かなり専門的な本。くわえて、もともと「神聖ローマ帝国」とは何かがよくわからない、ので難解。訳者も「神聖ローマ帝国とは、何ですか」と大学一年向けの講義の中で、毎年必ずきかれるという(p.132)。
「神聖ローマ帝国(Heilges roemisches Reich deutscher Nation)」が得たいが知れないのはひとつには「無国籍」ということがあるが、おおざっぱに言うと962年から1806年までに存在した(本書は1495年からに限定)ドイツを中心にした連邦国家(バイエルン、ザクセンなどの諸公国、フランデンブルク、オーストリアなどの辺境伯領、ボヘミア王国、イタリア王国などからなる)。
13世紀初頭に帝国皇帝がいない空白時代が発生し、選定侯と呼ばれる人々が皇帝を選ぶ慣例ができた。1356年の金印勅書で7人(マインツ、ケルン、トリアの3宗教諸侯、ボヘミア王、ザクセン公、フランデンブルク辺境伯マプファルンツ伯の4世俗諸侯)の選挙で皇帝を選ぶことが制度化。選ばれた人物がローマ教皇にローマ皇帝として認めてもらうことになった。
本書はこの「神聖ローマ帝国とは何か」という問題に真正面から答えようとした意欲作(p.123)。プロイセン中心主義的解釈を排し、帝国と領邦、そして教会との矛盾を孕んだ統一の論理を、「近年の研究の成果」を取り入れながら、詳らかにしようとしている。
帝国議会、帝国裁判所、帝国税、帝国防衛、帝国クライシス、帝国教会、帝国イタリア、領邦絶対主義を論じた第3章が興味深い。
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神聖ローマ帝国: 1495-1806 (ヨーロッパ史入門) 単行本 – 2005/2/24
- 本の長さ169ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2005/2/24
- ISBN-104000270974
- ISBN-13978-4000270977
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2005/2/24)
- 発売日 : 2005/2/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 169ページ
- ISBN-10 : 4000270974
- ISBN-13 : 978-4000270977
- Amazon 売れ筋ランキング: - 195,920位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 491位ヨーロッパ史一般の本
- カスタマーレビュー:
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2006年7月18日に日本でレビュー済み
中央集権国家化に失敗して分裂した帝国という一国主義的な従来の解釈を超えて、多様な可能性を持った帝国として捉えているのが本書。
帝国内の領邦国家がその内において絶対主義的中央集権化を追求し、他方では皇帝の絶対主義に抵抗する政治的二面性を持っており、
それが帝国議会、帝国裁判所、帝国防衛などを通して領邦国家と皇帝が駆け引きを繰り広げながら意外に長く続いた事を示している。
神聖ローマ帝国で培われた諸制度(連邦制)と理念(普遍君主制)が帝国崩壊後もドイツ史に影響を与え、EU内で主導権を握ろうとしてる
現代ドイツまで断続しながら続いてるというのが興味深かった。
ただ本書自体やや内容を詰め込み気味で歴史専攻以外の普通の学生にとってわかりにくいと思う。そんな人は菊池良生「神聖ローマ帝国」(講談社)で知識をある程度入れてから本書を読んだほうが楽しめます。
帝国内の領邦国家がその内において絶対主義的中央集権化を追求し、他方では皇帝の絶対主義に抵抗する政治的二面性を持っており、
それが帝国議会、帝国裁判所、帝国防衛などを通して領邦国家と皇帝が駆け引きを繰り広げながら意外に長く続いた事を示している。
神聖ローマ帝国で培われた諸制度(連邦制)と理念(普遍君主制)が帝国崩壊後もドイツ史に影響を与え、EU内で主導権を握ろうとしてる
現代ドイツまで断続しながら続いてるというのが興味深かった。
ただ本書自体やや内容を詰め込み気味で歴史専攻以外の普通の学生にとってわかりにくいと思う。そんな人は菊池良生「神聖ローマ帝国」(講談社)で知識をある程度入れてから本書を読んだほうが楽しめます。
2005年3月4日に日本でレビュー済み
神聖ローマ帝国は分権化が進んでおり、国家ではないと言われることがあります。
しかし、本書は帝国内の領邦が帝国・皇帝とのつながりがあったからこそ
自立的な領邦の経営ができたことを指摘しております。
ほかにも帝国領イタリア、帝国議会そして帝国裁判所など神聖ローマ帝国の解明に
役立つ事柄が述べられております。
本書は難しいですが、ぜひ高校生にチャレンジしてもらいたいです。 視野が広がります。
しかし、本書は帝国内の領邦が帝国・皇帝とのつながりがあったからこそ
自立的な領邦の経営ができたことを指摘しております。
ほかにも帝国領イタリア、帝国議会そして帝国裁判所など神聖ローマ帝国の解明に
役立つ事柄が述べられております。
本書は難しいですが、ぜひ高校生にチャレンジしてもらいたいです。 視野が広がります。