面白かったのは「第1章 生いたち」から「第6章 宏池会の誕生と安保騒動」まで。後は、プラザ合意が、バブルとその後のデフレ経済を生み出したが、そのことに関する研究が十分になされていないみたいことを嘆くところが、ちょっと新味があった。
この本を読んでも、宮澤さんに個人的な政治的目標みたいなものを感じることはできない。日本という国に近代的合理性が通用するよう多少でもサポートできればいい、みたいなこだわりのないサーバントのようなイメージ。政府が自由貿易から踏み外しそうになると、それに対してはキチンと不快感を表明するなど自分でできることはやるけど、農業を切り捨てるかというような問題には最初から諦めているようなところにも出ている。出来ることはするけと、やりたいことが必ずしもできるとは最初から思っていない、みたいな。それは、都会育ちということや、大政翼賛会が発足した1940年に日米学生会議に出席するために渡米したということも影響しているのかもしれない。
「終章」で、憲法九条に関して「なにもあの条文を変えなければならないことはないのではないか。一種の歴史的な所産として、あってもいいというのが私の気持ちにはあります」と語っているのはいまのご時勢からすれば立派なことだと思う。
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宮澤喜一回顧録: 聞き書 単行本 – 2005/3/4
- 本の長さ361ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2005/3/4
- ISBN-104000022091
- ISBN-13978-4000022095
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2005/3/4)
- 発売日 : 2005/3/4
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 361ページ
- ISBN-10 : 4000022091
- ISBN-13 : 978-4000022095
- Amazon 売れ筋ランキング: - 74,623位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2014年3月10日に日本でレビュー済み
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宮澤喜一氏に御厨貴氏と中村隆英氏と言う豪華版の聞き書き(最近では、オーラルヒストリーと言うようです)で、終戦間近から、終戦後の占領、復興期をメインにして聞き書きされたものです。その時代ですから、多くのことが起こり、多くの転換が行われましたが、その時に若き宮沢氏が体験したことが中心です。
ただし、宮澤氏の姿勢と言うか、体質と言うか、少々曖昧模糊として、もどかしい面がありますが、貴重な話がちりばめられています。読んで、面白いですが、事実と言う観点からはもの足りませんかね。
ただし、宮澤氏の姿勢と言うか、体質と言うか、少々曖昧模糊として、もどかしい面がありますが、貴重な話がちりばめられています。読んで、面白いですが、事実と言う観点からはもの足りませんかね。
2013年5月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
もっと違ったことが書けたのでは。外国の生の情報を得ていたひとの話としては面白くなかった。
2008年2月18日に日本でレビュー済み
宮沢喜一については色々と本が出ているが、プラザ合意後の経済運営の経過については、この本にしかない点もあり、なかなか印象深かった。
宮沢喜一と経済運営の研究にはあまり寄与できないだろうが、それなりに読ませる本だろう。
宮沢喜一と経済運営の研究にはあまり寄与できないだろうが、それなりに読ませる本だろう。
2005年3月12日に日本でレビュー済み
御厨貴教授の「オーラルヒストリー」シリーズ。例によって読後には、「物足りないなあ」という感じがまず先立つ。しかし、こういう企画は価値があるのでどんどん続けて欲しい。基本的にこのシリーズでは、「本人が墓場に持って行くと決めた重大告白」は出てこない。今回の宮沢喜一氏の語りでも、安保締結の裏話や、氏の娘さんの啓子さんと彼女と結婚した、クリス・ラフルアー氏(米元駐米公使)との出会い、日米欧三極委員会での彼の役割、大蔵大臣時代の話、資金源などの話は一切出てこない。ただ、プラザ合意に関しては、相当に悔やまれているようで、「不良債権の問題の背後にはプラザ合意があったのではないか」と言っている当たりは本書のハイライトであろう。
ぜひ御厨教授には続いて、山本正氏あたりのオーラルヒストリーを手がけて欲しいものである。
ぜひ御厨教授には続いて、山本正氏あたりのオーラルヒストリーを手がけて欲しいものである。