ミステリーにはいろいろユニークな探偵が登場するが、本書の主人公Mark Genvichは自動車事故の後遺症でナルコレプシー＝眠り病を患っている。彼は自分で眠りをコントロールできず、食事中、トイレで座っているとき、その他、これだけは人に見られたくないということをしている最中でも、突然意識を失くし、眠りに落ちてしまう。これだけでも十分厄介なのだが、彼は誰かと話しているとき、眠っていても自動的に応答してしまうことがあり、相手は多少おかしいと思いながらも、コミュニケーションが成立していると思ってしまう。
今回もそれが起こったらしく、彼が気がつくと依頼者はすでに帰り、目の前には若い女性の写真が２枚置かれている。１枚は下着姿の写真である。更に、自分の筆跡で書かれたどこかの場所の名前。何か依頼を受けたのは確かなのだが、肝心の何をすればいいのかがわからない。こんな間抜けな状況の中、依頼人から「例のものは見つけたか」と、電話が入る。彼は「例のもの」（原文では “it” ）が何なのか、皆目見当がつかないので、適当に返事をしてその場はごまかし、おそらくゆすりだろうと見当をつけてとにかく調査を開始する。
調査といっても、とりあえず依頼人にもう一度会って話を聞くしかないのだが、訪ねてみると、その依頼人は銃で自殺していた。困惑した彼はいろいろ調べていく中で、依頼人の死の背景には、地方検事、その娘である有名女優、更には自分の父親までが関係していることがわかってくる。彼は持病と戦いながら、真実を探り当てようと奮闘する。
眠り病の私立探偵という設定がそもそも無理な気がして、最初は「ハズレ」かと思ったのだが、主人公のタフになろうとして全くうまくいかない姿や軽妙な語りが魅力的で、ストーリー自体にたいして新鮮味はないものの、大変楽しく読むことができた。主人公の抱える眠り病は、きわめて日常的なこと、例えば車の運転などまでを、サスペンスの要素にしてしまい、物語は緊張感を持って進んでいく。それが作者の狙いでもあるのだろう。
ただ、主人公が大学を辞め、職業として私立探偵を選ぶのはナルコレプシーに罹った後なので、選りによって探偵？という不自然さはやはり残った。この本が好評だったのか、No Sleep Till Wonderlandという、彼が登場する第２作もあるようなので、これもいずれ読みたいと思っている。
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Ravenhill
Fun and very different
2017年10月4日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
JK Chambers
Great sense of Character, will re-read again and again!
2014年2月3日に英国でレビュー済みAmazonで購入
L E Dobbie
A fun and unique detective story
2018年9月1日に英国でレビュー済みAmazonで購入
Dr. Death
Somewhat entertaining, but hardly Chandleresque despite the title.
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Bama Boy
A narcoleptic detective could easily be a recipe for comedy and light-hearted discrimination but ...
2015年2月14日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
