全集としても書いているけれど、ナルニア国物語は小学校4年生で読んで以来、私にとっては
心を捉えて話さない生涯のベストブック。
岩波書店の全7巻、ハードカバーは繰り返し読んで、あちこち擦り切れてセロテープで留めてある。
「あさびらき丸東の海へ」はその中でもお気に入りだったのだが、10年ほど前に友人に貸したら、それっきり行方不明に。
7巻を1冊にまとめた新装丁版も持っているのだけれど。
では、なぜ今更買ったかというと、映画版のＤＶＤを見てとても懐かしくなってしまったからだ。
映画は3作目に当たるけれど、全2作は原作ファンとして、かなり悲しい思いで見た。それも映画館で。
あまりにガッカリしたので、3作目はついにレンタルＤＶＤで済ませたのだが、これが唯一、原作のテイストを
残した素晴らしい出来栄えだった。
無論、エピソードなどかなりショートカットはあったのだが。
朝びらき丸は、未知の東の海へと航海していく。そこには誰も見たことも聞いたこともない不思議、恐怖、驚き、
喜びに満ち溢れている。
嫌な少年だったユースチスも人間として成長していくし、いい子ちゃんのカスピアンだって時には人間らしいエゴ
をむき出しにするのだ。
そして、乗組員たちは最後に読んでいる人間もうっとりする、いや果ての海の不思議に到達する。
彼らは知るのだ。
ナルニアを訪れることが出切るのは子供だけに許される期間限定の冒険なのだと。
表紙を始めとして、挿絵も素晴らしく、子供だけでなく、大人も十分に魅了される異世界の冒険譚を味わえば、
他の作品も読みたくなってしまうと思う。
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