「社会」という言葉、あるいは「社会的」、「社会科学」、「社会学」、「社会主義」など「社会」に関連する用語の使用例を歴史に沿って引用し、解説するまさに「社会」という概念そのものの包括的な解説書です。
とにかく「社会」という概念は私にとってなじみがなくつかみ難いもので、本書において指摘される「日本においては忘れられた存在」とされるのも納得ができます。そんななじみが薄いものとなってしまった「社会」という概念について知ろうと、社会学関連の入門書を何冊か読んでみましたが、それぞれが考えた社会像をそれぞれが提示してくれはしたものの、結局のところ「では社会とは何ぞや?」と自問すると指の間からすり抜けてしまうような曖昧でよくわからないものといった感は拭えませんでした。しかし、本書は歴史的な視点から淡々と経緯を示し、決して明朗な結論が示されるとは言えないにもかかわらず、この一冊を読み通すことを通して「社会」というものの意味を芯から刷り込んでくれます。
内容的に言えば、非常に多くの哲学者や社会学者等の名前が挙げられますが、特に事前知識もいらないように書かれておりそれほど難解な印象もなくわかりやすいと思いました。しかし、まあ事前にある程度の知識を、ただし学説ではなく人物像や時代背景に関して、知っていたほうが楽しく読めるとは思いますが。とにかく、「社会」について知ろうと思えば、本書は欠かすことのできない一冊であることは間違いがないのではないかと私は思います。
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社会 (思考のフロンティア) 単行本 – 2006/10/26
市野川 容孝
(著)
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「社会的なもの」―その再編を試みる
- ISBN-104000270060
- ISBN-13978-4000270069
- 出版社岩波書店
- 発売日2006/10/26
- 言語日本語
- 本の長さ237ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2006/10/26)
- 発売日 : 2006/10/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 237ページ
- ISBN-10 : 4000270060
- ISBN-13 : 978-4000270069
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上位レビュー、対象国: 日本
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2012年7月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年8月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、「社会的(the social)」という言葉がこれまで何を意味し、何を意味しなかったのか。また、この言葉によって、どのような現実や実践が構築され、また逆に構築されなかったのかを、振り返ろうとするものである。
Ⅰ 「社会的なものの現在」
第1章「日本の戦後政治と社会的なもの」は、日本の社会主義政党の変遷について。
第2章「冷戦以後と社会的なもの」は、冷戦崩壊以降の日本における「社会」の政治的忘却について。
第3章「社会学と社会的なもの」は、「社会的なもの」の社会学的忘却について。
第4章「社会民主主義」は、ドイツ、イギリス、フランス、日本における社会民主主義の展開を概観した後、それを達成するための手段としての「民主主義」を、ベンヤミンの「暴力批判論」を素材に考察する。
Ⅱ 「社会的なものの系譜とその批判」
第1章「ルソー」は、ルソーに焦点を当てつつ、社会的なものの起源を考察する。
第2章「社会科学の誕生」は、「社会科学」という言葉を素材に、19世紀以降の社会的なものの展開を概観する。
第3章「批判と展望」は、本書のまとめと展望について。それによれば、19世紀の社会科学はそれ以前の政治経済学と異なり「全体の可視化」に重点を置き、「交換的政治」ではなく「分配的正義」という問題を強調したという。そして最後に、「民主主義」に依拠した「租税国家」の活用を主張する。
Ⅲ 基本文献案内
以上のように、本書は、社会的なものの衰退とネオリベラリズムの隆盛という現在の状況を背景としつつ、社会的なものの系譜を辿りつつ、どのように社会的なものを防衛するのかを考察するものである。記述はヨーロッパ中心であるが、比較史的関心からか日本についても多く言及しており、興味深く読める。
Ⅰ 「社会的なものの現在」
第1章「日本の戦後政治と社会的なもの」は、日本の社会主義政党の変遷について。
第2章「冷戦以後と社会的なもの」は、冷戦崩壊以降の日本における「社会」の政治的忘却について。
第3章「社会学と社会的なもの」は、「社会的なもの」の社会学的忘却について。
第4章「社会民主主義」は、ドイツ、イギリス、フランス、日本における社会民主主義の展開を概観した後、それを達成するための手段としての「民主主義」を、ベンヤミンの「暴力批判論」を素材に考察する。
Ⅱ 「社会的なものの系譜とその批判」
第1章「ルソー」は、ルソーに焦点を当てつつ、社会的なものの起源を考察する。
第2章「社会科学の誕生」は、「社会科学」という言葉を素材に、19世紀以降の社会的なものの展開を概観する。
第3章「批判と展望」は、本書のまとめと展望について。それによれば、19世紀の社会科学はそれ以前の政治経済学と異なり「全体の可視化」に重点を置き、「交換的政治」ではなく「分配的正義」という問題を強調したという。そして最後に、「民主主義」に依拠した「租税国家」の活用を主張する。
Ⅲ 基本文献案内
以上のように、本書は、社会的なものの衰退とネオリベラリズムの隆盛という現在の状況を背景としつつ、社会的なものの系譜を辿りつつ、どのように社会的なものを防衛するのかを考察するものである。記述はヨーロッパ中心であるが、比較史的関心からか日本についても多く言及しており、興味深く読める。
2014年10月28日に日本でレビュー済み
社会的なもの(国家社会主義的な意味合いを脱色した福祉的概念)がなぜ擁護されるべきかという論拠がわからない。筆者はドイツやフランスでは憲法で規定されているからこれは普遍的な価値をもっているというが、それならばアメリカや日本で社会的なものがなぜ尊重されていないのだろうか?本当に普遍的な価値なのだろうか?
2011年3月10日に日本でレビュー済み
「社会的」という言葉は極めて頻繁に用いられる。
だが、その「社会的(social)」には「福祉国家」に該当するような意味が本来的には存在したのである。
本書では、その「社会」に存在していた意味を系譜的に掘り起こしていく。
感想としては、「社会的」の変容過程を追う部分、またなぜ「社会的」が今のようになったのかを考えるべきという問いは非常に鋭い。
だが、途中の議論とそこから出してくる答えがなんか微妙である。
途中のアレントやニーチェへの批判は、執拗な割にどうにもアレントやニーチェへの理解が浅く感じられる。
アレントを「公私二分論は単純だ」と簡単に切ったり、ニーチェを「差別的」と断じるのは、何というか。。。。。。
また、功利主義を利己主義と同値に見ている(p202〜203)のは功利主義を知らなさすぎると言わざるを得ない。
いや、上記の思想家への批判は別の本で行っていて、本書では結論だけかいつまんでいるのかもしれない。
だが、第一にそもそも本書では「なぜ「社会的」であることが望ましいか」の論証が欠けているのは致命的な気がする。
筆者は本書の冒頭で、「社会的」という語は価値付加的であるとしている。
ならば、「なぜ社会的でなければならないか」という問いは意味を持つが、「社会的であるべき」ことの理由は本書では見えてこなかった。
また、筆者が「社会的=福祉国家=再分配」を実現するために、国民国家ではない「租税国家(課税対象と国家活動の影響から構成員を規定する)」を擁護する。
だが、「ナショナル・アイデンティティ」を基盤とせず、純粋に「契約(金銭的やり取り)・相互影響関係」でのみ国家を規定しようとすると、要するに「自由な選択」の対象に国家をも含めることになるので、これは アナーキー・国家・ユートピア―国家の正当性とその限界 のノージックのリバタリアニズムと酷似する気がしてならない。
この場合には財の再分配はもちろん達成されない。
というわけで、問いはよかったのだが答えは微妙な感じであったので星3つ。
だが、その「社会的(social)」には「福祉国家」に該当するような意味が本来的には存在したのである。
本書では、その「社会」に存在していた意味を系譜的に掘り起こしていく。
感想としては、「社会的」の変容過程を追う部分、またなぜ「社会的」が今のようになったのかを考えるべきという問いは非常に鋭い。
だが、途中の議論とそこから出してくる答えがなんか微妙である。
途中のアレントやニーチェへの批判は、執拗な割にどうにもアレントやニーチェへの理解が浅く感じられる。
アレントを「公私二分論は単純だ」と簡単に切ったり、ニーチェを「差別的」と断じるのは、何というか。。。。。。
また、功利主義を利己主義と同値に見ている(p202〜203)のは功利主義を知らなさすぎると言わざるを得ない。
いや、上記の思想家への批判は別の本で行っていて、本書では結論だけかいつまんでいるのかもしれない。
だが、第一にそもそも本書では「なぜ「社会的」であることが望ましいか」の論証が欠けているのは致命的な気がする。
筆者は本書の冒頭で、「社会的」という語は価値付加的であるとしている。
ならば、「なぜ社会的でなければならないか」という問いは意味を持つが、「社会的であるべき」ことの理由は本書では見えてこなかった。
また、筆者が「社会的=福祉国家=再分配」を実現するために、国民国家ではない「租税国家(課税対象と国家活動の影響から構成員を規定する)」を擁護する。
だが、「ナショナル・アイデンティティ」を基盤とせず、純粋に「契約(金銭的やり取り)・相互影響関係」でのみ国家を規定しようとすると、要するに「自由な選択」の対象に国家をも含めることになるので、これは アナーキー・国家・ユートピア―国家の正当性とその限界 のノージックのリバタリアニズムと酷似する気がしてならない。
この場合には財の再分配はもちろん達成されない。
というわけで、問いはよかったのだが答えは微妙な感じであったので星3つ。
2013年4月12日に日本でレビュー済み
思考のフロンティアシリーズといえば、岩波色全開の左翼入門書
だが、意外とこの巻は偏りが少ないと感じた。
特に、前半の社会党が墜落していく過程を追った記述は面白い。
ただし3章以降の「批判と展望」は恐ろしくつまらなかった。
あと、全体的にやはり社会主義への郷愁があるんだなとも感じた。
だが、意外とこの巻は偏りが少ないと感じた。
特に、前半の社会党が墜落していく過程を追った記述は面白い。
ただし3章以降の「批判と展望」は恐ろしくつまらなかった。
あと、全体的にやはり社会主義への郷愁があるんだなとも感じた。
2007年9月26日に日本でレビュー済み
社会化、社会的な、社会に出る。日本語の文章を読むと社会という言葉は、いたるところに顔を出している。しかし、概念として「社会」を考えた場合、これだけ頻出する言葉であるにも関わらず、こういう意味だ!と明確に指摘することは、多くの人にとって難しいことだと思う。教育においては社会化を目的とし、大人になることを社会に出るといい、社会的な良識に従うべきとされる日本において社会の意味が不透明である。これは、社会を研究する学問である(?)社会学においても同じ構造であると筆者は指摘する。
(もっとも、丸山真男を引き合いに出すまでもなく、日本では民主主義など、社会にすえる根本的な概念はあまり再検討されることがないという風潮が影響しているのかも知れないが。)
こうした社会の概念の空虚さのおかげで、多くの日本人にはドイツの憲法に出てくる「社会的な国家」の意味が理解されないのだという。
本書では「社会的な〜」という言葉の意味を政治的な流れ及び、思想史において確定していく作業を行っている。そこであぶりだされたのは「社会的」を取り巻く平等や福祉等の規範的な意味合いである。
というのが私の読後感でしょうか、レビューの評価の高い本書ですが、私はあえて批判的になってみたい。まずは、こんなに長くなる必要があるのかということ。本書の後半は思想史において「社会」の流れを追っています。そこで吟味され、検討されるのは、名前も聞いたことがないような社会学者が多い。本書の中で教科書以上の思想史の流れを踏まえる必要があったのだろうか。また社会という言葉を使うにはまず何よりも現代社会を検討する必要があったのではないか、と思う。わりと楽しみにしていた読書案内で国内で翻訳されている本が少なかったというのも不満の一つです。それだけ、社会を検討する本が少ないということかもしれませんが。
フロンティアシリーズは「公共性」に続いてまだ二作目ですが、「公共性」がたいへんよかったために、今回は少し、残念です。
(もっとも、丸山真男を引き合いに出すまでもなく、日本では民主主義など、社会にすえる根本的な概念はあまり再検討されることがないという風潮が影響しているのかも知れないが。)
こうした社会の概念の空虚さのおかげで、多くの日本人にはドイツの憲法に出てくる「社会的な国家」の意味が理解されないのだという。
本書では「社会的な〜」という言葉の意味を政治的な流れ及び、思想史において確定していく作業を行っている。そこであぶりだされたのは「社会的」を取り巻く平等や福祉等の規範的な意味合いである。
というのが私の読後感でしょうか、レビューの評価の高い本書ですが、私はあえて批判的になってみたい。まずは、こんなに長くなる必要があるのかということ。本書の後半は思想史において「社会」の流れを追っています。そこで吟味され、検討されるのは、名前も聞いたことがないような社会学者が多い。本書の中で教科書以上の思想史の流れを踏まえる必要があったのだろうか。また社会という言葉を使うにはまず何よりも現代社会を検討する必要があったのではないか、と思う。わりと楽しみにしていた読書案内で国内で翻訳されている本が少なかったというのも不満の一つです。それだけ、社会を検討する本が少ないということかもしれませんが。
フロンティアシリーズは「公共性」に続いてまだ二作目ですが、「公共性」がたいへんよかったために、今回は少し、残念です。