珠玉の短編集でバラエティに富んでいて、どのお話もたいへん面白いのですが、
特に気に入ったのは子どもの生活を丁寧に描写している以下の二編です。
『ねんねこはおどる』
110歳のひいおばあちゃんとひ孫娘のグリジーのお話です。おばあちゃんの方が子どもみたいで
しっかり者の10歳の女の子が母親のようにめんどうを見て仲良く二人暮らしをしています。
とくに、おばあちゃんがひ孫に甘える就寝前のひとときが、とても微笑ましいです。
大好きなお話を聞かせてもらったあと、満足げなため息をついておかしなやりとりをします。
大好きなお話はとても短いものですが、だんだん語り口調のトーンが上がっていきます。
原書だとこの部分は強調している単語の頭文字が大文字になり、最後の単語は全て大文字になるという
表現ですが、訳者の石井桃子さんはこの部分の文字だけ大きくするという面白い工夫をされています。
他の話でもこの手法を使用していますが、絵本なども訳されている経験からの遊び心なのでしょうか。
でも、ある日グリジーが病気で入院してしまいます。二人の生活はどうなってしまうのでしょう……
『ガラスのクジャク』
ロンドンの下町に住むアナ・マライアという女の子とその弟ウィリヤムのお話。
とても短いお話ですが、子ども時代のささやかで幸せな思い出がぎゅっと詰まった素敵なお話です。
ガラスのクジャクは子ども時代の憧憬を象徴しているように思えました。
瞬く間に過ぎていく時間は、はかないからこそよりいとおしく感じました。
ところどころ不思議な言葉遣いが出てきますが、おそらく原書がコックニー訛り?を
聴こえるままに文章にしているため、その雰囲気を活かすため翻訳も工夫したのだと思われます。
ちょっとだけ紹介してみます。翻訳:原文(通常の英文)の順
ウィリヤム:Willyum(William)、
サンタ・クロス:Farver Crismuss(Father Christmas)
「おまい、これ、どうするんだ、アナ・マライア。」:
'Wotcher goin' to do wiv it,Annar?'('What you going to do with it, Annar?')
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ムギと王さま 新装版 (岩波世界児童文学集) 単行本 – 2003/5/22
幼い日,ぎっしり本のつまった古い小部屋で読みふけった本の思い出――それはファージョン女史に幻想ゆたかな現代のおとぎ話を生みださせる母胎となりました.楽しいお話27編.
- 本の長さ547ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2003/5/22
- ISBN-104001157101
- ISBN-13978-4001157109
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2003/5/22)
- 発売日 : 2003/5/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 547ページ
- ISBN-10 : 4001157101
- ISBN-13 : 978-4001157109
- Amazon 売れ筋ランキング: - 803,012位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中5つ
5つのうち5つ
6グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年9月12日に日本でレビュー済み
長編を書いている作家なのに―無論長編も良いのだが―短編集が凄く良いという作家がいる。
ファージョンも例外ではない。
この本には彼女の魅力がぎゅっと詰まった短編集だ。
「月がほしいと王女さまが泣いた」のような頓珍漢な話や意外な結末の「七ばんめの王女」、センス良くまとめられた「サン・フェアリー・アン」(どんな意味かは内緒)、ラストがせつないクリスマス話の「ガラスのクジャク」。読みどころ満載である。
文庫本でも出ているが、大判サイズでその醍醐味を味わってほしい。
ファージョンの話にはアーディゾーニの挿絵がよく似合う。
ファージョンも例外ではない。
この本には彼女の魅力がぎゅっと詰まった短編集だ。
「月がほしいと王女さまが泣いた」のような頓珍漢な話や意外な結末の「七ばんめの王女」、センス良くまとめられた「サン・フェアリー・アン」(どんな意味かは内緒)、ラストがせつないクリスマス話の「ガラスのクジャク」。読みどころ満載である。
文庫本でも出ているが、大判サイズでその醍醐味を味わってほしい。
ファージョンの話にはアーディゾーニの挿絵がよく似合う。
2005年11月12日に日本でレビュー済み
私が小学生の時に図書館で借りて、どんどん夢中になったシリーズの1冊目です。
おひめさまは出てきますが、ただ王子様を待っているだけとか泣いているだけ~ではなく、探しに野原に駆け出していくような...
王子様は、自分できちんと考えたり、行動したりしないと、愛しいヒトを手に入れることはできません。
石井桃子さん訳の優しく、時には悪戯っ子のような文章がそれを綴ります。
挿絵も柔らかい光と影を感じるような優しいカンジ。
友人のお嬢さんにもついプレゼントしてしまいました。
おひめさまは出てきますが、ただ王子様を待っているだけとか泣いているだけ~ではなく、探しに野原に駆け出していくような...
王子様は、自分できちんと考えたり、行動したりしないと、愛しいヒトを手に入れることはできません。
石井桃子さん訳の優しく、時には悪戯っ子のような文章がそれを綴ります。
挿絵も柔らかい光と影を感じるような優しいカンジ。
友人のお嬢さんにもついプレゼントしてしまいました。