とにかく高い。
定価では購入を躊躇するレベルである。
発売元の出版社には猛省を促したい。値段が高いので星を一つ下げます。
先日の東京新聞にヒトラーがWW1当時の軍上官だったユダヤ人ヘス氏にたいし、特別の計らいをする旨(移送の除外)の命令をしていた公文書が発見されたことを報じていた。
ヒトラーはユダヤ民族の根絶を考えるような狂信者ではなく、わりと冷静な人間味のある現実主義者だったことがわかります。
このように、ヒトラーがユダヤ人に特別な措置をして強制移送から除外・特別扱いをした例はいくつもあります。
中には空軍次官のミルヒ元帥のような高官すらいます。
さてこの本の要旨は結局ユダヤ人を弾圧することによってドイツ政府が「何を得たのか」という点でしょう。
富裕層の多いユダヤ人を素っ裸にしてそれを国庫・国民にふりわけることによって財政再建・経済成長を見事に達成した。
そしてWW2開戦後ユダヤ人はどうなっていったのか。
現実主義者であるヒトラーとナチのとった行動が具体的に記されていきます。
ヒトラーは「知り合い対しては人間味のある人物」だったとは思いますが、見知らぬユダヤ人に手をさしのべるほど優しい人ではありません。
戦争経済が破綻に追い込まれていく中、ユダヤ人を「金」として経済に組み込んでいく活用するのは異常なほどの現実的冷酷さがあります。
アリーが書いた「最終解決」で具体的に書かれたように
ユダヤ人は民族の的として殺されたのではなく、金のために殺されたのです。
殺してしまえば財産を全部ふんだくれます。
殺してしまえば食料が不要です。その分を一般市民や兵士に振り分けることが出来ます。
殺してしまえばユダヤ人管理にかかる人員や予算も一切不要です。
ユダヤ民族を絶滅させる意図は全くなく、極めて現実的な情けないと言ってもいい金銭的な理由でした。
つまり泥縄状態で「決定もなく」ぐだぐだと進んでいった、それがホロコーストです。
労働力として活用できるので労働者は働かせ、強制収容所で働いた。
でも、労働力としても活かせる者も殺していった それはSSが単に無能だったから。
ホロコーストにおけるユダヤ人の各地の対応は本当に一貫性が無く、
たとえばデンマークからの移送者はデンマークのSS高官が特例処置をする旨をしたおかげで、
病死(による自然死)した方以外は全員生存されました。もちろん老人も。
いわゆる「シンドラーのリスト」のような例は腐るほどあったりします。
本当にやるせない気持ちになります。
私のレビューをもっと具体的に知りたい方はこの本に目を通すことをお薦めします。

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ヒトラーの国民国家――強奪・人種戦争・国民的社会主義 単行本 – 2012/6/7
第一次世界大戦の敗戦とそれに続く「ドイツ革命」による体制崩壊後、疲弊したドイツ国民は、なぜヒトラーの政権獲得を支持したのか。ナチス・ドイツの内政上の統合は持続的な国民福祉による国家への動員であり、ユダヤ人絶滅・アーリア化計画はその手段であった。経済的側面から検証したヒトラーによる「国民国家」の真実。
- 本の長さ432ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2012/6/7
- ISBN-104000245163
- ISBN-13978-4000245166
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2012/6/7)
- 発売日 : 2012/6/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 432ページ
- ISBN-10 : 4000245163
- ISBN-13 : 978-4000245166
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,046,597位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2014年6月12日に日本でレビュー済み
国民にそれなりに充実した社会保障システムと
軍事的拡大を背景とした仕事を与えることに成功したナチス
しかしそれは借金をふくれあがらせてのことであった
その後は、占領地の略奪でしかまかなえなくなっていく
またマルクは占領地の貨幣に対して意図的に強いままにしておいたので
占領地でのマルクで給与を貰う兵士の購買力がとても強くなる
物資が枯渇しつつある本国にお土産を買いあさって
それを軍事郵便なり休暇の時の手荷物で届ける
その輸送に喰われるリソースは相当なものであった
これによって占領地の物資は略奪をしてないにもかかわらず
”正当”な商取引で禿上がっていくのである
民心の安定の観点からは占領当局の民政側は
兵士達のお買い物を制限したいと思うのだが
兵士の士気を維持した軍としては飲めない要求だった
銃後の国民は贅沢な思いをしたと満足げであった
結局は、略奪をしたって点に目をつぶれば
至極まっとうな政策もあったのかもしれないのだが
そもそも乏しい資源や国力が前提であったわけで
国民騙して略奪が前提だったらねえ、というw
軍事的拡大を背景とした仕事を与えることに成功したナチス
しかしそれは借金をふくれあがらせてのことであった
その後は、占領地の略奪でしかまかなえなくなっていく
またマルクは占領地の貨幣に対して意図的に強いままにしておいたので
占領地でのマルクで給与を貰う兵士の購買力がとても強くなる
物資が枯渇しつつある本国にお土産を買いあさって
それを軍事郵便なり休暇の時の手荷物で届ける
その輸送に喰われるリソースは相当なものであった
これによって占領地の物資は略奪をしてないにもかかわらず
”正当”な商取引で禿上がっていくのである
民心の安定の観点からは占領当局の民政側は
兵士達のお買い物を制限したいと思うのだが
兵士の士気を維持した軍としては飲めない要求だった
銃後の国民は贅沢な思いをしたと満足げであった
結局は、略奪をしたって点に目をつぶれば
至極まっとうな政策もあったのかもしれないのだが
そもそも乏しい資源や国力が前提であったわけで
国民騙して略奪が前提だったらねえ、というw