カント研究者ではないが目的論研究から判断力批判に打ち込んで来たと自認する東大倫理学教授の著者だが、カントの原則や真意は全く無視される
純理批判、実理批判、判断力批判は古来超越範疇だとされた真・善・美を対象とするものだが、真については悟性と感性を媒介する図式が必要でも、善や美は人間の感性的直感が直ちに対象を創造する知性的直感なので概念を使った思惟による迂回する必要はなく図式は必要ない − これがカントのいふこと。
能力自体が対象に存在を与へると言っても良いだらうが、著者は現象と物自体といふ自分でも良く分かつてゐない常識的区別に盲目的に固執してしまひ、カントの文章を意味不明になるやうに切刻んでしまふ。
カントが59節で『道徳の象徴としての美』で善と美のアナロギーを言ってゐることに注意したp138fにも拘らず
或は『感性的基準理念aesthetischeNormalideeは類全体に対するすべての個体についての諸直感の心像である。類における美の完全な原像ではないが、すべての美の不可欠の条件をなす形態59』『多様なものの一なるものへの合致45f:p128』などをどう読んだのだらうか?
全体にカントや哲学とは殆ど何も関係ないのは仕方ないとしてもこんなことが倫理学科で教へられてゐるのだらうか?和辻哲郎が聞いたら怒るのではないか。
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カント「判断力批判」と現代: 目的論の新たな可能性を求めて 単行本 – 2005/2/25
佐藤 康邦
(著)
- 本の長さ331ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2005/2/25
- ISBN-104000224441
- ISBN-13978-4000224444
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2005/2/25)
- 発売日 : 2005/2/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 331ページ
- ISBN-10 : 4000224441
- ISBN-13 : 978-4000224444
- Amazon 売れ筋ランキング: - 564,310位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 486位ドイツ・オーストリアの思想
- - 992位西洋哲学入門
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年3月11日に日本でレビュー済み
『判断力批判』全体の研究であるが、その方法は引用に多くの頁をさくという形をとっている。おそらく三分の一は引用であろう。しかし、その引用に対する解説はわずかで、理解するのが困難となっている。著者は繰り返しをいとわないと述べているが、実際には繰り返しはほとんどないといったほうが妥当であろう。
問題点をまず、引用によって取り出し、それに解説ともつかぬ説明で語っていく。だから引用文を理解していないものにとっては、何が主題になっているのかよく分からない。非常に不親切としかいいようがない。モノローグに近い形である。
おそらく、この書はカントの原文をよく理解しているものが読むのにふさわしいものになっているか、あるいは、自己満足の書となっているかのどちらかであろう。とにかく人を納得させるだけの主張はないようである。哲学の不毛さを象徴している一冊であろう。
問題点をまず、引用によって取り出し、それに解説ともつかぬ説明で語っていく。だから引用文を理解していないものにとっては、何が主題になっているのかよく分からない。非常に不親切としかいいようがない。モノローグに近い形である。
おそらく、この書はカントの原文をよく理解しているものが読むのにふさわしいものになっているか、あるいは、自己満足の書となっているかのどちらかであろう。とにかく人を納得させるだけの主張はないようである。哲学の不毛さを象徴している一冊であろう。
2015年2月28日に日本でレビュー済み
カントの『判断力批判』は第3番目の批判書として先行の前2著(『純粋理性批判』と『実践理性批判』)を承けて理論哲学と実践哲学を架橋し批判哲学全体を締め括る位置を占める。その前半部分の「美的(直観的)判断力」の批判は、ゲーテやシラーに霊感を与えた。また後半部分の「目的論的判断力批判」は有機体論的、生命論的な自然観を確立した。本書はとりわけ現代の生命科学の現状を視野に置きながら、『判断力批判』の後半「目的論的判断力の批判」の新たな読解の可能性に挑戦したものである。
2006年7月26日に日本でレビュー済み
これまで「判断力批判」を取り上げた書物は数多くありましたが、本書は素晴らしい内容です。目的論として判断力批判を用いていて、非常に丁寧にかつ細かく分析されています。記述の内容は高度ですが、読み応えはあります。純粋理性批判なども取り上げられております。然し一貫しているのは目的論としてカントをとらえているところにあります。この本はカント判断力批判研究の上でも金字塔的な書物だと思います。