NSAは大量監視として、メタデータの収集を行なっているがそのメタデータをアルゴリズムを使って解析している。
メタデータを大量に収集し集められた情報を使って実際は繋がりのなかった、単語と単語、文脈同士がアルゴリズム解析によって自動的に形作られ、データの上での個人を作り出す。このような方法で作られたビッグデータ上の個人データは血の通った個々人から分離したものであり本書では『人物抜きの個人データ』と呼んでいる。
このようなデータの寄せ集めからできたプロフィールは、特定の個人や集団に対する誤解、見当違い、危害をもたらすことになる。間違って身元識別されたしまった人々に対し極めて有害な衝撃をいとも簡単に与えてしまう。
本書ではビッグデータという『 藁束 』の中にテロリストという『 針 』を探し出す試みには、明らかに問題が多いとしており、データが一人歩きして、恐ろしいことに個人が間違ってテロリストや犯罪者として身元識別され得るとさえも言っている。
ビッグデータ上では、従来の捜査手順である、罪刑法定主義(法に記載されている罪を捜査する原則)が揺らぐような、捜査が行われている。
まず初めに容疑者あるいは要注意人物を特定し、それから被疑者情報を収集し、裁判所が傍受や捜査を認めていくというこれまでの取り締まりや諜報活動の順序が逆転しているのである。
これがまさに『マイノリティ・リポート』や『犯罪の未然防止』効果であり事件が動き出す前に予測し、干渉することになり。この点で企業と政府のどちらの側もデータ保護とプライバシー権を踏まえての、分析や批評を要する疑問を浮上させることになる。
またデータ分析官が『 容疑者 』を意図的に生み出せる危険性もはらんでおり、その人々が有罪として扱われる差別的傾向が出てくる可能性もありうることであるし、プライバシーと公正な手続きにおける重大な疑義を呼び起こす。としている
本書で上がっている実際の例として、データが一定の方法で処理されることから、ある特定の集団が不公平な形で差別されるのだ。9.11以降、例えば、北アメリカ、欧州、その他の空港のセキュリティチェックで茶色い皮膚の人々、特に『ムスリム』や『アラブ』の特徴やプロフィールを持つ人々に人口分布にそぐわない多数のチェック通過の遅れや留置という結果が生じている。さらにすでに社会の周辺に追いやられている集団、例えばアメリカにおけるアフリカ系アメリカ人、欧州における南半球からの難民、どこであれ貧しい人々は、社会福祉の追跡監視システムや信用貸付格付けによって、不利な立場へと選別されてしまうことを目の当たりにしてもいる。
またアメリカとヨーロッパで1980年代から、支配的なリスク管理のアプローチは、すべての市民が潜在的テロリストであり、それゆえに管理は明らかに適切だと役人が考えることを助長する。そのような管理方法は、自由市場経済にうまく適合する。古典的な民主主義理論が想定する行動力のある多様な意見を持つ市民像は、今日歓迎されない。すべての市民は国家の安全に対する潜在的脅威として再分類されている。
そして、そのようなシステムの弊害を痛感したであろうスノーデン自身は、NSA等の機関によって実施されている、監視の拡大の危険性を強く訴えている。また直接的な危害を与えるような類の、国による監視 ーそこでは命がかかっているー を切り抜けた人々は、なぜ人々は不平もなくこの状況に甘んじているのかと不思議でならず、首を傾げたくなる者も多いだろう。スノーデンの指摘をもっともだと彼らなら思う。少数派の住民も同じだ。
(本書ではスノーデンの告発後、割と最近の経過や収集したメタデータをどのように分析するかの重要な指摘も載っていますが、少し訳が読みにくく感じました。リークの内容や背景などをより知りたい人はグレン・グリーンウォルドの(暴露)をオススメします。)
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スノーデン・ショック――民主主義にひそむ監視の脅威 単行本(ソフトカバー) – 2016/4/6
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2013年6月、世界を震撼させた一人の若者――スノーデン。彼はアメリカ国家安全保障局(NSA)によるデータ監視がオーウェル『一九八四年』をはるかに凌ぐものだという不都合な真実を暴露した。情報・通信企業も一枚絡んだ世界中の万人監視の構造と機能が明らかにされる。打ち続くテロに対する「安全国家」の出現を見据え、デジタル時代の自由と民主主義を考える必読書。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2016/4/6
- 寸法12.9 x 1.8 x 18.8 cm
- ISBN-104000010840
- ISBN-13978-4000010849
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著者について
デイヴィッド・ライアン(David Lyon)
カナダ・クィーンズ大学監視研究センター所長.邦訳書に,『監視社会』『膨張する監視社会』(青土社),『9.11以後の監視』(明石書店)など.
田島泰彦(たじま やすひこ)
上智大学文学部新聞学科教授.専門は憲法,メディア法.著書に『人権か表現の自由か』(日本評論社),共編著に『秘密保護法 何が問題か』,共訳に『監視スタディーズ』(以上,岩波書店)など.
大塚一美(おおつか かずみ)
山梨学院大学法学部等非常勤講師.専門は情報法,メディア倫理法制.共著に『レクチャー情報法』(法律文化社),『表現の自由とメディア』(日本評論社)など.
新津久美子(にいつ くみこ)
法学修士(英国エセックス大学大学院),学術修士(東京大学大学院).専門は国際人権法.共著に『拷問等禁止条約をめぐる世界と日本の人権』(明石書店)など.
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法学修士(英国エセックス大学大学院),学術修士(東京大学大学院).専門は国際人権法.共著に『拷問等禁止条約をめぐる世界と日本の人権』(明石書店)など.
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2016/4/6)
- 発売日 : 2016/4/6
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 208ページ
- ISBN-10 : 4000010840
- ISBN-13 : 978-4000010849
- 寸法 : 12.9 x 1.8 x 18.8 cm
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- カスタマーレビュー:
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2016年12月22日に日本でレビュー済み
2024年3月25日に日本でレビュー済み
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監視社会についての研究で世界的権威であるデイヴィッド・ライアン教授。学者の本なので読みやすくはないですが、ビッグデータが監視強化にいかに関係しているかといった新たな視点をもたらしてくれました。
noteというブログで次のポイントについて語っていますので、よかったらご一読ください。●ビッグデータへの道のり●安全を追求することにひそむビッグデータの危険性●求められる倫理観
「スノーデン・ショック 堀美波」で検索できます。
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「スノーデン・ショック 堀美波」で検索できます。
2016年5月2日に日本でレビュー済み
2013年6月、エドワード・スノーデンが自らの人生(高給の職場、恋人との平穏な生活、将来の希望、等々)を投げ打って行った内部告発により、アメリカが装う「民主国家」の偽善の仮面が見事に剥ぎ取られ、アメリカという国家が、歴史上も稀な、個人のすべての情報を収集する人権無視の抑圧国家であることが世界中に曝露された。本書は、スノーデンが暴き出した、世界を覆う監視社会の恐るべき実態を詳しく明らかにしたものである。著者はカナダ・クィーンズ大学において監視研究を専門としている。訳者はこの分野に詳しいとは思われるが、訳文がやや生硬なのが残念である。
本書は、一部の人たち(IT関係者が多い)が持て囃す「ビッグデータ」の暗黒部を暴き出したとも言える。アメリカ国家安全保障局(NSA)が収集しているデータの種類は、電話やメール、SNSなど現代社会のあらゆる通信手段に及ぶ。監視対象は、大義名分とする「テロ活動関係者と疑われるターゲット」だけではない。これらの人々と接触した一般市民はもちろん、同盟国の首脳クラスも対象だというのだから驚く。監視対象とされたヨーロッパ各国の首脳たちがアメリカに強く抗議したのも当然である。日本も監視対象であり、日米外交・通商交渉などに関する機密通信が筒抜けだったとされるが、強く抗議したという報道は聞いたことがない。
監視社会化はアメリカ政府単独で行われているのではないことに注意する必要がある(第二章)。アメリカの主要な通信・コンピュータ機器会社、ソフトウェア会社、インターネット会社、電話会社、コンサルティング会社など、関係企業に対して、ほとんど有無を言わせず通話・通信記録を提出させ、あるいは業務に協力させ、NSAでほとんど全世界の個人情報を蓄積・分析しているその規模と徹底ぶりに驚く。こうして、われわれが知らないところで、日常的に使用しているIT機器からアクセス記録が収集されているのだ。
本書は、「メタデータ」が監視されることの脅威を詳しく説明している(第三章)。メタデータとは、「データに関するデータ」である。たとえば電話についてのメタデータとは、個々の通話記録ではなく、電話番号・電話の所有者と属性(性別・年齢・住所など)・通話履歴など、電話所有者のプロファイリングを行うためのデータであり、監視者が最も重要視するデータである。膨大なビッグデータからこのメタデータを構築することで、万人を標的とした監視社会が実現するのである。このメタデータと、携帯電話、メール、クレジットカード利用記録、監視カメラの画像などを紐付けることで、誰もが、どこで何をしているのか、すべての行動が監視下に置かれることになるのだ。プライバシーも何もあったものではない。
本書は、以上のような監視社会が、民主主義を根本的に揺るがすものであると強く警鐘を鳴らしている。スノーデンによる暴露後も、監視社会化の動きは留まらないようだ。日本が着手したマイナンバーカードもその一環と考えられるが、目的外の利用だけではなく、脆弱なセキュリティーによるとんでもないプライバシー侵害などの事態が懸念される。本書は、マスコミが報道しない、監視社会化の実態を知るのにお奨めできる。
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