この本が前提としていることが二つあると思います。一つは、「新聞記者」あるいは「ジャーナリズム」が民主主義を担う砦であること。二つ目は現在のジャーナリズムが若い記者の理想からは遠い存在になってしまったことです。
斎藤さんは新聞記者に焦点をあてることにより、新聞の現状に憂いを投げかけています。しかしそれは、よくある「若者論」の一つにしか見えず、ここで対象が新聞記者である必然性がまったくないのです。よくある、若者たちの理想に企業が充分に応えることができず、自分の生き方を模索する若者が増えている…すべてそんな論法に陥っています。その切り口は使い古されており、「純」な若者の一部には受け入れられると思いますが、「敵」たる体制側すなわち経営者側に対する説得力が全くありません。
新聞記者ムラの中では優れた仕事であっても、大衆に対する説得力がないのでは意味がありません。この点朝日新聞のAERAにそっくりです。
故斎藤さんは偉大な仕事をたくさん成し遂げた名ジャーナリストであり、尊敬するひとりです。しかし、この本では古き良き時代の新聞記者論を引きずったままであり、ジャーナリズムに問題提起を投げかけるかつての斬新さはみられませんでした。
「斎藤茂男」の記号をありがたる人ならば,おもしろい本でしょうが,斎藤さんの著作を読んだことのない人は,読むべきではないと思います。これが斎藤茂男だと思われては非常に残念だからです。
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新聞記者を取材した 単行本 – 1992/3/23
斎藤 茂男
(著)
若い新聞記者たちがごそっと社を辞めていく.退社する若者たちの言い分,修羅場をくぐりぬけてきた政治記者たちの胸の内,そして子づれ女性記者の感性等々……ジャーナリズムの最前線に生きる人びとを取材した異色ルポ.
- 本の長さ259ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1992/3/23
- ISBN-104000026917
- ISBN-13978-4000026918
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1992/3/23)
- 発売日 : 1992/3/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 259ページ
- ISBN-10 : 4000026917
- ISBN-13 : 978-4000026918
- Amazon 売れ筋ランキング: - 933,391位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,075位ジャーナリズム (本)
- - 17,545位社会学概論
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