新品:
¥2,750 税込
ポイント: 165pt  (6%)
無料配送5月31日 金曜日にお届け
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥2,750 税込
ポイント: 165pt  (6%)  詳細はこちら
無料配送5月31日 金曜日にお届け
詳細を見る
または 最も早い配送 本日中にお届け(1 時間 3 分以内にご注文の場合)
詳細を見る
在庫あり。 在庫状況について
¥2,750 () 選択したオプションを含めます。 最初の月の支払いと選択されたオプションが含まれています。 詳細
価格
小計
¥2,750
小計
初期支払いの内訳
レジで表示される配送料、配送日、注文合計 (税込)。
出荷元
Amazon.co.jp
出荷元
Amazon.co.jp
販売元
販売元
支払い方法
お客様情報を保護しています
お客様情報を保護しています
Amazonはお客様のセキュリティとプライバシーの保護に全力で取り組んでいます。Amazonの支払いセキュリティシステムは、送信中にお客様の情報を暗号化します。お客様のクレジットカード情報を出品者と共有することはありません。また、お客様の情報を他者に販売することはありません。 詳細はこちら
支払い方法
お客様情報を保護しています
Amazonはお客様のセキュリティとプライバシーの保護に全力で取り組んでいます。Amazonの支払いセキュリティシステムは、送信中にお客様の情報を暗号化します。お客様のクレジットカード情報を出品者と共有することはありません。また、お客様の情報を他者に販売することはありません。 詳細はこちら
¥1,014 税込
ポイント: 10pt  (1%)  詳細はこちら
帯付き。ヨレ、ヤケあり。◆中古品の為、スレ、ヤケ、折れ等の使用感や経年劣化がある場合がございます。書籍には書き込みがある場合もございます。 ◆通常3日以内に発送させて頂きます。 ◆記載のない限り、帯や付属品などは原則付属しておりません。 ◎コンディションにつきましてはAmazonコンディションガイドラインに遵守致します。 ◎写真集は生写真、ポストカード、その他付属品は記載がなければ付属してありません。 帯付き。ヨレ、ヤケあり。◆中古品の為、スレ、ヤケ、折れ等の使用感や経年劣化がある場合がございます。書籍には書き込みがある場合もございます。 ◆通常3日以内に発送させて頂きます。 ◆記載のない限り、帯や付属品などは原則付属しておりません。 ◎コンディションにつきましてはAmazonコンディションガイドラインに遵守致します。 ◎写真集は生写真、ポストカード、その他付属品は記載がなければ付属してありません。 一部を表示
配送料 ¥522 5月31日-6月1日にお届け(1 時間 38 分以内にご注文の場合)
詳細を見る
残り1点 ご注文はお早めに 在庫状況について
¥2,750 () 選択したオプションを含めます。 最初の月の支払いと選択されたオプションが含まれています。 詳細
価格
小計
¥2,750
小計
初期支払いの内訳
レジで表示される配送料、配送日、注文合計 (税込)。
この商品は、BOOK OFFとよあけ店 オンラインストア が販売、発送します。
Kindleアプリのロゴ画像

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません

ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。

携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。

KindleアプリをダウンロードするためのQRコード

著者をフォロー

何か問題が発生しました。後で再度リクエストしてください。

ショック・ドクトリン〈下〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く 単行本 – 2011/9/9

4.5 5つ星のうち4.5 69個の評価

{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥2,750","priceAmount":2750.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,750","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"RZPGzwiJRDDurNjpVSa%2F32CfOORm8swGt4u954ScoaC2txRkjKHoYNwrveyFwOB%2BG0FnMhEXSp%2B%2F8eqb1pxE61Pd5DaRK8yUKHrcK%2FP5fswPiKAEH5h%2F0%2FMB6LysNYchgOAfAgk1z0A%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥1,014","priceAmount":1014.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,014","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"RZPGzwiJRDDurNjpVSa%2F32CfOORm8swG8WpSJyZllp0yJF2tUSZCDqdDC%2Fw9lNRvterl%2BRRcPQR5Rv3wevENBN6nU17%2BYIjUXL5F9zBYsAZO6TuW6D7W%2B4jOTeFj5hAi1T1dWTAiZtEQ6i4n24fB8lRfSPrEo%2FzRsRPQYKQUKBTMQOU7mG33pIgu%2F7F%2B%2BGn3","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}

購入オプションとあわせ買い

戦争,津波やハリケーンのような自然災害,政変などの危機につけこんで,あるいはそれを意識的に招いて,人びとが茫然自失から覚める前に,およそ不可能と思われた過激な市場主義経済改革を強行する.アメリカとグローバル企業による「ショック療法」は世界に何をもたらしたか.3.11以後の日本を考えるためにも必読の書.

よく一緒に購入されている商品

¥2,750
最短で5月31日 金曜日のお届け予定です
在庫あり。
この商品は、Amazon.co.jpが販売および発送します。
+
¥1,034
最短で5月31日 金曜日のお届け予定です
在庫あり。
この商品は、Amazon.co.jpが販売および発送します。
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計: pt
詳細
追加されました
spCSRF_Control
一緒に購入する商品を選択してください。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2011/9/9)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2011/9/9
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 256ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4000234943
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4000234948
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.5 x 3.4 x 19.5 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 69個の評価

著者について

著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
ナオミ・クライン
Brief content visible, double tap to read full content.
Full content visible, double tap to read brief content.

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう

カスタマーレビュー

星5つ中4.5つ
5つのうち4.5つ
69グローバルレーティング

この商品をレビュー

他のお客様にも意見を伝えましょう

上位レビュー、対象国: 日本

2023年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
期待通りの内容の濃い本でした。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
NHKで解説している堤さんの説明がわかりやすい
ので本書の理解が進みました。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本での3.11大震災以後の復興問題、そして今回のコロナ禍、著者のセオリー通りに事が進んでいると感じました。それが人為的、自然災害、どちらであろうとも。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何が良いのかわからない
2011年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
さて「ショックドクトリン」の邦訳は何故長い間、日本語訳が出版されなかったのだろうか。
歴史や公共性を崩壊させる新自由主義--------------------------------------

 日本の国力は急激に低下しつつある。わが国経済が全体的に収縮し、国民一人一人への配分自体が減少し、未曾有の格差社会を増殖させている。
 世界情勢においては偶然は存在しない。とくに経済政策は一見、経済理論と現実には隔たりが見えるようでありながらも必ず因果関係がある。たしかに自然災害など偶然が経済に干渉することはある。だが、強力な経済理論はそうした偶然さえ必然として絡めとってしまう。
 私がここで念頭に置いているのは、いま世界を席巻している新自由主義あるいは市場原理主義という経済理論だ。新自由主義の三本柱は「規制緩和」「民営化」「公共予算の削減」である。新自由主義はこの三本柱によって国家の市場への介入を最小化し、市場に任せておけば経済はうまく回るという「レッセ・フェール」(市場放任)の立場をとっている。
 しかし、それが現実政治に適用されるとき、アダム・スミス流のレッセ・フェールとは似ても似つかぬ新自由主義のカルト性が姿を現すのだ。
 ここに1冊の本がある。カナダのジャーナリストであるナオミ・クライン女史が書いた『The shock Doctrine』である。同書はニユーヨーク・タイムズのベストセラー欄の上位を長らく独占していた。日本ではまだ翻訳は出ていないが、アメリカ本国でこの衝撃的な「新自由主義の本質」に鋭く迫った本が出版され、しかもベストセラーになっているというのは、一つの時代の転機といえるだろう。
 彼女によれば、新自由主義とは結局、破壊と衝撃を与えることによって歴史性や公共性を崩壊させ、強引に更地(さらち)にしてすべてを私物化していく手法だ。

 ◆フリードマンという教祖 
 この新自由主義の教祖はミルトン・フリードマンである。彼が教鞭を執ったシカゴ大学経済学部の入り口には、「経済とは測定だ」と銅版に記してある。ここからも、このシカゴ学派が工学的発想にもとづいた人為によって社会を構築できるという思想を蔵していることがわかるだろう。
 フリードマンは、1912年生まれのハンガリー系ユダヤ人移民の子である。彼は、新自由主義こそが完璧なシステムであり、市場を政府の介入から救い汚染されていない資本主義へ回帰することによってユートピアを実現できると考えた。
 彼の提唱した新自由主義とは、政府のあらゆる規制を撤廃し、政府財産をすべて売却し、社会政策の予算を大幅に削減し、税率も最小限かつ貧富の格差に関係なく一律とすることである。ここにおいては、すべての価格は賃金も含めて市場が決めるのであり、医療保険、郵便局、教育、年金といった公共の福祉に関するものもすべて民営化すべきだと説いた。
 フリードマンによると、政府がもつのは警察と軍隊で十分ということになるのだ。
 では、この理論は現実にどのように適用されたのだろうか。
 一番よい例が、2005年にルイジアナ州を直撃したハリケーン「カトリーナ」の災害復興だ。当時93歳のフリードマンは、いわば人生最後の政策提言として『ウォールストリート・ジャーナル』に寄稿している。
 それによると、ニュー・オーリンズの学校が破壊されたことは悲劇ではあるが、これは教育制度をラディカルに改革する機会である。公共の学校を復興するのでなく、この災害を奇禍として、バウチャー(引換券)を各家庭に配布し、私立の教育機関(チャータースクール)を設立し、このバウチャーを活用することによって教育の民営化を促すべきだとした。
 このフリードマンの提言を受けて、ブッシュ政権は学校を民営化するための資金を数千万ドルにわたって投入した。ところが、現在、アメリカにおいてはチャータースクールによって教育が二極分化しており、教育の低下が社会階層の固定化に結びつき、かつて公民権運動で勝ち取られた成果が無に帰しつつある。ニュー・オーリンズではカトリーナ前に123校あった公立学校はわずが4つになり、7つしかながった私立学校が31にまで増えた。こうしてニュー・オーリンズは私立教育機関設置の実験場とされた。「公共」の制度を潰して「私」の制度に置き替えていったのだ。
 これは日本にとって対岸の火事ではない。
 途中で潰えたものの、昨年の安倍政権がやはり教育バウチャー制度を導入しようとしたことを思い出すべきだ。起訴休職中の外務事務官・佐藤優氏は、保守主義と新自由主義の間で股裂きになったのが安倍政権の自壊という現象だと指摘したが、まさに現下の日本の格差社会・貧困社会化には新自由主義の影響がある。こうした事態に対して無自覚であることは政治家にとっては許されない怠慢である。
 ここで、急激な民営化に「カトリーナ」という災害が巧妙に利用されたことに注目して、クライン女史はこれを“Disaster Capitalism”、すなわち「災害資本主義」と名づけている。

 ◆新自由主義は共同体を根こそぎ壊滅させる危険思想
 フリードマンは「危機のみが真の変化をもたらす。危機が起きれば、現在ある政策の肩代わりを提案して、政治的に不可能であったことを、政治的に不可避なことにしてしまう」と述べている。いわば、災害に備えて缶詰や水を備蓄しておくのと同様に、災害に備えて新自由主義政策を一気に進めるべく政策を準備しておくというのだ。
 このような発案のもとには、フリードマン自身の経験が影響していると見られる。
 70年代の半ば、彼はチリの独裁者ピノチェト政権の顧問をしていた。ピノチェト政権にはシカゴ大学経済学部の出身者が大量に登用されており、「シカゴ学派の革命」とも呼ばれた。事実、ピノチェト政権においては減税、自由貿易、民営化、社会政策予算の削減、規制緩和が急激に行われたのである。これらはスピードが大事であるとして、1度にすべてを変えてしまうという方法が採用された。 ここから“ショック療法”という概念が新自由主義に滑り込んできたのである。独裁政権下においては、それは、経済的ショックと同時に拷問という肉体的ショックとも併用されて新自由主義改革が進められた。「敵の意思、考え方あるいは理解力を制御して、敵を文字どおりに行動あるいは対応する能力を失わせる」という“ショック・ドクトリン”が生まれたのである。
 クライン女史は、実証的に新自由主義がこの“ショック・ドクトリン”によって推進されてきたことを明らかにしている。たとえば、スリランカにおけるスマトラ沖地震による津波被害の復興である。そこでは被災者をパニック状態に落とし込む一方で、海岸線をリゾート化する計画が進められていた。ニュー・オーリンズでもやはり住民の土地・家屋を修復することもなく、ただ更地にすることだけが進められたのである。
 新自由主義にとって邪魔なのは市場原理主義に反するような非資本主義的行動や集団である。そうした非資本主義的集団として、地域共同体や歴史や伝統に根ざした「共同体」が存在するが、新自由主義はこうした集団を徹底的に除去する。災害復興の名目で公共性、共同体を奪い、被災者が自らを組織して主張を始める前に一気に私有化を進めるのである。
 これは、日本で行われた新自由主義改革とも一致している。
 郵政民営化は、公共財産である郵政事業を民営化するという典型的な新自由主義政策であった。民営化後、郵便局にはテレビカメラが取りつけられ、『郵政百年史』といったような郵政の歴史と文化を記した本も撤去されている。
 ショージ・オーウェルが『1984年』で書いたような、きわめて不自然で歴史性を欠いた組織に一気に改変されている。オーウェルは「われわれはあなたを完全に空っぽにし、その体にわれわれを注入する」と不気味な予言をしている。

 ◆“ショック・ドクトリン”から見えてくる世界
 衝撃を与え、一気に新自由主義改革を進めるという“ショック・ドクトリン”から世界を見ると、世界は今までとは異なる姿で立ち現れてくる。「改革」のために平然と人権侵害が行われてきたことに気づくのだ。
 アルゼンチンでは3万人を抹殺して、シカゴ学派の提唱する政策を実現した。1993年にはエリツィン政権下のロシアで国会放火事件が起き、その後、国有資産は投げ売りされ、「オリガルヒア」という新興の超資本家が生まれた。1982年のフォークランド紛争も、炭鉱労働者のストライキを敗北して西洋で最初の民営化を強行する結果になった。1999年のNATOによるベオグラード空爆も、結局、旧ユーゴでの民営化に結びついたのである。
 アジアでは1998年にアジア通貨危機が仕掛けられたが、これによってIMFが介入し、民営化するかさもなくは国家破綻かが迫られた。
 その結果、国民の意思ではなく、日本の経済財政諮問会議のような一部の「経済専門家」と称する新自由主義者によって国の政策が支配されることになったのである。
 また、天安門事件の大虐殺も“ショック・ドクトリン”の一環と見ることもできる。事件の前年の9月、フリードマンが北京と上海を訪問している。中国が中国流の“ショック・ドクトリン”を利用して開放路線を発動したと考えられるのだ。今年の四川大地震では、現地は復興特需に経済が活発化しているという話も聞こえてくるのだが、中国版災害資本主義が発動されている可能性は高い。 かつて、アイゼンハワー時代にはアメリカ国内ではこの“ショック・ドクトリン”は適用されていなかった。おそらく軍産複合体の行き過ぎを懸念したのである。しかし、レーガノミックスを経た95年ごろから、ネオコンが中心になってショック療法型の経済政策が本格化する。
 そして、「9・11」のとき、大統領府はフリードマンの弟子たちで埋め尽くされる。ラムズフェルド国防長官(当時)はフリードマンの親友である。「テロとの戦い」が叫ばれ、恐怖が煽られた。そして何が変わったか。軍隊の民営化、戦争の私有化である。戦地を含む治安維持関連の民間外注が2003年には3512件、2006年には11万5000件にまで増えた。
 現代の新自由主義下においては、戦争の経済的役割がまったく違ったものになった。かつては戦争によって門戸を関放し、その後の平和な時代に経済的に干渉するという手法であったが、いまや戦争自体が民営化され、市場化されているのである。だから、確実に儲かる。
 クライン女史によると、現にイラクではPMC(プライベート・ミリタリー・カンパニー)が米正規軍13万人に対して40万人を派遣しており、ハリバートン社は2007年には200億ドルの売り上げをあげ、アメリカ資本のみならずイギリスやカナダ資本も戦争ビジネスで潤っているという。カナダのある会社はプレハブを戦場に売ることで儲け、危険な戦場で働く人のために保険会社が莫大な売り上げをあげているとのことである。
 このように見てきたとおり、新自由主義はその「リベラル」で柔らかいイメージとは裏腹に政治的自由とは一切関係なく、それどころか、災害がないならば災害を起こせばよい、ショックを与えて一気に改革を進め、共同体も歴史性も破壊し、市場原理主義というのっぺりとした原則だけで動く世界を構築しようという危険な思想である。
 新自由主義者にとっては、そのような共同体も歴史も存在せず、無機質で根無し草的なただ市場原理だけで説明ができる世界というのは、ユートピアに見えているのかもしれない。だが、人間はそのように合理性だけで生きている存在ではない。非合理的感情や共同体意識、歴史性があってこそ人間であり、そうした矛盾も非合理も抱え込んだ人間存在の幸福をはかるのが「政道」である。 

 ◆新自由主義という名のカルト的危険思想
 新自由主義が達成する世界観は、脳に電気刺激を与える人体実験の思想に酷似している。1950年代にCIAがカナダのモントリオールの精神科医とともに人体実験を行ったことが情報開示によって明らかになった。人間の心を人為的に制御することができるかという実験を行っていたのである。1988年には9人の元患者から提訴され、アメリカ政府は75万ドルの賠償金を支払い、カナダ政府は1人10万ドルの賠償を行った。
 1940年代、ヨーロッパと北アメリカでは脳に電気刺激を与えるという療法が流行した。脳の切除を行うロボトミー手術よりも永久的なダメージが少ないとされたが、このショック療法においては記憶喪失が起こり、幼児に戻るような後退現象が見られた。この後退現象にCIAが目をつけ、1953年には2500万ドルの予算で人体実験を行った。
 これこそが新自由主義のアレゴリーである。記憶を抹消し、まっさらなところに新しい記憶を与えること、これこそが新自由主義の本質であり、危険なのである。
 新自由主義は支出を削減し、あらゆる部門を民営化し、意図的に景気後退を生み出す。こうしてショックを与え、さらに新自由主義改革を推し進め、共同体、公共圈を破壊する。そして、歴史性も共同体も失われたところに、市場原理主義を植えつけていく。
 こうした新自由主義十字軍ともいうべきカルト的危険思想に、遅まきながらも、世界はようやく気づきだした。ピノチェトですら、政権後期にはシカゴ学派の言うことを聞かなくなった。民営化した鉱山会社はアメリカ資本の傘下に置かれ、国の収入源は民営化しなかった銅山会社だけになってしまい、国民の45%が貧困層になったからである。現代の中南米は明らかに、新自由主義と決別する方向に動いている。 

 ◆いまこそ新自由主義に抵抗する救国勢力の結束を! 
 こうした一連の新自由主義の動きは、ここまで過激ではないにしろ、着実に日本の中でも起きている。たしかに「9.11」や拷問といったような過激な手段は、いまだとられてはいない。しかし、新自由主義に反対する政治家が国策捜査によって政治から追放され、刺客選挙が行われ、郵政民営化をはじめとする小泉・竹中による新自由主義改革によってわが国経済・社会は着実に後退した。幸い、日本は中間層が厚く一気に貧困社会となることはなかったが、非正規雇用、ニートといった潜在的失業率はかつてないほど高まっている。中産階級は劣化し、地方と東京都の格差は拡大の一途をたどっている。
 もはや限界は明らかだ。「過ちを改めざるを過ち」と言う。信念の人であれば思い改めることも可能であろうが、カルト相手には決然と戦いを挑まねばならない。新自由主義は将来の発展のために「今は痛みに耐えよ」と言う。だが、その将来とはいつなのか。その間にわが国の共同体、同胞意識は次々に破壊されていく。このままでは、もはや回復不能なまでに破壊されるだろう。
 新自由主義に反対の声をあげる者は、旧態依然の「抵抗勢力」と呼ばれる。
 だが、市場が原理である必然性などない。公共の学校があってもよいではないか。国営の石油会社が存在して、エネルギーを安定供給することは悪いことなのか。郵便局が国営で何か悪いのか。世の中には自らの責任ならずとも不遇の立場に置かれている人もいる。それらをすべて自己責任であると切って捨てるのが政道なのか。経済的な不平等を解消するために税を徴収し、再配分することは許しがたいことなのか。
 われわれはいまこそ、新自由主義に対して決然と「否」を突きつけるべきである。われわれは記憶を抹消され、ロボトミー化されて、市場原理主義しか考えられないような存在となることを望まないからである。新自由主義に対する戦いは人間らしい生存を回復する戦いである。われわれは抵抗しなければならない。
 「抵抗勢力と呼ばば呼べ」――われわれは人間性を抑圧する市場原理主義にあくまで抵抗する。来るべき政界再編は、自民党か民主党かなどというレベルのものであってはならない。それは新自由主義に抵抗する救国勢力の結束による政界再編でなければならないのだ。

大震災もあって、禍を転じて福となす好機である。原発の暴走も、外国製の欠陥原子炉を拝金の災害資本主義が寿命に逆らって運転して暴発させた。地震の対策もなかった。新自由主義の謀略を本質を見ぬくための指南書である。日本語訳が要約出版された。待ちかねた読者もきっと多い。
83人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
Amazonアウトレットで安く購入できるのはありがたい。
しかし、ガッカリ。。。
【新品同様】の表示にもかかわらず帯とカバーが破れてた。
【新品同様】は言い過ぎ‼
どう見ても【非常に良い】レベルじゃないかと思う。
アウトレット品は写真を掲載して欲しい!
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年9月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2004年イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を隠匿しているという理由で、アメリカにブッシュ(子)政権が「有志連合」を率いてイラクを完全に破壊し、フセイン大統領を捕らえて辱めを加え、処刑した。その時、私はなぜアメリカ政府やイギリスのブレア首相がこのような乱暴をするのか理解できなかった。
理解できないという理由の第1は、1981年から84年までの2年半イラクの製油所建設現場で働いたわたしにとって、イラクはもっとも世俗的な社会主義国として、男女平等の教育熱心な国で、高度経済成長下の中産階級が形成されつつある活気ある国で、外からいわれるような独裁政権が人民をひどく抑圧しているという状態ではなかったと観察していたからである。支配政党のバース党は民族社会主義を標榜しており、石油資源はもちろん国営石油会社がその富を国家財源にしており、水道や電力や鉄道などのインフラや基幹産業は国営企業が所有していた。
 そのイラクを、米英を中心とする有志連合が集中的な爆撃を行った。

1991年の湾岸戦争の際には、およそ300発のトマホーク・ミサイルが5週間にわたってイラクに打ち込まれたが、2003年にはたった1日で380発以上が発射された。「大規模戦闘」が行われた3月20日から5月2日までの間に、米軍はイラクに3万発以上の爆弾を投下し、2万発の精密誘導巡航ミサイルを発射したが、これは過去に発射されたミサイル総数のじつに67%に相当する 。

 いち早く旧フセイン大統領宮殿を占拠して事務所を開いたブッシュ大統領の特使ポール・ブレマーは、次から次と政令を発し、イラクの石油会社をはじめとする数々の国営会社をアメリカ資本の大企業に次から次と安値で売り飛ばした。爆撃に身をすくめていたイラク人が気が付いた時には、イラク国民の財産は、ほとんどアメリカの大資本に奪われてしまった後だった。
 後日、イラクに大量破壊兵器がなかったことを、アメリカとイギリスの政府機関が正式に認めたが、ブッシュ大統領もブレア首相も、正式に陳謝したという話は聞いたことがない。イラク人の富はこうして奪われ、その後遺症は今も深刻な影響を及ぼしている。
この本は、世界最強の軍事組織を総動員して一国の富を奪う強欲資本主義の実態を詳らかに示してくれた。
47人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2011年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自由市場主義を標榜するアメリカや先進国の欺瞞を告発する本書は、これまで私の頭の中にあった漠然とした先進諸国の「汚い」やり方に対する不満や不信感の所在を浮き彫りにし、鮮やかに示してくれた。

ショック・ドクトリンとは大きな自然災害、戦争、経済混乱など社会を騒然とさせる事象が発生した際、人々が茫然自失の状態にある中、被害者が自分たちの権利を結束して言い立てる前に、一挙に政治・経済・社会の在り方を変えてしまう、つまり、どさくさまぎれに過激な市場原理主義改革を実行に移す火事場泥棒である。その総領はミルトン・フリードマン。ショック・ドクトリンには自然災害など受身の惨事だけでなく、戦争や経済危機のように、回避できる(回避しなければならない)騒乱を意図的に引き起こし、そこに便乗する利益追求も含まれる。これまでも金融資本による陰謀論などが囁かれてきたが、本書は、積み重ねられた「事実」から見えてくる構図を理路整然とまとめあげている。陰謀論のような多分に予想を含んだ論旨ではなく、整合性が保持され、説得力を持っている。

著者のNaomi Kleinはカナダ在住のジャーナリスト。歴史の「事実」のみに注目し、そこから見えてくる共通の過程を徹底的に吟味・検討を加えることで本書を貫く原理を見つけ出した。私はアジアか中東あたりの東洋からこのような書籍が出るだろうと予測していたが、カナダだった。何故カナダなのかを考えるのも面白いと思う。原題は『The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism』。惨事便乗型資本主義と翻訳されている。本書の英語版初版は2007年。既に4年以上の歳月が過ぎて翻訳本が出た。スペイン語、ドイツ語は翌月に、イタリア語では翌年翻訳本が出ている。本書が、現在進行中のアメリカやヨーロッパの市民運動の火付け役になっているとすれば、それらの活動は日本より4年進んでいることになる。火事場泥棒のようなやり方は世界各国で非難の対象になっている。

本書に取り上げられている歴史的事実として、自然災害では2004年のスマトラ沖地震、2005年のルイジアナ州を襲ったハリケーン「カトリーナ」の被災後の様子が克明に記録されている。スマトラ沖地震で大津波に襲われた地域では、村の再建を目指した数十万の漁民を海岸沿いから追い出し、外国投資家、国際金融機関が大規模リゾート地帯にしてしまった。ニューオーリンズも同じような結果になっている。
戦争では9.11後のイラク攻撃について突発的なものではなく、1970年代南米ラテンアメリカ諸国で展開された経済改革について分析を加え、「経済改革、軍事クーデター、暴力的な弾圧」という3つのショックをセットにした強制的な変革が雛形として存在していた事実から、同じ手法がより大規模な暴力を伴って30年後に実行にされたのがイラク戦争だと分析する。地理的にもかけ離れた南米と中東、30年というタイムラグなどを超越して、共通して見えてくるのがショック・ドクトリンである。ショックの目的は何か。アメリカはイラク攻撃を「衝撃と恐怖作戦」と呼んだが、当初はイラクが保有している大量破壊兵器を見つけ出すのが大義だった。それが途中からテロとの戦いに変化していった。イラクには大量破壊兵器はなかった。アメリカは何を求めてイラクまで赴いたのか。「衝撃と恐怖作戦」の前後で変化した事実を比較することで明らかにしている。イラクは2003年3月から2004年5月の僅かな期間で完全に自由市場化された。それまではイスラム圏に属し、市場経済からは一定の距離を置いていた。統治に当たったイラク暫定政府(CPA)は関税・輸入税を撤廃し、200社の国有企業は例外なく民営化された。外国資本によるイラク企業の100%所有が可能になった。外国資本が得た利益の海外送金が認められ、100%自由化された。これが事実だ。イラクは資本にとって魅力的な植民地になったのである。

著者はショック・ドクトリンの本質を、復興という名の下、その地に根ざした地域社会を一掃し、時を置かずそこに企業版新エルサレムを建設することだったと喝破する。

さて、ショック・ドクトリンという物差しで日本の置かれた状況を観察し直すと、現在進行形の事象で留意しなければならない点がいくつか思い浮かぶ。
TPP(環太平洋経済連携協定)への参加であるが、農業の問題だけに焦点が行きがちだが、実態は医療、労働、雇用など社会の根幹を支える制度改革も包含している。TPPへの参加はショック・ドクトリンの射程に含まれるということを意味している。参加の可否はそのようなリスクがあることを十分理解した上で決定する必要があるだろう。
また、東北大震災と原発事故処理が「復興」という名の下、被災者不在、企業の利益優先にならないか、復興予算の使われ方を注視し、スマトラの二の舞にならぬよう監視する必要がある。
更に、世界規模で進行中の金融危機に関して、ショック・ドクトリンが作動するタイミングはいくつもあるだろうと予測される。過去、市場経済に舵を切ったロシアや中国で何があったのか、歴史的事実を知っておくと同時に、軍事クーデターや暴力的な弾圧といったショックが発令されないよう、このような言論空間を含め、慎重な情報分析と的確な判断が各自に求められていると感じた。世界を展望する枠組みがこれほどスリリングで、危機感を伴って迫ってくる教科書を他には知らない。
29人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート