二十世紀を代表する巨匠の作品を精選した回顧集。作家の全仕事を俯瞰できる内容に加え、上質なレイアウトと印刷装丁で「愛蔵版」と呼ぶに相応しい書籍である。
布張り上製本、図版はすべてデュオトーン(二色刷り)。印刷はスイスで行われている。
アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004)の業績は、さまざまなメディアで語られている。
それまでの「スチル写真家」に対し、より小型で高い機動性を持つカメラを携え、人と街の「ありのまま」に迫る若者であったこと。第二次大戦を間近に控えたパリに、つむじ風のように興った写真のムーヴメントの中心に、キャパやシム(ダヴィッド・シミン)とともに居たこと。彼らと共同で写真家集団マグナムを創設したこと。
じっさい、フォトジャーナリズムという概念が社会に認知され、ストリートスナップが芸術の域にまで高められた背景には、彼ら新世代の写真家たちの活動が常にあった。
だがブレッソンの写真は、そういう時代性だけでは、とうてい語り尽くせないものである。
本書に収められた写真作品は全155点。最初期のものが1929年、最新のものが1989年と、60年に及ぶ写真家人生を総括したような(出版時点では現役だが)つくりである。撮影地もきわめて広範に散らばっており、作家の旺盛な創作意欲と好奇心が伺える。
その作風もけっして一様には語れないものだが、もし全作品に共通するものがあるとすれば、それは「死や暴力までも高貴な香りを漂わせる」写真のたたずまいにあると思う。
本書で印象的なのは、その作家性に最大限の敬意を払ってつくられていることで、作品は見開きの右ページに掲載され、左ページには(ノンブルではなく)通し番号だけが打たれている。撮影年や撮影場所などのキャプションは巻末にまとめられており、観る者は予断を排して作品に接することができる。
おなじ出版社から後年に刊行された作品集
Henri Cartier-Bresson: The Man, The Image and The World
は、本書より約100ページほど厚く、見開きの両面を使ってほぼ3倍の作品を収容する。そちらを選ぶ方も多そうだが、前述の「ブレッソン作品に共通する、たたずまいの良さ」を鑑賞するなら本書だろう。
なお本書には版違いがいくつか存在する。原書は1980年に英テームズ・アンド・ハドソン社から上梓されたもの。これに新作数点を加えた改訂版が1992年に出版され、続く1999年の第二版ではカバー色の変更(黒からエンジ色に)と巻末資料の追補が行われている。レビュー投稿時点でオーダーを入れると、こちらの版が届くようだ。参考までに99年版のカバー画像を投稿しておこう。
また本書は
米国ブルフィンク版
も流通しているが、内容は同一である。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
Henri Cartier-Bresson: Photographer ハードカバー – 1992/10/21
英語版
Henri Cartier-Bresson
(著),
Yves Bonnefoy
(寄稿)
For more than 45 years, Henri Cartier-Bresson's camera has glorified the decisive moment in images of unique beauty and lyrical compassion. From the cities of war-torn Europe to the rural landscape of the American South, this retrospective volume shows the lifework of a legendary photographer. 155 duotone illustrations.
- 本の長さ338ページ
- 言語英語
- 出版社Bulfinch
- 発売日1992/10/21
- 寸法30.48 x 3.18 x 29.21 cm
- ISBN-100821219863
- ISBN-13978-0821219867
商品の説明
著者について
Henri Cartier-Bresson is one of this century's leading photographers and his exciting career has profoundly influenced the field. His earliest images are of Europe in the 1930s and 40s; he later traveled throughout the world, to the United States, India, Japan, China, Mexico, the Soviet Union, to frame the world with his camera.
登録情報
- 出版社 : Bulfinch; Subsequent版 (1992/10/21)
- 発売日 : 1992/10/21
- 言語 : 英語
- ハードカバー : 338ページ
- ISBN-10 : 0821219863
- ISBN-13 : 978-0821219867
- 寸法 : 30.48 x 3.18 x 29.21 cm
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
イメージ付きのレビュー
5 星
不朽の価値を持つ作品集の愛蔵版。
二十世紀を代表する巨匠の作品を精選した回顧集。作家の全仕事を俯瞰できる内容に加え、上質なレイアウトと印刷装丁で「愛蔵版」と呼ぶに相応しい書籍である。布張り上製本、図版はすべてデュオトーン(二色刷り)。印刷はスイスで行われている。アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004)の業績は、さまざまなメディアで語られている。それまでの「スチル写真家」に対し、より小型で高い機動性を持つカメラを携え、人と街の「ありのまま」に迫る若者であったこと。第二次大戦を間近に控えたパリに、つむじ風のように興った写真のムーヴメントの中心に、キャパやシム(ダヴィッド・シミン)とともに居たこと。彼らと共同で写真家集団マグナムを創設したこと。じっさい、フォトジャーナリズムという概念が社会に認知され、ストリートスナップが芸術の域にまで高められた背景には、彼ら新世代の写真家たちの活動が常にあった。だがブレッソンの写真は、そういう時代性だけでは、とうてい語り尽くせないものである。本書に収められた写真作品は全155点。最初期のものが1929年、最新のものが1989年と、60年に及ぶ写真家人生を総括したような(出版時点では現役だが)つくりである。撮影地もきわめて広範に散らばっており、作家の旺盛な創作意欲と好奇心が伺える。その作風もけっして一様には語れないものだが、もし全作品に共通するものがあるとすれば、それは「死や暴力までも高貴な香りを漂わせる」写真のたたずまいにあると思う。本書で印象的なのは、その作家性に最大限の敬意を払ってつくられていることで、作品は見開きの右ページに掲載され、左ページには(ノンブルではなく)通し番号だけが打たれている。撮影年や撮影場所などのキャプションは巻末にまとめられており、観る者は予断を排して作品に接することができる。おなじ出版社から後年に刊行された作品集Henri Cartier-Bresson: The Man, The Image and The Worldは、本書より約100ページほど厚く、見開きの両面を使ってほぼ3倍の作品を収容する。そちらを選ぶ方も多そうだが、前述の「ブレッソン作品に共通する、たたずまいの良さ」を鑑賞するなら本書だろう。なお本書には版違いがいくつか存在する。原書は1980年に英テームズ・アンド・ハドソン社から上梓されたもの。これに新作数点を加えた改訂版が1992年に出版され、続く1999年の第二版ではカバー色の変更(黒からエンジ色に)と巻末資料の追補が行われている。レビュー投稿時点でオーダーを入れると、こちらの版が届くようだ。参考までに99年版のカバー画像を投稿しておこう。また本書は米国ブルフィンク版も流通しているが、内容は同一である。
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
二十世紀を代表する巨匠の作品を精選した回顧集。作家の全仕事を俯瞰できる内容に加え、上質なレイアウトと印刷装丁で「愛蔵版」と呼ぶに相応しい書籍である。
布張り上製本、図版はすべてデュオトーン(二色刷り)。印刷はスイスで行われている。
アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004)の業績は、さまざまなメディアで語られている。
それまでの「スチル写真家」に対し、より小型で高い機動性を持つカメラを携え、人と街の「ありのまま」に迫る若者であったこと。第二次大戦を間近に控えたパリに、つむじ風のように興った写真のムーヴメントの中心に、キャパやシム(ダヴィッド・シミン)とともに居たこと。彼らと共同で写真家集団マグナムを創設したこと。
じっさい、フォトジャーナリズムという概念が社会に認知され、ストリートスナップが芸術の域にまで高められた背景には、彼ら新世代の写真家たちの活動が常にあった。
だがブレッソンの写真は、そういう時代性だけでは、とうてい語り尽くせないものである。
本書に収められた写真作品は全155点。最初期のものが1929年、最新のものが1989年と、60年に及ぶ写真家人生を総括したような(出版時点では現役だが)つくりである。撮影地もきわめて広範に散らばっており、作家の旺盛な創作意欲と好奇心が伺える。
その作風もけっして一様には語れないものだが、もし全作品に共通するものがあるとすれば、それは「死や暴力までも高貴な香りを漂わせる」写真のたたずまいにあると思う。
本書で印象的なのは、その作家性に最大限の敬意を払ってつくられていることで、作品は見開きの右ページに掲載され、左ページには(ノンブルではなく)通し番号だけが打たれている。撮影年や撮影場所などのキャプションは巻末にまとめられており、観る者は予断を排して作品に接することができる。
おなじ出版社から後年に刊行された作品集[[ASIN:0500286426 Henri Cartier-Bresson: The Man, The Image and The World]]は、本書より約100ページほど厚く、見開きの両面を使ってほぼ3倍の作品を収容する。そちらを選ぶ方も多そうだが、前述の「ブレッソン作品に共通する、たたずまいの良さ」を鑑賞するなら本書だろう。
なお本書には版違いがいくつか存在する。原書は1980年に英テームズ・アンド・ハドソン社から上梓されたもの。これに新作数点を加えた改訂版が1992年に出版され、続く1999年の第二版ではカバー色の変更(黒からエンジ色に)と巻末資料の追補が行われている。レビュー投稿時点でオーダーを入れると、こちらの版が届くようだ。参考までに99年版のカバー画像を投稿しておこう。
また本書は[[ASIN:0821219863 米国ブルフィンク版]]も流通しているが、内容は同一である。
布張り上製本、図版はすべてデュオトーン(二色刷り)。印刷はスイスで行われている。
アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004)の業績は、さまざまなメディアで語られている。
それまでの「スチル写真家」に対し、より小型で高い機動性を持つカメラを携え、人と街の「ありのまま」に迫る若者であったこと。第二次大戦を間近に控えたパリに、つむじ風のように興った写真のムーヴメントの中心に、キャパやシム(ダヴィッド・シミン)とともに居たこと。彼らと共同で写真家集団マグナムを創設したこと。
じっさい、フォトジャーナリズムという概念が社会に認知され、ストリートスナップが芸術の域にまで高められた背景には、彼ら新世代の写真家たちの活動が常にあった。
だがブレッソンの写真は、そういう時代性だけでは、とうてい語り尽くせないものである。
本書に収められた写真作品は全155点。最初期のものが1929年、最新のものが1989年と、60年に及ぶ写真家人生を総括したような(出版時点では現役だが)つくりである。撮影地もきわめて広範に散らばっており、作家の旺盛な創作意欲と好奇心が伺える。
その作風もけっして一様には語れないものだが、もし全作品に共通するものがあるとすれば、それは「死や暴力までも高貴な香りを漂わせる」写真のたたずまいにあると思う。
本書で印象的なのは、その作家性に最大限の敬意を払ってつくられていることで、作品は見開きの右ページに掲載され、左ページには(ノンブルではなく)通し番号だけが打たれている。撮影年や撮影場所などのキャプションは巻末にまとめられており、観る者は予断を排して作品に接することができる。
おなじ出版社から後年に刊行された作品集[[ASIN:0500286426 Henri Cartier-Bresson: The Man, The Image and The World]]は、本書より約100ページほど厚く、見開きの両面を使ってほぼ3倍の作品を収容する。そちらを選ぶ方も多そうだが、前述の「ブレッソン作品に共通する、たたずまいの良さ」を鑑賞するなら本書だろう。
なお本書には版違いがいくつか存在する。原書は1980年に英テームズ・アンド・ハドソン社から上梓されたもの。これに新作数点を加えた改訂版が1992年に出版され、続く1999年の第二版ではカバー色の変更(黒からエンジ色に)と巻末資料の追補が行われている。レビュー投稿時点でオーダーを入れると、こちらの版が届くようだ。参考までに99年版のカバー画像を投稿しておこう。
また本書は[[ASIN:0821219863 米国ブルフィンク版]]も流通しているが、内容は同一である。
このレビューの画像
他の国からのトップレビュー
Ricardo Cordeiro
5つ星のうち5.0
The perfect first book of HCB work
2012年8月6日に英国でレビュー済みAmazonで購入
As a great admirer of HCB work I always struggled to find a book that made justice to his best work.
I wanted to see HCB most iconic photographs in a good sized book with great print quality and unobtrusive page layout.
After some investigation I concluded that this is the perfect book: the choice of photographs is excellent, the print and general quality of the book is flawless and I love how the minimalistic page layout doesn't interfere with the images (it also doesn't have any double-paged photographs).
The other books I've been looking were:
- "The Decisive Moment" - it seems a great collectors item with early HCB work, but obviously it's not the most complete book.
- "The man, the image & the world: A retrospective" - a affordable paperback good format book. The work selection has some iconic photos but focuses also on some inedit images. I didn't like the page layout, it has many pages with groups of reduced photos. The price of this one is tempting but since this book isn't hard to find on stores so I recommend to see it before buying.
- "Henri Cartier-Bresson: The Modern Century" - the most recent HCB work compilation. The general quality is great but it is very biased on showing inedit work. It might be the perfect book to complement "Henri Cartier Bresson: Photographer".
This book is a must have to any HCB admirer. It's not the most affordable but the prices might be starting to raise, so it's better to get one now before it becomes a rare collectors item.
I wanted to see HCB most iconic photographs in a good sized book with great print quality and unobtrusive page layout.
After some investigation I concluded that this is the perfect book: the choice of photographs is excellent, the print and general quality of the book is flawless and I love how the minimalistic page layout doesn't interfere with the images (it also doesn't have any double-paged photographs).
The other books I've been looking were:
- "The Decisive Moment" - it seems a great collectors item with early HCB work, but obviously it's not the most complete book.
- "The man, the image & the world: A retrospective" - a affordable paperback good format book. The work selection has some iconic photos but focuses also on some inedit images. I didn't like the page layout, it has many pages with groups of reduced photos. The price of this one is tempting but since this book isn't hard to find on stores so I recommend to see it before buying.
- "Henri Cartier-Bresson: The Modern Century" - the most recent HCB work compilation. The general quality is great but it is very biased on showing inedit work. It might be the perfect book to complement "Henri Cartier Bresson: Photographer".
This book is a must have to any HCB admirer. It's not the most affordable but the prices might be starting to raise, so it's better to get one now before it becomes a rare collectors item.
W. C. Spangler
5つ星のうち5.0
Henri Cartier-Bresson Photographer
2007年9月13日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Excellent!! Cartier-Bresson has got to be among the top 2 or 3 photographers in history. The book contains 155 images presented in a good large format perfect for viewing. You get all of the details. I can sit for hours slowly moving from photo to photo. I am a photographer. This book is teaching me so much about the decisive moment and moods as related to photography. I cannot say enough about the book. Every person interested in photography should have and study this book!!
A. Beardmore
5つ星のうち5.0
Worth the wait!
2015年7月7日に英国でレビュー済みAmazonで購入
I managed to get this book used from amazon at the third attempt, the previous two sellers having reneged on the deal after payment had been taken (I did get the money back later), probably having realised the true value of the book.
Having said that the book was worth the wait of around two years. Biased I may be as a follower of HCB's work but both the production and selection of pictures are excellent. Most I have seen/own before but there are still some 'new' gems and the quality of the printing has not suffered in this older, used version. Recommended if you can get it for less than the ridiculous prices being asked by some sellers.
Having said that the book was worth the wait of around two years. Biased I may be as a follower of HCB's work but both the production and selection of pictures are excellent. Most I have seen/own before but there are still some 'new' gems and the quality of the printing has not suffered in this older, used version. Recommended if you can get it for less than the ridiculous prices being asked by some sellers.
Peter Wright
5つ星のうち5.0
Excellent review of HCB
2012年12月12日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Probably the best HCB book I have seen. Good coverage of his work in many stages. I would have appreciated having the title and date next to the picture instead of in a separate list at the back of the book, but it would be a bit churlish to drop a star for that.
Bill Hodgson
5つ星のうち5.0
Thunk
2012年9月30日に英国でレビュー済みAmazonで購入
The book is what it says, a catalogue of some of HCBs best images. If you want to get inside the mind of HCB and get a feel for what street photography is, this is a worthwhile book.