題名どおり、研究者としての人生を双六に例えて「あがり」に到る為のプロセスを概説した本。但し、何をもってあがりとしているのかは全く不明ですが。
とはいえ、「研究とは何か、研究者とはどういう人なのか」についてかなり丁寧に細部まで書いてあるため、かなり役に立ちそう。
特に、一介の大学院生が押しも押されもせぬ科学界の重鎮になるまでの成長過程を概説している辺りに感動しました。まさに、現役研究者で無いと書けない様な現場感覚溢れる本です。迷っている人は是非とも読んでみましょう。絶対にお勧めの本です。
但し星5つでないのは、本としての纏めかたにやや不満があるためです。例えば時々欄外に「はい、質問!!」というコーナーがありますが、そこの扱いが不明瞭です。誰かから受けたと思われる質問とその答えだったり(しかも、どこから答えに切り替わったのか良く分からないことが多々ある)、現在の科学界に対する誰かの意見(誰の?)だったりと、一貫性が全くありません。また、この著者は科学と社会の関係にかなり敏感らしく、科学は社会に貢献するべきであるとの姿勢が明らかなのですが、研究者の存在意義としてそのような主張にあまりに拘り過ぎている様に感じました。さらに、最後の「座談会」ですが、「様々の立場からの問答形式で議論」すると言っておきながら、結局落とし所はそれまでの著者の主張に他ならない辺り、残念でなりません。それならば、そのような座談会を実際に行って収録すればより優れた効果が得られたはずです。若しくは、本編のみでも良かったと思います。
以上、内容としては大変優れており絶対にお勧めの本ですが、やはり、一人の人間が自分の世界観に従って書いた本であるという点は気をつけたほうが良いと感じました。
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研究者人生双六講義 (岩波科学ライブラリー 96) 単行本 – 2004/2/22
入来篤史
(著)
研究とは何か.研究者とはどういう人なのか.研究を職業とし,研究で自己実現するにはどうしたらよいのか.世の中も大学も研究機関も日々変化している現代,小手先のテックニックは通用しない.研究者として堂々と生きるための心構えを,気鋭の脳生理学者が講義形式で指南する.雑誌『科学』好評連載待望の単行本化.
- 本の長さ121ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2004/2/22
- ISBN-104000065963
- ISBN-13978-4000065962
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
研究とは何か。研究者とはどういう人なのか。世の中も大学も研究機関も日々変化している現代において、研究者として堂々と生きるための心構えを、脳生理学者が講義形式で指南する。『科学』連載を単行本化。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2004/2/22)
- 発売日 : 2004/2/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 121ページ
- ISBN-10 : 4000065963
- ISBN-13 : 978-4000065962
- Amazon 売れ筋ランキング: - 897,543位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,410位科学読み物 (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2004年6月14日に日本でレビュー済み
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研究者の一般的なキャリアパス(双六)と、その過程ですべきこと、留意すべきことを簡潔にまとめてある本。著者がまえがきに書いているように、大学院生が研究者としての指針として読むと有益だと思う。論文のステイタスがまとめてあったり、論文がリジェクトされた場合に取りうる対応策など、有益な情報もたくさん。
2007年12月20日に日本でレビュー済み
研究とはこのようなものであるということを、真面目に説明してくれている本。やはり狙いの読者層は大学院生でしょう。学部で卒業していく学生は別に知らなくてもよいが、院に行くのであれば自分の研究テーマに関する内容と共に、そもそも研究って何だ?ということを他人に分かりやすく説明できるようにならなければいけません。そうでなければ論文を書く作業も非効率ではないでしょうか。研究活動の真実をかなり体系的に正確に述べてあるので、研究者になりたい人は手にとってみてはいかがでしょう。
2004年3月11日に日本でレビュー済み
科学研究するという活動が現代社会においては現実的にはどういったものかを知る上で、毎日新聞社刊「理系白書」が研究世界を外から眺めたものであったのに対し、本書は研究者が内側から形而下学的に簡潔にまとめたもの(つまり、新しいアイディアをどのように出すのかなどについては触れていない)。著者が意図した通り、大学院の学生に「研究ってこんなもの」ということを短時間で伝えるには格好の書である(自分も読ませよう)。このように整理されると、「そうだよな、それが現実だよな」と思ってしまうし、著者もそれに徹しているが、そのような研究観に対する異論は「はい!質問!!」というコラムに述べてあり、現実と理想を小冊子にまとめる上で斬新な手法だと思う。秀逸なのは、論文がリジェクトされたときの対処の部分で、極めてリアルである(勉強になりました)。それにしても、「研究者人生双六」とは恐ろしい双六だ。自分はいったいどこにいるのだろう、と思うと情けなくなってしまった…。