屋になった食肉加工場に立てこもった。
犯人との交渉にあたるのは、FBIきっての交渉のプロ、アーサー・ポーター。
脱走犯のリーダー、ルイス・ハンディとポーターの駆け引きと、
人質になった聾学校の教師、メラニーの活躍がこの小説の大きな二つの縦糸である。
周囲の人物やその行動も良いスパイスになり、ハラハラドキドキの一流のサスペンスに仕上がっている。
終盤ではいくつかのどんでん返しがあり、クライマックスへ向けて読者を一気に引き上げていってくれる。
しかし、最後の最後、おそらく他のレビュワーの方が大どんでん返しといったものは、
僕にとっては苦い後味しか残さなかった。
どんでん返しの魅力は、ある一つの事が崩れ去ることにより、その場の風景全てが崩れ去って、
全く新しい風景が出てくるところにカタルシスを感じるものだと思う。
本書の最後のどんでん返しは、結局そうはなっていないと思う。
少なくとも僕は、誰に感情移入してよいか分からなくなり、
戸惑いや不安、暗い未来への漠然とした暗示ばかりが胸に渦巻いた。
間違いなく傑作と思われるが、エンターテイメント小説に求められるような清涼感は得られないと思う。
しかし、僕にとってこの本が最初のジェフリー・デーヴァーであり、
ボーン・コレクターなどの評判の良い傑作群を読んでみたいという気持ちには十分させてくれた。
犯人との交渉にあたるのは、FBIきっての交渉のプロ、アーサー・ポーター。
脱走犯のリーダー、ルイス・ハンディとポーターの駆け引きと、
人質になった聾学校の教師、メラニーの活躍がこの小説の大きな二つの縦糸である。
周囲の人物やその行動も良いスパイスになり、ハラハラドキドキの一流のサスペンスに仕上がっている。
終盤ではいくつかのどんでん返しがあり、クライマックスへ向けて読者を一気に引き上げていってくれる。
しかし、最後の最後、おそらく他のレビュワーの方が大どんでん返しといったものは、
僕にとっては苦い後味しか残さなかった。
どんでん返しの魅力は、ある一つの事が崩れ去ることにより、その場の風景全てが崩れ去って、
全く新しい風景が出てくるところにカタルシスを感じるものだと思う。
本書の最後のどんでん返しは、結局そうはなっていないと思う。
少なくとも僕は、誰に感情移入してよいか分からなくなり、
戸惑いや不安、暗い未来への漠然とした暗示ばかりが胸に渦巻いた。
間違いなく傑作と思われるが、エンターテイメント小説に求められるような清涼感は得られないと思う。
しかし、僕にとってこの本が最初のジェフリー・デーヴァーであり、
ボーン・コレクターなどの評判の良い傑作群を読んでみたいという気持ちには十分させてくれた。
2002年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
僕のように「ボーン・コレクター」からディーヴァーに触れた読者は、こういう彼の旧作に触れるたびに裏切られ続けることになるのだろう。いや、がっかりするのではない。確かにリンカーン・ライムの面影を追おうとすれば失望するのだろうがー1作ごとに趣向をかえ、綿密なリサーチのもとディティールにこだわってリアリティを増し、そしてプロットは得意ワザの大ドンデン返しーミステリー・ファンとしては大歓迎の裏切りではないだろうか。
難を言えばリサーチした専門知識を少々ひけらかしすぎて冗長なのと、人物の描写にメリハリが少なく奥行きに欠けることくらいか。それも「ボーン…」などの円熟の域に達したものを読んだあとの贅沢な注文かもしれない。
ただ、後に書かれる作品にも共通する要素がある。それは「弱いものが強い」というテーゼだ。ドンデン返しにはプロットも重要だが、ディーヴァーの場合はこの「弱者」がキー・ワードになり、作品の味わいともなる。それに気付いてしまうとドンデン返しがちょっぴり予測できてしまうのが困ったところなのだが。
難を言えばリサーチした専門知識を少々ひけらかしすぎて冗長なのと、人物の描写にメリハリが少なく奥行きに欠けることくらいか。それも「ボーン…」などの円熟の域に達したものを読んだあとの贅沢な注文かもしれない。
ただ、後に書かれる作品にも共通する要素がある。それは「弱いものが強い」というテーゼだ。ドンデン返しにはプロットも重要だが、ディーヴァーの場合はこの「弱者」がキー・ワードになり、作品の味わいともなる。それに気付いてしまうとドンデン返しがちょっぴり予測できてしまうのが困ったところなのだが。
2005年2月8日に日本でレビュー済み
聾唖学校の生徒と教員を人質に取った、立てこもり事件を描いた作品です。
FBIの交渉人アーサー・ポターと犯人ルー・ハンディの息詰まる交渉戦がすごいすごい。綱渡り的状況なのに、ポターが時折「無手勝流」ぽい対応(経験に裏打ちされたものだけど)をするので、そのたびにヒヤヒヤ。
州警察、州知事、マスコミ、役人などこの事件で功名を立てようとする人たちとポターらFBIチームらとの間は当然しっくりいってないわけで、彼らの動きが緊迫した状況を更に面白くしています。要するに交渉だけでもイレギュラーな部分が多いのにその他数多くのイレギュラーがそれに輪をかけてあるので、それだけ面白くなります。
交渉の場面を詳しく書いたものは初めて読みました。
傑作です。ラストはちょっとかっこ良い(後半はどんどんスピードアップしていきます)。
映画化されたようですが聾唖者をどういう風に演出したのか、観たい気もします。
FBIの交渉人アーサー・ポターと犯人ルー・ハンディの息詰まる交渉戦がすごいすごい。綱渡り的状況なのに、ポターが時折「無手勝流」ぽい対応(経験に裏打ちされたものだけど)をするので、そのたびにヒヤヒヤ。
州警察、州知事、マスコミ、役人などこの事件で功名を立てようとする人たちとポターらFBIチームらとの間は当然しっくりいってないわけで、彼らの動きが緊迫した状況を更に面白くしています。要するに交渉だけでもイレギュラーな部分が多いのにその他数多くのイレギュラーがそれに輪をかけてあるので、それだけ面白くなります。
交渉の場面を詳しく書いたものは初めて読みました。
傑作です。ラストはちょっとかっこ良い(後半はどんどんスピードアップしていきます)。
映画化されたようですが聾唖者をどういう風に演出したのか、観たい気もします。
2010年11月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1995年発表の本作品は、ベストセラーが続出の「リンカーン・ライムシリーズ」発表前の傑作として、評価されているようです。
アメリカ・カンザス州のハイウェィを走る、教員の運転するローラン・クレール聾学校のスクールバスは、教育実習生のメラニー・キャロルほか、生徒8名を乗せていたが、交通事故現場に出くわし、停車した。
それは、脱獄囚3人を乗せた車とカップルの乗った車の事故であり、脱獄囚3人はカップルを殺害したうえ、スクールバスを乗っ取ってしまう。
やがて、到着した食肉加工場跡に彼女達を人質に立て籠もった彼らに対し、FBI捜査官のアーサー・ポターは工場敷地内に止めたバンを司令室として、交渉を始めるが…。
本書は、人質解放交渉の舞台裏を描いた先駆的な作品だと思われますが、90年代後半から、交渉人の存在がクローズアップされ、立て籠もり事件を題材にした類似の物語やドキュメンタリーが作られたせいか、現在の自分にとっては、見たことのあるような「交渉シーン」となっていたのが、正直なところです。
しかし、本作品は次の点で、恒久的に独創性のある作品になっていると思いました。
一つ目は、メラニーを初めとした人質が「聾者」という設定になっていること。耳の聞こえない彼女たちの視点で、立て籠もり現場を描くことで独特の緊張感を保つことに成功しています。
二つ目は、現場を「食肉加工場跡」としたこと。かつて家畜達の終焉の場となったその場所は、いつ「死」が訪れるかもしれない人質達へ暗い影を落とす、象徴的な舞台装置となっています。
三つ目は、「どんでん返し」。人質解放へ向けた中途のサスペンスはもちろんのことですが、読者の予想を裏切る展開が待ち受けています。著者の作品を読むのは2冊目ですが、現代のミステリにおいても、意外な結末が重要だと著者は認識していると感じました。
アメリカ・カンザス州のハイウェィを走る、教員の運転するローラン・クレール聾学校のスクールバスは、教育実習生のメラニー・キャロルほか、生徒8名を乗せていたが、交通事故現場に出くわし、停車した。
それは、脱獄囚3人を乗せた車とカップルの乗った車の事故であり、脱獄囚3人はカップルを殺害したうえ、スクールバスを乗っ取ってしまう。
やがて、到着した食肉加工場跡に彼女達を人質に立て籠もった彼らに対し、FBI捜査官のアーサー・ポターは工場敷地内に止めたバンを司令室として、交渉を始めるが…。
本書は、人質解放交渉の舞台裏を描いた先駆的な作品だと思われますが、90年代後半から、交渉人の存在がクローズアップされ、立て籠もり事件を題材にした類似の物語やドキュメンタリーが作られたせいか、現在の自分にとっては、見たことのあるような「交渉シーン」となっていたのが、正直なところです。
しかし、本作品は次の点で、恒久的に独創性のある作品になっていると思いました。
一つ目は、メラニーを初めとした人質が「聾者」という設定になっていること。耳の聞こえない彼女たちの視点で、立て籠もり現場を描くことで独特の緊張感を保つことに成功しています。
二つ目は、現場を「食肉加工場跡」としたこと。かつて家畜達の終焉の場となったその場所は、いつ「死」が訪れるかもしれない人質達へ暗い影を落とす、象徴的な舞台装置となっています。
三つ目は、「どんでん返し」。人質解放へ向けた中途のサスペンスはもちろんのことですが、読者の予想を裏切る展開が待ち受けています。著者の作品を読むのは2冊目ですが、現代のミステリにおいても、意外な結末が重要だと著者は認識していると感じました。
他の国からのトップレビュー
Malou
5つ星のうち5.0
A brilliant Deaver tale.
2023年4月9日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
I am always amazed how Jeffrey Deaver can lead the reader in one direction and just slap you in the face with a sudden change of direction leaving your head and senses reeling as things you believe just disappear and something totally unexpected happens. This has got to his best book ever. But I say that every time! I loved it and highly recommend it.
Bill Friend
5つ星のうち5.0
The world of the deaf as terrified hostages of a merciless killer
2019年7月29日にカナダでレビュー済みAmazonで購入
Masterful Deaver research into the world of the Deaf & the complexity of hostage negotiation
Baivab Mitra
5つ星のうち5.0
A nerve gripping story !
2020年10月21日にインドでレビュー済みAmazonで購入
The book (among other Jeffery Deaver’s works in particular) is definitely recommended for the ones who love to render their brains with twisted thrilling psychological turns. It’s definitely another one of many nerve gripping stories of the mastermind of an author but this one in particular has the best plot twisters I’ve strode through so far ! It’s no wonder a must read ! Just don’t be baffled when you actually dream about the wreckage you experience through the read during your “good night’s sleep” !
Kroaleen
5つ星のうち5.0
Hell of a ride!
2017年7月31日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Mr Reaver is my favorite writer! He's always good, but this time he's outdone himself. The twists and turns of this novel are totally unexpected, but totally in character for each person in the novel. Its a relatively long read but I ripped through it in less than 2 days. I'd love to meet Mr Reaver. I've always been fascinated by Stephen King, but Jeffrey has surpassed him, in my book I'm a psychologist, and I'd love to hear his own story. Not to analyze him, because I don't think he's skewed" or diagnosable. Just to know where he comes from, and to admire his mind. Thank you, Mr Reaver!
Jeuring
5つ星のうち5.0
Exciting
2014年6月6日にドイツでレビュー済みAmazonで購入
One of the most exciting books I read this year. A thrill from cover to cover. Very good. Excellent. even better