年代の差はありますが、やや遅れて損保業界に席を置いたものです。
組合活動からその後の会社人生、大変に感動を覚えました。品川さんのおられた会社はその後、私が在籍した会社と合併しています。また、かっての品川さんの部下の方たちとも合併以前からお付き合いをしてました。
もっと早く、この本に出会っていたらと思っています。経済界の中で、文字通り稀有な人材です。ありがとうございます。
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戦後歴程――平和憲法を持つ国の経済人として 単行本 – 2013/9/14
品川 正治
(著)
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中国戦線で九死に一生を得、復員船で出会った憲法9条を原点として、労働運動と安保闘争を経て損保業界の経営の世界に入り、やがて経済同友会の専務理事をつとめるなど、財界中枢にあって平和と民主主義の日本を求めて歩み続けた、稀有な戦後的知性の自伝。『世界』好評連載に補筆して刊行。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2013/9/14
- 寸法13.5 x 2.1 x 19.5 cm
- ISBN-104000259156
- ISBN-13978-4000259156
商品の説明
著者について
品川正治(しながわ まさじ)
1924年,兵庫県神戸市生まれ.
旧制第三高等学校(京都三高)在学中に志願して旧陸軍に入隊.復員後,東京大学法学部卒業.日本火災海上保険(現在の日本興亜損害保険)社長,会長を経て,現在,相談役.経済同友会専務理事を経て,現在,終身幹事.一般財団法人国際開発センター会長.「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」(全国革新懇)代表世話人.
著書に『9条がつくる脱アメリカ型国家』(青灯社),『反戦への道』(新日本出版社)など.
1924年,兵庫県神戸市生まれ.
旧制第三高等学校(京都三高)在学中に志願して旧陸軍に入隊.復員後,東京大学法学部卒業.日本火災海上保険(現在の日本興亜損害保険)社長,会長を経て,現在,相談役.経済同友会専務理事を経て,現在,終身幹事.一般財団法人国際開発センター会長.「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」(全国革新懇)代表世話人.
著書に『9条がつくる脱アメリカ型国家』(青灯社),『反戦への道』(新日本出版社)など.
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2013/9/14)
- 発売日 : 2013/9/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 192ページ
- ISBN-10 : 4000259156
- ISBN-13 : 978-4000259156
- 寸法 : 13.5 x 2.1 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 456,528位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年6月10日に日本でレビュー済み
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2016年3月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
見出しに書いたことに尽きる。今楽しみながら読んでいる最中。これ以上はなしです。
2013年12月2日に日本でレビュー済み
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このような経済人がいたことを知りませんでした。
大変貴重な本です。
大変貴重な本です。
2014年11月8日に日本でレビュー済み
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実際の戦争経験が無い人による空想的平和主義とは異なり、学徒出陣で実戦の経験があるだけに、その平和志向は本物である。
かかるイデオロギーの持ち主(戦後の労働運動を実践した)が、損保大手の社長・会長を務めた事は驚きである。
そこに日本の健全性も見いだされる。著者の憲法9条に対する思いは聊か宗教がかっており、全てを同意するものでは無いが、
作今の安部総理や高市総務相、稲田政調会長らの言動を見聞きするにつけ、彼らには本著をぜひ読んで欲しいと思う。
かかるイデオロギーの持ち主(戦後の労働運動を実践した)が、損保大手の社長・会長を務めた事は驚きである。
そこに日本の健全性も見いだされる。著者の憲法9条に対する思いは聊か宗教がかっており、全てを同意するものでは無いが、
作今の安部総理や高市総務相、稲田政調会長らの言動を見聞きするにつけ、彼らには本著をぜひ読んで欲しいと思う。
2013年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
品川さんの人間としての偉大さを再認識。死の寸前まで思索にふけられた品川さんの遺言であり、我々はそれを生かして平和の暮らし良い日本にせねばと思う。
2020年3月10日に日本でレビュー済み
著者である品川正治さん(1924年〜2013年8月)は、日本火災海上保険社長や会長をされた後、経済同友会専務理事という役職に就いています。
この経歴だけをみると、経済人として成功した方だと思われるでしょう。
ところが、以下のような本を書いた方だと知ると、意外に感じる方が殆どだと思われます。
・戦争のほんとうの恐さを知る財界人の直言
・9条がつくる脱アメリカ型国家
・手記反戦への道
・立ち位置を変えず-品川正治対談集
本書は自伝とも言える内容なので、この「ギャップ」が埋まる事実が並んでいます。
冒頭の陸軍入隊に至る話、資本と果敢に闘う労働組合である「全損保」の専従役員をやり安保闘争にも幹部として奮闘するのです。
また、遭遇する人物も著名な方が多いです。リクルートの江副氏、オリックスの宮内氏、ロケット開発で有名な糸川氏、日銀総裁になった速水氏等々が並びます。興味深いエピソードも意外感がありました。
この経歴だけをみると、経済人として成功した方だと思われるでしょう。
ところが、以下のような本を書いた方だと知ると、意外に感じる方が殆どだと思われます。
・戦争のほんとうの恐さを知る財界人の直言
・9条がつくる脱アメリカ型国家
・手記反戦への道
・立ち位置を変えず-品川正治対談集
本書は自伝とも言える内容なので、この「ギャップ」が埋まる事実が並んでいます。
冒頭の陸軍入隊に至る話、資本と果敢に闘う労働組合である「全損保」の専従役員をやり安保闘争にも幹部として奮闘するのです。
また、遭遇する人物も著名な方が多いです。リクルートの江副氏、オリックスの宮内氏、ロケット開発で有名な糸川氏、日銀総裁になった速水氏等々が並びます。興味深いエピソードも意外感がありました。
2014年2月21日に日本でレビュー済み
分量、内容共ボリュームが少なくて、ちょっとがっかり
しました。例えば、財界人の重鎮としてグローバル化と
向き合い、「『利益は株主のもの』の行き過ぎに警鐘を
鳴らし(中略)、雇用を守る日本型経営を模索した」(惜
別)『朝日新聞(夕刊)』2013.11.16という中身は見当
たりませんでした。
でも、すぐに思い直しました。「あとがき」に、「平和を
開いていく道筋について私なりの考えを記すことも考え
ていたが、それはもはや若い人々に委ねるべき仕事で
あろう」とあります。これは著者の遺言であり、足りない
ところは後に続くものが書き足していくしかないと。
そう思ってふり返ると、復員船上で日本国憲法草案を
読み、「読み終わると全員が泣いた。(中略)陸海空軍
は持たない、国の交戦権は認めない。よくぞここまで書
いてくれた。これなら亡くなった戦友も浮かばれるに違
いない。私は、読みながら、突き上げるような感動に震
えた」という言葉には、ここに書かれた以上の重みを感
じました。加えて、60年安保時の学生・労組共闘での
鉄道駅の封鎖や、沖縄返還に伴う現地損保会社の合
併や通貨交換での関係者の筋道の通し方などの記述
は、貴重な記録にもなっていました。
「もう一つの日本(人が人らしく生きられる社会)」の実
現という志を全うした人生に改めて感銘を受けると共に、
少しでもあやかりたいものと思いました。
しました。例えば、財界人の重鎮としてグローバル化と
向き合い、「『利益は株主のもの』の行き過ぎに警鐘を
鳴らし(中略)、雇用を守る日本型経営を模索した」(惜
別)『朝日新聞(夕刊)』2013.11.16という中身は見当
たりませんでした。
でも、すぐに思い直しました。「あとがき」に、「平和を
開いていく道筋について私なりの考えを記すことも考え
ていたが、それはもはや若い人々に委ねるべき仕事で
あろう」とあります。これは著者の遺言であり、足りない
ところは後に続くものが書き足していくしかないと。
そう思ってふり返ると、復員船上で日本国憲法草案を
読み、「読み終わると全員が泣いた。(中略)陸海空軍
は持たない、国の交戦権は認めない。よくぞここまで書
いてくれた。これなら亡くなった戦友も浮かばれるに違
いない。私は、読みながら、突き上げるような感動に震
えた」という言葉には、ここに書かれた以上の重みを感
じました。加えて、60年安保時の学生・労組共闘での
鉄道駅の封鎖や、沖縄返還に伴う現地損保会社の合
併や通貨交換での関係者の筋道の通し方などの記述
は、貴重な記録にもなっていました。
「もう一つの日本(人が人らしく生きられる社会)」の実
現という志を全うした人生に改めて感銘を受けると共に、
少しでもあやかりたいものと思いました。
2017年12月19日に日本でレビュー済み
本書は戦争体験から説き起こし、昭和の終焉までを語り継いだ、著者である品川正治氏自身の経歴録である。
戦争体験において最前線の死闘を経験しており、戦後にもマッカーサー占領下での、資本家にしか得をさせない動きが婚姻の背景にあったという。そして「働く人の搾取を通して企業の利益、私利を追求するような真似だけはせず、また経済を人間の目で見る」との決意と「民主化がアメリカの価値観に基づき、しかも旧来の支配機構を温存したまま実行に移された」との現状認識で以って、経済成長のブレーキ役とも云える損保業界に職を求めたとのことだった。憲法9条について、復員船の中で出会い「人類の宝」と位置付け、朝鮮戦争をきっかけに永遠に守るべく何か運動を起こそうと考えておられたとのことだが、こうした履歴からすれば、著者本人の人となりもまた「現代日本人の宝」と云ってよいと思われる。
かくして「逆コース」に伴い、労働運動へも傾倒していき、当初戦時下の産業報国会を引きずっていたところを全損保日火支部として立て直し、活動家も多数育てたという次第であった。さらには60年安保改定反対闘争でも先頭に立ち、そこでは敗北するも闘争を通じて日本国憲法、特に9条が国民の間に定着したという点では収穫だったと捉えておられている。
また「テーブルファイヤ事件」や、ヒルトンホテルとの提携実現に前後した社長人事の顛末に見られるように、周辺人物の理解や誠意に恵まれていたことも窺える。
もちろん、転勤・転居続きだった中にあっても、家族には精一杯の愛情を注いでおられた様子が、行間や第8章の全内容を通じて窺知できる次第だ。
さらに世界を見る目に於いても、東西冷戦をソ連や東欧の側からも見た上で、東欧人民社会主義の政治・経済は「人間の目」からみれば結局失敗だったと結論づけたり、共産中国での文革についても結論には至らずとも議論を重ねたり、西ドイツ首相の中ではヘルムート・シュミットこそが立役者であり功労者と評したり、ゴルバチョフについても人類を滅亡の危機から救った大恩人と位置づけるなど、現代日本において慣例化した対米従属的な色眼鏡によらない多面的な視点が光っていた。アメリカでの損害保険が訴訟を通じて解決するのを常識化している様子を見やり、日本の損害保険がその道を追ってはならないと誓う方向性とも、首尾一貫していたといえよう。
その他、沖縄の本土復帰への対処にしても、同業他社すら志向しなかった地元尊重の方針をとっており、だとすれば仮に当地が台湾の所領になったとしても、隣国として尊重できたに相違ない。それにしてもニクソン・ショックが前後したことによる経済外交政策の混乱などを考え合わせても、日本政府が施政権を取り戻したその動機は「閉鎖的且つ独善的なナショナリズム」以外の何物でもないことを、痛感させられる次第だ。
しかしながら、高度成長期において必死にブレーキ役を果たしても追いつかぬ事を実感され、また1968年の長期総合保険認可に始まる損保産業の金融資本化への異議申し立てを巡っては、完敗であったと捉えておられたようだ。その時何に対して負けたのかというと、辛淑玉氏が富山妙子氏との共著によるブックレット『 〈男文化〉よ、さらば――植民地、戦争、原発を語る 』の中で表現した「ボロボロ金が落ちてくるという甘い汁が忘れられない」心理から来る、高度経済成長の成功体験に喚起された、欲と奢りの社会的ムードに負けたと言えよう。そしてこうした要素からの「既得権拡大以外にはひたすら現状維持」という方向づけこそ、以後の日本が社会運営を誤った根本原因に他ならなかった。
それだけに、本書では著わしきれなかった平成の世に至り、著者の意志と誓いに逆行するかの如く、働く人の搾取を通した企業利益・私利の追求を現実にしたこと、著者自身にも最期を目前にして「これでよかったのか」と自省の叫びをあげさせる結果を招いたことについて日本国民が、殊に財界は厳しく謙虚に反省しなければならない。
戦争体験において最前線の死闘を経験しており、戦後にもマッカーサー占領下での、資本家にしか得をさせない動きが婚姻の背景にあったという。そして「働く人の搾取を通して企業の利益、私利を追求するような真似だけはせず、また経済を人間の目で見る」との決意と「民主化がアメリカの価値観に基づき、しかも旧来の支配機構を温存したまま実行に移された」との現状認識で以って、経済成長のブレーキ役とも云える損保業界に職を求めたとのことだった。憲法9条について、復員船の中で出会い「人類の宝」と位置付け、朝鮮戦争をきっかけに永遠に守るべく何か運動を起こそうと考えておられたとのことだが、こうした履歴からすれば、著者本人の人となりもまた「現代日本人の宝」と云ってよいと思われる。
かくして「逆コース」に伴い、労働運動へも傾倒していき、当初戦時下の産業報国会を引きずっていたところを全損保日火支部として立て直し、活動家も多数育てたという次第であった。さらには60年安保改定反対闘争でも先頭に立ち、そこでは敗北するも闘争を通じて日本国憲法、特に9条が国民の間に定着したという点では収穫だったと捉えておられている。
また「テーブルファイヤ事件」や、ヒルトンホテルとの提携実現に前後した社長人事の顛末に見られるように、周辺人物の理解や誠意に恵まれていたことも窺える。
もちろん、転勤・転居続きだった中にあっても、家族には精一杯の愛情を注いでおられた様子が、行間や第8章の全内容を通じて窺知できる次第だ。
さらに世界を見る目に於いても、東西冷戦をソ連や東欧の側からも見た上で、東欧人民社会主義の政治・経済は「人間の目」からみれば結局失敗だったと結論づけたり、共産中国での文革についても結論には至らずとも議論を重ねたり、西ドイツ首相の中ではヘルムート・シュミットこそが立役者であり功労者と評したり、ゴルバチョフについても人類を滅亡の危機から救った大恩人と位置づけるなど、現代日本において慣例化した対米従属的な色眼鏡によらない多面的な視点が光っていた。アメリカでの損害保険が訴訟を通じて解決するのを常識化している様子を見やり、日本の損害保険がその道を追ってはならないと誓う方向性とも、首尾一貫していたといえよう。
その他、沖縄の本土復帰への対処にしても、同業他社すら志向しなかった地元尊重の方針をとっており、だとすれば仮に当地が台湾の所領になったとしても、隣国として尊重できたに相違ない。それにしてもニクソン・ショックが前後したことによる経済外交政策の混乱などを考え合わせても、日本政府が施政権を取り戻したその動機は「閉鎖的且つ独善的なナショナリズム」以外の何物でもないことを、痛感させられる次第だ。
しかしながら、高度成長期において必死にブレーキ役を果たしても追いつかぬ事を実感され、また1968年の長期総合保険認可に始まる損保産業の金融資本化への異議申し立てを巡っては、完敗であったと捉えておられたようだ。その時何に対して負けたのかというと、辛淑玉氏が富山妙子氏との共著によるブックレット『 〈男文化〉よ、さらば――植民地、戦争、原発を語る 』の中で表現した「ボロボロ金が落ちてくるという甘い汁が忘れられない」心理から来る、高度経済成長の成功体験に喚起された、欲と奢りの社会的ムードに負けたと言えよう。そしてこうした要素からの「既得権拡大以外にはひたすら現状維持」という方向づけこそ、以後の日本が社会運営を誤った根本原因に他ならなかった。
それだけに、本書では著わしきれなかった平成の世に至り、著者の意志と誓いに逆行するかの如く、働く人の搾取を通した企業利益・私利の追求を現実にしたこと、著者自身にも最期を目前にして「これでよかったのか」と自省の叫びをあげさせる結果を招いたことについて日本国民が、殊に財界は厳しく謙虚に反省しなければならない。