地震学の専門書と思われがちだが、そうではない。一般にもわかりやすく地震のメカニズムなどを解説し、さらに地震でいかなる問題が生じるかを論述した社会科学の本。
著者は神戸大学名誉教授で、福島第一原発事故国会事故調の委員でもある。東海地震を初めて提唱、大規模地震対策特別措置法(大震法)の成立のきっかけを作った。その著者が2005年に地震活動期に入った日本について原発事故を含む人災の発生について警鐘を鳴らす公述を行ったが、その6年後に東日本大震災と福島原発震災が起きてしまった。将来必ず発生すると考えられる南海トラフ巨大地震についても同様の警鐘を鳴らし、浜岡原発と伊方原発(地理的位置から南海巨大地震の影響を受ける危険性が高い)の再稼働は原発震災を再発させる危険性が高いと指摘する。
巨大地震の前後には内陸直下地震が多発するとの事実に基づき、連動型の国内地震像をわかりやすく解説している。地震学の定説ではないかも知れないが、過去の巨大地震において発生した内陸地震のメカニズムがわかれば警戒すべき地域が分かるかも知れない。
地震予知は不可能に近いことが東北地方太平洋沖地震の発生を予知できなかったことなどで改めて突きつけられた。私たちに出来ることは、地震発生前に極力リスクを下げることだろう。取り返しの付かない原発震災を含めて。
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南海トラフ巨大地震――歴史・科学・社会 (叢書 震災と社会) 単行本 – 2014/3/12
石橋 克彦
(著)
必ず来る「西日本大震災」にどう備えるか。大災害を繰り返してきた南海トラフ巨大地震の歴史記録を徹底検証し、その発生機構に独自の視点で迫る。都市型震災の脅威を『大地動乱の時代』で予見し、自ら造語した〈原発震災〉の警鐘を鳴らし続けてきた地震学者が「地震に強い社会」を根底から問う。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2014/3/12
- 寸法13.5 x 2.1 x 19.5 cm
- ISBN-104000285319
- ISBN-13978-4000285315
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商品の説明
著者について
石橋克彦(いしばし かつひこ)
1944年神奈川県生まれ.東京大学理学部地球物理学科卒業,東京大学大学院理学系研究科博士課程単位取得退学,東京大学理学部助手,旧建設省建築研究所国際地震工学部室長,神戸大学都市安全研究センター教授などを経て,現在,神戸大学名誉教授.中央防災会議専門委員,原子力安全委員会専門委員,国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員などを歴任.専門は地震学,歴史地震学.
著書に『大地動乱の時代――地震学者は警告する』(岩波新書),『阪神・淡路大震災の教訓』(岩波ブックレット),『原発震災――警鐘の軌跡』(七つ森書館),『原発を終わらせる』(編著,岩波新書),『古地震を探る』(共著,古今書院),『[新通史] 日本の科学技術 第1巻』(共著,原書房)など.
1944年神奈川県生まれ.東京大学理学部地球物理学科卒業,東京大学大学院理学系研究科博士課程単位取得退学,東京大学理学部助手,旧建設省建築研究所国際地震工学部室長,神戸大学都市安全研究センター教授などを経て,現在,神戸大学名誉教授.中央防災会議専門委員,原子力安全委員会専門委員,国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員などを歴任.専門は地震学,歴史地震学.
著書に『大地動乱の時代――地震学者は警告する』(岩波新書),『阪神・淡路大震災の教訓』(岩波ブックレット),『原発震災――警鐘の軌跡』(七つ森書館),『原発を終わらせる』(編著,岩波新書),『古地震を探る』(共著,古今書院),『[新通史] 日本の科学技術 第1巻』(共著,原書房)など.
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2014/3/12)
- 発売日 : 2014/3/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 192ページ
- ISBN-10 : 4000285319
- ISBN-13 : 978-4000285315
- 寸法 : 13.5 x 2.1 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 599,364位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2018年1月7日に日本でレビュー済み
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2016年6月16日に日本でレビュー済み
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津波にそなえて、たぶん大丈夫な地域なのですが、なぜ過去にあの地区だけ被害がひどかったのか知りたくて、津波がひどかった地域は語り継がれていて
その体験者は高齢の為、知っている人は減ってきていますが、色々勉強して統計とってパニックにならないよう対策中です。
その体験者は高齢の為、知っている人は減ってきていますが、色々勉強して統計とってパニックにならないよう対策中です。
2016年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
南海地震と東南海地震は何処が違うでしょう?
この質問に答えられなかったらこの本は必読です。
全く被害が異なります。
この質問に答えられなかったらこの本は必読です。
全く被害が異なります。
2014年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
壮大な自然科学現象に係る解説の明快さにさわやかな読後感をもった。
第1章は巨大地震の歴史。過去の文献を渉猟して歴史に記された地震の大きさや物理的特質までシミュレーションするこの分野の専門家たちの執念が伝わってくる。
第2章はプレートの動きと地震の発生メカニズム、地震と津波の関係などがどこまで解明されたか、どういう課題が残っているか、どういう予測が可能か、など、科学者として、明晰な認識を示している。著者自身も第一線の研究者として、過去の思考過程を述べている。とくに、駿河トラフが糸静線を通ってアムールプレート東縁断層帯に繋がるという説は、壮大な地下構造の物語として想像力を刺激する。
第3章は、自然に対する畏敬の念をもつ誠実な科学者としての提言を述べている。同感を思いを厚くした。
第1章は巨大地震の歴史。過去の文献を渉猟して歴史に記された地震の大きさや物理的特質までシミュレーションするこの分野の専門家たちの執念が伝わってくる。
第2章はプレートの動きと地震の発生メカニズム、地震と津波の関係などがどこまで解明されたか、どういう課題が残っているか、どういう予測が可能か、など、科学者として、明晰な認識を示している。著者自身も第一線の研究者として、過去の思考過程を述べている。とくに、駿河トラフが糸静線を通ってアムールプレート東縁断層帯に繋がるという説は、壮大な地下構造の物語として想像力を刺激する。
第3章は、自然に対する畏敬の念をもつ誠実な科学者としての提言を述べている。同感を思いを厚くした。
2020年9月22日に日本でレビュー済み
このシリーズを読んで感じるのは、もちろん編集者の方針であろうが、書下ろしないし月刊誌記事と過去に学術誌に掲載された学術論文を一冊にしており、全体の統一性からすれば、違和感を覚えます(特に、今中哲二や田辺文也の本など)。
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シリーズ本に共通することは、記載内容に間違いがあり、客観的証明ではなく、自身の主張に沿った論理展開をしており、研究者の論理展開と言うよりも、運動家の主張と言う感じが強く感じられます。
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石橋は、歴史地震研究者の立場から、「原発震災」と言う視点の重要性と社会リスクについて、問題提起しており、最近の四半世紀の社会背景からすれば、的確であったと思います。
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石橋は、3.11前から、具体的には、浜岡原発訴訟の原告側証人として、東海地震だけでなく、もっと大きな、具体的に言えば、それまで論じられていなかった南海地震・東南海地震・東海地震が連なって発生するM9クラスの地震の発生の可能性と対策について、問題提起しており、3.11後、日本地震学会や政府地震研究推進本部などは、M9の南海トラフ地震に対する根拠と対策を強く進言しています。石橋の初期の問題提起には、確かに、先見性がありました。
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それでも、高い評価ができなかったのは、記載内容の正確性でした。
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石橋は、歴史地震研究者の立場から、「原発震災」と言う視点の重要性と社会リスクについて、問題提起しており、最近の四半世紀の社会背景からすれば、的確であったと思います。
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石橋は、3.11前から、具体的には、浜岡原発訴訟の原告側証人として、東海地震だけでなく、もっと大きな、具体的に言えば、それまで論じられていなかった南海地震・東南海地震・東海地震が連なって発生するM9クラスの地震の発生の可能性と対策について、問題提起しており、3.11後、日本地震学会や政府地震研究推進本部などは、M9の南海トラフ地震に対する根拠と対策を強く進言しています。石橋の初期の問題提起には、確かに、先見性がありました。
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それでも、高い評価ができなかったのは、記載内容の正確性でした。
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2014年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
震災の専門家、事故調にもかかわった筆者が3.11を機に過去の歴史を調べ、いかに大地震が日本を襲ったか検証。日本に原発や核廃棄物の貯蔵所をつくることの馬鹿らしさを解らせてくれる
2014年5月27日に日本でレビュー済み
著者は、『大地動乱の時代-地震学者は警告する』(岩波新書、1994年刊)で、日本が地震活発化の時期に入ったことと巨大地震に備える必要性を早くから警告してきた。また、巨大地震に伴う原発災害(原発震災)についても警告してきた。不幸なことに、これらの警告は的中し、阪神・淡路大地震(1995年)や東北地方太平洋沖地震(2011年)と、ここ20年間で巨大地震が相次いだ。本書は、これからの発生が確実視される南海トラフ巨大地震とそれにともなう「西日本大震災」に備えるために、巨大地震の正体を明らかにしたものである。
第1章では、歴史上の南海トラフ大地震を詳しく振り返る。昭和の大地震である1944年東南海地震から、最古の記録がある684年白鳳地震まで、震度や津波の分布、被害状況、推定震源地域、および現在の地震学の知見から見た地震のメカニズムを明らかにしている。本書によれば、約1400年間において、10回以上の巨大地震があったことになる。中でも、日本史上最大クラスとされる1707年宝永地震は、西日本を広範囲に襲った揺れと津波が凄まじく、日本社会を変える程のインパクトがあったようだ。なお、本書ではあまり詳しく触れられていないが、高知大学岡村眞教授らによる津波堆積物の研究では、この「宝永級大地震」が過去7000年で少なくとも16回、西日本を襲ったとのことである(2014年5月27日付け東京新聞)。
第2章では、最新のプレートテクトニクス研究の視点から、南海トラフ大地震のメカニズムを検討する。著者の考えを交え、南海トラフ大地震と内陸地震の連関を想定することの重要性が強調される。日本列島付近の各種プレートの相互作用は複雑であり、南海トラフ大地震しか考えない対策では、これまでのような「想定外」を生じかねない、という著者の指摘は重要である。
第3章では、巨大地震に備えるための基本的考え方が示される。2013年に発表された中央防災会議の被害想定は、膨大な被害をもたらすものであるが、それでも「最悪」とは限らないと指摘する。本書の視点からは、原発再稼働は、事故時の影響の巨大さから、とうてい容認されるものではなく、またリニア中央新幹線も減災と環境保全に逆行すると厳しく批判している。「地震は止められないが、震災は私たちの智慧で軽減できる」(「はじめに」より)という防災の原点に、今一度、日本は立ち戻るべきである。
第1章では、歴史上の南海トラフ大地震を詳しく振り返る。昭和の大地震である1944年東南海地震から、最古の記録がある684年白鳳地震まで、震度や津波の分布、被害状況、推定震源地域、および現在の地震学の知見から見た地震のメカニズムを明らかにしている。本書によれば、約1400年間において、10回以上の巨大地震があったことになる。中でも、日本史上最大クラスとされる1707年宝永地震は、西日本を広範囲に襲った揺れと津波が凄まじく、日本社会を変える程のインパクトがあったようだ。なお、本書ではあまり詳しく触れられていないが、高知大学岡村眞教授らによる津波堆積物の研究では、この「宝永級大地震」が過去7000年で少なくとも16回、西日本を襲ったとのことである(2014年5月27日付け東京新聞)。
第2章では、最新のプレートテクトニクス研究の視点から、南海トラフ大地震のメカニズムを検討する。著者の考えを交え、南海トラフ大地震と内陸地震の連関を想定することの重要性が強調される。日本列島付近の各種プレートの相互作用は複雑であり、南海トラフ大地震しか考えない対策では、これまでのような「想定外」を生じかねない、という著者の指摘は重要である。
第3章では、巨大地震に備えるための基本的考え方が示される。2013年に発表された中央防災会議の被害想定は、膨大な被害をもたらすものであるが、それでも「最悪」とは限らないと指摘する。本書の視点からは、原発再稼働は、事故時の影響の巨大さから、とうてい容認されるものではなく、またリニア中央新幹線も減災と環境保全に逆行すると厳しく批判している。「地震は止められないが、震災は私たちの智慧で軽減できる」(「はじめに」より)という防災の原点に、今一度、日本は立ち戻るべきである。