東京人なのになぜか語尾が関西弁になっていたりメールで「ダベ」とか書いてたり、気がつけば異性のなまりに妙に興奮してしまったりしている。現代日本において、方言は楽しく、魅力的だ。かつてはむしろ、共通語との対比で恥かしさをもよおさせるものだったのに。そのようにして方言の地位が向上しネイティブでもない人たちが方言で遊び始めた現状を、多角的に実証的に解明した興味津々の一冊である。
方言コスプレの時代、といってもその人気は全国一概に論じられるものではむろんなく、東京を中心地、関西を最大の対抗地域として、温度差がけっこうあることなど現状分析から日本の言語地図に新たな光があてられ、あるいは、かつて方言をバカにされたことによる殺人事件などがおこっていた方言コンプレックスの時代から、いつのまにか方言に独自の魅力が発見され、テレビや映画やマンガのなかの方言キャラの活躍の後押しもうけ、多くの人びとが方言による親密なコミュニケーションをとるようになる時代への変遷が、明解に論述されている。メディアのなかの坂本龍馬はかつて標準語の語り手であった、といった小ネタ的な話を、ではいつから土佐弁の志士として表象されるようになったのかという歴史研究から反省し含蓄のある指摘をしていく箇所などもなかなかに面白い。
方言受容の移り変わりの分析を通して、現代日本語のダイナミックな動きを読み取ることのできる好著である。
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「方言コスプレ」の時代――ニセ関西弁から龍馬語まで 単行本 – 2011/9/30
田中 ゆかり
(著)
坂本龍馬はいつから土佐弁キャラになったのか
- ISBN-104000248707
- ISBN-13978-4000248709
- 出版社岩波書店
- 発売日2011/9/30
- 言語日本語
- 寸法13.5 x 2.7 x 19.5 cm
- 本の長さ280ページ
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商品の説明
著者について
田中ゆかり(たなか ゆかり)
1964年生まれ.神奈川県生育.1987年早稲田大学第一文学部卒業後,約3年間,読売新聞社に勤務(記者職).1996年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了.博士(文学).早稲田大学文学部助手,日本学術振興会特別研究員(PD),静岡県立大学国際関係学部専任講師などを経て,2006年度から日本大学文理学部教授.専門は日本語学(方言・社会言語学).現代日本語社会で生ずるさまざまな「ことば」に関わる現象を足場として,社会や都市のなりたちやゆくすえ,そこで暮らす人々の意識や実態を捉えることができれば,と考えている.従来研究対象とされてこなかった現象などにもチャレンジしたいと思っている.著書に『首都圏における言語動態の研究』(笠間書院,2010),共著書に『なっとくする統計』(講談社,2003),『日本のことばシリーズ13 東京都のことば』(明治書院,2007),共編著に『講座社会言語科学6 方法』(ひつじ書房,2006)がある.
1964年生まれ.神奈川県生育.1987年早稲田大学第一文学部卒業後,約3年間,読売新聞社に勤務(記者職).1996年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了.博士(文学).早稲田大学文学部助手,日本学術振興会特別研究員(PD),静岡県立大学国際関係学部専任講師などを経て,2006年度から日本大学文理学部教授.専門は日本語学(方言・社会言語学).現代日本語社会で生ずるさまざまな「ことば」に関わる現象を足場として,社会や都市のなりたちやゆくすえ,そこで暮らす人々の意識や実態を捉えることができれば,と考えている.従来研究対象とされてこなかった現象などにもチャレンジしたいと思っている.著書に『首都圏における言語動態の研究』(笠間書院,2010),共著書に『なっとくする統計』(講談社,2003),『日本のことばシリーズ13 東京都のことば』(明治書院,2007),共編著に『講座社会言語科学6 方法』(ひつじ書房,2006)がある.
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2011/9/30)
- 発売日 : 2011/9/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 280ページ
- ISBN-10 : 4000248707
- ISBN-13 : 978-4000248709
- 寸法 : 13.5 x 2.7 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 156,545位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 81位日本語の語源・歴史・方言
- - 199位日本語の語彙・熟語
- - 512位言語学 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今、NHKの「大河ドラマ」と「連続テレビ小説」では、方言によって、地方の特色をリアルに表現されているのが、日常的になりました。
しかし、これには、時代の流れの中で、方言に対する試行錯誤と再評価の葛藤があったことを知りました。
1960年代までは、標準語(共通語)が尊重され、方言に対するマイナスのイメージが抑圧的な社会でした。
それが、1980年代から方言自慢が始まり、2000年代には「方言ブーム」になったと説く。
大河ドラマ「龍馬伝」による坂本龍馬の土佐弁ブームにも、「NHKドラマで、いつから龍馬が方言を話すようになったのか?」など、NHKの映像資料から、その歴史の変遷が述べられているのは、興味深い。
p190〜191、1976年6月、「方言と放送(座談会)」の国語学者・金田一春彦(1913〜2004)の発言が、「ひとつの象徴的な方言に対する考え方」になっているようです。
方言を尊重し、地域社会を彩る文化としての言葉、そして、方言を楽しむ「方言コスプレ」と、「方言と時代」が豊富な参考文献と資料で、魅力的に研究されています。
2012年5月11日(金)NHKラジオ第1「すっぴん!インタビュー」に、日本大学文理学部教授・田中ゆかりさんがゲスト出演されたことで、本書を知りました。
しかし、これには、時代の流れの中で、方言に対する試行錯誤と再評価の葛藤があったことを知りました。
1960年代までは、標準語(共通語)が尊重され、方言に対するマイナスのイメージが抑圧的な社会でした。
それが、1980年代から方言自慢が始まり、2000年代には「方言ブーム」になったと説く。
大河ドラマ「龍馬伝」による坂本龍馬の土佐弁ブームにも、「NHKドラマで、いつから龍馬が方言を話すようになったのか?」など、NHKの映像資料から、その歴史の変遷が述べられているのは、興味深い。
p190〜191、1976年6月、「方言と放送(座談会)」の国語学者・金田一春彦(1913〜2004)の発言が、「ひとつの象徴的な方言に対する考え方」になっているようです。
方言を尊重し、地域社会を彩る文化としての言葉、そして、方言を楽しむ「方言コスプレ」と、「方言と時代」が豊富な参考文献と資料で、魅力的に研究されています。
2012年5月11日(金)NHKラジオ第1「すっぴん!インタビュー」に、日本大学文理学部教授・田中ゆかりさんがゲスト出演されたことで、本書を知りました。
2015年4月21日に日本でレビュー済み
ハードカバーなのが残念。
内容は非常に面白い。
ノーマルカバーであれば☆×5の作品
内容は非常に面白い。
ノーマルカバーであれば☆×5の作品