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敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人 単行本 – 2004/1/30
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敗戦後日本人の苦難の歩みを描いて,日本中に感動を巻き起こした名著の写真増補版.旧版の2.5倍以上に増補された貴重な写真は,著者みずからによって本文といっそう緊密に組み合わされ,敗北を抱きしめて立ち上がった民衆の類まれな経験を語り尽くす.ヴィジュアル史料と文字史料が織り成す陰影深い戦後史像の誕生.
- ISBN-104000244205
- ISBN-13978-4000244206
- 出版社岩波書店
- 発売日2004/1/30
- 言語日本語
- 本の長さ460ページ
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
敗戦の惨状の中を歩み始めた民衆は、「平和と民主主義」への願いを抱きしめて、上からの革命に力強く呼応した。奇蹟的な「敗北の物語」を描いた二十世紀の叙事詩。ピュリッツァー賞受賞作品。2001年刊の増補版。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2004/1/30)
- 発売日 : 2004/1/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 460ページ
- ISBN-10 : 4000244205
- ISBN-13 : 978-4000244206
- Amazon 売れ筋ランキング: - 159,900位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年2月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
教科書では学べない日本の終戦時の裏を知る歴史書
2012年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
敗戦後の日本を米国はどの様に考え、統治したのか?それを日本の政治家、大衆はどう捉えたか?を知ること、そうすることで、
現在の政治の動きが理解できればと思い購入しました。
これまで、私自身があまりにも常識、普通のことと考え、見えてなかったことが浮かび上がって見えてきたのが、とても面白かったです。
たとえば、「昭和」という年号が戦後も継続して用いていました、あたりまえのように。
ところが、当時の世界の潮流では、敗戦国の最高責任者(日本の場合は天皇)が罰せられていたこと、よって昭和天皇が失脚し「昭和20年」で途絶えていても
まったくおかしくはなかったようです。
これは、著者いわく「クサビを打ち込み、軍部を悪役にして、天皇を平和主義者にして天皇制民主主義を建設せよ。」とのマッカーサーをはじめとする
米国占領軍の方針が要因とのことです。この方針は、天皇を罰すると日本国人が暴徒化し統治が困難になる、共産党化することの懸念が背景らしいです。
ところが、その予想は想定外でした、米国側にとっては良いほうに。
少しショックを受けたのは、天皇の求心力が戦後、予想以上に低下し、日本の民衆の心はマッカーサーに急速に傾いていったことです。
「マッカーサーを聖職者、偉大な愛の化身、神のように見ていた−贈り物、手紙が滝のように降り注いだ」とのこと。
日本人の依存的心理、強力なカリスマ的リーダーを羨望する、まかせっきりにする体質は日本人の国民性なのか。。
(自民党だめなら民主党、でもだめなら、みたいな)
ほかにも本書は、貴重な写真や図表が豊富に載っており、それらを見ているだけでも当時の様子が窺え、面白いし興味深かったです。
日本人として、読んでおくべき書籍だと思います。
現在の政治の動きが理解できればと思い購入しました。
これまで、私自身があまりにも常識、普通のことと考え、見えてなかったことが浮かび上がって見えてきたのが、とても面白かったです。
たとえば、「昭和」という年号が戦後も継続して用いていました、あたりまえのように。
ところが、当時の世界の潮流では、敗戦国の最高責任者(日本の場合は天皇)が罰せられていたこと、よって昭和天皇が失脚し「昭和20年」で途絶えていても
まったくおかしくはなかったようです。
これは、著者いわく「クサビを打ち込み、軍部を悪役にして、天皇を平和主義者にして天皇制民主主義を建設せよ。」とのマッカーサーをはじめとする
米国占領軍の方針が要因とのことです。この方針は、天皇を罰すると日本国人が暴徒化し統治が困難になる、共産党化することの懸念が背景らしいです。
ところが、その予想は想定外でした、米国側にとっては良いほうに。
少しショックを受けたのは、天皇の求心力が戦後、予想以上に低下し、日本の民衆の心はマッカーサーに急速に傾いていったことです。
「マッカーサーを聖職者、偉大な愛の化身、神のように見ていた−贈り物、手紙が滝のように降り注いだ」とのこと。
日本人の依存的心理、強力なカリスマ的リーダーを羨望する、まかせっきりにする体質は日本人の国民性なのか。。
(自民党だめなら民主党、でもだめなら、みたいな)
ほかにも本書は、貴重な写真や図表が豊富に載っており、それらを見ているだけでも当時の様子が窺え、面白いし興味深かったです。
日本人として、読んでおくべき書籍だと思います。
2014年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大変わかりやすく、まだ上巻ですが、一気に読みそうです。
参考になります。
参考になります。
2017年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
資源に乏しく、人だけが溢れていた当時の日本が大国ぶって仕掛けたアジア・太平洋戦争。その代償の大きさがまざまざとわかる一冊。緻密な分析と多角的な視座によりえぐり取られた、日本の戦争観が理解できる一冊です。同時になぜ日本だけが、官僚制度を含めて国家体制が温存できたのかも迄もがわかってきます。例えばドイツは政府が崩壊し、イタリアは政府転覆によってバドリオ政権に取って代わられたなかで三国同盟の内、日本だけが生き残ってアメリカ占領軍の走狗となった。しかもアメリカによって多くの日本人が、戦犯指定された以外の人々は、戦争の罪を許されたかのような「錯覚」を思い込むことに成功した。そして大東亜共栄圏構想までもがあっさりと悪い夢をみたかのように、無責任にも捨て去ることができた。ここではあたかもアメリカはメシアのごとき振舞いをした訳である。最後にもう一度述べたいのは著者の研究によって、バカみたいな当時の日本の大東亜共栄圏構想の空虚さとアメリカの成熟した国家戦略が理解できます。当然下巻も一読ををお勧めします。
2010年5月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
敗戦の混乱と占領軍統治下の困窮生活のなかで、「日本人のあいだに被害者意識が根を張り、この戦争の最大の犠牲者は自分たちだと多くの者が思ったとしても驚くにはあたらなかった。皇軍が遠い異国で見知らぬ民を襲って町や村を廃墟にした話などよりも、自分自身の惨めさのほうがはるかに身近で感覚的にわかりやすかった」のは事実だが、それでもなお、(まぁ、朝鮮戦争という絶好の機会は得られたにしろ)、その後に、あの高度成長を迎えることになる日本人の民族的バイタリティーは、どこに泉源があったんだろうかと考えると、じつは「戦争」そのものにあったんではないかという問題意識に突きあたる。
個々的具体的な問題を持ち出すとキリがなくなるが、占領政策にも、農地解放のように、すんなり成功したものもあれば、財閥解体のように、すぐ元に戻っちゃったようなのもあり、陸海軍は解体されたが、官僚制度のように少し風通しが好くなったくらいで、たいして変わらなかった部分もある。
著者は、日本占領統治にあたったGHQの主体性や恣意性を強調するが、日本人の側に受入れる基盤が存在しなかったような改革となると、いかに米軍当局といえども改変できなかったのが現実ではなかったか。
たしかに占領の時代、日本軍が侵略した東部ユーラシア地域すべてが激動の時代に放り込まれ、置き土産というべき内戦や独立戦争に明け暮れしていたのに、ほとんどの日本人が関心を持とうとしなかったのは否定しない。強きにへつらい、弱い者に傲慢な日本人の国民性も実に浅ましいばかり。しかし、ペシャンコにされても、また立ち上がって経済成長まっしぐらへと突っ走った、あの日本人のバイタリティーってのは、占領統治当局といえども虚勢することができなかったと見るんだが、どうだろうかね。
個々的具体的な問題を持ち出すとキリがなくなるが、占領政策にも、農地解放のように、すんなり成功したものもあれば、財閥解体のように、すぐ元に戻っちゃったようなのもあり、陸海軍は解体されたが、官僚制度のように少し風通しが好くなったくらいで、たいして変わらなかった部分もある。
著者は、日本占領統治にあたったGHQの主体性や恣意性を強調するが、日本人の側に受入れる基盤が存在しなかったような改革となると、いかに米軍当局といえども改変できなかったのが現実ではなかったか。
たしかに占領の時代、日本軍が侵略した東部ユーラシア地域すべてが激動の時代に放り込まれ、置き土産というべき内戦や独立戦争に明け暮れしていたのに、ほとんどの日本人が関心を持とうとしなかったのは否定しない。強きにへつらい、弱い者に傲慢な日本人の国民性も実に浅ましいばかり。しかし、ペシャンコにされても、また立ち上がって経済成長まっしぐらへと突っ走った、あの日本人のバイタリティーってのは、占領統治当局といえども虚勢することができなかったと見るんだが、どうだろうかね。
2023年5月2日に日本でレビュー済み
2004年1月刊(原著は1999年刊)。このピュリッツァー賞など多くの受賞を誇る著作を、今更ながら私も読んでみた。著者は米国の歴史学者で専門は日本近現代史(現在MIT名誉教授)。これは所謂「歴史研究書」というよりは、圧倒的な質量を持って語られた「一大ドキュメンタリー」のような世界。アジア太平洋戦争敗戦から1952年GHQ占領統治終了(サンフランシスコ講和条約発効)までの流れを、政治経済の支配階層から一般民衆の動き・意識の変遷までこれだけ詳細に分析し論じ活き活きと描写した著作を私は他に知らない。まさに圧巻!であった。特にこの「増補版」では初版にはなかった貴重な写真・図版などが数多く追加されていて、ビジュアル面でも理解がより深まる。ちなみに原著タイトルは”Embracing Defeat”~何やらジャズスタンダード曲のようでもある。
ここでダワー氏は、天皇と天皇制~それが戦前戦中の日本国民の価値観にどう作用し、それが戦後のGHQ(特にマッカーサー)上陸によって「崇拝の対象」がどう劇的に転換し、それでいて「人間宣言」した天皇がいかにその地位と権威を保持し続けてきたかを、あらゆる側面から検証している。そしてマッカーサーらが、自身の占領統治を円滑たらしめるために「天皇の戦争責任」を徹底的に否認し、「責任の所在は暴走した軍部」というシナリオをどう作りあげていったか。また、当初若きニューディーラーたちが目指していた「非軍事化と民主化」路線が、その後の「逆コース」(所謂レッドパージや労働運動締め付け、再軍備路線等)によってうやむやにされていく過程。一般民衆の民主化への願望とは裏腹に、徹底して「改革」を最小限に抑えようとする頑迷な守旧派支配層。新憲法制定の過程でもその「抵抗」は如実に表れる。そして蘇る戦犯右翼たち。さらには戦後の経済復興が朝鮮戦争という「天祐」によってもたらされた事実の重視。著者は日本の戦後体制を「日米交配による産物」と捉え、日本の1952年講和条約以降の「独立」は実は米国の「保護国化」であったと喝破するが、だからこそ、21世紀に入ってからの日本が「非軍事化と民主化」という取り残された課題をどう解決していくのか~そういう問題提起と期待をこの著作の最後に込めてるように私には思えた。しかし、戦後も戦前戦中と「ほとんど変わらない日本」の真相・深層も、この優れた歴史研究者は冷徹に見据えてもいるのだ。
非常に長く読むのにも時間がかかるが、それだけの労力をかけるに足る素晴らしい大作。おすすめ!である~(*^^*)
ここでダワー氏は、天皇と天皇制~それが戦前戦中の日本国民の価値観にどう作用し、それが戦後のGHQ(特にマッカーサー)上陸によって「崇拝の対象」がどう劇的に転換し、それでいて「人間宣言」した天皇がいかにその地位と権威を保持し続けてきたかを、あらゆる側面から検証している。そしてマッカーサーらが、自身の占領統治を円滑たらしめるために「天皇の戦争責任」を徹底的に否認し、「責任の所在は暴走した軍部」というシナリオをどう作りあげていったか。また、当初若きニューディーラーたちが目指していた「非軍事化と民主化」路線が、その後の「逆コース」(所謂レッドパージや労働運動締め付け、再軍備路線等)によってうやむやにされていく過程。一般民衆の民主化への願望とは裏腹に、徹底して「改革」を最小限に抑えようとする頑迷な守旧派支配層。新憲法制定の過程でもその「抵抗」は如実に表れる。そして蘇る戦犯右翼たち。さらには戦後の経済復興が朝鮮戦争という「天祐」によってもたらされた事実の重視。著者は日本の戦後体制を「日米交配による産物」と捉え、日本の1952年講和条約以降の「独立」は実は米国の「保護国化」であったと喝破するが、だからこそ、21世紀に入ってからの日本が「非軍事化と民主化」という取り残された課題をどう解決していくのか~そういう問題提起と期待をこの著作の最後に込めてるように私には思えた。しかし、戦後も戦前戦中と「ほとんど変わらない日本」の真相・深層も、この優れた歴史研究者は冷徹に見据えてもいるのだ。
非常に長く読むのにも時間がかかるが、それだけの労力をかけるに足る素晴らしい大作。おすすめ!である~(*^^*)
2022年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
書籍内容自体は問題ないが、図書館で廃棄図書(つまり仕入れただ)を1500円で売る、ビジネスとしての酷さに驚いた。
2022年2月20日に日本でレビュー済み
客観的事実として、「戦後」の日本人は自らの国の侵略戦争における戦争犯罪に対して無頓着でありつづけた。諸外国、特に戦後日本の方向決定を支配したアメリカはそれを形式的には許してきたし、その他の国々も大目に見てきた節がある(少なくとも戦後の一定の期間においては)。もちろんそれは国家政府単位の外交上の駆け引きでの話であり、個別にはそれを強く非難し補償を求める人たちは少なくないのだし、国内でもそれについてきちんと調べ発言してきた人はいるのだが、それは一部を除いて「国家対国家」の責任追及にはなっていない。そして、道義的には戦争突入と遂行の責任者の位置から逃れられないはずの昭和天皇および天皇制は何の咎もなくその地位を保全され、その後も名目上は日本国民の上に君臨している。
煎じ詰めて言えば米占領軍の「改革」は甘く、権力者は戦時の反省など何もなく贅沢に暮らし、庶民は飢えに苦しむ不条理な状態も温存されたまま「戦後」はスタートした。ここから今日までに何ら歴史的「転換」などはなかっただろう。日本において民主主義なるものが理解されたとも定着したとも言えない。
一方で、今の90代の高齢者の話を聞けば、あの戦争が終わったことを「解放」だと捉えた一般国民の意識があったことも想像がつく。自由で明るい未来を作っていく希望の時代の到来であり、戦争に明け暮れる「嫌な時代」が偉そうに国民に圧力を加える軍部という「嫌な奴ら」とともに去った瞬間だったのだろうと(残念ながら、そうでないケースも多かったが)。終戦とともに、完膚無きまでの敗北を口実に、それらの過去を水に流しきれいさっぱり忘れ去る、忘れるのだ、前だけを見ていいのだ、というまったく自分勝手なリセットボタン押し気分が、上記のような責任問題をどうでもいいことにしてしまった土壌なのだろう。
もちろんリセットボタンを押された日本人は、そうした気分を戦略的に許可し利用した米占領軍の見守りとサポートと解放の高揚感の中、復興に向けたロケットスタートを切ることができた。その結果が、良くも悪くも今わたしたちが暮らしている日本を形作った。
この占領期間の日本における日本人と占領軍の動向を、膨大な一次資料にあたってここまで整理した本は初めてだったのだろうし、今もこれに匹敵するものはなさそうだ。読めば読むほど「確かにそうだっただろうな」とおもえる。そして1950年までの日本に生まれなくて幸運だったと心から思った。「偉大な祖国」の「偉大な民族」などという訳の分からない帝国思想を叩き込まれることも、爆撃や銃撃で木っ端微塵にされることも、手足を失うことも、家や家族を失い露頭に彷徨うことも、瀕死の飢えに十数年を耐えることも、すべてを失ってしかたなく犯罪に手を染めることも、ありとあらゆる伝染病で苦しんで死ぬことも、何一つ経験せずに生きてこれたからだ。といってもほんの10年程度の時間差でしかないことに改めて慄然とする。今いきている日本人は運良く(あるいは汚い手を使って)この苦難の時代をなんとか生き延びた人やその子孫である。
日本人なら必読だと思う。この時期の日本のことを我々が知らないでいて良い理由はなにもない。我々の原点を知っておこう。
煎じ詰めて言えば米占領軍の「改革」は甘く、権力者は戦時の反省など何もなく贅沢に暮らし、庶民は飢えに苦しむ不条理な状態も温存されたまま「戦後」はスタートした。ここから今日までに何ら歴史的「転換」などはなかっただろう。日本において民主主義なるものが理解されたとも定着したとも言えない。
一方で、今の90代の高齢者の話を聞けば、あの戦争が終わったことを「解放」だと捉えた一般国民の意識があったことも想像がつく。自由で明るい未来を作っていく希望の時代の到来であり、戦争に明け暮れる「嫌な時代」が偉そうに国民に圧力を加える軍部という「嫌な奴ら」とともに去った瞬間だったのだろうと(残念ながら、そうでないケースも多かったが)。終戦とともに、完膚無きまでの敗北を口実に、それらの過去を水に流しきれいさっぱり忘れ去る、忘れるのだ、前だけを見ていいのだ、というまったく自分勝手なリセットボタン押し気分が、上記のような責任問題をどうでもいいことにしてしまった土壌なのだろう。
もちろんリセットボタンを押された日本人は、そうした気分を戦略的に許可し利用した米占領軍の見守りとサポートと解放の高揚感の中、復興に向けたロケットスタートを切ることができた。その結果が、良くも悪くも今わたしたちが暮らしている日本を形作った。
この占領期間の日本における日本人と占領軍の動向を、膨大な一次資料にあたってここまで整理した本は初めてだったのだろうし、今もこれに匹敵するものはなさそうだ。読めば読むほど「確かにそうだっただろうな」とおもえる。そして1950年までの日本に生まれなくて幸運だったと心から思った。「偉大な祖国」の「偉大な民族」などという訳の分からない帝国思想を叩き込まれることも、爆撃や銃撃で木っ端微塵にされることも、手足を失うことも、家や家族を失い露頭に彷徨うことも、瀕死の飢えに十数年を耐えることも、すべてを失ってしかたなく犯罪に手を染めることも、ありとあらゆる伝染病で苦しんで死ぬことも、何一つ経験せずに生きてこれたからだ。といってもほんの10年程度の時間差でしかないことに改めて慄然とする。今いきている日本人は運良く(あるいは汚い手を使って)この苦難の時代をなんとか生き延びた人やその子孫である。
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