日本のオキナ三人による日本語論。
方言、ファンタジー、レビストロース、ソシュール、祈り、シモーヌベイユ、ロシアフォルム主義、煉獄、詩と散文、カウンセリング、ユング、石原慎太郎と三島由紀夫の無意識至上主義、神がかり、源氏物語、バシュラール、俵万智、昔話、シンデレラ、近代的自我、クンデラ、小澤征爾、谷崎川端は翻訳不可、西鶴はいける、ねじまき鳥クロニクル、主観と客観、二重言語、即興、楽譜と著作、「夫婦げんかはしない」、フロイト、耳をすますこと、アーティキュレーション、切る、世界的には膠着語のほうが多い、「ノー」といわせるアメリカは無礼、 など、日本語にまつわるあらゆる問題があつかわれている。
大江健三郎さんがエピソード、すべらない話をするところが興味深かった。
河合先生は職務上エピソードを話せないし、谷川さんは詩人だし、ということでノーベル賞の余勢をかって大江さんがいちばん面白かった。
さて、この本で日本語の本質が仕留められているかとなると、仕留められていない。
大江健三郎さんは海外理論ばかりだし、河合先生は主観的だし、谷川さんは詩人だし。
だがオオワクはこれでよいし、ここからいくらでも精密にしていける問題提起である。
個人的にいちばん良かったのは… 河合さんがねじまき鳥クロニクルを積極的に擁護したところかな〜。
それ、河合イズム、村上イズムによって日本の格差社会が進行したという事実もあるんだろうけどな〜
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日本語と日本人の心 単行本 – 1996/4/26
日本語の特質とは何か.日本人の心や生き方に日本語はどう関わっているのか.言葉と心の深い関わりをめぐって徹底討議したシンポジウムと講演の記録をもとに構成.文学や心理療法の現場での体験をもとにした画期的な日本文化論.心と言葉と生き方のつながりについて最も深い思索を続ける3人が,現代人の生き方を問う.
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1996/4/26
- ISBN-104000017276
- ISBN-13978-4000017275
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
日本語のありようが、それを使う人間の心や生き方にいかに深い影響を与えているか。小説、心理療法、詩の第一人者とされる3人が、言葉と心の深い関わりについて語り合う。現代人の生き方を問う、画期的な日本語・日本文化論。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1996/4/26)
- 発売日 : 1996/4/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 208ページ
- ISBN-10 : 4000017276
- ISBN-13 : 978-4000017275
- Amazon 売れ筋ランキング: - 904,930位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1935年愛媛県生まれ。東京大学仏文科卒。大学在学中の58年、「飼育」で芥川賞受賞。以降、現在まで常に現代文学をリードし続け、『万延元年のフット ボール』(谷崎潤一郎賞)、『洪水はわが魂に及び』(野間文芸賞)、『「雨の木」を聴く女たち』(読売文学賞)、『新しい人よ眼ざめよ』(大佛次郎賞)な ど数多くの賞を受賞、94年にノーベル文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 「伝える言葉」プラス (ISBN-13: 978-4022616708 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年5月28日に日本でレビュー済み
2011年4月7日に日本でレビュー済み
日本語を扱う三人の大家が集まって話されているので、日本語の英知が学べます。
佐野洋子さんも加わるはずだったそうで、女性の話も聞きたかった。
佐野洋子さんも加わるはずだったそうで、女性の話も聞きたかった。
2004年9月15日に日本でレビュー済み
講演会での、三人が発言した言葉に対する意見なり考えなりが読みやすくまとめられています。三人それぞれが言葉に対して敏感に反応するのでいっさい気の抜いけたことを言えないという緊張感が感じられます。自分の感じていることをできるだけ言葉で追い詰めて明らかにしていくという話方に、言葉を大切にするのは書き言葉に対してだけではないのだなと感じました。読んでいるうちに、言葉でどれだけのことが伝えられているのだろうかと疑問に思ったり、言葉だけでは伝えきれない多くの感覚が言葉の裏に隠されていることにも気づきました。
2011年10月19日に日本でレビュー済み
1995年に行われたセミナーにおける、講演とパネルディスカッションの記録である。
各界で著名な、小説家と臨床心理士と詩人の組み合わせで、「日本語と創造」をテーマに語りあっている。
三者とも日本語を操ることを生業としているだけあり、独自の日本語論を展開する。しかし、共通項も多く興味深い。
日本語は「公的な言語」と「私的な言語」や「書き言葉」と「はなし言葉」の乖離が大きい。それが日本人の意識のありかたに影響を与えているだろう、機会があれば今後そこらへんを深めていきたい。
以下抜粋
(河合)
どこかでわれわれはずっとひっついている、ひとつなんだ、ということを前提の上にした言葉をぼくらは話している。なんか分けるのを嫌っている。
自然科学でわかるような現実を、これが現実だと思い込みすぎる人が多すぎる、現実というのはもっともっと層があって、多層的であって、そして自然科学というのはそのなかのひとつの層を見ているのだというのが私の考え方なのです。
日本には。そもそも相手に「ノー」を言わせないような話をずっと積み重ねていくような文化のほうが多い。
(谷川)
創造というのは必然的に破壊をふくんでいないと創造にはならない。
広い言葉の海の世界に、非常にきまりきった自分の狭い言葉を持っているのを、いったん破壊しないと、その広い海に帰っていけない。
(大江)
結局、言語表現は、ほんとうに肉体と結びついていると思います。そこでほんとうには翻訳はできないということを認識してあきらめる、明らかに認識する、断念するということも必要です。それも文学の理解ということのひとつのかたちではないかと思うのです。
各界で著名な、小説家と臨床心理士と詩人の組み合わせで、「日本語と創造」をテーマに語りあっている。
三者とも日本語を操ることを生業としているだけあり、独自の日本語論を展開する。しかし、共通項も多く興味深い。
日本語は「公的な言語」と「私的な言語」や「書き言葉」と「はなし言葉」の乖離が大きい。それが日本人の意識のありかたに影響を与えているだろう、機会があれば今後そこらへんを深めていきたい。
以下抜粋
(河合)
どこかでわれわれはずっとひっついている、ひとつなんだ、ということを前提の上にした言葉をぼくらは話している。なんか分けるのを嫌っている。
自然科学でわかるような現実を、これが現実だと思い込みすぎる人が多すぎる、現実というのはもっともっと層があって、多層的であって、そして自然科学というのはそのなかのひとつの層を見ているのだというのが私の考え方なのです。
日本には。そもそも相手に「ノー」を言わせないような話をずっと積み重ねていくような文化のほうが多い。
(谷川)
創造というのは必然的に破壊をふくんでいないと創造にはならない。
広い言葉の海の世界に、非常にきまりきった自分の狭い言葉を持っているのを、いったん破壊しないと、その広い海に帰っていけない。
(大江)
結局、言語表現は、ほんとうに肉体と結びついていると思います。そこでほんとうには翻訳はできないということを認識してあきらめる、明らかに認識する、断念するということも必要です。それも文学の理解ということのひとつのかたちではないかと思うのです。
2011年2月13日に日本でレビュー済み
第一部 講演 日本語と日本人の心 河合隼雄
第二部 シンポジウム 日本語と創造性 谷川俊太郎 河合隼雄 大江健三郎 (司会 谷川俊太郎)
第三部 語り 日本語を生きること
○○○
第一部の講演の始めで、谷川俊太郎の『みみをすます』という詩が朗読される。とてもすてきな詩だ。
第二部のシンポジウムは、「日本語と創造性」がテーマだが、谷川俊太郎と大江健三郎の、見解の明確な相違がおもしろかった。(河合隼雄が、「おもしろい」ということばを多用するのも、おもしろかった)
第三部の「語り」は、シンポジウムで十分に自説を展開できなかった司会の谷川俊太郎が、話しことばで、日本語と創造性について語ったもので、本書の中で僕が一番共感できたところだった。身体に根づいた、ほんもののことばを本音で語ってきた、ほんものの詩人による日本語論だ。
○○○
これだけ「豪華な」3人による共著は、ちょっと考えられないほどだ。全てが話しことばだから、緻密な議論が展開されているわけではないし、ごく小さな本ですぐに読めてしまうのだが、3人の息づかいまで聞こえてきそうなほど臨場感があって、愉しかった。
第二部 シンポジウム 日本語と創造性 谷川俊太郎 河合隼雄 大江健三郎 (司会 谷川俊太郎)
第三部 語り 日本語を生きること
○○○
第一部の講演の始めで、谷川俊太郎の『みみをすます』という詩が朗読される。とてもすてきな詩だ。
第二部のシンポジウムは、「日本語と創造性」がテーマだが、谷川俊太郎と大江健三郎の、見解の明確な相違がおもしろかった。(河合隼雄が、「おもしろい」ということばを多用するのも、おもしろかった)
第三部の「語り」は、シンポジウムで十分に自説を展開できなかった司会の谷川俊太郎が、話しことばで、日本語と創造性について語ったもので、本書の中で僕が一番共感できたところだった。身体に根づいた、ほんもののことばを本音で語ってきた、ほんものの詩人による日本語論だ。
○○○
これだけ「豪華な」3人による共著は、ちょっと考えられないほどだ。全てが話しことばだから、緻密な議論が展開されているわけではないし、ごく小さな本ですぐに読めてしまうのだが、3人の息づかいまで聞こえてきそうなほど臨場感があって、愉しかった。